いつもの通り道
桜よりも桜の前に佇む姿に目が留まり
大回りして引き返してきました
日陰から控えめに桜を眺めているような
ずっとそこに居るコーン
雨の日も雪の日も日照りの日も
そして陽に照らされた桜を向こうに
なにか思う訳ではなかろうに
なにか思うように見えてしまいます
彼を撮りたくて戻ってくる
そんな物好きも居て
桜のほうは「私が主役よ」と言わんばかり
春の陽を一身に浴びて
川面からの照り返しも女優ライトにして
少し紅も差してみて
川風に髪をなびかせるかの如く
もう葉も吹いて
しだれ桜(手前)の色は褪せ
吉野桜(奥)の芯は赤褐色に染まる
こんな暖かい一日には
桜を前に誰もが立ち止まる
“桜が辛い”こんな私でも
すぐそばには“桜のトンネル”があって
年毎にマナーの悪い見物人が増えています
そこを過ぎる嵐電の走行音も聞こえてきますが
そちらの喧噪を浴びての花見はどうにもしんどくて
静かな桜をただただ眺めるばかり