中村うさぎ「芸のためなら亭主も泣かす」
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- 作者: 中村うさぎ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
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エッセイ集です。週刊文春に掲載されたものです。
週刊文春は映画評と書評が好きで結構目は通して居るんですが、中村うさぎさんのエッセイもわりと見るようにしています。
中村うさぎさんはなんというか正直な人だなあと思います。
いや作家さんなんだから、そのまま額面どおり取ってはいけないのかもしれませんが、やることに一本筋が通っている所が好きです。
しかし、いろいろなんでも突き進む人だなあと。ちょっとあげるだけでも整形とデリヘルとテレビでの自然体過ぎるトークといい。
表題のとおりご亭主はいろいろ大変そうだが、それでも付いていくだけの魅力がある人なんだろうなあと思います。
しかし、はやく税金が完納すると良いですね…。
ディビッド・エリス「死は見る者の目に宿る」
- 作者: デイヴィッドエリス,七搦理美子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 文庫
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長編ミステリです。
過去と現在と交錯させながら、話者もくるくると変えながらスピーディに話が進んでいきます。
主たる主人公はもと郡検事補の有名弁護士「ポール・ライリー」。
彼は自分が捜査した事件。あるものになぞらえて起こった連続殺人についての気がかりを抱えています。また恋人との関係も上手く行っていません。
そこにまるで16年前をなぞるような事件が起こり、否応なく巻き込まれていきます。
主人公は中年をちょっと過ぎたくらい。ややひねくれ者ながらも、正義漢が強く、頭も良く、なかなかの好漢です。
また、対決することになる「犯人」や警官たち、主人公の周りの人達も、なかなかクセが強くて、誰を疑っていいのか、なにを信じていいのか分からなくなります。
事件を暗示するものはいろいろとありますが、決して一筋縄ではとけません。曲がりくねった道の先に、二転三転して見えてきた真実とは…。
最後までハラハラしつつ読みました。そうきたか!と思いました。
面白かったです。
タニス・リー「悪魔の薔薇」
- 作者: タニスリー,Tanith Lee,安野玲,市田泉
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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短編集です。
中村融さんが選んだ、未訳でファンタジーやホラー的な作品が集められています。全9編。
どれも印象的なんですが、表題作のぞっとするような感じや、ちょっとアラビアンナイトっぽい「愚者、悪者、やさしい賢者」も何となく懐かしい感じでよかったです。あとは恐ろしい運命の女に出会ってしまう「彼女は三(死の女神)」も忘れがたいです。そうそう一番最初の「別離」はヴァンパイアとその忠実な召使いの話で、この話の前後もいろいろ想像できて好きでした。
そんな感じでファンタジー好きならなにかしらお気に入りの話が見つかると思います。お勧め。
ル−ス・レンデル「悪意の傷跡」
悪意の傷跡 ウェクスフォード警部シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: ルースレンデル,吉野美恵子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/12/10
- メディア: 新書
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やっと読了しました。
長編ミステリです。
いろんな事件が起こり次第に収斂していく様は、警察小説としても、ウェクスフォード警部を中心とした謎解きものとしても楽しめました。
女子高生誘拐。
ペドフィリアの老人の釈放を巡る周辺住民の困惑と団結。
幼女誘拐。
そしてドメスティックバイオレンス。
またウエストフォードを巡る人間関係も様々に変動し、ときに事件に絡み合います。
最後まで謎が一つ残ることと結末がちょっと微妙かなあと思いましたが、ラストまで先が読めず面白かったです。
次はバーバラ・ヴァイン(ルース・レンデルの別名義)の小説も控えていたりします。ふふふ。
今の読書状況
↑は、はてなダイアリーのお絵かき機能で描いてみたけど、まだ勝手が掴めませんです。
というか、大分ほったらかしにしてました。読書日記。
いやー試験勉強で中断してたときも、書名だけはずっと手帳に付けてるんですが、これだけ間が開くとどこから再開したらよいかと…。
とりあえず平成16年の手帳から読書メモだけでも付けようとしていたんですが。
作者名しか書いてなくて、なんだか分からなかった所があったり…。
あれ、こんな本読んだっけ。
というのもいっぱいあったりして。
どうしようかなあと。
ええと最近はルース・レンデルにはまって集めています。
「ロウフィールド館の惨劇」は凄かった!
最初から犯人も結末も分かっているのに、最後までどきどきしながら読みました。すごい上手いよなあ。
でもなんで、ルース・レンデルの本は絶版だらけなんでしょうか。
あんなに面白いのに。
ちょっと重厚だからかなあ…。
ページ数も内容も。
最近はbk1で「殺意を呼ぶ館」上下巻の本を買って、
なぜだか、下が注文に入っていなかったのでミスったかなと思って再注文したら、下巻だけが絶版でした!
非道いよう…。
でも、どこかで下巻だけ見つかるかもしれない、と思うと、上巻の返品も勿体なくて出来ないし。
と言うわけで上巻は下巻が見つかるまで封印です。悲しい…。
でもまあ、
今日は古本屋で一冊100円で10冊、ルース・レンデルの本を見つけたのでちょっと嬉しいです。
この勢いで「殺意を呼ぶ館」下巻も見つかると良いなあ…。
図書館も併用して全著書読破を目指したいけど、長期戦覚悟しないとなあ。
本田透「電波男」
- 作者: 本田透
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/13
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この本のジャンルは何と言うんでしょうか。
男オタクが生き抜くための指南書とでも言うべきでしょうか。
後書きを立ち読みしたら、その凄まじさ(というか著者の人生の凄まじさというべきか)にビックリしたため思わず買ってしまいました。
そしてこの分厚さにもかかわらず、読了してしまいました。
文章に読ませるだけのパワーがあるなあと思います。
まあ後書きだけでも試しに読んでみてください。
結局この本は、非モテ男オタクがこの世界を生き抜くには、脳内彼女を作って、彼女と共に生きてゆくしかない。
という生き方を推奨する。そしてそのための理論立てを行っている本なんですが。
もう一つのテーマが。
30代負け犬女に食いつかれるな!
というものです。
仮想敵が「負け犬の遠吠え」を書いた酒井順子と「だめんずうぉーかー」を書いた倉田真由美といえばなんとなく分かりますか。
確かに彼女らの発言(文章)として挙げられているものに、これはどうかというのもありましたが。
でも彼女らが本当に30代女性の代表なのだろうか、平均像というのかも疑問に感じるのですが。
そして負け犬女は割と貧乏とか揶揄していますが、それなら30代男性も高収入者ばっかりなんでしょうか。こっちも疑問。
そしてなんというか男オタクはひとまとまりのくせに(姉萌えも妹萌えも弟萌えも一緒くたに論じてるくせに)
女オタクについては。
「腐女子だけはやめとけ」という逆差別とでも言いたい構造になっていて。
読んでいてなんだか悲しくなってきました。
そうか…男オタクにまで差別されるのか、腐女子は…。
私は腐女子というのは女オタクのなかの一ジャンルとだけ考えていたんですが、違うんでしょうか…。
いや確かに結論は悪くないとは思うんだけど、それ以外のまとめ方の
荒っぽさというか雑さが非常に気になりました。
世界が脳化社会に向かっていること。
その辺りに異論はないです。これからはもっとそうなっていくと思います。
ただ、現状としては、まだそこまで行っていないわけで。
この中途半端な世界で現実社会と折り合いをつけて、つまりリアル社会も捨てずにどうにかうまくやっていく方法を、もう少し具体的にして欲しかった気がします。
たとえば、脳内彼女に癒されつつも、リアル社会に歩み寄る方法も模索するとか、もう少しやり方はあっても良いのではないでしょうか。
別に道はひとつじゃないと、私は思います。
しかし、私は本田透というペンネームは高屋奈月「フルーツバスケット」のヒロインの名から取ったかと思っていたので、著者の方が漫画のヒロインの名の元ネタとは知りませんでした。ぺこり。
あと、どうにも気になったのが、今、著者の妹さんはどうされているのかということですが…まあ、余計なお世話なんだろうなあ…。