最も汚職が深刻なのはソマリア
毎年、世界の汚職の現状を指数化してランキングを発表しているドイツのNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が、2009年の汚職認識指数(Corruption Perceptions Index:CPI)を発表した(こちら)。
[……]長年政府が機能していないソマリアや戦争で混乱するアフガニスタンが、世界で最も汚職に犯されている国としてリストアップされた。
調査は企業関係者や専門家が、汚職がないクリーンな状態を10点、汚職がまん延した状態を0点として各国の汚職度を判定したもの。
2009年は過半の国が5点以下で、「非常に憂慮すべき状態」だという。また、紛争でインフラが壊滅状態にある国では、深く根付いた汚職文化を払しょくするために、外部からの助けが必要だと指摘している。[……]
(AFPBB News:「最も汚職がはびこっているのはソマリアとアフガン、独NGO」より)
ワースト5は以下の通り。
団体によると、「アフガニスタンでの汚職は、公職の売買や司法の買収、公共サービスにおける贈賄などにわたっており、こうした事例は急増するアヘン取引にも関連している」という(ロイター)。また、チャド、ギニア、コンゴなどアフリカ諸国が下位20ヵ国中で半分の10ヵ国を占めている。
ベスト5は以下の通り。
ちなみに日本は7.7ポイントでイギリスと並んで17位、続いて米国が7.6の19位。
団体は、「2009年は過半の国が5点以下で、「非常に憂慮すべき状態」だという。また、紛争でインフラが壊滅状態にある国では、深く根付いた汚職文化を払しょくするために、外部からの助けが必要だ」と述べている(AFPBB News)。
Twitterの相互フォローでリンク集を作りませんか?
大変ご無沙汰しています。久々の更新です。今年の5月半ばまで運営していました「国際協力・NGO情報ブログ」(www.globalcitizen.jp/)では大変お世話になりました。十分に皆さんの情報を裁ききれずにご迷惑をおかけしました。残念ながら同サイトは関係者の事情により閉鎖させていただくことになり申しわけありません。さまざまなNGOに関する情報源が増えて来ましたので、ひとつの役目を終えたのかな?と勝手ながら思っていたこともあり、上記のような対応となりました。
他の国際協力やNGOに関するさまざまな情報提供をするサイトを見せていただきながら、もう少し気軽に国際協力に関する情報を手に入れたり、関係者の声を聞けるツールはないだろうか?と思い、ここ最近多くの人の間で利用されるようになり始めたTwitter(ツイッター)を使ってできないだろうか? と考えました。
例えば、(特活)CSOネットワークの「ソーシャルメディアとNGO」(シリーズ「グローバル市民社会の最前線」第6回)などを見てもお分かりのように、グルジアやイランなどでの市民の動きに対して、ソーシャルメディア、なかでもTwitterを利用した取り組みというものも目立ち始めました。最近では、「G20の抗議団体と地元警察、どちらも活動にツイッターを利用」なんていう記事もありました(AFPニュース)。また世界のNGOのなかには、オックスファム・インターナショナルやアムネスティ、セイブ・ザ・チルドレン、クリスチャン・エイドなど、さまざまなNGOがTwitterを利用しています。企業や官公庁では日本でもページを開設するところなどが増えていますが、どうやら日本のNGOではまだまだそれほど多くはないようです。
世界では4500万人を近い人たちが利用するTwitter。日本ではまだ200万人弱のようですが*1、情報に敏感な人たちが徐々にさまざまな発信をしています。そこで取り急ぎTwitterアカウントを作成してみました。
日本で国際協力・交流に関わるNGO団体のTwitterページ、またそれらの団体に関わっている方のTwitterページを登録してみませんか?
一応、条件を下記のように設定してみます。「こうしてみたらよい」というご意見は是非お聞かせください。
- 【団体】Twitterページに団体名とホームページ(HP)アドレスのリンクがあること。HPがない場合はメールアドレスなど連絡先が、プロフィールに明示してあること。
- 【個人】プロフィールに個人名及び所属・関連NGOを明示しているか、HPアドレスのリンク先にその旨を明示していること
正直、こうした条件にすると個人でのフォローは難しいかもしれません。とりあえず掲載している情報が国際協力・交流、またNGOに関心ある人に届くような仕組みがあればと思っています。取り急ぎ、ご関心のある団体や個人の方は是非フォローしてみて下さい。イベント情報などの共有についてはまた考えましょう。
また新しい繋がりができることを楽しみにしています。
国際協力・NGO情報ブログ主宰グループ拝
*1:ITpro「8月のTwitterサイト利用者は前月比2.2倍の193万人、VRI調べ」より
食料価格の高騰に伴う世界の動き
貧困国が、食料価格の高騰により貧困の度合いを悪化させている。今月初め、食料価格の高騰が原因で中南米カリブ海のハイチで国連事務所なども襲撃されるという暴動が起こった。ハイチでは食料及び燃料の価格が55%も高騰しており、870万人の人口の内80%をしめる貧困層の54%が絶望的な状態にあるという(CNN.co.jp)。ハイチだけではなく、世界中でこうした生活苦に悩まされる人々が声をあげているという現状がある*1。またフィリピンでも、米の値上がりを受けて食糧事務所に殺到し、非常事態宣言の発令すら必要とされる状況にあるという(毎日新聞)。さらには、パキスタンでは食料が配給制、ロシアでも卵の価格が固定されたり、インドでは米の輸出を禁止する措置をとった(J-CASTニュース)。
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4月に神戸で行われたG8開発大臣会合で「貧しい人たちの生活を直撃する」とG8での議題のひとつとして急遽取り上げられる見通しとなった(産経新聞)。また世界銀行も世界食糧計画(WFP)に対して各国で5億ドルの緊急支援を呼びかけ、自らも補助金の拠出を明らかにした(IBTimes)。これを受けて、米国は約200億円、フランスは約100多く円の食料援助を行うことを発表している(NIKKEI NET、中日新聞)。
さらに国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は、「国連が持つあらゆる手段を講じて、食料価格の問題に対処すると発言」し、「複数の国がコメや小麦などの輸出禁止、あるいは輸入に対するインセンティブ導入といった措置を取っていることも国際貿易に歪みを生み、食糧不足を悪化させていると指摘し、「適切に対応しなければ、世界の経済成長、社会的発展、さらには政治的安定といった問題に発展する可能性がある」との見方を示した」という(Reuters)。そして6月には各国首脳級を集めた「食料サミット」を開催する方針だという(J-CASTニュース)。
前述のハイチに対して、国連は緊急措置として8000トンの食料援助を追加実施すると発表しており、WFPによる子どもや妊婦らへの援助の実施、ユニセフは子どもへの食料援助と水道整備・公衆衛生事業を実施するという(CNN.co.jp)。
既に書いているとおり、地球上で生産される穀物の量は人が飢えることがないだけの量である。となれば、その使い方が大きな問題である。世界の豊かな20%が富の85%を持つという構造そのものが生み出した仕組みのなかでしわ寄せを受けている人たちはたくさんいる。私たちのライフスタイルを見直すという中長期的な取り組みと共に、今まさに必要としている人たちに対する支援活動を考え、実施していかなければならない。
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ODA実績で5位に転落!必要なところに質にこだわる援助を
どうやら日本のODA拠出額の実績値がいよいよ世界第5位に転落するそうだ(4日にOECDが発表する予定とのこと)。とはいっても、以前から「そうなるだろう」という話は出ていたので特に驚くことはないのだが、2006年実績で日本の援助額に肉薄していたフランスとドイツが追い抜く。さらに2010年にはイタリアにも抜かれて6位になるだろうとのこと。
もちろん援助額が増えればいいというわけではない。1990年代、日本は世界最大の援助国として謳歌していたわけだが、円借款(貸付)偏重の日本の援助のやり方がすべてにおいて優っていたわけではない。つまりは「質」と「量」を巡る問題なわけだが、量で優っても質に問題があったことは数多くのNGOがさまざまな場所で明らかにしている。
国連の潘基文事務総長が国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた国際会合において、「多くの国が横道にそれたまま」であるとの発言をしたようだが、国際社会において取り決めた約束事すら守られない援助の現状というのはやはり良くない。必要なところに必要な支援が届くかどうかというのは非常に大切なところだ。
給食を通じた子どもたちへの食糧支援(栄養面における保健医療と教育支援の視点も含む)でテレビなどで日本でも見ることができる国連世界食糧計画(WFP)に対するODAの多国間援助の不足もまた報告されている。エコロジーだと進められているバイオエネルギーなどを筆頭に食糧を十分にえることができない人たちがいる一方で工業利用されている食料が、それがゆえに価格の高騰を招き、市場から食料を調達し支援を行うWFPが資金不足の状態に陥っているというのだ。43ヵ国に対する追加資金を要請する一方で、日本を顧みてみればピーク時の6割減(1億2000万ドル)しか2007年度は支援ができていない。多国間援助が大幅に減らされている現状はもちろん「誰が支援したかが分からない」=日本の顔が見えないからだとされ、ODAシールを貼ることもできないWFPら国際機関に対する支援が後回しになっているのだ。
国内の経済状況が良いとは言えない状況にあるなかで、ODAの増額は難しいかもしれない。実際、2005年のグレンイーグルスサミットで日本はODAの積み増しを国際的に約束しているのだが、とはいえなかなか難しいのも現実だ。そのときどうするか?と考えた日本が目をつけたのがどうやら、中国やタイなど新興援助国と呼ばれる国々のようである。今月下旬にはそれらの国を中心に欧米諸国も交え30ヵ国ほどで「新興援助国会合」をバンコクで開催したいと韓国と相談している。新興援助国への支援を通じて国際協力のなかで役割を果たそうというのは、あながち悪い考えではないが、日本の支援の内容として掲げられているのが、「ODAの基準作り」であり、具体的には援助実績の情報開示や、人権・環境に配慮した援助のあり方について提案・支援するというものらしい。
日本国内ではODAの法整備については非常に後ろ向きで、さらに社会・環境に関する事前調査や事後評価についても十分に行えているとは言い難い状態にあるといわれるなかで(現実に日本のODAによって引き起こされたさまざまな世界の問題は知らなくてもネットを調べれば山のように出てくる)、新興援助国に対する基準作りの支援というのはなんだか片腹痛い感じもするのだが、市民やNGO側からはこうした政府の姿勢をうまく利用して、ODAの額が少ないからこそ、「質」にこだわり、国際協力(援助)の必要性とその重要性を日本社会はもちろん、世界に対してもアピールすることが必要なのかもしれない。
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★参照記事
黄砂の対策を一緒にしよう!
植林で黄砂に歯止め…NGOが内モンゴルで27日から(読売新聞)
福岡に拠点を置く環境NGO「財団法人オイスカ西日本研修センター」が27日から行う4泊5日で行う中国内モンゴル地域での植林事業に参加者を募集しているそうだ(17日締切)。オイスカは内モンゴルの阿拉善(あらしゃん)地区で2001年から植林事業を行っており、「2006年には現地に沙(さ)漠生態研究研修センターを設置、砂漠の研究や地域住民への啓発、研修を行って」おり、「今回の植林は昨年行った「九州人黄沙防止団」の第2弾。3地区でポプラなど計2000本を植える予定で、20人を募集している」そうだ。
ちなみに上の写真は自宅の駐車場の車に降り積もった3日の写真。