風通しのよい物語
柴崎友香『待ち遠しい』(毎日文庫)
夫を亡くしたばかりの63歳の女性の、「夫婦」というものについて語る下記のセリフが物語の序盤にある。
「そういうことじゃないのよ。好きとか、好きじゃないとか、それとはもっと違う ……。なんて言ったらいいのかな、夫婦って、恋愛ドラマみたいに盛り上がってるわけじゃなくて、ずっとこの人がいっしょにいるんだからやってくしかない、そのうちに、やっていくことが前提でなんでも考えるようになって…....…」
これを読んだ瞬間に、めちゃくちゃ強く共感し、一気にこの物語に入り込んでいけた。
柴崎さんが紡ぎだす物語は、どれも風通しがよく、読んでいて心地よい。
おすすめです!
深緑野分『戦場のコックたち』(創元推理文庫)
この類いの小説はあまり読まないが、この作品はとてもおもしろく読むことができた。
一般的にはミステリーに分類されるようだが、個人的にはその部分より、戦場で人間の精神が徐々に蝕まれていく描写を興味ふかく読んだ。
ただ片仮名を覚えるのは、やっぱり苦手じゃ~!