さて、ここまで話してきてわかりにくいと感じる方も少なからずいるかと思うので、同人ゲーム”ひぐらしのなく頃に”を例にとって説明したいと思います。

Wikipediaにヒットの経緯が載っていたのでそこから解説していきます。Wikipediaによれば

当初はコミックマーケットのみで頒布された同人ゲームに過ぎず、第3話祟殺し編までは数ある同人ゲームの一つという扱いでそれほど話題になっていなかった。そのため第4話暇潰し編が収録されていない出題編は入手困難となっている。しかし2004年5月頃、インターネット上の公式サイトで体験版(第1話鬼隠し編全編を収録)の公開や、元広報の矢野氏による各レビューサイトへの広報活動などが功を奏して、主にネット掲示板を介した口コミ人気が上昇した。『暇潰し編』からは大規模なショップ委託がされ、簡単に手に入れられるようになった。
「和製ホラー要素を絡めた猟奇殺人」等、従来の同人ゲームにあまり見られなかった分野であることや「正解率1%」に代表されるような挑戦的なキャッチコピー、全編に張り巡らされた謎や伏線、プレーヤー同士が謎や互いの推理を話し合うコミュニティサイトの存在等が話題の要因となった。

ということだが、これを4つのPに置き換えてみると
場所(Place):ショップ委託(購入機会の倍増)
商品(Product):「和製ホラー要素を絡めた猟奇殺人」という従来の同人ゲームにないジャンル
価格(Price):出題編である祟殺し編は100円と入手しやすい価格で、1話についてはWebサイトから体験版としてダウンロードできた
販売促進(Promotion):元広報の矢野氏による各レビューサイトへの広報活動や「正解率1%」に代表されるような挑戦的なキャッチコピー
以上のように見事に4つのPのバランスが取れたことにより爆発的ヒットをしたのではないか。というのが私の考えになります。


続きはその2にて説明していきたいと思います。

そもそも物はなぜ売れるのでしょうか?


それは企業によるマーケティング戦略が影にあります。

物が売れる仕組みは大きく分けて2つあります。

  1. ターゲティング、ポジショニング、市場細分化
  2. プロモーション戦略、流通戦略、価格戦略、製品戦略

上記の二つがそろって物が売れるようになります。

1.ターゲティング、ポジショニング、市場細分化
同人活動をする上で、いきなり本を1万冊刷ります!
という人は稀有でしょうから、”誰に対して売るか”を決めます。
誰に対して売るかなんてあいまいな表現になってしまいましたが、要は”ジャンル(商品)”です。
マクロスF初音ミク東方Projectなどどの方面のものを出すか決めます。

営利企業でしたら、この時に一緒にどのような商品ならヒットするかということまで思案します。しかし同人の場合ですと”旬なジャンル”*1のものを出すというのが大多数の流れなので、この際この問題は無視することができます。
さらに他の作品とのマッシュアップ*2でさらに購入者への魅了が増すことになります。

次に”いくらで販売するか”ということです。
イベント等ではお釣りを用意する関係で500円や1000円などキリのいい数字になることがありますが、お釣りの受け渡しなど煩雑な動作がなくなるということで図らずとも買う側にとっても最適な価格設定になっていることがほとんどです。

続いては”場所”です。
物を売るのも場所次第ということです。男性向けの同人誌を出すのに、女性向けの同人誌しか出さないイベントに出しても買う人はほとんどいません。
自分が出すジャンルと、イベントで出品されるジャンルは合致していないと売れません。

最後に”販売促進”です。
ここ数年、ニコニコ動画の認知度もかなり高まり、自分で描いた4コマ漫画や作品を気軽にインターネット上で公開することができるようになりました。
これにより、個人レベルでも簡単に自分の作品を知ってもらうことができるようになり、より購入者が買おうと決めてもらえる機会が増えました。*3

以上4つのワードを含めてマーケティングの4P*4と呼ばれます。
これをバランスよくそろえることをマーケティングミックスと呼びます。

*1:いわゆる流行りもの

*2:特定ジャンルにさらに属性をつけること。○○をジョジョ風に描いてみた等

*3:購入機会、とも言う

*4:商品(Product、価格(Price)、場所(Place)、販売促進(Promotion))

マーケティングとは何か?

ということで、第一回を始めようと思います。


同人誌を出すにしろ、同人グッズを出すにしろ、物を売る(頒布・配布含む)というからにはマーケティングなしには成功はしません。
もちろん、「趣味でやっているのだから売れる・売れないなんて関係ねー!」という意見はもっともです。描きたいものを描くというのが同人なのですから。(少なくとも私はそう考えてます)

しかし、せっかく自分の作品を”世に出す”わけなんですから、売れないより売れる方がいい!
そう考えるのが大多数でしょう。

はじめましての第1回

ひょんなことから思いついたこのブログタイトル。

自称経済学部卒の私こと乃木誠がコミケをめぐる同人界を経済的に探って(えぐって?)見ようとする試み。

OTAKU文化とは言うけれども実際のところどうなのよ?
を解決していければいいなぁと思います。