睡眠薬なんて

手を、退けろ
触れるなよ、俺の女に
手を、退けろ
身長165㎝、体重45kg、関係ない戦ってみせる
こんな風になりたかった訳じゃないんだが、仕方が無い
幸い俺の頭はもう壊れてる
イカレた人間はつよい、半端な奴なら打ち伏せてみせる
無理そうなら逃げるよ
自分が傷つくのをみたいわけないだろうから
逃げるのも勇気だ
自分が男だと認識せざるをえない状況に吐き気を催す
それでも俺は男だ
男に生まれたのだ
戦い続けるのだ、他人と、自分と

四肢が全てそろっている自分の体を不完全なものとみなして、自ら切り落としてしまう病があるのだそうです。
僕は眉が生えていると自分を自分だと認識出来ないし、髪は金色で無ければ落ち着かないけれど、でも上に挙げた病気とはまた違う気がします。
自分に装飾を施さなければ生きてゆけないにんげん、
不安定で無ければ安定しないにんげん、
死を着飾る事で生きてゆくにんげん、
生きてゆく力を死ぬ為に使うにんげん、

大切な人が大切にしているものを大切にすることは、大切な人を大切にする事に繋がる。
大切な人を大切にしているものを大切にすることも同様である。
とするならば、二重の意味において恋人を持つ人間は自らを大切にしなければならない。
はずなのに。はずなのに。自殺したいだなんて、喚いたりして、息苦しい、繋がって千切れたり、それを怖れたり、麻痺したり、一瞬の香りを夢見たり、背後を気にしたり、体を切り刻んだり、逃げてみたり、メマイがする、否、嘘じゃない、嘘じゃないのよ、ホントウなのヨ、

初めから独りなのと、独りになったり、それから逃れられたりするのと、どちらが幸せなのでしょう。
独りはつらいことなのか、幸せなことなのか、そうでない状態を知っていることが幸せなのか、そうでないのか。

黒猫と二人、過去を想う

階段を登っていたら一匹の黒猫にあった
一匹と一人、過去の世界を思い描く
昔は私以外にも人間が居た


傷付け合うくらいなら、異性なんて居なくなればいいのに
求め合わないくらいなら、同性なんて居なくなればいいのに


そう想いながら眠りについた夜、それが最後だった


眼が覚めると丸いフロアに転がっていた
肌は灰色に変色しており、私は下半身を失っていた


螺旋階段が視えた


登るしか無かった


それ以降、数ヶ月、否、数年だろうか、或いはまだ数日しか経っていないのかもしれない
それ以降、両手で階段を登り続けた
独り、階段を
登り続けた


私はこの黒猫に出会って、何を思ったのだろう
私はこの黒猫に出会うまで、何を思っていたのだろう


この黒猫は半身、機械で出来ている
私とあうべく生まれたのだろう
私は何かを感じなければならないのだ
独りになった悲しみだろうか、違う
独りになれた喜びだろうか、違う


私にはまだ解らない
登ろう、その意味を理解するまで
黒猫と二人で