最後に

ブックオフでゲットしたDVD『星と俺とできめたんだ』(1965年・日活/監督:井田探)を観る。西郷輝彦と渡哲也が共演した青春歌謡アクション映画。

学生チャンピオンの星川健次(西郷輝彦)とアメリカ留学から帰国した大日向三郎(渡哲也)は全日本剣道選手権の優勝候補。二人は三郎の姉・菊子(香月美奈子)がマダムのナイトクラブで出会います。クラブでは健次と健次の死んだ兄の許婚者だった高倉マリ(十朱幸代)が歌っており、三郎はマリに恋しており、マリをめぐって騒ぎをおこしたヤクザを健次と三郎が撃退。健次の兄はモーターボートの新型エンジンを発明しており、試運転中に事故死。その事故は菊子のパトロンである敵会社の雨宮(神田隆)が仕組んだものであり、雨宮は健次の叔父・稲垣(北竜二)を重役にするからと抱き込み、兄の発明を奪おうとしています。雨宮と稲垣の密談を目撃した健次は、雨宮が雇ったヤクザ(高品格)たちに襲われて負傷。マリに横恋慕した雨宮にマリは襲われますが、三郎が雨宮を殴りとばして助けます。全日本選手権で健次は負傷をおして勝ち進み、決勝で三郎と対決し……

健次と三郎は、マリを巡っての恋と剣道のライバル関係。健次は剣道では勝ちますが、恋では三郎に負けます。これに健次の兄の事故死事件がウジャウジャ絡んで、ラストは二人で悪党退治。物語展開は散漫で、出来の良い作品ではありませんが、西郷輝彦と渡哲也のカッコ良さだけは見せています。

西郷輝彦は劇中で主題歌の他に「銀の雨降る煉瓦道」と「恋人ならば」を歌っており、十朱幸代も歌うシーンがありますが、こちらは吹替え。松原智恵子が健次を恋する稲垣の娘役で出演していま~す。

 

続いて

ブックオフでゲットしたDVD『成熟する季節』(1964年・日活/監督:斎藤武市)を観る。大人の偏見や無理解をものともせず、明るく生きる地方都市の高校生の姿を描いた青春映画です。

城北高校の3年生・花木悠子(和泉雅子)は、派手好きで反抗的で、何をしでかすかわからない女子高生。浪人中だった城北高卒業生が悠子に失恋して自殺したことから、教員会で悠子の処分が話題になります。古手の教師たちは悠子の処罰を主張しますが、担任の英語教師・山中(長門裕之)と国語教師・奈井(芦川いづみ)が反対し、山中が悠子を指導することに決定。ノイローゼの浪人生が片想いして勝手に死んだのに、学生たちは中傷や興味の視線を注ぎます。そんな中、同級生の番村(浜田光夫)はいつもと変わらぬ態度で悠子に接し、悠子は番村に好意を持つんですな。番村は奈井先生に片想いの恋をしており……

悠子の家はお手伝いさんがいる裕福な家庭ですが、2号がいる父(下元勉)にウジウジしている母(山岡久乃)を見て、卒業したら花嫁修業でなくデパートで働こうと思っているんですが、現在では考えられない身長制限があって入社できません。番村は母(初井言栄)ひとりの貧しい家庭ですが、隣家で借りたバイクで女学生を送って足代を稼いだり、昼食を売ったりして生活力旺盛。卒業したらコックになって独立し、奈井先生との結婚を夢見ていますが、奈井先生は山中先生と結婚することになり失恋。実を結ばない二人ですが、明るくハッピーなラストになっています。

教師役は、校長が殿山泰司、教頭が浜村純、古手の教師に沢村貞子井上昭文が出演。デパートの店員役で端役時代の山本陽子が出演していま~す。

 

懐かしの青春映画

ブックオフでゲットしたDVD『若い東京の屋根の下』(1963年・日活/監督:斎藤武市)を観る。吉永小百合が全盛時代の日活青春映画です。

蕗子(吉永小百合)は19歳のOL。家庭は定年を迎える父(伊藤雄之助)に母(三宅邦子)、それに高校生の弟(太田博之)の4人暮らし。長男・太郎(下元勉)は裕福ですが重役の娘(山岡久乃)と結婚したため、妻には頭の上がらない毎日。次男・次郎は夜間高校の臨時教師をしながら小説家を目ざし、妻の夏子(朝風みどり)と共稼ぎのアパート暮らし。姉の律子(初井言栄)は薬局の利男(小沢昭一)と結婚していますが、姑(武智豊子)といざこざが絶えません。蕗子は父の定年後の相談に兄姉を訪問。途中でリヤカーをひいている大学生・三上(浜田光夫)とぶつかり、口喧嘩となります。次郎から山で遭難死した三男・三郎の部屋が空いているので後輩の大学生に下宿の世話をしたことを知らされた蕗子が家に帰ってみると、下宿人は三上。両親は三上に死んだ三郎の面影を見出し、弟は勉強を教えてもらえるので大賛成。家は賑やかになり、プンプンしていた蕗子も次第に三上に惹かれはじめます。蕗子の高校時代の同級生で浪人中の幸吉(山内賢)は、蕗子に想いをよせており、三上をライバル視して対立しますが……

蕗子と三上は愛を確認し、父は就職が決まり、兄姉は家庭問題が解決するという全てがハッピーエンドになる微温湯的青春映画です。吉永小百合と橋幸雄のデュエットでレコード発売され、ヒットしたので主題歌に使って映画化。当初は橋幸夫も出演する予定でしたが、橋のスケジュールの都合がつかず見送られました。劇中では橋の代わりに吉永小百合山内賢がデュエットで歌っていま~す。

 

外出したついでに

長いことスクリーンで映画を観ていなかったので、『鬼平犯科帳・血闘』(2024年/監督:山下智彦)を観る。テレビスペシャルに続いて松本幸四郎鬼平を演じた劇場版です。

長谷川平蔵松本幸四郎)が若い頃にねぐらにしていた居酒屋の娘・おまさ(中村ゆり)が盗賊の足を洗い、密偵になりたいとやってきます。平蔵はその願いを退けますが、おまさは平蔵が芋酒屋と盗賊の二つの顔を持つ鷺原の九平(柄本明)を探していることを知り、独断で探索。九平を探すうちに凶賊・網切の甚五郎(北村有起哉)の企みを知り、甚五郎一味に潜入。若き日の平蔵(市川染五郎)との因縁から甚五郎は平蔵に怨みを抱いており……

原作の「血闘」と「凶賊」を脚色して、ひとつの物語にしています。そのため、甚五郎に二度も逃げられるという展開で、火盗改方がマヌケにみえるのが欠点。ラストの大立ち回りの過程も、京極備前守中井貴一)と平蔵の関係は観客には観ていてわかっていますが、甚五郎が知っているはずがありません。役宅に火盗改方の表札がかかっているのもねェ。江戸時代の屋敷に表札などなかったのは、時代劇通の常識。

とは言っても、チャンバラ時代劇としての出来は悪くなく、観ていて楽しめましたよ。

 

人気アニメなので

録画していた『鬼滅の刃:刀鍛冶の里編』の特別編集版を観る。

遊郭編」の死闘の傷が癒えた炭次郎は新しい刀を作ってもらうために刀鍛冶の里へ行きます。炭次郎の刀匠・鋼ヅカ(難しい漢字なのだ)は行方不明。里には、恋柱・甘露寺蜜瑠と霞柱・時透無一郎も来ています。そして、鬼殺隊の同期・不死川玄弥と再会。刀鍛冶の里は秘密の場所でしたが上弦の伍の鬼・玉壺がかぎつけ、上弦の肆の鬼・半天狗と襲撃してきます。無一郎が玉壺を倒し、炭次郎が妹の禰豆子と玄弥そして蜜瑠の助けで半天狗を倒します。

相手がどんどん強敵になっていくにつれ、炭次郎と禰豆子もどんどんレベルアップ。上弦の鬼との戦いとともに、無一郎、玄弥、蜜瑠の過去が並行して描かれています。情景の映像が質感あってグッド。善逸と伊之助の登場がない分、ユーモアの度合が少し薄かったで~す。

 

たまには新作時代劇

録画していた『霊験お初』を観る。テレビ朝日のプレミアムドラマです。原作は宮部みゆき

時代は第11代将軍・家斉の頃、一膳飯屋の看板娘・お初(上白石萌音)は、普通の人間には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる不思議な力=霊験に目覚めます。不可思議な奇談を収集している南町奉行根岸肥前守坂東彌十郎)はそのことを知り、お初に協力を依頼。サポート役として与力見習いの吉沢右京之介(京本大我)を引きあわせます。一度死んだ人間がよみがえるという奇怪な事件が発生し、お初と右京之介が調査。死人憑きという悪霊が死人に乗り移って子どもを殺害。100年前に浅野内匠頭切腹した庭に置かれた岩が鳴動するという奇怪な出来事も発生。これらの謎は、次第に大きなうねりとなって『忠臣蔵』の奥底に秘められた悲しくも切ない夫婦の物語につながっていき……

原作は読んでいませんが、奇怪な話が不思議でない時代劇ならではの素材を脚本家がうまく料理している感じ。主人公のお初は両親がわからない養女で、お初の霊験の秘密がわかりません。お初自身の事件と奇怪な事件を絡ませる続編を予定しているのかな。時代劇の絶対数が少ない現在、シリーズ化を期待したいで~す。

 

週に一度は西部劇

BSシネマで『夕陽に立つ保安官』(1968年/監督:バート・ケネディ)を再見。パロディ満載のコメディ西部劇の傑作。

墓穴から金が見つかり、ゴールドラッシュの波が押し寄せた小さな町カレンダーでは秩序と風紀が乱れに乱れ、町議会でオリー町長(ハリー・モーガン)は保安官を雇うことにします。オーストラリアに行く途中で、金でも見つけて資金稼ぎをしようとしていた流れ者ジェイソン・マッカラー(ジェームズ・ガーナー)が、手っ取り早く金にありつこうと保安官に志願。町の外れには無法者のダンビー(ウォルター・ブレナン)一家がおり、息子のジョー(ブルース・ダーン)を殺人罪で逮捕します。ジェイソンと保安官助手のジェイク(ジャック・イーラム)、惹かれあうようになった町長のジャジャ馬娘プルーディ(ジョーン・ハケット)の3人が、息子を奪い返そうとするダンビー一味と対決。

ガーナーのヌーボーとしたとぼけた味わいがグッド。無法者の親玉が『荒野の決闘』でクラントン一家の親父役だったウォルター・ブレナンで、対決するのが『墓石と決斗』で非情なアープ像を見せたガーナーなので、これはセルフパロディになっていますね。ジョーン・ハケットの役名がプルーディ(淑女)というのは皮肉。

泥んこの往来での乱闘をはじめ、西部劇でおなじみのシーンをパロディ化。特に可笑しかったのが、留置所にいれられているダーンを奪いかえそうとブレナン親子三人が鉄格子にツナをつけてひっぱるんですが、三人とも落馬。鉄格子の方が丈夫だったというオチ。さらに、クサッたブレナンに留置所のダーンが言った一言には大笑いしましたよ。主人公のその後を語る独白でシメるジャック・イーラムが、カメラの前で二枚目風にキメのポーズをとるラストも可笑しかったで~す。