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温水洗浄便座を自分で交換した話

もう数ヶ月前のことになるが、自宅の温水洗浄便座(いわゆるウォシュレット*1)が壊れた。そのけっこう前から、あれ、不調かもとは思っていたけど、それは以前にこの家に住んでいた家族が設置したもので、自分はこれまで温水洗浄便座なんて設置どころか購入した経験もなく、とにかく値段の相場もどうやって取り付けるのかもよくわからなかったから、まあそのうち何とかしようと思いつつ、とりあえず後回しにしていた。

学生の頃、一人暮らしをしていたアパートでは当然のようにそんなものはなくて、しかし今思えばよく温水洗浄便座のない生活なんてできたよなあ、と感心する程度にはそれがない生活なんて考えられないから、「あ、壊れてしまった」と思ったその日のうちにとりあえずAmazonで注文した。税込みで3〜4万ぐらいだったと思うが、ポイントを使ったりしてちょうど3万円を下回るぐらいになった。

ずっと後回しにしていたと書いたが、壊れたらどれを買うかみたいなことはもう数ヶ月前から、つまりその調子が悪くなり始めた頃からリサーチはしていて、買うならこの辺だろうという目星はつけていた。だから決めるのは早かった。

便器の本体(便座より下の部分)はINAX(現在のLIXIL)製で、温水洗浄便座を買うなら便器と同じメーカーの方が間違いはないだろう、と思ってLIXILのものを買ったが、後から考えてみれば、その便器本体の型に適合してさえいれば便座の方はべつにどのメーカーでもよかった。事前のリサーチを重ねてはいたものの、やはりいざとなると焦っていたのだろう。

さてしかし、問題は購入よりも設置の方で、初めは家電量販店に頼んで業者さんに設置してもらうつもりだったが、それだと最短でも1週間近く待つことになりそうで、何しろもうそれがない生活なんて考えられないわけだから、翌日着のそれをAmazonで買って、自分で付けるしかあるまいという結論になった。途中では何度もその判断を後悔したが、結果的には正しい判断だった。

設置に関してはやはり「失敗したらどうしよう」という心配が強かった。しかしYouTubeでその同じ商品の付け方を教える動画などを見てみると、まったく難しそうには見えない。ほとんどワンタッチだ。それもあって、自分で設置する方針を固めたのだった。

しかし届いた商品を箱から出して、早速その説明書やらYouTubeやらを参考に取り付けを試してみたら、全然そんな簡単なものではなく、結局その日のうちに交換するということはできなかった。古い方を撤去して、便器をみっちり掃除して*2、新しい便座を便器に乗せるあたりまでは順調だったが、最後に便座から伸びるホースを水栓につなげようとしたときに、この接続部の形状が微妙に合わないことに初めて気づいた。

もしそれまで温水洗浄便座を一度も使ったことがなくて、新しく購入・設置するというならそれなりに手間がかかるのもわかるが、既存の温水洗浄便座を新品のそれに交換するというのであれば、すでに水栓の工事だって以前に済んでいるわけだから、そこまで大変なことではないと思っていたし、実際にYouTubeでもこんなに簡単ですよ、プラグをカチッと差し込むだけですよ、みたいな説明しかなかったのだが、実際にはワンタッチどころか水栓まわりの工事というか、そういう未知の面倒な作業が必要になるようだった。

トイレの水栓まわりを自分でなんかやる、というのはまったく気が進まないというか、まあ工事の資格や専門知識などは必要ないようだけど、間違って壊したりしたら大変なことになるというか、とにかくモノがトイレなので責任が重すぎる。それでまじかー、自分でこの水栓のところをレンチとかでどうにかするのかー、まじで嫌だなーと心底思ったが、まあ仕方ないのでとりあえず何をどうしたらいいのか調べることにした。

それでいろいろ調べた結果、自分が新しい温水洗浄便座からホースをつなげようとしていた水栓の接続部は以前使用していた日立製の便座(「ファミレット」)に付属していた分岐水栓で、しかし今回の便座はLIXIL製だから、そのメーカーの違いによってホースの接合箇所(というか規格というか)が合わないということのようだった。

分岐水栓はもちろん今回のLIXILの製品にも付属しているので、だったらそれに変えればいいだけじゃないかと思うところだが、その日立製の分岐水栓とLIXIL製の分岐水栓はそのまま交換可能なものではなく、LIXIL製の分岐水栓を付けるためには、日立製の分岐水栓を付けたときに一旦取り外した「元の水栓の一部(器具)」が必要になるようだった。ようは日立とLIXILでは使用する分岐水栓が非互換なので、まずは「原状回復」をしなければならないということだった。

しかし、その原状回復をするために必要な「元の水栓の一部」はもちろん、もう無かった。それで終わった、今度こそ詰んだ、と思ったけど、以下の価格.comの掲示板でまさに同じことに悩んでいる人がいて、それに対する以下の回答を見て解決した。

まず止水栓を一旦、元に戻しましょう。
戻してから付属の分水を使いセットすればOKです。

bbs.kakaku.com

ここで回答者が教えてくれていたのが以下のカクダイ製の器具。

こいつを使って、まずは以前の日立製の便座が付く前の状態に戻す。その後、あらためて今回買ったLIXILの商品に付属していた分岐水栓を取り付けて、新規で取り付けるときと同様に便座をセットすれば良いようだった。

なお、後から気付いたが、価格.comのサイトでは同様の問い合わせが結構あり、そこでもこのカクダイの商品が勧められている。

この器具は600〜700円程度で、かなり助かった。じつはこれに行き着くまでに似たような器具を2つ買っていたが、1つは4千円超、もう一つは500〜600円だった。取り寄せてみるとどちらも空振りで、今回のケースには全然関係なかった。全然関係ない、ということは未開封の状態でもわかったので、幸い最終的には返品・返金できたが、↑のカクダイの器具に行き着いていなければダメ元で試していたかもしれない。価格.comの掲示板の回答者さんとカクダイさんには心からの感謝を贈りたい。

さてしかし、そういう注文をしたからには器具の到着までの日にちもかかるわけで、結局それまでは新しい便座を使えない、場合によっては購入した温水洗浄便座を一旦返品&あらためて量販店で設置工事とセットで再注文という可能性もゼロではなかったので、買った便座は一旦全部箱に戻し、古い便座を元の場所に再設置した。すると、何がどう作用したのか、壊れたはずの古い便座が直ってしまった。理由はわからないが、一旦取り外して簡単に掃除したり、接続ホースから水を抜いたりしたことで、それまで変なところに入っていた水や汚れが取れた、とかそういうことなのかもしれない。

もちろんだからといって、新しいのはもういらないということにはならないが、注文したカクダイの器具が届くまでは保ってくれた。そんなことはまったく期待していなかったので余計にありがたかったが、誰にも感謝のしようがない。100%ただの幸運だった。

数日後に注文した器具が届いたが、短時間の慣れない作業(というか人生初の作業)で水栓を破損でもさせたら大変なので、仕事のある平日ではなく、週末にじっくり時間をかけて取り付けることにした。これにより、壊れてからあらためて設置の作業をするまでまる1週間待つことになった。この待っている期間はかなり長く感じた。

いよいよ週末がやってきて、昼過ぎに作業開始。水の元栓を締めて、古い日立製の便座と分岐水栓を取り外し、届いたカクダイの器具を水栓に取り付けて原状回復。そこから新しい便座の説明書を見ながら、付属の分岐水栓を取り付けて便座も取り付け。

なんとかできた気がする・・と思って水の出を確認しようとしたが、元栓を戻してもシャワーが出てこない。しばらく逡巡したけど、これは便座に人が座っていなかったから出てこなかったようだった。説明書には便座に座らずテストする様子が図示されていたから、これで結構ハマった。

試運転も済み、ようやくすべてが無事完了。終わってみれば、これは業者さんを呼ぶほどの作業ではまったくなかった。ハマりどころはシンプルで、ようは「初めてやる人は初めてやるがゆえに不安に感じてしまう」というだけのことだった。何をやるのかイメージできれば、実際にやることはべつにそんなに大変ではない。

交換前の状況は人によって千差万別だから、結局のところその見極めというか、見通しが一番むずかしいのだと思う。そこさえ見通せれば、あとは簡単。見積もりのできなさというか、初めてやる人には作業の全体像がわかりづらいから、一番の難関はそこにあるように思える。

使った工具について。基本的には100円ショップで買ったマイナスドライバー、モンキーレンチがあれば十分だった。あんまり小さいものではなく、普通にちゃんとしたものを使う。ただしあまり大きいものだと、トイレに十分なスペースがない場合にナット等を締めづらくなるかもしれないので、作業スペースを考えながら選んだ方が良いのかもしれない。自分はそこまで真剣には考えなかったが。100円だし・・。

レンチは元々家にも結構ガッシリしたものがあったので、いざとなればそれも使う予定だったけど、結果的には商品に付属されていたペラペラのレンチと、その100円ショップで買ったレンチを組み合わせて作業は済んだ。今回のように、新規で取り付ける場合(交換ではなく原状の状態から取り付ける場合)、片方のレンチで軸を固定しながらもう片方のレンチでナットをぐいぐい回していく、みたいな工程が発生するけど、上記のように場所が狭いというのもあり、付属のおもちゃみたいなレンチの方がかえって作業しやすかった。

ちなみに、設置に必要な工具は基本的に全部商品に付属されているので、本来ならそれだけでも大丈夫なはず。ただ、上記の2種類(マイナスドライバーと適当なレンチ)はそれほど高いものでもないし、自分の場合は事前にそれを用意しておくことで、作業にだいぶ集中しやすくなった。

振り返ってみると、やはりあの価格.comの掲示板で見たやり取りが最も役に立った。あれがなかったらまったく関係のない4千円超の器具も試していた可能性はあるし、その末に取り付け自体諦めてしまっていたかもしれない。

そして今回の場合、やはり難易度を上げていたのは交換前後の便座が別メーカー(日立とLIXIL)だったことだろう。おかげで、分岐水栓の互換性がなく、原状回復が必要になってしまった。その互換性のなさに気づくまでにもずいぶん時間がかかった。

最後に、使ってみての感想だけど、水量とか便座の温まり方とかは以前のファミレットの方が数段良かった。というか、昔の温水洗浄便座って最近のものより大雑把で、その分最近のものより快適なのではとすら思っている。*3

いずれにしても、これでひとまず温水洗浄便座の設置方法についてはかなり自信がついたというか、今後は何度でもできるという感じになった。そんなに何度もやるようなものではないと思うけど。業者に頼んでいたらもっと時間もかかって、値段もまったく違っていた。そして業者に頼んでいたら、「一旦外して、また戻す」もやっていなかったので、上記の謎の復活も実現していなかったはずで、工事を待つ間はずっと温水洗浄便座のない生活をしていたはずだ。初めの方で「途中では何度もその判断を後悔したものだったが、結果的には正しい判断だった」と書いたが、それはこの意味で言っている。DIYでやったから、価格も抑えられ、短期間で設置が完了し、なおかつその設置までの期間も以前の便座を引き続き使えた。

作業の渦中にあるときは、いくら調べても自分の状況に当てはまる情報がまったく見つからなくて大変な思いをしたので、少しでもそういう人の役に立てばと思い、覚えているうちに書いておいた。

*1:「ウォシュレット」はTOTOの商品名で、LIXILは「シャワートイレ」を商標登録しているらしい。なのでここでは一般名詞の「温水洗浄便座」で通しておく。

*2:こんな機会でもないと掃除できないような部分もあるのでけっこう時間をかけた。

*3:少し前に古いビジネスホテルの古い温水洗浄便座を使ったら、それも水量とかが豪快で良かった。

Amazon MusicのiPhoneアプリで再生履歴を見る方法

Spotifyを通じて軍事産業に加担するのは嫌なので、音楽サブスクサービスは他のを使うようにしているけど、Echo Show5だけで再生できるAmazon Music Unlimitedのプランというのがあって月額580円。デバイスを問わずフルで使えるプランだと980円(プライム会員の場合)なので、けっこう安いし、基本Echo Showでしか音楽は流さないのでこれでいいじゃんと思って最近使っていた。

だいたい、朝の業務が始まる前後に適当にいい感じのを流しっぱにしながら調子を整える、みたいな使い方をしているけど(あとは仕事が終わってから頭の中をほぐす的な使い方も)、その流しっぱ方式だとちょっと前にかかってたあれって誰の曲なんだろ、とか思うことがよくあり、しかしEcho Showだとそういう履歴を見れないので、これを以前はiPhoneのAmazon Musicアプリで確認していた。・・つもりだった。

のだけど、最近になってその再生履歴がいくら探してもiPhoneのAmazon Musicアプリでは見つからず、ググってもその表示方法が出てこないし、公式サイトにもどこにも説明がない。知恵袋みたいので同じ質問をしている人は時々いるんだけど、「アプリのライブラリ>最近のアクティビティにあるはず」とか「アプリを一旦削除して再インストールすれば出てくる」とかいう回答が大半で、しかしライブラリにもないし再インストールしても何も変わらない。

粘ってさらにググっていたら、たしかにというか、そのライブラリ内に再生履歴が表示されている様子をスクショで載せてくれている人がいて、しかし自分のアプリではその同じ項目内の再生履歴があるはずの場所にそれがないので、ということはやはりAmazonが意図的にそれを非表示にしたか、単なるバグであり、自分が見ている場所・探している場所が見当違いだったわけではない、ということがここではっきりわかった。

あとは、それがバグなのか意図的な仕様変更なのかということだけど、以下のプラン比較には再生履歴のことは一切書かれていない。

https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=GW3PHAUCZM8L7W9L

書かれていないけど、あと何か自分で試せるとしたら、UnlimitedのプランをEcho Show限定のものではなくフルの980円プランにすることぐらいだろと思って、やってみたら上記のスクショで教えてくれた人と同じ場所(「ライブラリ>最近のアクティビティ」の中)にあっさり出てきた。

少なくとも自分の環境では、Amazon MusicのiPhoneアプリで再生履歴を表示するためにはUnlimitedに加入する必要があった。そういうプランならそれでもいいが、だったらどこかに明記しておけよと思った。

ウェビナーのハシゴ

昼過ぎ、プログラミングスクールのオンラインイベントがあり、参加した。昨年の今頃から通い始めたフィヨルドブートキャンプというところで、メインのプラクティスの他に生徒同士が適当に交流する部活みたいな仕組みがあり、それの相談会というか、ガイダンスみたいなもの。

昨年終盤からちょっと疲れが溜まりぎみな感じもあり、スクールの進捗はあまり良くなかったんだけど、そろそろ本腰入れないと・・と思っていて、ちょうどその切り替えの取っ掛かりとして良さそうだったので参加してみた。

いろんな人がいろんな背景を持って通っているようで、それが印象的だった。時間のある人はお金がない。お金の不安が少ない人は時間がない。普遍的な問題がここでも大いに見られる。あいつはあんなに自由で羨ましい、と思われた側は「あいつはあんなに余裕があるのになぜ何もしないのか」と思っている。どちらも相手が機会を生かしていないと思っている。自分があいつならその機会を逃すはずはないのに、と。

自分はもう人生の折り返し地点をとっくに回ってしまっている。10年後にはこの世にいない可能性が少なくない。そんな現実が来るなんて。リセットもできない。もう終盤が見えてきた。この流れを変えることはできない。

しかし、未来から見れば今が一番若い。自由に体を動かせて、本を読めて、こうして他人に意志を伝えられる。それすらも今後は不可逆的にできなくなっていく。読みたい本を「後で読む」ことはできない。お金を貯めておいて、「後で楽しむ」なんて現実的ではない。「後」になったとき、すでにそれを楽しむためのインフラは身体から損なわれているはずだ。

今やるしかない。今が一番若い。若くありたいのではない。そのような目的は不毛だ。若くありたいのではなく、若くなければできないことをやっておきたいということだ。死ぬ前に。死が現実的になってきた。

夕方から夜にかけて、本日二つ目のウェビナー。これは毎日新聞の校閲センターが企画したもので、以下。

salon.mainichi-kotoba.jp

毎日新聞校閲センターによる有料サービスで「毎日ことばplus」というものがあり、これに入会している人が参加できるもの。「毎日ことばplus」については以前に紹介したことがあったかどうか、忘れてしまったけど、これのこと。

salon.mainichi-kotoba.jp

今回のテーマは「漢字」で、その道のプロである円満字二郎さんをゲストに、校閲センターの平山泉さんとのリラックスしたやり取りの中でかなりニッチ、だが興味の尽きない話題がひたすら繰り出された。ぼくは今の会社でも編集に関係する仕事を少なからずやっているので、仕事も兼ねて、というところもあるけど100%趣味だったとしてもなかなか楽しめただろう。

昼のイベントはRemoというサービスを使って行われたけど、夜のこれはZoom。Zoomは超久しぶりでけっこうセッティングに戸惑ったが、とりあえず何とかなった。今後はもう少しスムーズにできるはず。

ウェビナーの内容に戻ると、お二人が話していることは大体自分が普段考えていることと重なっていて、良い意味であまり意外性はなく、なんというか、自信になった。ぼくは今の会社に入る前は(このブログを以前から読んでいる人ならご存知でしょうが)10年ほど一応「編集」の仕事をしていて、漢字の使い分けとか、開き閉じとかのことばっかり考えていた。しかし、その知識は誰かから(あるいは学校で)教わったようなものではなくて、非効率にもほとんどすべて独学というか、自分で調べて答えを作っていったようなものだったから、ここでようやく答え合わせをできたというか、「まあ、それほど大きくは間違ってなかったな」と思えて安心した。

意外性がなかったと書いたけど、ひとつ「へえ、そうなんだ」と思ったのは、円満字さんが言っていた、漢字の使い分けで悩んだら「最後はオレが決める」という話。それでいいんかい、と思わず笑ってしまったが、たしかにその通りだろうとも思った。最後は自分の感性で決める、ということ。それもできないなら、平仮名にすればいい。あるいは、鉛筆を転がして決めるのでもいい、とも言っていた。まあ鉛筆は極端というか比喩だと思うけど、「最後はオレが決める」というのは暴論でも投げやりでもなく、考えに考え抜いて突き詰めた先にあるのはまあ、それなんだろう。

円満字さんは現在につながるキャリアの最初が漢和辞典の編纂だったそうで、それが「地味ですよね」みたいな話になったとき、円満字さんは「いや、そんなに地味でもないですよ、校閲もそうでしょう」なんて言っていたけど、ここで言いたかったのは「イメージは地味かもしれないけどやってみれば面白い」ということなのだろうと思った。「地味=退屈」ではない、ということ。やりがいはあるし、発見もあるし、汲めども尽きせぬ魅力がそこにはある、という。人生を彩るのは「驚き」で、人が本当に求めるのは派手さではなくそれだろう。

蝿の王

午後、久しぶりにパーソナルトレーニングで筋トレ。メニューは以下。

  • ストレッチポール等で体幹調整
  • バランスボールでプランク
  • スクワット
  • インクラインベンチプレス
  • フロントレイズとサイドレイズのセット
  • ケーブルリアレイズ

事前にトレーナーさんには「今日は胸と肩をやりたい」と伝えておいたので、そんな感じに。全般的に工夫してくれていて、大変ありがたかった。とくにリアは想像以上に入って、こんなところに筋肉があったのか・・という感じだった。
スクワットは自分では避けがちなので、パーソナルのときにメニューに組み込んでもらえるのはこれもありがたい。やっているときはひたすらつらいのだけど。

帰りにダイソーに寄って、掃除道具とか収納で使うケースなどを物色&購入。強めの洗剤を使うときに装着する簡易的なゴーグルを探していたのだけど、見当たらないので店員さんに聞いたら「それだったら工具のコーナーですかね・・春先なら花粉症対策でそっちに入ることもあるんですけど」と言いながら工具コーナーに連れて行かれ、しばらく探して「ないかなあ・・」と諦めムードになりかけたところで「あ、これ!」と超目立たないところにあったそれを発見してくれて、めちゃカッコイイやん・・となった。プロの仕事。

それにしてもダイソーはフォームローラーとかのトレーニング用品も何気に揃っていてすごい。目的ではないものをいくつか買ってしまった。

帰宅後、知人のSNSの投稿でカーネーションの40周年記念ブックというのが出るのを知って、その先行予約が今日までだったので颯爽と予約した。
carnation40.base.shop

Tシャツ特典とポストカード特典があり、先行予約であれば確実に希望サイズをゲットできるとうから、Tシャツにしようかと思ったのだけど、写真に写っている素材感がちょっと好みとは違いそうだったのでやめて、ポストカード特典の方にしておいた。それでも、というかだからこそというか、デザインイメージだけではなく、こうやってきちんと現物の写真を出してくれるというのはありがたい。(そもそも、売り物の方はサンプルとは違う素材の可能性だってあるわけだが)

ポストカードは楽しみだが、しかしこういう機会にもらったポストカードってまず使わない。というか、ハガキ自体使うことがほぼない。しかし自分の余命というか余生のことを考えると、ハガキを書いて送るなんてことができるのはあとせいぜい10年か長くて20年ぐらいではないか。その後はきっと(もし生きていたとしても)、ただ息をしてご飯を食べて次の日まで生きるということに精一杯で、何か心の楽しみのためにハガキを書くなんてできないんじゃないかと思う。だからというか、今のうちに自宅に溜まっているハガキを全部使い切る方向で生活スタイルを調整してみたい、と思ったりもした。

カーネーションといえば思い出すのがBandcampで販売されている『​闇​鍋​音​楽​祭​2011​』で、どれも印象的な曲だがやはり最後の「夜の煙突」には圧倒されるところがある。で、それを頭の中で再生しながら、なんとなく思い出したのがアンジーの「天井裏から愛を込めて」で、YouTubeで検索して聴いてみたらやはりというか、名曲だし思っていた以上によく覚えていて自分でも驚いた。

www.youtube.com

それを聴きながら、アンジーといえば「蝿の王様」という曲があったなと思い出し、それといえばたしか『蝿の王』という小説があったよなと思い、しばらくWikipediaでそのあらすじを眺めたりしていた。

蠅の王 - Wikipedia

これは編集してくれた人の文才のおかげなのか、いや随分面白そうな話だなと思い、すでに古典と言えるものだからKindleで安く買って読めるだろうと思ってAmazonで検索してみたら、そもそもKindle化すらされていなくて、紙の本にしても1,100円とかで驚いた。新刊やん。

Kindle版でその金額だったら、希望よりはずっと高いがまずはサンプルでしばらく読んで、良さそうなら買ってみるとかもできるが、自分はもう紙の本をペラペラめくりながら本を読むということはなるべくしたくない感じになってしまったので(とくに体が不自由というわけでもないのでなぜかはよくわからないが、まあ夜寝る前に読みづらい、スマホのKindleアプリなら読みやすいしなんなら読み上げ機能も使える、とかもある)、それを買うことはたぶんないだろうなと思ったりもした。

ANGIE SUPER BEST

ANGIE SUPER BEST

Amazon

千葉市美術館の荒井良二展へ

会期が終わりそうな荒井良二展へ。

new born 荒井良二 | 企画展 | 千葉市美術館

正直ほとんど知らないというか、荒川修作との違いもよくわからない感じだったが、行っておいてよかった。原マスミと奈良美智を思い出した。あとは友部正人とか。

旅行に行くと、日常のあれやこれやが俯瞰的に眺められるようになって、「世界ってこんな広かったのか、今までなんであんなことで悩んでいたんだろう」と極端に客観的になってしまったりするが、ある種の創作物に触れたときにもそんな感じになることはあり、要はそれが「詩」と呼ばれるものだと思うが、その意味で実に「詩」そのもののような作品群だった。

いわゆるヘタウマな感じもあるけど、マネとかモディリアーニの模写(日記のように毎晩やっているらしい)を見ても技術力はかなり高く、ヘタウマというよりはピカソのキュビスム以降のような、必要だから崩して描いてるみたいな感じかとも思った。

絵本を実際に開かなくても絵本を読めるようになっている部屋もあって、この中の『きょうはそらにまるいつき』というのが良かった。子供にも響くものはあるのだろうが、疲れた大人のための絵本のようだと思った。あとは何かの歌詞のようでもあった。

ちなみに、自分はもう紙の本はけっこう無理というか、もちろん好きだが、開くのが面倒という気持ちになることが多く、今回は荒井さんの絵本を開いて読める場所もそこそこあったけど、そういうのはほとんど読んでおらず、だからこの実際に本を開かなくても歩きながら壁を眺めていれば読めるという形式は非常にありがたかった。

それから何と言っても、全室にわたって流れるBGMというか、音楽が非常に良く、最初はパスカルズかなと思ったが、何度Shazamで探してもまったく引っかからず、誰の曲なのかと思っていたら最後の部屋に試聴機と合わせてキャプションが掲示されていて、野村誠さんという方による音楽だった。これどこかで聴けないものかと思って検索したらはてなブログを書いていらっしゃったので関連する記事にリンクしておきます。
makotonomura.hatenablog.com

展示は絵や立体物の他に、壁に直接何か書いていたりもするので、これ巡回とか不可能ではと思っていたけど、特設サイトを見てみたらめっちゃ巡回していた(&する予定の)ようだった。
arairyoji-nb.exhibit.jp

図録を買ってこの雰囲気を持ち帰りたい、という気持ちにもなったが、パラパラ眺めてみたら自分が「これはいい青」と思った青がちょっと違う感じだったのでやめておいた。その青は最初に会場に入ってしばらくのあいだ、「いい雰囲気だけど、まあよくあるといえばよくある、不思議っぽい大人の人がやるああいう感じか」という上から目線のバイアスに染まっていた自分が、「おお、この青自分も好き。こんなのを描いて展示できるとは、すごい共感する」とそれはそれで上から目線だが、それでも偏見みたいなものが取り外されるきっかけになるような絵でもあったので。でも距離等の都合で会場に行けない人にとっては、あるいはこの展覧会自体を何度も追体験したいという人にとっては良いものなのかもしれない。

かなりの情報量というか熱量で、2〜3周見回ったらヘトヘトになったが、せっかく来たので、ということでその後に常設展とつくりかけラボの「野鳥観察日和」も見て行った。

常設展では浮世絵の役者絵と、山田正亮という人の作品がよかった。浮世絵は思っていた以上にデコボコがはっきりしていて、レリーフのようというかエンボスのようで立体作品じゃん、という感じだった。山田正亮さんのは紙に油絵具で描いていて、それって後々黄ばんでいったりしないのか?などと思ったが、とくにそのような雰囲気はなく油絵ならではの質感と「音のない広い場所」のような緊張するほど静かな雰囲気が好きな感じだった。

つくりかけラボはとくにワークショップ的なことには参加しなかったが、映像が綺麗に作られていてよかった。これもゴテゴテした不要な音が入っていなかったのが好みに合っていたのかもしれない。映像は構図や色調なども大事だが、やはり音が良し悪しを分けると思う。あと作品にはあまり関係ないが、映像を見る部屋にあったビーズクッションが良い感じだった。家にもひとつ欲しいと思ってその後検索してしまった。