序章−卒業旅行の先は・・・その死(四)

nwsis_20032004-02-05

「うわっ!なんかボロいところだな!!」
スミス集団に拉致られた際目隠しをされた一同であったが、
それを取った直後、目に入ってきた光景を見て、
ルーシーが叫んだ。


どうやらココは、SJ棟ではなく、オンボロ校舎のK棟であった。


メンバー全員の目隠しと手錠がはずされた。


彼女たちの後ろには、スミス集団が監視しており、
変な行動をとると即何かが飛んできそうな勢いであった。



静まり返った教室の中。


ふと、廊下から「シュポー シュポー」という呼吸音のようなものが
聞こえてきた。

その音は、明らかにこの教室に向かっている。


全員の緊張が高まる。




不意に、前方のドアが開いた。



あれは紛れもない!!ベイダー卿だ!!

なんでココにおるんねん!!


「ありえねー!!」
メンバー全員が思い、口に出した。


それに先ほど「ウヒッ」と奇天烈な笑い方をしていた、
壊れたアンドロイドとかいうやつもいる!!
やつの動きはさっき以上におかしくなってるし・・・。
誰か修理してやれよ。

そういう突っ込みも、内心でしていた。


「諸君、何をボーっとしておるのだ!!ありえないとは何事だ!!
こちらにいらしたのが全宇宙氏ね氏ね団連盟会長であらせられるぞ!!」
三遊亭スミスが、大きな声を張り上げた。


するとベイダー卿がおもむろに教卓の前に立つ。

緊張の一瞬である。

「おい!クマータ!しっかりせい!!少しは役に立たんかい!!」



「ウヒッ?ワテはこれでもやっとるよぉぉぉぉ〜」




・・。



・・・・・・。



ある意味拍子抜けである。



「・・・コホン。えーーと、会長、その、、、説明を・・・」
スミスが申し訳なさそうに小声でささやく。


「あぁ〜、どーもどーも。すみませんねぇ・・・。
いやぁ〜、すっかりクマータに気を取られてしまいまして。
え〜、拙者、会長の死馬狗です。よろしく。

今日皆さんに集まってもらったのはですね、クマータからも
バスの中で説明があったかもしれませんが、
これから殺し合いをやっていただくんですよネ。」



「え〜っ?めんどくさい〜!!私いやだぁ〜。」

サクッ。


プシュー。


パタッ。



会長が目に見えない早業で、ホーチョーを投げつけていた。



たつまき。。。死去。



「さて説明の続きをしますかね?ルールは簡単。
G大キャンパス内にいる人すべてを殺しなはれ。
もちろん、アナタガタもですゾ。
最後の最後の一人になるまで、殺しあってくだされ。
何を凶器にしてもらってもかまわんゾ。
勝ち残ったヤツには賞金を差し上げよう!!」

そう言うと、会長はドアから出て行き、姿を消してしまった・・・。
「シュポー」という空気音は、聞こえなかった・・・。


「さて、それでは諸君!!30分後から戦闘を開始する。それぞれ心の準備と、友としての最期の別れをしてきたまえ!!」
スミスの甲高い声が教室にこだました。。


2年間同じゼミで活動していた友を亡くしたルーシーは、
「何なんだ?コレ?!ホントに現実なのか?!!
・・・イタッ!!ホッペつねったら痛かった・・・。
こりゃー大変だ。オラァ〜もう誰も信じられねぇ」
とネガティブになっていた・・・。

序章−卒業旅行の先は・・・その参

「いやぁ〜ん、ウヒヒッ。今から脱ぐから許してくださぁい〜」
おもむろにたつまきが脱ぎかけた。


「わぁ〜、見たい見たい。ペンギン君も、見たいよね?」
その光景を見て、
トムは右手にはめていたイワトビペンギンのパペットと、話し出した。


「4年生にあがれないような(注)オマエに言われたくない!!
クマッタオマエが氏ね!!」

すかさずO女史が床に落ちていたたつまきの黒い花柄ブラジャーを
クマッタめがけて投げつけた。


なんと、クマッタの頭に命中!!

ブラジャーが猫耳のように、クマッタの頭に乗っかった。



ガタン。



突然、バスが停まり、バタンとドアが開いた。

どうやらクマッタの頭に埋め込まれていた誤作動スイッチが
入ってしまったようであった・・・。

さすがアンドロイド。
身体の隅々にまでスイッチが仕込まれているようだ・・・。



次の瞬間、サングラスをかけ、黒いスーツを身にまとった
怪しい集団がバスに乗り込んできた。


某巨大掲示板で有名になり、
お台場OFF会を行い人々を驚愕させたという経歴を持つ
三遊亭スミス率いる、エージェントスミス集団である。



「さぁ、諸君!!バスから降りたまえ!!会長がお待ちだ!!」



メンバーたちは黒ずくめの集団に羽交い絞めにされつつも、
「ふざけんなー!!」
「ペンギン君、これからどうなっちゃうのかな?僕たち?」
「私の胸大きいんですよ〜。見ますか〜?」
「えーかったるいし〜」
とそれぞれ心のうちをスミスたちにぶつけつつ、

G県にあるバトルロワイヤル実行委員会総本山である6階建てのビル、
通称SJ棟に拉致られていった。

        • -

(注)某SJ学部では、3年生終了時に100単位履修していないと、
4年生になれないというシステムになっている。
クマッタは夜行性のため、昼間に行われている講義に出られず、
100単位履修できないのではないか?というのがもっぱらの噂である。

序章−卒業旅行の先は・・・その弐

「ウヒヒッ みなさまぁ〜おきるですぞォ〜 ウヒッ」

怪しげな声と同時に、外光を遮っていたバスのカーテンが一斉に開き、
瞬時にしてバスの中は、昼夜逆転した。

突然のことに、あまりの眩しさに目がくらみ、
メンバーたちは何が起こったのか理解できなかった・・・。

「げっ!どうなってんの?!これ!!」

と第一声をあげたのはルーシーだった。



彼女たちは手に手錠をかけられ、首輪をつけられていたのである。


「ねぇ、、、なんか景色が違うよ・・・どこ〜?ここ〜」
そうつぶやいたパッションに、


「ウヒヒッ、ここは黄泉の国への入り口ですよォ〜 ウヒヒヒヒヒヒヒッ」
との怪しい声が。


「誰だ!オマエ」
N嬢が咄嗟に聞き返す。



「ワテはミナサマの黄泉の国ツアーの添乗員ですぅ。
去るお方から企業秘密の任務を申し仕っておるのです。ウヒヒッ。
申し遅れましたが、ワテはねぇ、添乗員件キミらの担任である、クマータです。
ちなみに今ハンドルを握っているのは、運転手の副魔露。
よろしゅう〜、ウヒヒヒヒヒヒヒヒッ。」


運転手は、軽く帽子を持ち上げて、メンバーたちに挨拶をした。
「すみません、こいつプログラムにバグがあるんですが、
誰も直してなくて故障しているんです。
なにしでかすかわかりませんが、よろしくお願いします。」


メンバーたちは、この意味不明な状況を飲み込めずにいた。

たつまきのように、いや、たつまき以上に「ウヒッ」と笑う
いかにも胡散臭そうな怪しい人物が、いきなり「黄泉の国」に
いざなうといっているのである。
それもその人物が、故障しているというのだ。

まったくもって意味不明である。




誰もがこの状況を消化できず、意味がわからずにいた・・・・。



「ふーん。あっそ。で私たちをどうするわけなの?」
ママが冷静に、しかし非常に強い語調でこう発言した。


彼女はいち早く、状況に適応したようである。
流石、幼い頃からさまざまな地域に移り住み、尋常ではない環境で
育ってきただけあり、彼女にとってはこの突然の出来事も、
快い東風でしかなかったようである。



「ウヒッ、みなさまに殺し合いをしてもらいますよォ〜!」

つづく

第弐話の前に「登場人物紹介」

○N.W.S.I.Sのモノ達
・O女史
・たつまき
・トム
・N嬢
・パッションA子
・ママ
・ルーシー

○氏ね氏ね団(バトルロワイヤル実行委員会)
・担任教師:熊太
・運転手:副魔露
・全宇宙氏ね氏ね団連盟会長:死馬狗伍号
・エージェントスミス(氏ね氏ね団の手下たち):三遊亭スミス

○被害者の皆さん
・I教官:Mr.I
・Mガキ先生
・Hジョシュ
・ケンジ

○ご淫巨とその一行
・ご淫巨:但馬の守
・好さん:下根玉次郎
・核さん:禅気
・うっかりハチべえ:熊太
・お銀:たつまき

ストーリーテラー
・綾小路さん


以上の「愉快な」仲間達によって、本ストーリーをお送り致します。

序章−卒業旅行の先は・・・その壱

それは高速バスを使ってT.D.R&T.D.Sに卒業旅行に向かうN女メンバーに突如として降りかかった災難だった。

旅行参加者は、N女での学生生活6年目のN嬢、パッションA子、トム、
I教官の卒論指導で精神病になりかけたT.A.T.S.U.ことルーシー&たつまき、
そして年上と年下に挟まれて、中間管理職的苦悩を必死に受けながらも、
涼しい顔をしながら彼女らの保護者的役割を司るママとO女史。



22時50分京都駅八条口発−T.D.R&T.D.S行きの夜行バス。
翌朝7時半には夢の国の駐車場に到着する予定になっている。



或ものは永遠のスター達に思いをはせ、
或ものは全てのアトラクションを制覇できるよう綿密に計画をねり、
或ものはパペットと話しをし、
或ものは鬱病かと間違うような暗い雰囲気を漂わせ、
そして或ものは・・・何をトチ狂ったのか、突然、前の座席に座っていた
メンバーの胸を触りだした。
たつまきである。たつまきが突然、何かに取り憑かれたかのように
「ウヒッ」と不敵な笑みを浮かべながらN嬢の胸をさわりだしたのである。



一時バス内は騒然となったものの、
N嬢の平手打ちが功を奏し、たつまきは夢の中へと逝かれてしまった。


その後メンバー達は
添乗員と運転手が見守る・・・というか唖然とする中、
殴り合いやロシアンルーレットなどの思い思いの行動を取りつつ順次眠りにつき、
卒業旅行は順調な滑り出しをしたかのように見えた。


しかし・・・。

これは、彼女たちに降りかかる悲劇のほんの幕開けでしかなかった。