ビッグバン

妹「ビッグバンっていうのは?」
私「いまビッグバンっていうとだいたいビッグバン元素合成のことで、宇宙が冷えて100億度ぐらいになったときに、宇宙の軽い元素、水素とかヘリウムが作られたことをいう。あるいはその前の、あらゆる物質がどろどろに溶けた熱いスープ、プラズマっていうんだけど、それができたときをいう。」*1
妹「それはインフレーションの前?」
私「あと。インフレーションのあと、真空のエネルギーがドロドロのスープ、プラズマに化けて、それが冷えたときにビッグバン元素合成を引き起こす」
妹「プラズマっていうのはこの身のまわりの物質もプラズマ?」
私「(あープラズマっていうのは状態を表す言葉だから使わん方がよかったな)いや、この物質がバラバラに壊れてどろどろになったものをプラズマという。」*2
妹「インフレーションの時は熱くないの?」
私「めっちゃ冷えてる。どんどん引き伸ばされて薄まるから」
妹「インフレーションで引き伸ばされる摩擦でスープができた、と思っていい?」
私「うーん、だめ。スープが出来るのはインフレーションの最後の最後」
妹「場のエネルギーがどうやってプラズマになるの?」
私「よく分かってない。インフレーションが終わってからビッグバン元素合成までの間はまだ分かってなくて色んな説がある。だいたいスープの温度が1京(1000兆)度より下は今の理論で書けると思ってて、それが冷えてって100億度ぐらいになって元素合成が起こるところはよく分かってる。インフレーションが終わってからスープが出来てそれが1京度より冷えるとこまでは色んな説がある」
妹「じゃあ分かってる宇宙の始まりをまとめると、1メートルぐらいにひろがった場のエネルギーがあって、それがめっちゃ短い時間でめっちゃ広がって、そのあとよくわからないけどビッグバンのスープになって、元素になったと」
私「うん大体そう」

*1:「100億度って熱いじゃん、それじゃ手元の水槽でビッグバンを起こすとかはできないんだね」というので、今でも鉛と鉛を光の速さ近くまで加速してぶつけて10兆度ぐらいまで出せる、という話をしたりした。

*2:「ちなみにビッグバンで作られるのは軽い元素だけで、僕らのまわりのこの鉄とかそういう元素はだいたいぜんぶ星の最後の爆発、超新星爆発で作られたもの。我々は超新星爆発の残骸でできている」(ドヤー)と言ったがこれはイマイチ反応が薄かったw

はじまり

妹「宇宙の始まりってどうなってるの」
私「宇宙背景輻射っていう宇宙のいたるところからくる光の揺らぎの観測から、インフレーションというのがあってめっちゃ広がったということが確実」
妹「たとえばこの指の先くらいの大きさがどのくらいまで広がったの?」
私(う、計算したことない)「そらもうめっちゃくちゃでかいよ。ちょっとまって」
グーグル様に聞く。
おや、e-folding 60 で1億光年ですか。意外とちっちゃい。
私「見えてる宇宙の1/100ぐらい。つまり1mの領域がだいたい今見えてる宇宙の大きさぐらいまで広がったと」*1
妹「なんで広がったの?」
私「真空のエネルギー」
妹「その真空っていうのは真空管の真空と一緒?」
私「違う。ここでいう真空ってのは粒子がなんにもないってこと。粒子はなんにもないんだけど場が充満している」
妹「場?電気とかの?」
私「電気的には中性だけどだいたいそんなようなもん。電気の場は電場とか磁場。今考えてるのはよく分からない場。よくわからないけどインフレーションを引き起こした奴なのでインフラトンと名前がついてる。ちなみにこの世の素粒子のすべては場です」*2
妹「場ってのは波みたいなもの?」
私「そうそう」
妹「なんにもないけど場だけがあってそのエネルギーで広がったと」
私「そうそう」
妹「そのエネルギーは何が与えてるの?」
私「分からない。場がこうなってるときにはエネルギーはこうなるんじゃないか?と手で式を書いてるだけ。その結果を観測と比べて最終的にあってたら正しい事になるけどまだそこまで行ってない」
(正しいことになったらこんどはそれが何からどう与えられるか?というステップに行くわけですな)
妹「なんで1メートルのサイズで場がおなじになるの?」
私「それも分からない」*3
妹「インフレーションの前はどうなってるの?」
私「それも分からない」
妹「じゃともかく今わかってる宇宙の始まりは、1メートルの大きさの、場のものすごいエネルギー、ということでいい?」
私「いい」
妹「それがめっちゃ短い時間で広がったと」
私「そのとおり。0.000000………00000001秒とかそういう」

*1:長さ1メートルはインフレーションの途中であって、もっとちっさいところから本当は始まってるわけだけど、観測的に証拠付けられているのはだいたい e-folding 60 ぐらいまでですよね。

*2:このへんや後の途中でヒッグス場のはなしや余剰次元のはなしも大分したが本稿は宇宙のはなしなのでパス。

*3:Slow-roll inflation は地平線問題を解決しない、というのが私の立場。

広さ

妹「こないだ子どもたちを科学館に連れて行ったときに聞いたんだけど、宇宙って太陽系ぐらいかと思ってたらその外にも広がってるんだね」
私「あたぼうよ。太陽系なんて小さい小さい。銀河って聞いたことない?」
妹「それって銀河系?」
私「それそれ。それは太陽系よりずっと大きい。ていうか隣の星でも行くのに光の速さで4年とかかかる」
妹「光の速さで一年って地球を七周するというやつ」
私「地球を一周するのは0.1秒ぐらい」
妹「それは遠いね」
私「遠い」
妹「星が集まると銀河になる」
私「そうそう」
妹「銀河が集まると?」
私「銀河団
妹「銀河団が集まると?」
私「超銀河団
妹「超銀河団が集まると?」
私「それでだいたい今見えてる宇宙の全部ぐらい」

宇宙ヤバイ

妹殿と一緒に2時間半ほど電車にのる機会があり、宇宙について現在人類が分かってることについてご説明もうしあげた記録がこちらである。会話の順序とか内容は記憶で書いてる上にそもそもちゃんと再現する気もあまりなくてかなりテキトー。

Installing LoopTools 2.12 on Mac OS X 10.10.3

Follow the instruction.
Doing

./configure

the following waring appears

do we have MathLink... no

and the installation does not work properly. (My friend says his installation was successful if his Mathematica Kernel was running. It didn't work for me.)


Following this Japanese instruction, I copied all the files in

/Applications/Mathematica.app/Contents/SystemFiles/Links/MathLink/DeveloperKit/MacOSX-x86-64/CompilerAdditions/

into

.../LoopTools-2.12/src/tools/

by replacing all the files with the same name.


Then I followed the installation instruction of the looptools.
It works!

Installing FormCalc 8.4 on Mac OS X 10.10 (with Mathematica 10)

http://en.misho-web.com/phys/feynlecture.html


Download FeynArts 3.9 from http://www.feynarts.de/ .
It works.


Download FormCalc 8.4 from http://www.feynarts.de/formcalc/ .
Suppose I put it at the following.

/Users/odakin/Downloads/FormCalc-8.4/


In the following, the only non-trivial part is the one marked by the red color.


PS: My friend reports me that the installation works without this modification if one starts up Mathematica Kernel before it.


In the README file, it is instructed to perform the following, in the above directory.

./compile

The following error message appears.

I can't seem to run the Mathematica Kernel.

Maybe you have a buggy Mathematica installation or you're
out of licenses.

Please make sure you can start the Mathematica Kernel without
additional flags (such as -pwfile) and re-run ./compile.

I found that this can be evaded by double-clicking (or choosing Open after right-clicking) the "compile" file.


After double-clicking it, the following error message appears:

Compiling for system type MacOSX-x86-64
make: Nothing to be done for `all'.
/Users/odakin/Downloads/FormCalc-8.4/compile: line 140: ..//Users/odakin/Downloads/FormCalc-8.4/drivers/configure: No such file or directory

In the "compile" file, I have changed the line 26

SRC="${SRC:-`dirname $0`}"

into the following.

SRC="${SRC:-`dirname $0`}"
cd $SRC
SRC='.'


After double-clicking it, the following error message appears.

looking for fortran... no ifort pgf90 xlf gfortran g95 f90 in your path

To install fortran, I first installed MacPorts, following https://www.macports.org/install.php . Then I performed the following.

port search gcc

I found that gcc5 is the latest non-BETA version. I did the following.

sudo port install gcc5

I did the following in /opt/local/bin/ .

sudo ln -s g++-mp-5 g++
sudo ln -s gcc-mp-5 gcc
sudo ln -s gfortran-mp-5 gfortran


After double-clicking the "compile" file, I got the following.

/opt/local/bin/as: assembler (/opt/local/bin/clang) not installed
make: *** [.././drivers/util//system/Error.o] Error 1

I did the following.

port search clang

I found that clang-3.7 is the latest. I did the following.

sudo port install clang-3.7

I did the following in /opt/local/bin/ .

ln -s clang-mp-3.7 clang

Double-click it again. Finally it works!

数学科の修士学生向けの物理の話

数学科の修士1年の学生むけに物理の話を3コマ(4時間半)せよ、という講義のノートを公開します。数学好きな物理学科の学部生にも面白いんじゃないかと。

こちらがPDFへのリンク(3.6節を書き加えました。2015/5/15)


内容は誰でも知ってるようなことですが、ちゃんとまとめて書いてある文章はあんまりないんじゃないかと思うんですけどどうか。
どういう内容かというと、数学科の学生が学部生の頃に習った古典ニュートン力学電磁気学にどんな対称性があるかを見て、数学科の院生が知ってるような数学をちょっと使いつつ特殊相対論的に書き換える、みたいな話。

「あとでちゃんと書く(かも)」という部分はあとでちゃんと書こうと思ってたんだけど、今見返してみたら何を書こうと思ってたかも忘れてたので諦めがついてこのまま公開することに。