最近、また少し本が読めるようになってきた。最近読んだもの2冊。
荒木優太 編著『在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活』(明石書店)。在野研究者15人の体験と実践がそれぞれの言葉で紹介されていて、インディーレーベルのコンピレーションアルバムのようなクールさと刺激のある本。在野研究者とは、大学などの研究機関に所属せず好きなことを研究し続けている人のこと。やはり生活の糧を得ながら研究を続ける点はそれぞれ苦労が読み取れるが、やはり自発的に研究を続けている様子は楽しそうに見える。人文系は在野でもかなりやれることがあるのかな。個人的にはかなり元気をもらってしまった。
佐藤直子『女性公務員のリアル なぜ彼女は「昇進」できないのか』(学陽書房)。首都圏政令指定都市の公務員として自身のキャリアがどうして「このようなキャリアパス」になったのかに興味を持ち、公務員のまま埼玉大学の博士後期課程で学んでいる著者による「昇進」の仕組みへのまなざし。女性公務員には周辺業務が割り当てられ、昇進後に必要なスキルが身に着けられる基幹業務の経験が不足している事実を明文化していて、強い。公務員に限らずJTC的風土を持つ組織では多かれ少なかれ同様の状況があるだろうし、男性についても同様の選別が行われていることは実感としてわかる。登用制度についてもう少し考えたくなる。