パーキング

それなりに入ってました

ドゥミ1985年の作品
前作『都会のひと部屋』が興行的に失敗し、制作費の面でも厳しい状況で作られた作品です
全体的に暗い雰囲気が漂っており、当時のドゥミの気持ちを反映しているようにもとれます

この映画はジャン・コクトーに捧げられています
ドゥミはコクトーの『オルフェ』の現代版であり、なおかつ『天使の入江』のリメイクとしてこの映画を撮りました
主人公の名はやはりオルフェ
職業はミュージシャンですが、ファンは彼を詩人と呼びます
この点では、オルフェを詩人として描いた『オルフェ』と共通しています
また、『オルフェ』でオルフェを演じたジャン・マレーが、冥界の役人を演じている点にも、ドゥミのコクトーに対するオマージュが見てとれます

冒頭、いきなり二人が絡み始めるというエロティックなシーンで始まります
この映画自体、全体的にどこかエロティックな雰囲気がします
そしてオルフェがバイクにのってコンサート会場へ向かう場面でスタッフロール
バイクの主観ショットが素晴らしい
あれはサイドカーにカメラを据え付けて撮ったんですかね?
ここで流れる主題歌もいい意味で80年代っぽくて気に入りました

『オルフェ』では、冥界とこの世をつなぐ入り口が鏡であったのに対し、この作品ではそれがパーキングとして描かれています
それに加え、『オルフェ』に対してこの世と冥界の区別が曖昧であるような気もします
実際オルフェは三回この冥界に行くことになりましたしね

いろいろ調べると、当時の評判はあまりよくなかったらしいですが、私にとってはドゥミ映画の中で最高傑作だと思います(『シェルブールの雨傘』は別格として)

オルフェ

かなり人少なかったです

昔からコクトー好きだったにも関わらず、オルフェを見るのはこれが最初
コクトーの独特な声による語りがいい

実はこの映画、ドゥミの『パーキング』のもとになったもの
私は先週『パーキング』を先に見ていたので、どうしても比べながら見てしまったが、実はかなり違う作品です
ランヌ氏も言ってましたが、『パーキング』がオルフェとユリディスの恋愛が軸になっているのに対し、『オルフェ』はオルフェと彼の死神との恋愛劇になっています

撮影にも随所に工夫が見られます
死人の自然な起き上がり方や、オルフェとウルトビーズが冥界を歩くシーンでの人物の動きがいい
鏡の使い方も非常に上手いです

シェルブールの雨傘

3/19(月)11:00開映
平日の午前中ということもあってか、意外に人が少ない

もはやこの映画について何か語るということは不要なのかもしれない
すべてのセリフが歌になっているという、これまでのミュージカル映画の常識を覆す作品だ

実際に見れば誰もが感じるだろうが、多少戸惑いをおぼえるほど鮮やかな色彩がこの映画の特徴である
冒頭、タイトルバックの色とりどりの雨傘
そして店に飾られた様々な雨傘
ここで注目したいのは、ギイの衣装がそうした鮮やかな背景に溶け合っていることである
批評家のジャン=マルク・ラランヌ氏は、これを「ギイがこの世界に閉じ込められていることを意味する」と語っていた
この映画は所謂バッドエンディング(こんな分類の仕方ですましてしまうのもためらわれるほどの悲壮感が漂っている)だが、やはりギイはこの世界から抜け出せなかったのだ

最大の見せ場はやはりラストシーンであろう
ぜひ自分の目で見ていただきたい
来年はニュープリントでの再上映が行われるらしい
一人でも多くの人に見て欲しいと思える映画である

ロシュフォールの恋人たち

3/18(日)11:00開映
最前にいたのでよくわからなかったが、立ち見も出てた模様

冒頭でトラックから降りた若者たちがいきなり踊りだすのには驚いた
ストーリーも全く知らないまま見たので、彼らが何をしようとしてるのかもわからず
でも、見てるうちにスクリーンの中に引き込まれるような不思議な感覚
ミュージカル映画なので当然歌うシーンが数多くあるわけだが、会話から歌への移行に不自然さがない
自然に歌い、踊る
ミュージカル映画という、完全なフィクションの世界の中でのこうした自然さが観る者を引き込む力になる
そして、画面の作りが非常に丁寧
歌のシーンでは、今まで普通に歩いていた通行人がすべて踊りだす
あらゆるシーンでそれが徹底されている
特に気に入ったのは、双子の姉妹がバレエ教室の中でパリへの憧れを歌うシーン
ピンクと黄色の衣装が鮮やかである
ドゥミ映画の大きな魅力の一つに、こうした色彩の美しさがある(その頂点が『シェルブールの雨傘』ではないだろうか)

ストーリーの面では、ドゥミ映画を貫くテーマである「すれ違い」が描かれている
母親と楽器商のダム氏(ネーミグセンスも素晴らしい)、姉と作曲家、妹と画家
このうち、すれ違ったまま終わってしまうのが妹と画家である
特にラストシーンで、妹がちょっと席を立った隙にカフェに忘れ物を取りに来た画家が、「誰かいるの?」と店内を見回す妹の背後のガラス越しに見える場面は特に素晴らしい
画家は最終的にキャラバンのトラックに乗るわけだが、彼が乗ったのは妹の乗るトラックだったのか?
はっきりと描いていないところがまたよい

はじめまして

今日からここでブログを書いていくことにしました
内容は主に映画に関してです
昨年の秋くらいから映画を見始め、今では月に30本くらいのペースで見てます(劇場で)

映画とは言っても、最近製作された映画ではなく、昔の名作が中心です
もともと(今でもですが)フランス文学が好きなこともあり、フランスの映画をメインに据えてます
でも、最近は日本映画のよさもわかってきました
どんな監督を好んでいるかについては、プロフ欄をご覧ください

ここでは、私が劇場やDVDで見た映画の感想・批評や、映画に関する様々な書物に関することを書いていきたいと思います

まずはユーロスペースでのドゥミ特集のことから始めてみます

2007年上映スケジュール決定!

http://www.momat.go.jp/H19/H19FC.html#1f

うーん。。。
相変わらず日本映画偏重だなぁ・・・
昔の記録なんか見てるとけっこうフランス映画もやってたのに
シネマヴェーラもどっちかっていうと日本映画寄りだから、外国映画の供給が安定してるのは日仏とアテネくらいか・・・
ロベール・ブレッソン特集とかそろそろやってくれませんかね

話が逸れましたw

まあ見た限りで必死に行きそうなのは、ヨーロッパ映画名作選、マキノ、ポーランド映画くらいかなぁ
マキノは今年1月〜2月にかけて渋谷シネマヴェーラで特集が組まれましたね
実は私のマキノ体験もそれが初だったんですが、あまりの面白さにすっかりマキノ好きになりました
でも次郎長三国志も中盤を見逃してるし、短編もいくつか見れなかったのがあるのでフィルムセンターの特集に期待します
ちょうど大学が休みの頃だし、できれば全部見たいなぁ