呑んでみました

今回の『加賀ノ月』は僕も初めて呑む銘柄です。ちょっと焼酎っぽさを感じますが、茶瓶にあう落ち着いたラベルがセンス良いですね。雑誌などから仕入れた知識では淡麗系の酒を得意とするイメージがありますが、実際の感想は如何でしょうか。純米大吟醸の無濾過という事で、冷蔵庫から出して温度を若干戻し、切子ガラスの器で呑んでみましょう。グラスから感じられる立ち香には若干のアルコールを感じますが、これは新酒ならではのフレッシュ感とも受け取れますし、実際呑んでみると吟醸香が前に来るので気にならなくなります。もう少し温度が高い方が良いのかな。無濾過の新酒ではありますが特に目立つ発泡感もなく、舌触りは至って滑らか。純米大吟醸とは言っても精米歩合も50%ですし、出品酒レベルの綺麗さではなく、個性は控えめだけど印象に残る旨味を楽しむお酒ですね。決して味の濃い酒ではありませんが、しっかりとした酸に支えられた旨味を感じる、好き嫌いの出なさそうな1本。全体的に欠点と言える部分がない点に、技術の高さを感じます。

蔵元HPからの引用「加越について」

当蔵のある石川県小松市は「歌舞伎の町」「勧進帳の郷」として全国に名をはせており、毎年5月に行われる「お旅祭り」では「全国子供歌舞伎フェスティバル」も共催され、大変な賑わいをみせております。また、加賀温泉郷の一角に位置し、加賀前田藩縁の名所旧跡や、義経と弁慶で有名な勧進帳の舞台である「安宅の関」等が点在し、歴史を感じる城下町として栄えてきました。また酒造好適米(五百万石)の産地としても知られており、寒冷な気候と霊峰加賀白山の名水にも恵まれ、全国でも有数の酒処です。加越酒造の歴史は江戸末期まで遡り「お客様に喜んでいただける酒」を目指し技に磨きをかけ、近年の吟醸造りには高評価を頂いております。高精白による雑味のない純粋な酒の旨味と、自然で奥ゆかしい控えめな香りを特徴としており、雪国北陸でも極めて繊細な造りの蔵です。
http://www.kanpaku.co.jp/

加賀ノ月 月光 無濾過 17BY

pcon99992006-02-03

株式会社加越
石川県小松市今江町9丁目605番地

  • 原料米/石川県小松市日末町産五百万石
  • 精米歩合/50%
  • アルコール度数/17〜18度
  • 日本酒度/+5 酸度/1.7

石川県の「加賀ノ月」は関東ではそれほど知名度が高い銘柄とは言えませんが、ここ20年の間に10回もの全国新酒鑑評会金賞を受賞する、非常に高い技術を持つお蔵です。同時にWEBページの完成度が高く、通い袋をさげて造り酒屋に飲み手が通った旧き時代の形態を、インターネットを介して現代によみがえらせている蔵でもあります。こうした酒屋さんを通さない流通は、お世話になった酒販店への義理から良く無い事だとする酒蔵もあります。確かに人情的にはその通りだと思いますが、現在の日本酒事情は生酒をはじめ、管理が悪いと消費者の口に入る前に劣化してしまうタイプも数多くありますし、その酒に対応できない酒販店も決して少なくありません。こうした事情を考えると、蔵直WEBショップの需要は増々増えると思うのですが。実際にWEB通販を利用すると送料がバカにならないというネックもありますけどね。

呑んでみました

上記にもありますが、にごり酒を自宅呑みする時の楽しみは、澱を混ぜる前の「うわずみ」が堪能できる点にあります。もちろん全ての「うわずみ」が美味しい訳でもなく、混ぜてこそバランスが取れるタイプもあるのですが、例えば『志太泉の蔵出し濁り』のようなフルーツ感の強いタイプは大抵「うわずみ」が旨いのです。と、いうわけで『而今 特別純米 にごりざけ』の澱を混ぜないように、グラスに「うわずみ」を注いでみます。このお酒は立ち香はそれ程強く感じませんが、舌に触れた瞬間に広がる熟れたフルーツ様の吟醸香がスゴイですね。うわずみにも全体に炭酸が含まれていますが余り細かい泡は立たず、ピリピリ感の少ない優しい舌触り。今の時期としては味乗りした酒質ですが、程よい酸があるので嫌味に感じません。 余り呑みすぎても勿体無いので、澱を混ぜて本来の「にごりざけ」としても呑んでみますと、炭酸感が活発になり、新酒らしい印象になりますね。揺り起こされた酸も少し際立った感がありますが、これが澱のトロトロと合わさって実に絶妙。「うわずみ」は甘味が先に来て最後に酸がしめる印象ですが、混ぜた後では炭酸の刺激と澱に含まれる旨味、そして全体を支配する軽快な酸が消えたあとに甘味が余韻として残るのが印象的。どちらも捨て難い旨さです。

蔵元HPからの引用「杜氏 大西唯克プロフィール」

昭和50年生まれ。30歳になってしまいました。上智大学理工学部卒後、乳業会社に4年間勤務。乳製品の製造に携わる。東広島の酒類総合研究所にて酒造りを学んだ後実家に帰り、但馬杜氏のもと2年間酒造りをする。3年目で杜氏となることを決意し、初杜氏となる平成17年全国新酒鑑評会金賞受賞。
http://homepage1.nifty.com/kiyashow/

而今 特別純米 にごりざけ 17BY

pcon99992006-02-02

木屋正酒造合資会社
三重県名張市本町314-1

  • 原料米/富山産五百万石
  • 精米歩合/60%
  • アルコール度数/17度-18度
  • 日本酒度/+1 酸度/1.5

去年人気が大ブレイクした銘柄の筆頭が『而今』。中でも『特別純米 にごりざけ』は、純米酒フェスティバルでの大人気も記憶に新しい注目の1本です。特にインターネット関連の地酒愛好家さんの新年会では、常に話題の中心に『而今』があると言っても過言ではない程のフィーバーぶり。決して出荷量のおおい銘柄ではないだけに、今回入手するのも一苦労でありました。それでも杜氏の大西さんも非常に若くて情熱溢れる方ですし、間違いなく『而今』は今後も高い人気を維持し続けるでしょうから、苦労してでも手に入れるべき1本です。特ににごり酒は自宅呑みならではの楽しみ方がありますので。

呑んでみました

今回紹介する『噴火酒』は名前の通り噴火するお酒。この吹き出すお酒は呑み会でも散々苦労している姿を見ているだけに、相当ビクビクしながら開栓したのですが、ブシュッと音を立てるものの噴き出してくる気配はありません。ですが、それに安心してグラスを取ろうと目を離した瞬間噴火してました。まさか酒に時間差攻撃を受けるとは思いもしませんでしたが、自宅呑みという事でラッパ呑みで事なきを得た次第です。こうして香りを楽しむ間もなく大量に呑むハメになった『噴火酒』ですが、その味の方は辛口でも甘口でもなく、いたって呑みやすいバランスの取れた濁り酒でした。残念ながら今シーズンは地元で天寶一の『活性にごり』を見かけていませんが、お蔵の地元広島県では出回っているのでしょうか。