明けましておめでとうございます。


本年も何卒よろしくお願い致します。


って1年オーバーぶりの更新になる。


一昨年、そして昨年は、2011年ポッキーの日の入籍に始まり
引っ越しやら式の準備やら仕事の部署異動やら新婚旅行やら
色々と慌ただしい年になった。


そんな忙殺の日々も、またもや忘却されようとしている。
幸せだったことも、不安だったことも、涙が出るほど嬉しかったことも
全てがごた混ぜになって、モヤっと概念化されてしまった。


鮮明な記憶を概念化することは、人間の精神にとってのひとつの防衛手段だと
宮沢賢治が言っていたような気がする。
そして人間の幸福は忘却することの中に存在する、といったようなことを
ウィトゲンシュタインまたはニーチェあたりが言っていたような気がする。


全てを忘れてSALE行ってコタツ入って餅食って寝て風邪引いて
そして俺はここに在る。頭痛がするぜ。


とにかく今、現在は、幸福だ。


SALEでボーダーのパーカーを買った。
ボーダーものなんてそういや10年以上ぶりに買ったなぁ。
頑張ってSサイズにしたけど、あんまりタイトやと逆に太って見える。。

いろいろと忙しくなってきた。

31歳を迎えたっていうその年齢的なものであるのか、
日常がかなり慌ただしくなってきた。


仕事もなんだかんだで今まではペーペーでのらりくらりと
やってきたけども、だんだんそうもいかなくなってきたぜ。
しんどさ7割、たのしさ3割と少しの期待。
そんな感じで。


彼女とは喧嘩もたくさんするけど、かなり楽しくやってる。
来月には京都と大阪のちょうど中間あたりに引っ越し。
割と広い部屋を見つけたので、ゆったりと生活していけそうだ。


11月には入籍。
とりあえず結婚式やらなんやらのことは後回しな感じ。


友達とは全然会ってない。
こないだ橋の上でT夫と偶然会った。
あいつも自分と同じAB型で、まぁそれは関係ないけども
おれたちはたぶん一生こんな感じで、腐れた縁が続くんやろうな
お茶しながらそんな話をした。
T夫も結婚するらしい。


あんなに人間関係に非常に淡白で冷酷なやつが結婚なんてできるんかな
一瞬そんなことを思ったけども、おれたちはそんな部分が似ている
っていう理由で高校時代に仲良くなったことを思い出した。
外面だけは良かったけど内心はずいぶんと歪曲した高校時代を過ごした、
けどもあいつがいたから楽しめたんやと思う。


でもおれたちはちゃーんと丸くなって大人になった、と思う。
いや、ずいぶんと矯正されたな、とも思う。


まっすぐ前に進むしかないんだということ。
ちゃんと納得してるし理解もしてるさ。

熊さんがやってきた!


ZOZOをMと一緒に観ていて発見。
テンション上がって衝動買い(予約)したのがたしか10月ぐらい。


すっかり忘れてた。


ぐっすり寝ていた午前10時。
寝起きに15,150円という身におぼえのない請求額にかなりびびった。
とりあえず現金がないのでまた夕方に来て下さいと追い返して脳みそフル回転。


あ、そうやそうや、熊や。


っつー訳で、iphoneやらipodが充電できて耳の部分がスピーカーになってる
可愛いハイテク熊さんが家族に加わったのでした。

掘り出したった。



こないだの日曜日は、中崎町の古着屋めぐりへ。


そこで出会ったデニムダウンコート。


ものすげー暖かい。


ちょい小さいけど、まぁジャストサイズ。嫌いじゃないシルエット。
最近の古着って結構高いイメージで、15000円はするやろなぁと思ったけど
なんと5800円。即買い。


と、ここで先日の調子に乗った発言を訂正しておこう。


大阪の冬は、ダウンベストで越せませんでした。
風邪引きました。


寒気がするのでもう寝ます。

みやもと。

みやもとはおれの幼なじみ。
幼稚園で出会って、名前が同じだったのですぐに仲良くなり
親同士も気が合ったようで、家族ぐるみの付き合いになった。




みやもとはほんまに純粋で、とことん優しいやつだった。




小学校に上がってまもなくの或る日、
二人で公園で遊んでいると、高校生くらいの兄ちゃんが近づいて来た。




おい、お前ら知ってるか、かめはめ波は普通の人間にも出せるんやで。
ほんまに自分最高の大声で、かめはめ波!と叫ぶことができたときに出るねん。
お兄ちゃんも何回か出せたことがある。いまは無理やけど。




みやもとの目は輝いていた。
おれたちはその言葉を信じ、喉が裂けそうなほどの大声で、何度もかめはめ波を叫んだ。




…いやいや出るわけないやん。あれ絶対嘘やで。と、疑うおれに
いや違う、おれらが自分最高の大声を出せてないだけや。絶対に出るはずや。と、みやもとは言った。




みやもとはそれから幾度も幾度もかめはめ波を叫んだ。
アホなやつだ、とおれは思った。




魔法のような夏の日だった。




中学2年のとき、みやもとと同じクラスになった。




中学に入学してから別々のクラブに入部したおれたちは少し疎遠になっていたけど
またみやもとと過ごす毎日がはじまって嬉しく思った。




お昼御飯の後みんなで談笑している中、おれはとても気分が悪くなった。
みやもとはそんなおれをずっと気遣ってくれていた。
気分の悪さは絶頂に達し、ついにゲロを吐いてしまった。
みやもとはおれのゲロを手の平で受け止めた。
ゲロまみれの手のまま、みやもとはおれを心配するのだった。




手で受け止めるとか…優しいけどアホなやつだ、とおれは思った。




おれたちは別々の高校へ進んだ。
みやもととの関係はそこで完全に途絶えてしまった。




そして2010年末、大阪駅でみやもとと再会した。
地元の駅まで一緒に帰った。
みやもとは高校1年の時に出会った人と長い交際を経て結婚。
いまは子どもが二人いてとても幸せだ。と話すのだった。




なんだかみやもとらしい人生やな、と思った。




あの魔法のような夏の日の公園で、かめはめ波を撃てなかったこと。
あの時おれは、あの兄ちゃんの嘘っぱちだ、という答えを出した。
みやもとの出した答えはどうやったやろう。




みやもとはきっと、かめはめ波が撃てないのは自分の努力が足りなかったからだ、と
最後の最後にもそんなふうに考えたやろう。そんな気がする。




そしてあいつはあいつらしく純粋に、優しい生きかたをして、あいつらしい幸せを掴んだんだ。




そんなふうに思った。

柴ちゃん。

柴ちゃんとは中学3年のとき一緒のクラスになった。




「あいつ美人やけど、声聞いたことない。」




男どもが口をそろえて言っていたこと。
それくらい大人しい女の子、そしてものすごく頭の良い女の子。
おれは柴ちゃんが好きやった。




思い返してみれば、あの頃のおれはほんまに救いようの無いアホやったと思う。




学校の裏門に生えた大きな木の上に登り、カラスの巣から卵を盗み取り
おれはこれを孵化させるんや!カラスの家来が欲しいねん!
と、数日ポケットの中で温めてみたり。




担任の先生の車のボンネットの上でシャチホコを扮した自分の芸術写真を撮り、
その写真が廻り廻って先生の手元にいってしまい、卒業後にアルバイトをして
車の修理代を稼ぐハメになってしまったり。




でもそんなおれの奇行の数々を、柴ちゃんは笑ってくれたから。




まともにしゃべったことないけど、プリントを渡すとき、柴ちゃん。って呼んだ。
馴れ馴れしいおれに、ときどき返してくれる笑顔、ほんまに好きやった。




卒業式の日、柴ちゃんの写真を撮った。
盗み撮りだったのか、ちゃんと断って撮ったのかは覚えてないけど
写真の中で、グレーのマフラーをした柴ちゃんは、振り向きざまの態勢でバッチリ笑顔やった。
柴ちゃんの態勢から推測すれば、おそらく写真は盗み撮りやったんやろう。




あのとき、柴ちゃんはおれに何か言いかけたような気がしたけど、それは妄想かもしれない。
思い出っていうものはそういうもんだ、きっと自分勝手なものなんだ。
おれは気持ちを打ち明ける勇気もなく、そそくさとその場を立ち去ってしまった。




高校1年生の夏、関大前なか卯でアルバイトを始めた。
数ヶ月は車の修理代でタダ働きやったけど、わりと長いあいだ続けた。
アルバイト仲間の関大生兄貴たちについてまわり、色んな文化を吸収した。
たぶん今のおれのベースの半分は、この日々の中で形成されていったんやと思う。




3ヶ月くらい経って、通りの向かいに吉野家ができた。
同じ牛丼屋やしこりゃやべーなと偵察に行くと、吉野屋の帽子をかぶった柴ちゃんを見つけた。
盗み撮りの卒業式以来の柴ちゃんに話しかける勇気がおれには無かった。




数ヶ月が過ぎた或る日のこと。
誰一人客のいない、おれ独りの空間のなかに、柴ちゃんが入ってきた。
柴ちゃんはまっすぐ迷いなくおれの目の前に座った。
とても大人っぽい笑顔だった。
そして柴ちゃんは確かに瞳をこちらに向けて、確かに唇を動かしていた。




たぶんなにか会話したんやと思う。
でも何を話したのか、柴ちゃんの声がどんなやったのかも、思い出せない。
とにかく目の前の柴ちゃんに圧倒されて頭がまっ白だった。
その時間がどのようにして終わったのかも、思い出せない。



なんなんやろう、いっつもくだらないことばっか覚えてんのに。
あの柴ちゃんとの時間のことは、ずっといつまでも覚えておきたかったことのはずやのに。



それから数日後の深夜やったと思う。
大きなカバンを持った柴ちゃんが吉野屋から出て行くのを見た。




柴ちゃんの大人っぽさは、だれかとどこかへ駆け落ちか心中でもしに行くような
そんな大人っぽさだった。




その日以来、柴ちゃんを見つけることはできなかった。




柴ちゃん、どこで何やってるんやろう。
頭良かったから。
おれの妄想の中で、今頃はNASAで火星のテラフォーミングの準備を始めている。




昨日、小学校中学校高校と一緒だった腐れ縁の友達から久々に連絡があって、
プチ同窓会計画しようってことになった。


柴ちゃん絶対呼べ、と言っておいた。