いわゆる「非実在青少年」問題については、ちょっと慎重な立場。

※以下で掲載したURLには性的な表現が含まれてる場合があります。閲覧は自己責任でお願いします※


伝え聞く限りではどうにも法案がザルっぽいので、今回の性急な可決への流れにブレーキがかかったのには安堵してるところです。
でもなあ…ちょっとコレ見てください。

http://www.google.co.jp/search?site=images&safe=images&gwt=on&hl=ja&ie=Shift_JIS&q=%95%f8%82%ab%96%8d

Googleで「抱き枕」を画像検索した結果です。さすがに、こういうもんがほぼノーチェックで出回ってるという現状は、何らかの規制は必要なんじゃないかな、とも思うんですよね。
そりゃ、街の寝具屋あるいはアニメショップなんかで簡単に買えるってほどじゃないだろうけど、ネット使えば簡単なんでしょ?

http://www.google.co.jp/search?q=%E6%8A%B1%E3%81%8D%E6%9E%95+%E8%B2%A9%E5%A3%B2

同じくGoogleで「抱き枕 販売」を検索した結果。うん、やっぱ簡単だわ。
別に二次元エロが嫌いなわけでも否定するわけでもなく、むしろ好きだし肯定する派だけど(笑)、これはさすがにどうかと思うわ。


何が「どうかと思う」かって、特にネットみたいな顔の見えない場とか、秋葉原のような魔境にあっては、こういうのを堂々とやっちゃってるところ。エロって、もっと密かにやってくものなんじゃないかなぁ、と、昭和生まれの僕なんかは思うんです。
端的に言うと、「中学生まではエロ本は河原で拾え」の精神というか(笑)。


いや、大人ならなんでもいいってわけじゃないです。ここで言う「大人」っていうのは、「社会的視野を持ってるかどうか」という意味で。要するに
「こうやって扱われるキャラクターと同世代の娘(息子)を持つ親御さんに見られたら非難されるに決まってる」
という意識があるかどうかですね。

別に「徹底的に検閲して取り締まれ」って言ってんじゃないですよ。
「見つかっちゃった以上は仕方ないから、もっとバレないよう巧くやろうよ」
ってことです。乱暴かなあ、これ。

3・12工場プロレスおまけ。

画像1:勝利しタイトル防衛を果たした「チーム変態大社長」。


画像2:地味に本日一番の脅威だったらしい「砂」。正体は、6〜700℃という高温の鉄を冷ますために使われる石灰。ものすごい熱かったそうな…


画像3:この日いちばんのハードバンプである、「クレーン上(目算で)6mから落下」を敢行した静かなる英雄、ヘルメットの傷つき疲れ果てた勇姿(GENTARO用)。
画像サイズ間違えて撮ってたから、見えるかな…


3・12工場プロレスのできごと。

ここ(画像1)から、こう(画像2)なって、こんなん(画像3)です。


ここから、こうなって、こんなんです。


フォークリフト上の攻防。


そこが戦場だから戦う男たち。


「見ろ!」と紡がれる異空間を「見る!」という覚悟で見る僕ら。プレイヤーとギャラリーの共犯関係で築かれていくプロレスなるもの。今夜は極上の体験だった!


プロレス万歳!!


3・12DDT工場プロレスの話。

pon-taro2010-03-12

DDTプロレスリングというプロレス団体が、大田区昭和島の鉄工所でプロレスをやるというので見てきました。


画像のとおり、完全に鉄工所です。「リングがない」という当たり前の異常事態に対し、
「リング?そんなの全部がリングだよ!」
と、我ながらいきなり入ってはいけないスイッチ全開での観戦でした。


四角いマットに三本ロープがなくたって、そこでプロレスするレスラーがいて。
四角いマットに三本ロープがなくたって、そこでのプロレスが見たい奴らがいて。
だったらそれはもう、プロレスじゃん!!


完全に暴走しています。流れ出る俺のアドレナリン。脳と魂が四次元の向こうに行ったまま帰ってきません。


なんて幸せなんだ俺!
なんて幸せなんだプロレス!!

バンクーバーからカーリングを見始めた三十路男が、だんだんわかってきたこと。(後半戦)

「おやつタイム」には、だいたいバナナとか食べてるみたいですね…


っと、いきなり何のことか、という話ですよね。あの、カーリングのハーフタイム(第5エンドと第6エンドの間)のことを、通称「おやつタイム」ってみんな呼んでるんです。
前半で思いっきり説明をすっ飛ばしましたが、カーリングの試合は、始まってから終わるまでに2時間半くらいかかるんです。というのも、各チームには「持ち時間」というのがあり、これがなんと「73分間」!合計すると…146分。単純計算で、2時間26分。長いですよね…。
なので、上述のハーフタイム(ちなみに7分間)に、選手たちは果物とかを食べて疲労回復・栄養補給をするんです。
で、それが通称「おやつタイム」。
ゲームの本質には一切関係ないんですが、実況やってるとよく出てくる言葉なので、参考までに。うん、ついでに時間制限のことも説明できたからよしとしてください(笑)。
ちなみにこの時間制限…もし73分の持ち時間中に第10エンドの最後のショットができない場合、そのチームは失格になる、という厳しさだそうです。
なお、この持ち時間の他に、各チーム2回ずつ1分間の「タイムアウト」を取ることができます。これもちょっと変わってて、タイムアウトを宣言してから1分間、というわけではなく、離れたところにいる「監督がシートに到着してから1分間」とのこと。


…あ、念のため書いとくと、この文中で「実況」と言ってるのは、テレビとかのいわゆる「実況解説」のことじゃありません。僕はアナウンサーでもなんでもないです(笑)。
ここで言ってる「実況」は、インターネットの「Twitter」上で、リアルタイムで試合中継を見ながらみんなで書き込みすることです。
このカーリングという競技を理解するのに、Twitter実況は本当にすごく参考になりました。みなさん詳しいので、おかげさまで難しい局面もわかったような気分になれます(笑)。
Twitter実況がなかったら、こんな文章書けてないですよ。ほんと…。


さぁて…。


ここから先は、今までよりさらに私見だらけになります。確証が持てないこと、もしかしたら、ちゃんとカーリングを知ってる方からすれば間違いだらけなことも書いてしまうかもしれません。
なんでそんなことをド素人のお前が書くんだ、と言われたら反論はできないんですが…

なんて言うか、カーリングって、ルールは本当に単純です。まあ細かいところはもちろんそれなりに細かいみたいですが、見ていくうえで押さえとかなきゃいけないルールは、前半に書いたことくらいです(あえて断言しちゃいます)。
なのに、初見の人がどうしても「よくわからん!」となってしまうのは、「結局、何がしたいのかよくわからない」ということに尽きるんじゃないかと思います。
点を取るにはハウスに石を入れなきゃいけないのに、1投目から変なところに石を置いてみたり、後攻のチームが相手のナンバーワンストーンを叩き出せば得点できるのにわざと相手に点を取らせたり…
一見不利に見えるようなことを、両チームともバンバンやってきます。これが、カーリングをわかりづらくさせているんだと思うんです。
でも、見ているうちに、その「無駄」にしか見えない一手が、実はすごく大事な、勝利への鍵になってることが、ちょっとずつわかるようになってきました。


なので、「ミスショット」を覚悟のうえで、そういう自分なりに気づいたことを書いてみようと思います。
重ね重ねおことわりしておきますが、以下の文章は素人の勝手な解釈です。間違ってたらごめんなさい。そんなに的外れにはならないと思うんですが…もしここに書いたことでおかしなことがあったとしても、それは僕の責任です。でも、そのことについてはこうしてしつこくあらかじめ宣言しておりますので(苦笑)、大目に見ていただけると嬉しいです。
あ、「そこはそうじゃないよ、こうだよ」とのご指摘、ご指導ご鞭撻はむしろ大歓迎です。というよりそのほうが助かります(笑)。


以上、よろしくお願いいたします。


…では、始めます。


カーリングというのは、大ざっぱに言えば「後攻が1点取ることで進んでいくゲーム」なんじゃないか、と思っています。何故なら、それくらい「後攻が有利」だと思うからです。前半で書いたのはこのことです。
単純に言って、先攻が1投目をハウスに入れる、後攻がその石を出す、先攻がまた入れる、それを後攻が出す…としていけば、後攻の最後の一投で、後攻の石がひとつハウスの中に残る。後攻が1点獲得です。
あるいはもっと簡単に考えれば、先攻の石がいくらハウスの中に入ってようが、後攻が最後のストーンをハウスの中心に投げ込んでナンバーワンを確保すれば、そのエンドは後攻の得点になります。

「後攻が1点取って当たり前」

それが、自分がカーリングを見るうえでの基本的な認識です。


でも、それじゃ勝負はつかないですよね。1点取った後攻は次のエンドで先攻になるから、今度は1点取られることになる。これを繰り返すと、第10エンドが終わって5‐5。延長を考えなければ、引き分けです。
つまり、この均衡をいかに崩すか、がカーリングにおける「勝負」になってくる、と思って自分は見ています。
さあ、では、そのためにはどうするか。

  • 自分たちが先攻のときにも得点する
  • 自分たちが後攻のときに2点以上を獲得する

こうすれば、均衡は崩れます。
でも、カーリングは交互にショットするので、石どうしを1対1で交換していたら、上のような状況は作れません。ではどうするか…


ここで意味を持ってくるのが、上述した「一見無駄な石」。ハウスの外にぽつんと置かれた、得点に絡まなさそうな石。
これが「ガードストーン」です。ガードストーン(あるいは単にガード)の役割は、文字通り他の石を「守る」こと。
ハウス上に単独で、丸裸で置かれた石は、次の相手の番に簡単に外に出されてしまいます。それを防ぐため、「相手がその石を出そうとするコースを、手前で防ぐ石」。つまり通せんぼをするわけですね。
まずガードの石を置き、相手の様子を見ながらそのガードの後ろに自分たちの石を隠して、得点を狙う。これが、先攻がよく使う、「先攻で得点する」パターンのひとつのようです。
もちろん、ガードを利用するのは先攻だけじゃないし、プレイが進むにつれて状況はどんどん複雑になってきます。
そういうとき、状況を理解する手がかりになるのは、
「それぞれの石がどういう関係になっているか」
ということです。このチームにとってはあの石が邪魔、だけどその石をどかそうとしても、その手前にガードが効いている…なんてことが見えたときの楽しさは、ちょっとやみつきになります(笑)。
「なんだかゴチャゴチャしててよくわかんないな」
そんなときは、どの石が盤上で何をしているのか、そんなふうに考えてみるのがいいと思います。


ただし、ゲームも後半から終盤になってくると、もっとややこしくなってきます。
カーリングのスコアは、「いくつのエンドを取ったか」ではなく、「合計で何点獲得したか」で競います。第10エンドが終わったときに、相手より1点でも多く得点していればいいわけです。
というわけで、次のような状況を考えてみます。

ここまでのスコアは10‐9で、チームAがリードしての第9エンド。
チームAは先攻。残りのショットは各チーム1投ずつ。
現在、ハウス内外にはひとつも石は残っていない。

これは、チームAにとって、かなり有利な状況になります。それは、ただ1点リードしているからというだけではありません。どういうことかというと…

  • チームAがハウスに石を入れる。
  • チームBがその石を出して1点獲得。スコアは10‐10で第10エンドへ。

こうなれば、Aは第10エンドを後攻で迎えることになります。スコアは同点。ここで思い出してください。「後攻が1点を取る」のは、かなり簡単なことです。
では、別の流れを考えてみます。

  • Aがハウスに石を入れる
  • Bがその石を取りこぼす。スコアは11‐9、Aが2点リードで第10エンドへ。

この場合、Aは投球順的には不利な先攻となりますが、点差は2点に開きます。Bの攻撃を抑えて、1点止まりにすることは、それほど難しいことではありません。
つまり、この段階にまで来れば、第9エンドの結果がどうなろうと、Aはかなり有利な状況で第10エンドを迎えられるのです。こういう終盤の駆け引きは、第7か遅くとも第8エンドくらいではっきりしてきます。それまでに点差が開いていればなおさらです。
必ずしも「そのエンドで少しでも点を取っておく」というのが有利とは限らない、ということが、わかってもらえると思います。


うーん、結局たいしたことは書けませんでした。
でも、カーリング観戦の、何かの手がかりになれば幸いです。




最後に。


この文章を書くにあたって、「敵」という表現は使いませんでした。これは、カーリングという競技において、「敵」という考え方がないからです。
あとひとつ、「審判」について、何も説明していません。


この2つは、カーリングが「フェアプレー精神」で行われている、ということに、自分なりに敬意を表したかったからです。
カーリングは、相手チームを打ちのめして敗北させるために戦うのではなく、正々堂々と互いの技術を競い合い、優れた技量を示すために戦うものだそうです。
そのため、他の多くの競技と違い、審判という存在は非常にささやかなものになっています。カーリングの試合中に審判を見ることがあるとすれば、エンド終了時にそれぞれのストーンの距離が肉眼ではどうしても確認できなくて、距離の測定員として要請されたときくらいだと言われます。
なんだか道徳的すぎて、こういうことを書くのは照れくさくはあるんですけど、こうやってカーリングという競技を紹介していく中で、どうしてもお伝えしたかったことではあるんです。


なお、これについては、こちらもぜひお読みください。とてもいい文章だと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/カーリング精神


いやー、長々と失礼しました。こんなもん、Wikipedia見たら全部書いてあることなんですけどね(苦笑)。
あ、そうだ。ついでにこれも、Wikipediaの受け売りですが。
カーリングの試合開始前、場内にはバグパイプの音色が流れます。これは、カーリング発祥の地であるスコットランドの民謡「勇敢なるスコットランド」(Scotland the Brave)という曲だそうです。
カーリングが誕生したときも、する前からずっと、受け継がれてきた曲なんだなぁ…ということを、恥ずかしながらこの文章を聞くにあたって知りました(笑)。
せっかくなので、試合開始前の緊張した時間に、ちょっとそのへんを思いながら聞いてみようかと思っています。


さあ、次の試合が楽しみだ!

バンクーバーからカーリングを見始めた三十路男が、だんだんわかってきたこと。(前半戦)

カーリングってあれでしょ、石投げてブラシで掃いて、的に入れたら勝ちってやつでしょ。『氷上のチェス』だっけ?なんか難しそうだよねー」
そう思っていた時期が、僕にもありました。
そんな僕が、このバンクーバーからはもうカーリングにどハマりですよ。だって、ものは試しと実際に試合を見てみたら、3時間近くもテレビに釘付けになってしまうような、熱く激しい戦いなんだよ!あんなの見せられたら、絶対ハマるって!


これはもう、是非とも一度、ダイジェストじゃなく全部見てみていただきたい。
確かにゲームは複雑だけど、ルールは単純。複雑そうに見えるのは、ルールが単純であるがゆえに、戦略戦術が多様だからなんです。
一見、的にまったく関係ないところに投げられた石にも、大切な意味があったりする。「ここは点を取らせたいですね」みたいな、普通にスポーツを見てたらちょっと考えられないような言葉も出てくるけど、これにもちゃんと理由があるんです。
それがわかり始めると、きっと、カーリングの面白さがわかってもらえるんだと思います。


観戦歴まだ6試合(つまりはこのバンクーバーだけ)の自分が偉そうなことを言うのは馬鹿で生意気で身の程知らずですが、それでも、そんな自分だからこそ
「これがわかったらカーリングが面白くなった!」
というところを書いてみようと思います。


日本チームは残り3試合(2/23午前0時現在)だけど、決勝に進出したら…メダルに絡んだら…まだまだ試合はあります。
もちろん、オリンピックが終わっても大会はあります。
さらには、4年後にはまたオリンピックがやってきます。
そういうこれからの日本の活躍を、みなさんと一緒に楽しく応援できたら幸いです。
自分なんかが余計なことをしなくても、日本には素晴らしい解説者であり競技紹介者である小林宏さん(オリンピックの解説者です)がいらっしゃいますが、この文章が少しでも何かの力になればいいな、と思います。


なお、この文章は、小林さんの解説、Wikipediaの記事(笑)と、あとは「Twitter」のみなさんの声より成り立っています。ありがとうございます。
ちなみに、自分のアカウントは、「@pon1225」です。カーリングの試合中は、よく「#gorin」のハッシュタグで実況に参加してます。脱線ばかりですが、よかったら生暖かく見守ってください(苦笑)。


さて。


まずは「見た目」から紹介しますか。
カーリングの試合場(シート、と呼ぶようです)は、長さ約40mです。石を投げる足場の40m向こうに、緑と青の的があります。これが「ハウス」といって、ゲームの一区切り(エンド、と言います)が終わるごとに、このハウスの中にある石の数が点数になります。
石の数え方には、もちろんちゃんとしたルールがあります。ここがまず最初にわからなくなるところだと思うので、最初に説明しちゃいますね。


便宜上、「+」がハウスの中心、「○」が自チームの石、「●」が相手の石とします。
で、ハウス内には5個の石が入っている状況を思い浮かべてください。

まず、ハウス内の5個の石が全て自チームの石の場合。
+○○○○○
これは5点です。

次に、いちばん外の石が相手のものだったとき。
+○○○○●
これは4点です。

では、自チームの石の間に相手の石があった場合…
+○○●○○
これは2点になります。「ハウスの中心にいちばん近い石から、相手の石より内側にある自チームの石の数」が、ひとつのエンドでの獲得点数になるわけです。

つまり、
+○○○●●
この場合は3点です。

逆に、ハウスの中心にいちばん近い石が相手のものだった場合…
+●○○○○
これは、相手に1点が入ります。

得点は、ハウスの中心にいちばん近い石(ナンバーワンストーン)のチームにしか入りません。
+○○●○●
これは自チームに2点、相手は0点。
カーリングでは、常にどちらかのチームにしか点数が入らない(あるいは両チームとも0点)、ということになります。

ハウスの中にどれだけ相手の石があろうと、ナンバーワンストーンを確保したチームだけが得点を確保できる。それがカーリングの得点システムです。


さきほど「エンド」という単位に触れました。カーリングは、全部で10エンドで競います。ひとつのエンドでは、各チーム8個ずつの石を交互に投げていきます。
カーリングは1チーム(原則として)4人で、順番に投げていきます。順番はゲーム開始前に申告し、ゲーム中は変更できません。順番ごとに、一番め「リード」二番め「セカンド」三番め「サード」四番め「スキップ」という呼び方をします。
相手チームと交互に投げるので、先攻リード1→後攻リード1→先攻リード2→後攻リード2→先攻セカンド1→後攻セカンド1→…と投げていくことになります。後攻のスキップが2投目を投げ終わったらエンド終了です。全部で16個の石が投げられることになります。得点を計算し、また最初から次のエンドを開始します。
このようにして第10エンドが終わったら、各エンドの得点の合計で勝敗を決めます。同点の場合は延長戦、エクストララウンドに入ります。延長戦でもルールは変わりません。


さて、「先攻」と「後攻」について。
カーリングの得点システムでは、「ハウスの中心にいちばん近い石=ナンバーワンストーンのチームにしか点数が入らない」というルールは説明しました。
と、いうことは。
このゲーム、後攻が圧倒的に有利だということがわかるでしょうか。最後に、相手の石を弾き飛ばしてでもナンバーワンストーンを確保すればいいわけですから。
ゲームの先攻後攻は、最初こそコイントスなどで決めますが、それ以降(第2エンド以降)は、
「前のラウンドで点数を獲得したチームが、次のエンドでは(不利な)先攻になる」
地味ですが、このルールが、もしかしたらカーリングのもっともコクのあるルールかもしれません。
後でもうちょっと書きますが、簡単に言うと、
「場合によっては、相手にわざと点を取らせてでも、次のエンドで後攻をとったほうが有利になることもある」
という局面が、実にしばしば現れます!まあ詳しくは後ほど。
ここでは、「前のエンドで点数をとったほうが次の先攻」ということを覚えておいてください。
また、最後にどちらの石もハウスに残っていない=引き分けのときは、先攻後攻はそのままです。


試合場、メンバー構成、ゲームの進行、点数の計算…を、ザッとですが紹介してきました。いったんまとめましょう。

  • 試合場は約40mの長さ
  • メンバーは、リード、セカンド、サード、スキップの4人。
  • 交互に石を投げ、各チーム8個ずつ投げ終わったらひとつのエンドが終了。
  • ゲームは第10エンドまで行われ、最終的により多く得点したほうが勝利。
  • 得点は、各エンドの終了時、ハウスの中心にいちばん近い石のチームが、ハウス内の相手チームの石より内側にある石の数だけ獲得する。

ルールは単純ですよねー。


あとは、ゲームに使われる道具や、観戦してて誰もが気になるところを、わかるかぎり紹介していこうと思います。


まずはなんといっても「石」。そのまんま「石」とか「ストーン」と呼ばれます。花崗岩という石でできていて、重さは20kgだそうです。これは、選手が試合のたびごとに持ち歩くわけではなく、試合が開催される会場に備え付けのものを使うということです。…そりゃまあ、1チーム8個の石を使うわけだから、合計160kgになっちゃいますもんね(笑)。
そして、たぶん誰もがカーリングの印象として持ってるであろう「ブラシ」。これでリンクの表面を掃く(スウィープする、スウィーピング)わけですが、あれは何をしてるのかというと、掃くことでリンク表面の氷を溶かし、石をよく滑るようにしているんです。


カーリングの石は、実はただ投げるのではなく、ゆるやかに回転(カール)させながら投げています。だから「カーリング」なんですね。で、なんでそんなことをするかというと、回転をかけずにまっすぐ投げると、かえってショットが安定しないからなんだそうです。ゆるく回転させることで、石は(回転の影響によって曲がっていくぶんも含めて)シューターの狙ったところに進んでいきます。シューターは、その曲がり具合も計算して石を投げてるんです。
が、40mも向こうから20kgの石を投げるわけで、狙ったところから微妙にズレてしまうこともあります。そんなときがブラシの出番です。
「スウィープすると、石は本来曲がり始めるところよりまっすぐ進みます」。
…さらっと大事なことを書いてしまった(笑)。
要するに、投げたストーンが、狙ったところより手前で曲がってしまいそうだ…と判断すると、スウィープが始まります。すると、石はそのぶんまっすぐ進んでから曲がり始めます。そうすることで、ショットのズレを修正して、狙いどおりの位置に石を運べるようになるわけですね。
あのゴシゴシしてるのには、こういう理由があったんです。


そして、試合を見ていると気になるのが「声」。みんな、なにやら叫びながらプレイしています。その意味を下にまとめます。

ウォー:掃くな
ヤップ:掃け
ハリー:すっごく掃け
クリーン:(ゴミを取るくらいに)軽く掃け

だいたいこんなところです。これは共通の用語らしいんですが、国によっては自国語で声を出すこともあるようですし、他にも「ハード(ヤップより強く、ハリーよりは弱めの意味で)強く掃け」とかいろいろあるみたいですが、自分もこれくらいしか把握してないので…(苦笑)もっと知りたい方は調べてみてください。とりあえず、ここに挙げたぶんだけでも観戦には差し支えないかと思います。


あと、声としては、日本チームの場合は日本語で「5から6」とか「9あるよ」とか言うこともあります。これは、ハウスの中心を「7」として、石が止まりそうな位置を数字で表してるんだそうですが、実は僕もまだよくわかってません(苦笑)。中心より手前の場合は数字が小さく、奥に行くに従って数字が大きくなっていきます。
「5から6」という場合はハウスの手前のほう、「9あるよ」と声が上がれば、かなり奥まで石が進みそうだ、という意味ですね。


そうそう、これらの声がけは、メンバーによって優先順位があります。「スキップ(通常4番めに投げる選手)」が司令塔として、順位が高くなります。「キャプテン」という感覚に近いかもしれません。
なので、スキップの選手は、1〜3番めの選手が投げている間は、ハウスの向こうで石のコースを確認しています。そのスキップに対し、スウィープする選手(スウィーパー)が例えば「5!」と到達予想を告げ、それを聞いたスキップが「もっとハウスの中に石を運びたい」と判断すれば「ヤップ!」、石のラインが狙いどおりになれば「ウォー!」と指示を出すのです。
スキップが投げる場合は、スキップに準ずる選手(たいていはサードらしい)が代わりに指示を出します。このスキップ代理(準スキップ)の選手を「バイス」というのですが、あまり中継では聞いたことないような…。


道具のラストは「靴」。
この靴はカーリング専用の靴で、「利き腕(石を投げるほう)と反対の足の裏」が、よく滑るように加工されています。だから、ショット時にあんなふうにツーッと綺麗なフォームで滑れるんですね。ショット時以外は、危ないので滑り止めとしてゴム製のカバーをかけています。
なお、日本にはまだいくつかしかないらしいですが、一般にも開放されているカーリング場では、逆に普通の靴につけて滑りをよくするためのカバーを貸し出ししてたりするとのこと。


前半はこのへんで。後半は、より生意気に、ちょっと踏み込んだ話なんかもしちゃおうと思ってます。。。
では、筆者これより「おやつタイム」。

「坂の上の雲」今日20時から放送SP。

pon-taro2009-11-28

いよいよだねぇ。僕の周りも、僕だけは盛り上がってるよー!
というわけで、3年後のグランドフィナーレに「なんだよ!ちゃんと見ておけばよかった!」と愚かな後悔をする人を少しでも減らすため、直前のうえこんな過疎ブログながら、「坂の上の雲」をなぜオススメするのか、そのあたりを及ばずながら語らせていただきたいと思う。


そもそもこの「坂の上の雲」は、明治時代のお話。その中でも、日露戦争という戦争を大きな山場としています。簡単に言ってしまえば、

明治維新によって近代国家に生まれ変わった日本が、わずか37年で、どのようにして強大なロシア帝国に優勢勝ちできるだけの国家を作り上げたか」

ということを丹念に描いた作品です。
まず、これが大事。
ご存知の通り、日本という国は、明治維新の前は江戸時代でした。江戸時代というのはいわゆる近世的な封建国家、これを、帝国主義的産業国家として叩き直したのが明治維新です。でも、それってつまり、どういうこと?
歴史的な意義はとりあえず脇に置いて、端的なもので示してみます。それは「技術」。その中でも、特にこの作品とも関わりの深い航海術を例にとります。


江戸時代において、日本の航海術は後退を余儀なくされました。徳川時代300年という世界史的にも希有といえる長さの平和な治世と引き換えに、日本という国は、航海術に限らずあらゆる技術的分野について、取り返しのつかないほどの停滞を強いられていたのです。
それは何故か?
徳川幕府が、徳川氏による支配を容易にするためです。対外的にもあの有名な「鎖国体制」を敷きつつ、国内的にも、原則として各地方(藩)間の勝手な旅行を禁じていました。この政策を徹底するために、徳川幕府は、移動手段にまつわる技術の研究・開発を禁止したのです。


この間、西洋では蒸気機関が発明され、海陸の交通の便が飛躍的に増しました。蒸気機関を搭載した動力船はあっという間に海上交通の主役となり、すでに大航海時代を経て植民地統治のノウハウを確立していた西欧の海運諸国(ポルトガル、スペインやイギリスなど)は、この新たな圧倒的な「文明の利器」を得て、その帝国主義的侵略をよりいっそう強固なものにしていきました。
こうした世界史的情況の中、我が日本は、蒸気機関はおろか風帆船の改良も許されず、かろうじて北前船に代表される沿岸航法が、幕府の管理のもとに認められている程度だったのです。


そんなところに、堂々たる蒸気戦艦艦隊によって江戸近海に乗り込んできたのが、あのペリー提督というわけです。
当時、日本で巨船と言われた「千石船」の排水量は約200トンほどだったが、ペリーの旗艦サスケハナ号の排水量は2450トン。ざっと12倍という、話にもならない「物量差」によって、日本が巡らせていた「鎖国」の鉄鎖は、いとも簡単に破られてしまいました。この強烈な「ペリー・ショック」は一部の国内有識者へ深刻な危機感を与え、その結果、維新後に成立した明治国家は各種産業の推進を強力に志向することになったのです。

…長くなったので簡単にまとめると、

鎖国によって世界情勢に疎くなっていた日本は、幕末になって西欧列強の国力の高さにびっくりし、追いつくためにシャカリキになって産業改革をした」

ということですね。


そんな、国を揚げての進取の時代を舞台にするのに、司馬遼太郎は3人の男を主人公として選びました。
明治日本の陸海軍で、ちょっと言葉では言い表せないくらいの大活躍をした秋山好古・真之の兄弟と、真之の幼なじみであり日本の俳句を文字通り一新した正岡子規の3人です。


まずは、上でも話題にした航海術について非常に関係の深い、秋山真之から。「まさゆき」じゃないですよ。「さねゆき」と読みます。
この真之(さねゆき)は、海軍軍人で、役職は参謀。海軍の作戦を一手に引き受ける立場にいました。
彼の業績を簡単に言うと、彼の立案した対ロシア艦隊作戦により、ロシアの極東艦隊、およびバルチック艦隊が、全滅しました。そういうことをした人です。
戦力比でいうと、ほぼ日本艦隊:極東艦隊:バルチック艦隊=1:1:1。ロシアとしては極東艦隊とバルチック艦隊を合わせて1:2で当たりたかったところでしょうが、真之は、この両艦隊が合流する前にまず極東艦隊をほぼ無傷で撃破し、続いてはるかアフリカ・アラブ・インド沖を回航(世界を半周!)してきたバルチック艦隊を捕捉・撃滅してしまいます。要するに大天才ってことなんですよ。

そんな真之は、子供のころはガキ大将。しかも、陽気に明るく引っ張っていくというタイプではなく、無口で暗い印象なんだけど、一度決めたことは何があってもみんなを引きずってでもやり遂げてしまうような、年少者からはおそれられる存在だったとのこと。
真之は、長じて海軍に入ると、古今東西の戦史戦歴をかき集め、分析し、統合して対ロシア艦隊作戦を練り上げます。その結果は…上に書いた通り。
この秋山真之を演じるのは、本木雅弘。意志の強さと神秘性を兼ね備えた、天才肌の参謀軍人にぴったりの役者さんだと思います。このキャスティングの時点で、このドラマは成功したも同然ですね。


さて、その真之の子供のころからの友人が、正岡子規。彼も、真之と同じように、古今東西のものをかき集め、分析し、統合してひとつの新しいものを練り上げました。真之にとっての対ロシア艦隊作戦にあたるもの、子規にとってのそれは、新しい俳句の確立です。
子規はもともと、あらゆる新しいものに興味を示す、好奇心旺盛な青少年期を過ごしました。学問、政治、民権論、そして、野球。日本に野球という外来のスポーツを根付かせたひとりとして正岡子規の名を記憶している人もいるかもしれませんね。
そんな好奇心旺盛な、いわば移り気な子規が、死病を自覚する前後、俳句という世界に出会います。
当時の俳句界は、ゆるやかな衰退の途上にあったそうです。幕末に流行したのは、真字(漢字)を使い、内なる志を激しくうたい上げる漢詩でした。漢詩は志士にとっての教養の一部とまでに流行しましたが、俳句は、ただ松尾芭蕉を神とも仰ぎ、隠居した老人が物好きで手を出すていどの、いわば遊芸とみなされていました。

そんな中、突然、ものすごい勢いで乱入してきた新人類が、子規でした。子規はまず、俳人たちの尊敬を一身に集める芭蕉について、バッサリと切り捨てます。「芭蕉芭蕉と崇められるが、なにも芭蕉だけが俳句のすべてというわけじゃない」と。トキワ荘メンバーに向かって「手塚先生のマンガも、本当にいいものは一握りですよ」とか言うようなものです。
こんなことを突然言い出したから、子規は当然、当時の俳壇から猛烈な反発を受けました。その攻撃を子規は受け止め、切り返し、反撃し、その中で自分の句境をより深めていきました。

正岡子規は、結核から脊椎カリエス結核菌が骨を冒す病気。骨にできる虫歯のようなものらしい…うぇぇ…)を患い、34歳の若さで苦痛の内に亡くなります。
世界のあらゆる新しい動きに敏感で、博士にも大臣にもなりたいという明るく健全な青年らしい野望の持ち主だった子規がたどり着いた句境は、「写実主義」でした。三十一文字の中で極力技巧を排し、俳人の目に写る風景を、そのまま五七五の韻律に封じ込める。若くして病床に幽閉された子規にとって、世界とは、自分のささやかな体験などの入りこむ隙のない、巨大で圧倒的な「存在」だったのかもしれません。

 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺

子規の代表作ですが、この句をよむにあたって、子規は、何よりもよく熟れた柿の甘さと、夕暮れの空に響く法隆寺の鐘の音を決して忘れぬよう、ただひたすらに純粋な風景を文字に換えることだけを目指したのではないか、そう思えます。句はそこに、写真のようにありさえすればよい。その句を見るだけで、病の床にある自分が、法隆寺を訪れた秋の日にそのまま没入できるように。
正岡子規役は、香川照之が演じます。明るく騒々しい溌剌とした子規はもちろんのこと、死病にとりつかれた晩年の子規を演じるために17キロもの減量をしたというそのシーンを予告編で見たとき、自分はこのドラマの成功を確信しました。


残るひとりの主人公、秋山好古。「よしふる」と読みます。彼の魅力は、ちょっと文章にするのが難しい。
彼の所属した日本陸軍での功績は、まったくの0から「騎兵」という兵種を育てあげ、当時掛け値なしに「世界最強」と言われたロシアのコサック騎兵隊を擁するロシア陸軍との正面決戦において、その大規模な会戦のほとんどで勝敗の分かれ目となる戦線を支え続けたというものです。

ちょっと考えると、日本には騎馬武者の伝統があるので「騎兵を0から育てる」というのは奇異にうつるかもしれませんが、あにはからんや。日本史を通じて登場する騎馬武者と、近代陸軍における騎兵の役割とは、全く違うそうなのです。

華麗な武者鎧に身を包み、馬上高く名乗りをあげ、槍をしごいて敵陣に突入する…日本的な騎馬武者というのは、単に「馬に乗った高級将校」というだけのものでした。馬というのは、道具ではなく、むしろ身分や地位の象徴のものだった、と言えます。
対して西欧的な近代陸軍における騎兵とは何か…教官を勤めていた陸軍士官学校で、好古は、それを説くために突然ガラス窓を拳で叩き割ったといいます。ガラスは粉々に砕け散りますが、好古の拳も傷つき、真っ赤な血が流れます。

騎兵とは、その機動力と攻撃力をもって敵陣の急所に猛攻し、騎兵部隊の壊滅と引き換えに敵陣全体に致命傷を与える…というもの。こうした騎兵運用はナポレオンが開発し、後には馬が戦車に替わってなお受け継がれたという、歩兵どうしの白兵戦闘こそが合戦だと認識される日本の軍隊にはまったくなかった思想でした。
その思想がないということは、陸軍の軍制においても、専門兵種としての騎兵隊を構築するという発想がなかったことを意味します。回りくどい言い回しをしていますが、具体的にいうととても簡単なことです。
そもそも、日本陸軍には、騎兵隊を組織するのにじゅうぶんな馬すらいなかった。
つまりは、そういうことなんですね。

運用思想も馬すらもいないのに、「西欧には騎兵というものがあるらしい」というだけの認識で、好古は「その騎兵をつくれ」と命じられます。そして好古はガラスを拳で割る以上の懸命の努力を注ぎ、みずから騎兵を作り上げ、世界に冠たるロシア陸軍と互角以上に渡り合うという瞠目すべき結果を残しました。
…と、これだけでは好古は根っからの職業軍人のようですが、その指揮法は、例えば「今の陣地を防衛せよ」と簡単な命令を伝えると、あとは敵の銃弾が飛んでくる最前線まで出ていって、大好物の酒を飲みながら寝っ転がっていたそうです。服装や軍規にも厳格ではない、豪放磊落という形容がぴったりな人だと描かれています。
その秋山好古を演じるのに、阿部寛以外の役者は想像もできません。このドラマが失敗するはずないですよね。


…と、長々と語ってきましたが、「坂の上の雲」の最大の魅力は、その中で描かれる「青春」にあると思います。「青春」とは、真之の、子規の、好古の青春であると同時に、この日本の、明治国家という国そのものの青春期であるのです。
司馬遼太郎は、この作品の単行本第1巻のあとがきで、「明治時代特有の明るさ」を「楽天主義」としたうえで、こう書いています。

楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」

ここで述べられている「楽天家」とは当然秋山兄弟や子規らを指していますが、自分には、明治日本そのものがそういう時期にあったのだ、と思えます。

若く、未来を疑わず、明日を信じてひたすらに進む。日本にもそんな時代があったんだなぁ、と、原作小説を読むと、いつもそう感じます。


NHKドラマスペシャル「坂の上の雲」。たぶん、見て損はないはずですよ。