いやあ、出だしが快調だったんだけれども、ねえ。サルの話になってから、大凡庸になった。なんでこんな展開にするのだろう。サル社会がヒト社会の原型になっているというのは、おおきな勘違いで、人間社会の遠近法でサルの集団を見ているだけだというのに。ああ、がっでむ。


  

これが賢儒か

 
  エビスさんは、ますます孔子っぽいひとに思えて来るねえ。ていうか、孔子がエビスさんっぽいのではないかな。エビスさんの生存戦略は正しすぎる。エビスさんの意図を超えて、これでバカや既知害は寄ってこないと思う。エビスさんに弟子がいないのが不思議。
 

 

ほかした話ですよ

 
 2冊目。むかし話は理不尽(な設定)だ。オトナの世界は理不尽(な決着)だ。ふたつの理不尽が重なるとき、マイマイはプラスになるように、チョー常識的な物語になる、かも。得がたいアヒルの子のお話と、みっつの願いのお話と、アリキリイモ虫のお話がお気に。
 

 

すかした話ですよ

 
 うはは、こういう五味太郎って、もう本領だよね。各話ごとにレイアウトやフォントまで違うのは、唸っちゃう。こういうことしてくれる人って、居そうで、ぜんぜんいないんだよなあ。童話をひねってオトナ向けのブラックユーモアに仕立て上げられようとするのをすり抜け、シュールでシニックに着地させるのは、達意の芸域。

空はこんなに青いのか。。。

 
 もう四半世紀前の本なんだけれども、原田宗典の詩集ということでひもといたのだけれども、出だしの何編かは快調だったのに、途中から単なる中年オトコのぼやきになっていって。。。これが、大正・昭和初期の文士だったら、詩になるのにな。
 

斜めから覗く

 
 いやあ、不思議で、奇妙で、素晴らしい本だなあ。スコープオブジェって、はじめて知ったよ。このミクロで世界が広がる玄妙な美術に、長野まゆみのナラティブがなんと似合うことよ。

笑うぼっちには、福来る

 
 エビスさんの生き方っていうのは、近代的な世俗人ということができるけれども、エビスさんのいう「ひとりぼっち」というのは、現代的頽落を拒否した態度であるのだろう。エビスさんの対極にいるのは、前近代的な頽落的人格ということになりはしまいか。頽落を笑うな、なんて本が出るかも。