地震予知
占いによる地震予知は可能だろうか。改めていくつかの側面から考えてみたい。
1.実は占いが当たっていたという発言は、当たっていないことの証明である。
地震が起きてから、「発表していなかったが」とか「こう解釈すれば当たっていた」などということを言い出す占い師がいる。これは、要するに当たっていなかったということなのだ。普段から占いは当たるということを証明するのに必死なのに発表していないというのはおかしいし、別の解釈を持ち出さなければ当たったことにならないというのは、要するにはずれていたということだろう。
2.時期ははずれたが、方位は当たっていたなどという言い訳
人との待ち合わせをすっぽかしてしまったとき、場所はあっていたが、時刻が違っていたなんて言い訳が許されるだろうか。自然科学の分野での有効な予知とは、「発生確率は50%以上、発生時刻の精度は一日以内、発生場所*1の精度は50km以内*2」だとする立場もある。自然科学は帰納法だから完全に正しいとは言えないが、占いは演繹だから正しい等ということをいう占い師は、これくらいの精度で地震を予知するべきだろう。
作られた記憶
記憶というものは案外いい加減で、鮮明な記憶でも改変されている。サヴァン症候群等でまれに非常に正確な記憶を持つ人もいるが、ほとんどの人の記憶は本人が言うほど当てにならないものである。
以前、「自分は体の分類が『○種』だから*1自分は時間が止まっており、一度見た動作はビデオテープのように色々な角度から正確にイメージとして再現できる」という人にあった。サヴァン症候群なのかと思ったが、記憶が正確というのは本人の思い込みらしい。言っていることも都合よく変わるし、何より本人の言葉が間違いだと裏付けている。記憶が正確なら『色々な角度から再生』できるわけがないのである。これは完全に本人が想像したイメージだろう。
*1:よくわからない分類だった
データを見ましょう
ある占い師が「東京より福岡の冬は遥かに寒く、その理由は福岡が東京より北にあるからだ」という。
まず、本当に北にあるか調べてみる。
東京都庁 35度41分22.157秒(35.689488)
福岡県庁 33度36分23.674秒(33.606576)
県庁の位置で比較してみたが、福岡の方が南にある。
平均気温を比較してみる。
http://www.empire-mansion.com/fukuoka/47/index.php
こちらのページによると、昭和46年から平成12年までのデータでは、11月の福岡の平均気温は6.4℃、東京は5.8℃と少し福岡の方が暖かい。
地形や風の強さなども考えなければならないが、単純な比較では東京より福岡の方が少し暖かいだろう。占い師とはやはりデータを見る気がない人なのだと改めて悟った。
ある集落の非合理的な習慣
とある研究者が、某国の集落を尋ねたときに奇妙な習慣について目にした。尋ねると、病気になったときある特定の姿勢で座って何度か特定の動作を行い、しばらくすると体が勝手に動きだすのだという。また、これにより病気が治るのだという。
なんとも不思議な話だ。この話を信じる人はどれぐらいいるのだろう。
ところで皆さんは、この某国の集落とはどのようなところだと思うだろうか。
答えは日本である。ある整体が効くという人の話である。
先入観を除いて聞くといかにおかしなことかわかるだろう
その占いは思い込みでした
数年前のことだが、ある占い師によれば、「自分の占いで社会がどんどん悪くなり、特に少年犯罪が増えていることがはっきり出ている」のだそうだ。確かにその頃、マスコミが少年犯罪を煽っていた。しかし、データを良く見ると少年犯罪は減っていたし、凶悪化もしていなかった。マスコミに煽られて思い込みを言っていただけ、あるいは占いが全く当たらないことを証明しただけなのである。
