なぜスライドギターか

僕はスライドギターが好きです。
自分でも弾いていますし。


なぜ、スライドか?
一言でいうと気持ちいいから、です。
生理的快感も高いですよね、あのひゅーんと言う音が。
通常のギターではありえない、経過音も聞こえるというのも
大きいかもしれない。フレットレス状態ですから。


ジョージ・ハリスンの甘いスライド。
ローウェル・ジョージの粘るスライド。
ベン・ハーパーの野性味あふれるワイゼンボーンでのスライド。
みんな快感です。
デュアン・オールマンは「レイラ」でしか知らないけれど
あの天空を舞うようなスライド、やはり快感です。

そして、僕を決定的にスライドはスゲー、に引きずり込んだのは
フレッド・マクダウェルという、ブルーズマンのプレイ。
ほとんどワンコードで展開される曲を、メロディアスにではなく、
ファンキーに引っ張っていくスライドギター。
このテンションと緊張感にぶっ飛びました。
呪術の祭祀の道具としてのスライドギター。
圧巻です。
こんなにもヤバイ音が出せるとは。


僕がこんなにもスライドに惹かれるのは、
スライドを使ったギタープレイに、何か根源的なものが
含まれているからだと思うようになりました。
なんだか、言葉や叫びそのものに思えるのです。
スライドを使ったギターの音は。音色は。
そして僕の、今の気分を伝えるのに、きっと合っているのだろうなぁ。
これからも、スライドを聴き続けるし、弾き続けるのだと思います。
もっと、根っこに迫れるように。

ビートルズのレコーディング魂

ジェフ・エメリックというレコーディングエンジニアの書いた
『ザ・ビートルズサウンド 最後の真実』という本を読みました。

ジェフ・エメリックという人は、全盛期のビートルズ
エンジニアをしていた人です。
もちろん、ビートルズ後も現役の第一線でずっとやってきた人で、
エルビスコステロなどとも一緒に仕事をしている人です。

この本は、タイトルの示すとおり内容の8割はビートルズ
レコーディングのことについて、書かれています。
技術的な細かいことを書くのではなく、僕らにもわかるように平易に、
面白く書かれた本です。

僕は色々な種々雑多な音楽が好きですが、
ビートルズ」「ビーチ・ボーイズ」「キンクス」「マイルズ・デイヴィス」
という4組の音楽家には、ただ単に「好き」以上の敬意や影響や、
その他もろもろ、色々なものを頂いています。

僕が最初に買ったロックのシングル盤は14歳の時に買った
ビートルズの「イエロー・サブマリン/エリナーリグビー」の
シングル盤でした。
もう夢中になって聞きました。
曲や演奏もものすごくいい。
でも、曲に挿入された効果音やダブルトラックなどの
レコーディング特殊効果に早くから心を奪われていました。
なんで同じ人の声が右と左別々なパートを歌っているんだろう。
何でこんなことが出来るんだろう。
考えてみたら、ロックというものに最初に触れたときから、
レコーディング自体のマジックに心を惹かれていたのです。
イエローサブマリンの海の中のぶくぶく、とか曲も好きだけれど
その効果音を聴きたいがために毎日のように、
そのシングルを聞いていました。
中学生は金なんぞないですから、シングル盤一枚といえども宝です。

そして、そんななぞが自分もレコーディングというものに、
手を染めるようになってから、少しずつわかっていきます。
「あーポールは、こういう風に音を作っていったんだ。」
「リヴォルバー」のあれはこのエフェクターをこうすると出来るんだぁ。
なんてことが。
また、ビートルズファンなら必携のもう一つの大著、
ビートルズ・レコーディングセッション」という
レコーディング日誌のような詳細なデータ本にも
その辺は詳しく書かれていたので、奇術の種明かしを見るような気分で、
彼らの音がどういう風に作られたのか、興味深く知りました。

この、ジェフ氏の本には、技術的なこともさることながら、
レコーディング時のメンバーの様子や人間関係なども
ことこまかに書かれていて、当たり前といえば当たり前なのですが、
レコーディングする時の環境や人間関係、気遣いって
大事なんだよなぁ、ということをリアルにわからせてくれます。
もっとも、それが音楽的成果と直に結びつかないのが
面白いところでもありますが。

ホワイトアルバム」を録っているときはメンバー間の対立が絶えず、
この本の著者・ジェフ氏もうんざりしてレコーディングエンジニアを
降りてしまいます。
しかしアルバム自体は傑作。
僕の個人的ビートルズナンバーワンアルバムは
ホワイトアルバム」です。
しかし、これを録っている時にここまでビートルズの中が
険悪だとも思いませんでしたが。
よくない、というのはわかっていつつも。そんなところも面白い。

彼が書いていることで一番心に残ったのは
まずは曲がいいことが一番大事。
後からどんなにいじったって、よくない曲をそれ以上のものにすることは出来ない。
彼はビートルズと一緒に作り上げてきた人ですから、
ビートルズの曲に対する評価も、結構しっかりしています。
彼にとってよくない曲に対してははっきりと「よくない」と書いています。
そういうところもいいな、と思います。
僕の好きな曲が「よくない」と書いてあると「なんで?」と思いますが。

そして、「録り音」命!なところ。
これもよくわかります。
もちろん彼も色々なレコーディングテクニックやギミックを使っています。
というか、今に至るレコーディングのギミック、トリックの多くを
彼が作り出したといっても過言ではないのです。
でも、そんな彼が言う言葉だからこそ、重みがあります。
音を出して、それを録音した瞬間の音の勢い、新鮮さ、面白さ、
それに勝るものはない。
もちろん後から色々加工するのだけれど、
最初のそれを越えることはない。
後から何とかしてよくしようという考えは基本的に間違いだ、
と言っていること。
最近、コンピュータを使ったレコーディングに根本的な疑問を
抱いている僕には、大いにうなずけることばかりです。
今、コンピュータを使ったレコーディングでは、
ほぼ無限にトラックを使えますが、ビートルズは、ジェフ・エメリックは
たったの4つしかトラックを使えないレコーダーで
「リヴォルバー」を「サージャント・ペッパー」を、録音したのです。
そのアレンジ力、演奏力、ここ一発にかける、集中力をこそ、
僕らは見習わなければいけないと思います。
無限に使えるトラックは、結論を先延ばしするだけです。
修正されまくった演奏は、ライブでの演奏力を低下させるだけです。

この本を読むとビートルズと一丸になった、周りのスタッフ達も
常に最高のものを、過去のものを突き破ろうという気概に
満ちていたことがわかります。
久々に「リヴォルバー」をかけながらこれを書きました。
最高っす、本もアルバムも。

レコーディング魂を、作曲家魂をいたく刺激されました。
僕も僕なりの作品で答えを出しますよ!
いえ〜。

今夜は音楽観光

ははは。
もう、今日の今日。今夜です、音楽観光。
桜も咲いていますね。うれしいぞぉ。


私・いしはらの主宰イベントのお知らせです。
4/1 音楽観光 第3回 at 高田馬場天窓
http://www.otonami.com/tenmado/news/
18:30 開演 1500円。

MonkeyMelon リトルダラニスキー
mico はらいそ 
いしはらとしひろwithあきら


これで面白くならないわけがありません。
祭りです。
エンタメ心と歌心の合体です。
ぜひ、遊びに来てください。


仲間のシンガーの曲を紹介するポッドキャスト番組
風ラヂヲスペシャルチャンネルで
http://kazeradio.seesaa.net/
明日出演のMonkeyMelonの曲が今日、明日と聴けます。
リトルダラニスキー、はらいその曲も紹介中!
こちらもよろしかったらチェックしてみてください。
一緒に楽しめたらうれしいっす!
ありがとうございます。

My Space はごった煮で面白い

MySpaceってご存知ですか?
いや、知っている方もきっと多いですね。
音楽に特化したSNSというか。
アメリカでは最大のSNSだそうです。
日本版も昨年の秋から始まってます。
僕も2月の下旬から始めたのですが、
ミュージシャンにとっては、実に使いやすく、
かつおもしろいSNSです。


日本では最大のミクシィにも入っているのですが、
そしてそれなりに楽しんでいるのですが、
最近では滞在時間がMySpaceの方が
だいぶ多くなってしまいました。


ミクシィは基本的に招待性ですから、
変な人に会う確率は低いです。
顔見知りがマイミクであることが多いので、
あまり過激な発言もしません。
するとしてもオブラートにくるみます。
その辺、MySpaceのほうがおおらかというか
ワイルドというか。


ミクシィは快適だけれど、ちょっと閉じた島、
という気がするのです。
十二分に楽しんでいるので文句ではないですが。
MySpaceでは、ミクシィで言う「マイミク」が
「フレンドリクエスト」という形で行われます。
これがもう、いとも気軽にバンバン飛び交うのです。
基本的なフレンドに対する感覚が違うというか。
ミクシィで言う「足跡を残す」感覚でフレンドを
増やしていく感じです。

このMySpaceでは、まだ始まって
半年も経っていないにもかかわらず、
この中で急速に人気を伸ばしているミュージシャンもいます。恐らく半年前まではやっている音楽は上質にしても、
お客さんの動員はそうでもなかったろうな、
と思われる方が、がんがんフレンドを増やし、
支持を集め、ライブ動員なども増やしている
ということです。
もちろん、すごい努力をなさっていると思いますが。

アーティスト登録というのをすると、
曲も4曲までプロフィール欄にアップできます。
誰かがページを訪れると自動的に曲がかかる仕組みなのです。
ちなみに私のMySpaceのアドレスはこちらです。
http://www.myspace.com/ishiharatoshihiro
ミクシィと違って会員でなくても誰でも見られます。
よろしかったらどうぞ。
僕は面白いと思いますよ、MySpace


しかし、すっかりコマーシャルだよな。
MySpaceの関係者でもないのに。
ははは。

いとしのチャボさま〜中年ギタリストからのラブレター

最近ギタリスト話が続いていますが。


僕も中年音楽愛好家のご多分に漏れず、
あまり最近の音楽に詳しくありません。
最近の人、といえるミュージシャンできちんと聴いているのは、
ベン・ハーパー、ジャック・ジョンソン、G・ラブ 
くらいのもので、あとはなにがなにやらな感じ。
わかりません。
こんなんじゃいかんと思って、たまに新しい音にも
トライしてみるのですが、「あいたたた」と
思って終わることがほとんど。
感性の老化、と呼んでくれという感じです。


まぁ、どっちでもいいのですが。
結局好きな音しか聴かないのだし。


で、ギタリスト、なのですが、
『最近の人気バンド』はありますが、
『最近の人気ギタリスト』って、だれか思い浮かびますか?
ギターマガジンの表紙が、未だにリッチー・ブラックモアだったり、
ジミー・ペイジだったりするのを見ると、かなり頭がくらくらしますが。
そう、ギタリストっていないんですよね、
存在感を音で放つような人が。
有名ではないけれど、僕の身の回りにいる
ミュージシャン/ギタリスト達のほうが、
よほど個性的な『音によるサイン』を僕の耳に残しています。

そんな中で、今日は日本のギタリストで、この方を。
チャボ、こと仲井戸麗市です。 


彼には憧れました。
僕が高校生の頃がRCサクセションのブレイク期。
高校一年のときが『ラプソディ』のヒットですから、
高校3年間はRCと共に育ったようなものです。
もちろんヴォーカリストの忌野清志朗は大好きだったのですが、
それ以上にギタリストの仲井戸麗市(以下チャボ)に夢中になりました。


だってさ、かっこいいんだもん。ギターを弾いている姿が。
もっている姿が。


僕が3本目に見た『ロックのライブ』は
僕の高校の近くにあった相模女子大学の文化祭に来た
RCサクセションでした。
そのオープニング、まずはチャボが一人で出てきて
客をあおり倒し、アドリブのフレーズから
「よぉ〜こそ」のイントロへつながるあのかっこよさ。
ロックっす。
その時は2曲目が『ロックンロール・ショー』で、このリフがまた...高校二年生の脳みそをショートさせるには十分でした。


チャボは古井戸時代もすごいし、RC以降のソロ活動も
もちろん好きです。
作曲家、シンガーとしてのチャボもすばらしいのですが、
僕にとってはやはり『ギタリスト』なのです。
それもRCのギタリスト。
こっちもいい中年になってしまった今でも、
『憧れる人』なのです。

小心者の不良にすらなれない一見まじめ風、でも
はずれ者のぼくにとって、「ヤンキー」とは違う線の
「かっこいい不良」、しかも柔らかい心に突き刺さる
ギターを弾くやつ。
憧れずにいられましょうか。


ギタリストとしてのプレイの分析などもしようと思ったのですが、
そんなことどうでもいい。だって未だに
「かっこいい憧れのギタリスト」なのですから。
「好きだ」だけで十分なのです。


なんか女の子へのラブレターよりもべたべたな感じだな。
5年後にこの文を読んだら赤面するかも。


彼のギターを聴いていなかったら、今、
こうやって音楽を続けているかもアヤシイものです。
心から感謝です。


いつの日か、チャボと競演したいです。
そんな日が来るように、日々鍛錬です。


いしはらとしひろ
http://www.sagaminokaze.com/main.htm

RHAPSODY NAKED (DVD付)

RHAPSODY NAKED (DVD付)

今日は自分のイベントを

いしはら、季節はずれの寒さに
めげそうになりつつも
歌に仕事にまい進です。


今日は自分の主宰する音楽イベントのお知らせです。
4/1(日) 音楽観光 第3回。
東京・高田馬場天窓
会場地図はこちら
   ↓
http://www.otonami.com/tenmado/news/

18:30 開演 1500円。
スタイリッシュなポップ・MonkeyMelon 
センスがにくい・リトルダラニスキー
夕暮れの音・mico 
一人花やしき・はらいそ 
おっさんと青年・いしはらとしひろwithあきら
という濃いメンツでお送りします。


音楽観光は、その名の通り、
『観光気分で楽しく音楽と触れてほしい』
という思いと
『ステージから放射されるアーティストの光を共有しよう』という二つの想いをこめています。


エイプリルフールにちなんだ
「あれ」もありますよ!
間違いなく楽しい夜になるはずです。
わたしは一年半ぶりに
元お気楽のあきら君と一緒に演奏します。


最近、わたしの「よろこびのうた」が着うたになったり、
仲間のシンガーの曲を紹介するポッドキャスト番組
風ラヂヲスペシャルチャンネル
http://kazeradio.seesaa.net/
が好調だったりと、
いいかんじです。

一緒に楽しめたらうれしいっす!
ありがとうございます。


相模の風 いしはらとしひろ
http://www.sagaminokaze.com/main.htm

ギタリストとしてのニール・ヤングは子供の絵日記

ニール・ヤングをギタリストとして評価する人が
どれくらいいるのでしょうか?
ソングライターとして、シンガーとして好きな人は
たくさんいるだろうけれど、
ギタリストとしてはどうなのでしょう。

僕はニール・ヤングのギタープレイが大好きです。
いわゆるテクニシャンではありません。
ヴォーカルスタイルと同様に、というと語弊があるかもしれませんが。
二ールの場合、テクがどうこう、というのは
ホントにどうでもいい気がします。
もちろん、テクがないわけではないし、きっとそういう部分での
向上も心がけているのだと思いますが、彼のギターの場合、
なにがって「歌心」なのです。

ニール・ヤングは、僕にとってはソングライターの部分が一番大きい人で、
いい曲を作る、創れる人/ニール・ヤングというのが、僕の認識なのです。
そしてギタリストとしてのニールというのは、
そのソングライティング力のすばらしさがそのまま出ている、
たどたどしいけど美しいメロディアスなフレーズを弾くギタリスト、
なのです。

また、愛器ファルコンのトレモロアームを使った極端なまでのビブラート。
これが「来る」のですよ。心の柔らかい部分に。


ジェフ・ベックのようなテクニシャンでぶっ飛び、というのも好きですが、
心の奥に入ってくるのはこういうギターなんですよね、僕の場合。


ニール・ヤングのことを書いた、別の回の『血液だ』では、
ニールのことを、ロックの北京原人だ、と書いたことがあります。
アーティストとしては、振幅の大きい、
なたで荒野をぶった切って進むような、そういうところも魅力なのですが、
ギタリストとしてみると、かなり繊細な
子供の頃のヴォイスを忘れていない人なんだな、と思います。

24色の色鉛筆で描いた夏休みの絵日記。
うまいへた、とか綺麗な音じゃない、とかそういうものを
一度取っ払って、ニール・ヤングのギターに虚心に耳を傾けてください。
遠くまで連れて行ってくれますよ、きっと。


相模の風 いしはらとしひろ
http://www.sagaminokaze.com/main.htm