ようやく一般逆行列の話に戻ります。
最小ノルム形一般逆行列
線型写像 において には で計量を与えて計量空間とする。 のとき、 に対して を満たすもののうち が最小なものを考える。
行列 の QR 分解 (P は置換行列)を作れば
と表せる。ただし () は下三角行列で (i = 1 , … r) を満たす。
これに行基本変形を施すことで、結局
と出来る。そこで方程式系 を
… (*)
と書きかえる。ただし 。
だから
において
である。したがって、
は (*) を満たし、この中で特に
なるものが最小ノルムの解を与える。そこで
(ただし は 型、 は 型で任意)
とおけば である。この を最小ノルム形一般逆行列という。
さて、 の補空間 について以下のことがわかる。
簡単な計算で
がわかるから である。このことから が成り立つ。すなわち、一般逆行列に関する の補空間の取り方として、最小ノルム形の場合は の直交補空間を取らなければならないことになる。一方で の補空間の取り方には自由度が残るので、S を適当に取り換えることで
(ただし は 型で任意)
と書きなおせる。