小市民 -数学徒編-

日常会話でついつい 数学用語が出る ああ〜数学徒〜
x, y って見ちゃうと 未知数だと思う ああ〜数学徒〜
買ったはいいけど 読んでない数学書が多い ああ〜数学徒〜
計算用紙を読み返しても 意味がわからない ああ〜数学徒〜

卒論がないからと 高をくくってたら
修士論文書くときになって ジタバタしてる
論文読もうと 院生室にこもったが
理解ができないまま 夜が明ける
セミナーの発表の 準備が間に合わず
質問責めで 半泣きになる 数学徒

わかっちゃいるけどやめられない
ああ〜やめられない〜

難しい数式読めるけど 暗算は苦手 ああ〜数学徒〜
自然数に 0 を入れないと 怒り出す ああ〜数学徒〜
選択公理と同値な命題 たくさん知っている ああ〜数学徒〜
飲み会の宴会芸で 5-lemma やる ああ〜数学徒〜

一つの球が 同じ大きさの
二つの球に分かれると 嬉しくなる
可換な図式を 追い回し
完全系列見つけて はしゃいでる
連続で微分ができない 関数を
ドヤ顔で披露して 引かれる 数学徒

掛け算の順序が 違うだけで
バツにされるのおかしいと 息巻いてる
算数の図形の 問題なのに
大人気もなく 積分使う
無意識に等式を 書き始め
途中までしか知らない 数学徒

一年の間で 三秒だけ
天才だと 思い込む 数学徒

わかっちゃいるけどやめられない
ああ〜やめられない〜
ああ〜数学徒〜

思いついたら続き書きますw

追記 : 続き出来たw

追記 2 : 実際の「小市民」の歌詞に合わせて微調整。

追記 3 : 原曲を確認して抜けていた部分があったので再度修正。

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 7)

半群の交換法則の一般化

(A,\alpha) を可換半群とするとき, 交換法則 a\alpha b=b\alpha a を一般化します.

命題

m,n\in\omega,m\lt n とし, a_0,a_1,\dots,a_n を可換半群 (A,\alpha) の台集合 A の元とし, \sigma\in S(n^+)(=S(\{0,1,\dots,n\})) とするとき
{\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i={\prod_{i=0}^n}^\alpha a_{\sigma(i)}
が成り立つ.

(証明)

これは自然数 n に関する命題 P(n) である. n=0 のとき S(0^+)=S(1)=1^1 であるから \sigma(0)=0 であり, P(0) は成り立つ. P(n) が成り立つと仮定して P(n+1) が成り立つことを示す. \sigma\in S( (n+1)^+ ) とする. \sigma(n+1)=n+1 なら帰納法の仮定により
\begin{align}{\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_{\sigma(i)}&=\left({\prod_{i=0}^n}^\alpha a_{\sigma(i)}\right)\alpha a_{n+1}\\&=\left({\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i\right)\alpha a_{n+1}\\&={\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_i\end{align}
である. \sigma(n+1)\ne n+1 ならば \sigma(n+1)=k\lt n+1, また m\lt n+1\sigma(m)=n+1 となるものが確定する. さらに
\sigma[\{0,1,\dots,n\}]=\sigma[n^+]=(n+1)^+ -\{k\}\ni n+1
なので、\tau\in S(\sigma[n^+]) を適当に取れば \tau(\sigma(n))=n+1 のようにできる. 故に P(n) が成り立つことと \alpha に関する結合法則と交換法則によって
\begin{align}{\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_{\sigma(i)}&=\left({\prod_{i=0}^n}^\alpha a_{\sigma(i)}\right)\alpha a_k\\&=\left(\left({\prod_{i=0}^{n'}}^\alpha a_{\tau\circ\sigma(i)}\right)\alpha a_{n+1}\right)\alpha a_k\\&=\left({\prod_{i=0}^{n'}}^\alpha a_{\tau\circ\sigma(i)}\right)\alpha(a_{n+1}\alpha a_k)\\&=\left(\left({\prod_{i=0}^{n'}}^\alpha a_{\tau\circ\sigma(i)}\right)\alpha a_k\right)\alpha a_{n+1}\\&=\left({\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i\right)\alpha a_{n+1}\\&={\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_i\end{align}
となる. ここに n'(n')^+=n をみたす自然数であり, \{\tau\circ\sigma(0),\dots,\tau\circ\sigma(n'),k\}=\{0,1,\dots,n\} である. よって P(n+1) の成り立つことが示されたから, 帰納法は完成する.

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 6)

半群結合法則の一般化

(A,\alpha)半群とするとき、もちろんですが (a\alpha b)\alpha c=a\alpha(b\alpha c) が成り立つわけですが、これを一般化します。

命題

m,n\in\omega,m\lt n とし, a_0,a_1,\dots,a_n半群 (A,\alpha) の台集合 A の元とするとき
{\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i=\left({\prod_{i=0}^m}^\alpha a_i\right)\alpha\left({\prod_{i=m+1}^n}^\alpha a_i\right)

m\lt n なので n=m+k+1,k\in\omega が成り立ちます。したがって命題の結論の式は意味を持ちます。

(証明)
n=0 のとき m\lt n なる自然数は存在しないので命題は成り立つ。n のとき成り立つと仮定すると定義によって
{\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_i=\left({\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i\right)\alpha a_{n+1}
である。m\lt n+1 に対して m\lt n もしくは m=n であるが、m=n ならば
\left({\prod_{i=n+1}^{n+1}}^\alpha a_i\right)=a_{n+1} なので命題は成り立つ。m\lt n のときは仮定により
{\prod_{i=0}^n}^\alpha a_i=\left({\prod_{i=0}^m}^\alpha a_i\right)\alpha\left({\prod_{i=m+1}^n}^\alpha a_i\right)
なので
\begin{align}{\prod_{i=0}^{n+1}}^\alpha a_i&=\left(\left({\prod_{i=0}^m}^\alpha a_i\right)\alpha\left({\prod_{i=m+1}^n}^\alpha a_i\right)\right)\alpha a_{n+1}\\&=\left({\prod_{i=0}^m}^\alpha a_i\right)\alpha\left(\left({\prod_{i=m+1}^n}^\alpha a_i\right)\alpha a_{n+1}\right)\\&=\left({\prod_{i=0}^m}^\alpha a_i\right)\alpha\left({\prod_{i=m+1}^{n+1}}^\alpha a_i\right)\end{align}
で成り立つ。□

諸君、私は数学が好きだ

諸君、私は数学が好きだ
諸君、私は数学が好きだ
諸君、私は数学が大好きだ

集合論が好きだ
代数が好きだ
位相空間が好きだ
圏論が好きだ
統計学が好きだ

中学で
高校で
大学で
研究室で
独学で

この地上に存在するありとあらゆる数学が大好きだ

選択公理が好きだ
球がそれと合同な二つの球に分解できたときなど心がおどる

チェイン複体が好きだ
完全列になったときなど胸がすくような気持ちだった

分離公理が好きだ
ハウスドルフ空間だったときなど感動すらおぼえる

正規空間などもうたまらない
第二可算公理を満たせば距離付け可能なのは最高だ

数学なんか役に立たないと言っていたのを
暗号理論でやりこめた時など絶頂すら覚える

複素数が好きだ
二次方程式の判別式が負のときに解なしにされるのはとてもとても悲しいものだ

積の可換性が好きだ
積の順序が違うという理由で不正解にされるのは屈辱の極みだ

諸君 私は数学を 宝石の様な数学を望んでいる
諸君 私に付き従う数学好きの諸君 君たちは一体何を望んでいる?
更なる数学を望むか 
糞の様な数学を望むか?
自然科学の頂点に立つ女王のような数学を望むか?


数学!! 数学!! 数学!!


よろしい ならば数学だ

だが、キャンパスの隅で女子の少なさに耐え続けて来た我々には
ただの数学ではもはや足りない!!
大数学を!! 一心不乱の大数学を!!

我々はわずかに小数
物理学徒に比べれば物の数ではない
だが諸君は一騎当千の数学徒だと私は信じている
ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人の研究者集団となる
我らを忘却の彼方へと追いやり、数学が嫌いなのを文系だったせいにする無学系を叩きのめそう
髪の毛をつかんで引きずり下ろし 眼(まなこ)をあけて思い出させよう

連中に数学がこの世界を支えていることを思い出させてやる
連中に数学がなければ暮らしが成り立たぬことを思い出させてやる
数学には奴らの哲学では思いもよらない美しさがある事を思い出させてやる
1000人の数学徒の集団で 世界を数式で埋め尽くしてやる

目標 文学部

人類皆数学徒作戦 状況を開始せよ

征くぞ 諸君

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 5)

今回は後々使う事実からまず証明していきます。

定理

{a,b}{\omega} の元とするとき
{a\geq b\Leftrightarrow\exists c(c\in\omega\wedge a=b+c)}

(証明)
右から左に関しては {b\geq b,c\geq 0} から
{a=b+c\geq b+0=b}
なので成り立つ.
左から右を示すため命題 {P(n)} として
{n\geq 1\Rightarrow\exists m(m\in\omega\wedge n=m^+)}
を用意し, まずこれを示す.
{P(0)} は真である. {P(n)} が成り立つと仮定する. このとき {n^+=n+1\geq 1} であり, {m} として {n} をとればよいから {P(n^+)} も成り立つ.

さて {a\geq b} とし,
{S=\{n\in\omega|b+n\geq a\}}
とおく. {b+a\geq a} であるから {a\in S} なので {S\ne\emptyset}. {\omega} が整列集合であることはすでに示したので {\min S} が存在する. これを {c} とおく.
このとき {b+c\geq a} であるが {c=0} ならば {b\geq a} となり, {a\geq b} と合わせて {a=b=b+0} であるから成り立つ. {c\gt 0} ならば {c\geq 1} だから, 先に示した命題により {c=d^+} を満たす {d\in\omega} が存在する. {d\lt d^+} だから {d\not\in S} なので
{b+d\lt a\leq b+d^+=(b+d)^+}
となり {a=b+d^+=b+c}. (終)

この定理と、自然数の大小に関して
{a\gt b,a=b,a\lt b}
のうちのどれか一つだけが成り立つことを合わせると、任意の二つの自然数 {a,b} について
{a=b+c(c\in\omega-\{0\}),a=b,b=a+c(c\in\omega-\{0\})}
のどれか一つだけが成り立つことがわかります。(続く)

はてなブログに移行します

この度はてなブログに招待していただいたので、様子を見ながらはてなブログの方へ移行していこうと思います。まだちょっと不具合もあるようなので、当面はこちらも継続します。

はてなブログ「Red cat の数学よもやま話・新装開店」
http://mathneko.hatenablog.com/

円周率を解析的に定義する(後編)

長くなりそうなのでセクションに分けていきます。

指数関数と指数法則

級数 \sum_{n=0}^\infty \frac{z^n}{n!} の収束半径は無限大です。そこで任意の z\in\mathbf{C} に対して \exp z:=\sum_{n=0}^\infty \frac{z^n}{n!} と定義します。e:=\exp 1 とおくと、任意の実数 x に対して \exp x=e^x が成り立つため、複素数 z に対しても \exp z=e^z と書きます。ここで大事なことは、指数法則
e^{z+w}=e^z e^w
が成り立つことです。証明は省略します。

三角関数の加法定理

\exp z の定義式で ziz に置き換えると
e^{iz}=\cos z+i\sin z … (1)
が成り立ちます(前編で定義した三角関数は変数が複素数でも定義できます)。(1) で z\to -z と置き換えると
e^{-iz}=\cos z-i\sin z … (2)
が成り立つので、(1) と (2) を辺辺掛けて
\cos^2 z+\sin^2 z=1 … (3)
が成り立ちます。また (1) と (2) で辺辺加えたものと引いたものを考えれば
\cos z=\frac{e^{iz}+e^{-iz}}{2}, \sin z=\frac{e^{iz}-e^{-iz}}{2i}
が成り立つことも分かります。これと指数法則から
\cos(z\pm w)=\cos z\cos w\mp\sin z\sin w
\sin(z\pm w)=\sin z\cos w\pm\cos z\sin w
という、三角関数の加法定理が導けます。

三角関数の周期

前編で定義した \pi について \cos\frac{\pi}{2}=0 が成り立つことは既に分かっています。これと (3) から
\left(\sin\frac{\pi}{2}\right)^2=1
が成り立ちますが、0\lt\frac{\pi}{2}\lt 2 なので \sin\frac{\pi}{2}\gt 0、したがって
\sin\frac{\pi}{2}=1
です。これと加法定理から
\cos\left(z+\frac{\pi}{2}\right)=-\sin z,\sin\left(z+\frac{\pi}{2}\right)=\cos z … (4)
が分かります。(4) で z\to z+\frac{\pi}{2} として
\cos(z+\pi)=-\cos z,\sin(z+\pi)=-\sin z … (5)
(5) で z\to z+\pi として
\cos(z+2\pi)=\cos z,\sin(z+2\pi)=\sin z … (6)
が分かります。これは \cos z,\sin z が周期関数であり、かつその周期が 2\pi であることを意味しています。

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