コウノトリさん

「ねえパパ、ぼくはどうやって生まれてきたの?」
「お前はコウノトリさんが運んできてくれたんだよ」
「やった、ぼくとパパは血がつながってないんだ!ぼく前からパパのこと尊敬できないって思ってたんだよね!」
「そうか……。」

人間の神様

ある日、座布団の上に座って携帯を弄っていた僕の目の前に神様が現れた。

それはこの世に存在する全ての生物を混ぜたような、なんとも現実味のない姿ながら絶対的な存在感を放っていたのだからもうこれは神様に間違いないと思ったのだ。

そんなとんでもない状況に僕は
「今まで神像を描いてきた画家達はどう思うのだろう」
などと冷静とも現実逃避とも取れる思考に走ったが、反射的に神様の前で今のこの体勢は失礼に当たると気付いて携帯を閉じて姿勢を正そうとした。

「あ〜、いいよいいよ、そのままで」
言葉もこの世の全ての音を混ぜたような音だったけれど日本語に直すとそんな感じだった。

あ、そうですか。
神様が気の抜けた口調でそう言うもんだから僕は体勢はそのままでとりあえず携帯だけ閉じた。

「ちょっと相談なんだけど」

どうぞ。
僕がそう答えると神様は人類に対する愚痴を延々垂れ流し始めた。それも僕が人類に対して抱いてる不満と同じような事ばかりだった。
あ、コイツ愚痴りに来ただけだ。
そう気付いてからは適当に相槌を打ちながら聞き流す。
改めて観察するとコイツ結構若いんじゃないか?と思い、何歳くらいなのか訊ねると「覚えてないけど人間が誕生したのと同じくらい」だそうだ。
なるほど、コイツは”人間の神様”であって世界の創造主などとは比べ物にならない若造なのだ。

ふと気付くと数十年経過していたようで、何でお前の時間間隔につき合わされないといけないんだと怒鳴ると「ごめん、ごめん」とここに尋ねてくる前の時間に場所を移し、帰る間際に「また来てもいい?」とこちらの顔色を伺ってきた。
僕は少し考えた後、軽く片手を上げて答えた。