2020年冬アニメ、とりあえずの感想とか展望とか~その1

久々にブログ更新。

ずっと放置していましたが、そろそろ書きたい欲も出てきたので、小ネタ的なものを上げていきたいと思います。

まずは2020年冬アニメの、とりあえずの感想とか展望とか。一気には書けないので、数作品ずつ出していきたいと思います。アニメはずっと観てますよ!

 

-映像研には手を出すな!

今期のNHKアニメ。「ルーのうた」などの湯浅監督ということで、どんなものだろうと思っていましたが、湯浅監督らしく遊び心に溢れた演出と、不思議な世界観の女子高生たちのアニメづくりという題材に、すっかりハマりました。

中心となるキャラクターが映像研の3人だけという設定や、そのキャラ設定や立ち位置も、いわゆる萌えアニメのそれとは全然違いますが、すごく見やすく、また興味を持たされますし、湯浅監督のカラーも良いのですが、原作も面白そうでうまく融合したな、という印象です。

予算に厳しいといわれるNHKアニメですが、無駄に動かすのではなく、要所を効果的に動かすという意味では、昨今の「ただ動けば正義」な深夜アニメに一石を投じる作品になっているのかもしれません。

 

-推しが武道館いってくれたら死ぬ

今期一番のお気に入りなアニメ。TBS枠は、MBSとかで放送されなくなってからのほうが良いアニメが増えてきた気がしますね。

絵柄は今風ではないのですが、作画はキレイで非常に安定しており、キャラデザの印象だけで敬遠するのは勿体ないと思います。

アイドルものですが、主人公はとある(元)地下アイドルの特定の子推しの女性オタク、という、割と珍しい設定なのではないか? と思いますが、その推しのアイドルも実は主人公のことが気になってる、という、半ば相思相愛の百合ものとして大変楽しめて、今期でもかなりダークホース的なアニメになりました。その主人公の声が「ダンベル何キロ持てる?」で注目された、ファイルーズあいさんで、ある意味キモオタを熱演しているところもポイントです。

問題は、主人公であるえりぴよが、アイドル並みの美人である見た目が、作中でもそうなのかどうか…関係ないかもしれませんが。

 

-理系が恋に落ちたので証明してみた

これ、たぶん僕が観るようなアニメじゃない、と思っていて、でもまあ1話観てみようかなとしぶしぶ観たのですが、これが案外スルッと観れてしまって、2話、3話と観てしまっています。

まあ、理系がどうとかって話は、はっきり言ってギャグというかコメディ部分の味付けでしかなくて、そこに期待して?観ても肩透かしだと思います。個人的には、雨宮天さんが、年相応に近い役で出ているのが新鮮なのと、彼女のデレ演技(と、そこはかとないアホっぽさ)がかなり良いですね。

全体的には、相思相愛のノロカップルを見せつけられているだけ、のようにも見えますので、どこかで飽きが来そうな気がしますが、サブキャラ勢もかなりキャラが立っていて、特に女性陣は皆可愛いので、基本的にはニヤニヤしながら見させてもらってます。アニメの出来も、本編もですが、OP/ED曲もなかなか良いですね。監督が「僕は友達が少ない」2期監督の喜多幡徹さんなので、つまるところああいう内輪のラブコメなノリが好きであれば、観る価値はあると思います。

 

-マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝

今期の期待外れ枠。

まあ、「まどマギ」から虚淵氏が離れて、監督とシリーズ構成が、監督どころか脚本も畑違いの劇団イヌカレーの泥犬氏が担当するとのことで、あまり期待はしていなかったのですが…。

危惧通り、お話が散漫で筋が見えてこなかったり、主人公がメイン舞台となる街出身ではなく、よそ者感が強い…のは良いのですが、主人公のいないところで、少なくないキャラ間だけで共有される話が進んでいたりと、観てるほうも入っていけないものがあるように感じるんですよね。

戦いも少ないわ、本家にあった緊張感も薄いわ、魅力的なキャラも、いないことはないけど少ないわ…。やちよさんくらいかなあ(ここも雨宮天さんのキャラかよ!)。マミさん登場には盛り上がりましたが、マギレコキャラだけでは盛り上がりポイントがなさ過ぎて、ただのテコ入れに使われた感もすごいです。この先、巻き返したらすごいですけど、望み薄かなあ。。

個人的には、主人公の変身後の衣装が可愛くないのが一番ですが、世界観的にもあまり魅力を感じないあたりもイマイチですね。

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(たぶん)その2に続きます。

20年間、毎日飲んでいたお酒を止めてみたらこうなった。

今回はアニメの話じゃなくてすいません。
ちょっと訳あって(肝臓を壊したとかではありません)、成人して以来、毎日のように寝る前に飲んでいたお酒をストップしてまして、2週間くらい経過しました。
最初は一睡もできなかったり、睡眠導入剤を飲んで無理やり寝るような日もあったのですが、1週間前後が経過したくらいから、薬を飲まなくても寝つけるようになってきました。
お酒を飲めない弊害は、寝つきが悪いとか、1日の楽しみがないのと、あるいは1日をリセットできないあたりなんですが、お酒を飲まないことで目に見えてわかる、自身の体調の変化にも気づくことができました。今回はそれらを記していきたいと思います。

  • 常時二日酔い状態からの解放

まあ、休肝日も作らずに毎晩飲んでいたこともあって、完全に酒が抜ける感覚というものをすっかり忘れていたようです。1日、2日…と飲まない日を続けていくことで、アルコールが血中に残っていない感覚をようやく思い出すことができました。
要は、若干もやがかかっていたような感じだったのが、すごくクリアな状態になりました。体がとにかく軽く感じます。スポーツ選手だと、間違いなく毎日酒を飲んでるようだとパフォーマンスは下がるものと思いました。

  • 睡眠の質の改善

これまでは、お酒の力を借りて、無理やり寝る生活を続けていたわけですが、飲まないでも寝られるようになったことで、睡眠の質は劇的に改善したと感じています。酒の力で寝た7時間と、飲まないで寝た5時間が、だいたい同じくらい休息できているようです。
もっとも、お酒の力を借りた場合は、だいたい狙った時間に寝ることができるのに対し、酒を飲まないとなかなか睡魔が襲ってきてくれないので、結果的にはさほど休息度合いは変わらないこともしばしばです。

  • おなかを壊さなくなった

まだ2週間ではありますが、休み明けには必ずのようにおなかを壊していたのが、飲まなくなってからはそれがピタリとなくなりました。それどころか、おなかがゆるくなりがちだったのも今のところ改善されています。
お酒をよく飲まれる方で、おなかがゆるくなりがちな人は、とりあえずお酒を止めてみることをお勧めします。

  • 腰痛がなくなった

休み明けに、しばしば酷い腰痛に悩まされていまして、月曜午後くらいにピークを迎えて、1日過ぎて寝て起きたら治っていたり、緩和されていたりしました。恐らくは筋肉性のものだとは思うわけですが、これまで決定的な理由を見つけられないでいました。
お酒を飲まない週末を過ごしてから月曜を迎えたら、不思議とその腰痛がやってこなかったのですが、それが2週続いて大丈夫だったことで、腰痛の一因が酒の飲みすぎではないかという仮説が立ちました。
週明け以外は腰痛が来ることもないのですが、土日と平日では飲んでいる量が違いますし、飲みながらゴロゴロしていることも多いので、酒量なのか1日の過ごし方なのかわかりませんが、飲みながらダラダラ過ごす週末は、腰によろしくないのだろうと結論付けています。

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断酒してから丸2週間以上が経過しましたが、飲まないことで得られる良さについてはわかってきたのですが、そろそろノンアルビールに飽きてきました。次の健康診断くらいまでは我慢していようかとも思っていましたが、金・土だけ飲みを解禁することになるかもしれません。。

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16日ぶりにお酒を解禁しましたが、やはり週明けに腰痛と、おなかがゆるくなる現象が発生しました。。。後者はともかく、前者も何か因果関係でもあるのでしょう。寝ながら飲むのが良くないのかなあ…(汗。

1話切りした2018年秋アニメ

久々のブログ更新です。
早いもので、2018年も最後のクールがやってきてしまいました。今年は、最初のクール(冬)に、『ゆるキャン△』や『宇宙よりも遠い場所』といった名作級のアニメがあったので、今年はさぞすごい年になる…? との期待もあったのですが、特にそんなこともなかったのかな、となっています。
さて、そんな2018年の秋クールですが、色々と観ています。が、残念ながら1話でサヨナラしたアニメをまず紹介したいと思います。

  • DOUBLE DECKER! ダグ&キリル

タイバニスタッフの新しいオリジナルアニメ、との触れ込みで始まりましたが、実際にはタイバニのオリジナルスタッフはほとんど参加しておらず、1話を観てみた感じでは雰囲気も全然違いました。ノリが寒かったですね。キャラ原案はタイバニと同じで桂正和氏ですが、タイバニよりもデザイン的には親しみが湧かなかった気もしました。
アニメとしては見ごたえのあるものになるかもしれませんでしたが、CGとのマッチングもいまいちに感じてしまい、ここまでとしました。

  • ソラとウミのアイダ

サクラ大戦』シリーズの生みの親として、あるいはAKBのプロデュース陣の一員としてアイドルに手を出したオッサンとしても知られる、広井王子氏原作のアニメです。
「宇宙漁師」とか、どこの『BLAME!』だよ!! ってツッコミたくなりましたが、内容はもっと酷くて、1話だけでも結構耐えられないくらいには、キャラクターにも設定にも、ストレスが溜まりまくる作りでした。
何より、宇宙で魚の養殖をするという設定や、その漁のやり方みたいなところに、何一つ魅力を感じませんでした。
キャストの演技力の拙さや、アニメとしての見どころのなさなど、納得の1話切りでした。

まあ、出落ちですよね。
ゾンビものだと『さんかれあ』が良かったなあ…と思いながら観てました。絵的には悪くなかったかな、と思いつつ、さほど惹かれるものもなかったので、1話でさようならをしました。

  • 色づく世界の明日から

P.A.WORKSの新作オリジナルアニメということで、それなりに期待して観てみたわけですが…まずはキャラデザがパッとしない。萌え寄りじゃないのはわかるんですが、かといって魅力的なデザインにも見えませんでした。
1話の構成もしっくり来ない感じがしましたし、魔法がどうこうという設定もさほど惹かれるものもなく。過去にタイムスリップするのは良いのですが、主人公が近未来の人間で、彼女がタイムスリップするのが現代に近い世界、というのも、魅力に感じませんでした。何より、主人公の女の子のキャラクターがイマイチで。
PA作品は好きなのが結構ありましたが、堀川社長が主導してアニメ作りをしなくなってから、『ウマ娘プリティーダービー』くらいしか良かった作品が無いような気がしますが、大丈夫なのでしょうか。

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今回はややネガティブな記事になってしまいましたが、次は2話以降も観たアニメについて書きたいと思います。

『ゆるキャン△』と『宇宙よりも遠い場所』人気に観る、「日常系アニメ」ブームは終わったのか問題と……そもそも「日常系アニメ」ってなんだろう?

 2018年冬クールに放送されて人気を博しているのが『ゆるキャン△』と『宇宙よりも遠い場所』だと言えるでしょう。このうち、『宇宙よりも遠い場所』が日常系アニメではないことはわかるかと思いますが、『ゆるキャン△』も日常系アニメではない、と言うと不思議がる方がいるでしょうか。
 『ゆるキャン△』は、あまり代わり映えのしない日常生活がメイン……というわけではなく、友達同士で、あるいは1人でアウトドアに出かけていくという、いわば「非日常」を描いている作品だと思っています。ということは、日常系アニメではない……のではないでしょうか。それでも日常系アニメっぽく見えてしまうのは、これまでの日常系アニメと呼ばれてきた作品といくつかの共通点があるからなのだろうと思います。が、日常がメインではないのに「日常系アニメ」を名乗るものどうかとも思ってしまいます。
 そもそも、「日常系アニメ」というジャンルやカテゴライズが、人によってまちまちだったり、そもそも定まったものではなかったりすることが問題、という見方もできます。個人的に「日常系アニメ」といえば、仲良し女の子グループが、代わり映えのしない日常を描くもので、趣味を淡々とこなしたりして、向上心を持って努力したりしないような作品、というイメージがあります。なので、例えばメインとなる部活があったとしても、全国大会を目指したり、あるいはプロを目指したりはせず、趣味の延長線上だったり、生涯スポーツのような形で描くような感じです。
 また、ともすれば「ギャグアニメ」にもカテゴライズされてしまいそうにもなりますが、「日常系アニメ」は「ギャグアニメ」ほどには笑えず、どちらかというと可愛さが勝ったようなアニメという印象もありますし、「ギャグアニメ」ほどには笑えない「コメディアニメ」に分類される作品が多いとは思いますが、基本的に男キャラが出てこないため、『WORKING!』のような「ラブコメアニメ」にも分類されない、というのが個人的に捉えている「日常系アニメ」の条件です。
 これらの分類からすると、『宇宙よりも遠い場所』なんてのは、明確でかつ困難な目標に向かって進んでいくわけですから、「日常系アニメ」とは真逆の、ある意味では『ガールズ&パンツァー』のようなタイプのスポーツアニメ寄りと言えるでしょう。『ゆるキャン△」については、雰囲気やらすごく頑張るわけでもない感じが、いかにも「日常系アニメ」そのものだとも思いますが、彼女らは、日常では決して味わえない、キャンプ地での絶景やら、美味いものを求めていっていると考えると、僕の考える「日常系アニメ」からはちょっと遠いなあ……と思ってしまいました。
 ただ一方で、僕の考えている狭義の「日常系アニメ」そのものが、既に限界に来ているのではないか、とも思うようになっています。それは、『ひだまりスケッチ』や『けいおん!』などに代表される作品群なわけですが、『ゆゆ式』や『きんいろモザイク』、『ご注文はうさぎですか?』などのきらら原作アニメ勢や、きらら以外だと『ゆるゆり』や『のんのんびより』などが続けてヒットした一方、これら以降の『日常系アニメ』が、ほとんどヒットしていないことで、唐突にブームが終わってしまったのか、あるいは『ごちうさ』あたりでやり尽くした感が出てしまった(視聴者側が満腹になってしまった)ように感じています。
 ターニングポイントとなったかもしれない作品としては、『ガールズ&パンツァー』や『ラブライブ!』が挙げられるのではないか、と考えています。これらはもちろん「日常系アニメ」ではありませんが、女の子ばかりのグループで、という部分では「日常系アニメ」とも共通していると観ています。要は、絵的なもの、あるいは放送前のビジュアル的なところでは、「日常系アニメ」と変わらないんですよね。ただ、何か高みを目指す、全国大会で優勝する、みたいな目標があるかどうかで。要は、何か目標があるわけでもなく、何かに熱くなるわけでもないアニメより、目標や高みがあったほうが面白くないですか? という制作(製作)側からの提案に、アニメ視聴者側が乗ったようなイメージです。そしてこの流れは『宇宙よりも遠い場所』あたりにも引き継がれています。
 あるいは『ゆるキャン△』のような、インドアではない趣味アニメが主流になっていくのではないか、という展望です。実際に、「日常系アニメ」っぽい外観をしつつ、決してストイックではない趣味アニメは増えているように感じます。『ラーメン大好き小泉さん』なんてのもそうですし、少し前にやっていた自転車アニメなどもこのカテゴリに近い作品群となるのでしょう。「オタク=インドア」のイメージで、インドアな趣味や部活と「日常系アニメ」との相性が良かったのかもしれませんが、今では聖地巡礼やらイベント参加など、オタクたち自身もインドアというか引きこもるほうが主流派ではなくなっています。そういう意味でも、あまり「日常系アニメ」と相性が良くない印象だった外でやる趣味がメインの、外観は「日常系アニメ」な作品は、今後とも増えていくのではないか、と考えています。
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 とはいえ、まだまだ狭義の「日常系アニメ」がヒットする余地はあるとも思ってますが、新鮮味を持って受け入れられるのは、高みを目指すアニメか、外でやる趣味のアニメではないかと観ていますがどうでしょうか。

ゆるキャン△ 1 [Blu-ray]

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『ゆるキャン△』は聖地アニメとして成功するか?

 2018年が始まって最初のクールで、深夜アニメファンの心を一番掴んでいるといえるのが『ゆるキャン△』でしょう。美しい背景に、独特の時間の流れ。キャラクターたちの関係性もよく、この人気も頷けるものがあります。
 さてこの『ゆるキャン△』で町おこしをしよう、という動きが自治体等に出ているようです。もちろんこの人気ですし、きっとアニメが終わったら一瞬で去るようなブーム的なものでもない、とは思いますが、町おこしと絡んでの効果となればどうか? と思わないでもありません。『ガルパン』の成功例を参考にするようですが、それら町おこしとしても成功した聖地アニメと比較して、『ゆるキャン△』は成功するのかどうかを考えてみたいと思います。
https://www.sannichi.co.jp/article/2018/03/10/00257048
山梨日日新聞の記事ですが、中身は会員登録しないと読めませんのであしからず

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 まず思い浮かぶのが、アニメを見ていて一番「行きたい!」となる場所です。『ガルパン』の場合は、主人公たちが住む大洗町だと思いますし、作中でも印象的なところで描写をしていて、行った方ならわかると思いますが、「アニメで見た風景だ!」と感動することと思います。そして、作中で出た旅館やホテルに泊まったり、食べ物を食べたりすることもできますので、経済効果にも直結しやすい、非常に上手くいった例となりました。
 なぜ『ガルパン』が聖地アニメとして、かつてないほど成功したかと言えば、前述のとおりお金を使いやすい構造になっていたこともありますが、東京から程よい距離で、日帰りでも泊まりでも行けることや、アニメで出てきた舞台のほとんどが、レンタサイクルくらいがあれば1日で回れてしまう場所にあるコンパクトさ、そして何より、大洗女子チームのメンバーたちの地元である、という意味合いも大きかったように感じました。同じようなことが『ラブライブ!』や『らきすた』などでも言えたのではないかと思います(『らきすた』は東京から近すぎましたけど)。
 ヒットの規模という意味では『ガルパン』以上だった『けいおん!』だと、聖地として人を集めたのは豊郷小学校旧校舎群になると思いますが、こちらだと経済効果という意味ではかなり微妙なものでした。というのも、東京からの距離が遠すぎる点はあまり障害になっていなかったものの、周辺に宿泊できるような施設があるわけでもなく、そもそもこの学校周辺にはほとんどお店はありませんでした(当時)。人は集まったものの、お金の落としようがないという状況で、多くの聖地巡礼客は帰っていったのだろうと思います。
 それらと『ゆるキャン△』を比べると、まず東京から程よい距離、という点では合格でしょう。身延線沿線となると若干ハードルが上がる気がしますが、それでも日帰りでも行ける立地ではあります。
 ただ、この『ゆるキャン△』で描かれる舞台で一番どこに行きたいか? となると、彼女らの住む街……ではなく、彼女らが訪れたキャンプ場になるのではないでしょうか。もちろん、作中で出てきた身延駅周辺に行く聖地巡礼者はいるらしく、彼女らが食べていた身延まんじゅうはよく売れているという話も耳にしましたが、効果としては限定的なのかな、と考えています。
 キャンプ場は富士五湖周辺から、山梨県中心部や、長野県の諏訪湖周辺まで点在しています。アニメを見てファンになった人たちが、そこで聖地巡礼がてらキャンプをすれば、そのキャンプ場は利用料で儲かりますし、アニメ放送時期が冬ということで、オフシーズンで客が増えるという意味でも経済効果としては大きいものがあるように思います。また地元で食材等を調達すれば、更に経済効果が高まります。
 ただ、あくまでもキャンプ場周辺であって、町おこしをしようとしてる彼女らの地元自治体ではない、んですよね。演じてる声優さんを呼んでイベントでもやれば、人を集めることはできるとは思いますが、あくまでもその時だけ、なんですよね。大洗は、イベントをやってない時でも人がわらわらと来てますし、ラッピング列車やバスも走っていますし(今はどうかわかりませんが)、協力体制もすごいものがあります。『ゆるキャン△』は作品内容からしても、地元自治体が一番、町おこしに繋げにくいのではないかとさえ考えてしまいますし、JRに、身延線にラッピング列車走らせてくれ、って頼むのも難しいでしょうから、『ガルパン』と同程度の仕掛けも起こしにくいのではないか? とも思います。

 町おこしには不向きかな……と思うところはありますが、アウトドアグッズやバイクなど、経済効果の大きさは、過去のアニメと比較してもすごいものがあるんじゃないか? と思っていますがどうでしょうか。

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ガルパンだけじゃない? バンダイビジュアルがアクタスを買収した理由

 ずいぶん前になりますが、バンダイビジュアルがアニメ制作会社のアクタスを買収したというニュースが流れました。アクタスに、バンダイビジュアルの湯川Pを非常勤の取締役として送り込んだあたり、間違いなくガルパンことガールズ&パンツァー絡みの案件だとは思います。他の製作からの仕事を受けさせず、稼げるガルパンに注力させるための方策の1つなのでしょう。あるいは、バンビジュの子会社となり、とりあえずアクタスが倒産するようなことがまずなくなったことで、働いている人たちの離脱を防いだり、新たな人材が入ってきやすくなったりすることもあるでしょう。それが、ガルパン最終章をスムーズに制作することにも繋がるのでしょうから。
 しかし、単純にそれだけの目的なのでしょうか? もちろん、スケジュールが崩壊するのが当たり前なアクタスの管理にバンビジュが乗り出したのだとか、バンビジュが自由に動かせる直属の制作会社が欲しかったのだとかも理由なのでしょうが、個人的にはもっと大きな可能性を買った買収劇だったのでは? と観ています。
 その狙いとは? 推察してみました。

ガルパンの製作するキッカケになったのは、何処かで読んだ記憶があるのですが、アクタスの社長であり、ガルパン等のプロデューサーでもある丸山俊平氏の「戦車と美少女が出てくるアニメがやりたい」という構想だったと記憶しています。もちろん、ただの思いつきレベルだったようで、バンビジュ側の、誰かその構想に賛同してくれるクリエイターを連れてきてくれたら話を進める、という条件に対し、丸山氏が島田フミカネ氏を連れてきて、バンビジュ側も水島努監督を連れてきたことで、本格的に企画がスタートしたという話だったかと思います。
ガルパンが面白くて大ヒットしたのは、もちろん島田フミカネ氏がキャラ原案やったり、水島努監督やシリーズ構成の吉田玲子さん、軍事考証の鈴木貴昭さんらの力が大きいのは間違いないと思いますが、それもこれも丸山氏の「戦車と美少女が出て来るアニメがやりたい」という構想というか発想が無ければ、そもそも産まれてさえいないわけです。その後に、バンビジュ側が丸山氏の構想に乗ってくれたのも大きいわけですが(普通は思いつかないか、面白くなら無さそうだと提案しないか、提案しても「無茶だ」と製作側に一蹴される)、大元の発想が無ければ実現しなかったわけです。
バンビジュの本当の狙いは、アクタスという制作会社ではなく、丸山氏個人の発想力の方なのではないか? と考えています。それなら何故、アクタスごと買収したのかについてですが、社長をヘッドハンティングするわけにもいかないでしょうし、ガルパン案件をコントロール出来るメリットもあったからだと観ていますが、丸山氏の発想力をより活かすための手段だという見方も出来るのではないでしょうか。
アクタスがバンビジュに買収されでもしなければ、丸山氏のアイデアは、アクタスが制作できるペースでしか実現できないことになってしまいます。ですが、2017年夏期アニメの『プリンセス・プリンシパル』は、アクタスの丸山氏がプロデューサーになっていますが、制作はStudio 3Hzとの共同になってます。監督やキャラデザはStudio 3Hzや、そのスタッフの出身スタジオであるキネマシトラスで見かけた人たちだということは、この作品から既に、丸山氏のアイデアを迅速に活かすために、バンビジュがアクタス以外の制作会社を工面して、放送までこぎつけた、という可能性も大いにあるでしょう。何せアクタスは、年末公開予定のガルパン最終章第一弾でてんてこ舞いで、他のアニメをやっている場合ではないはずです。個人的には既に、バンビジュがアクタスを買収した効果というか影響が出ているのではないかと観ています。
では何故、バンビジュが丸山氏の発想力を買っているのでしょうか。もちろん、ガルパンの生みの親というのもあるのでしょうが、その後の『レガリア』は色んな意味で大コケしたものの、前述のプリンセスプリンシパルはこのクールのアニメとしてはそこそこの売上になりそうな気配になってきました(2017年9月24日時点)。ガルパン以前には元請け作品が数年無かったことを考えると、ここ最近で企画したアニメの3分の2がヒットしているというのは、かなりの打率だと言えるかと思います。何せ、オリジナルアニメがことごとくコケる昨今ですから、その中で当てているというのは、それだけ発想力が凄いか、あるいは今アニメファンが求めているものの嗅覚がある、ということなのでしょう。
アニメの原作が枯渇してきている、というのは、ここ数年ずっと言われてきたことでした。アニメ化してヒットしそうな原作が無いのであれば、オリジナルでやるしかありません。ただ、ヒットするオリジナルアニメを企画できるプロデューサーなんて、アニメ業界にそうそういるものではありません。『魔法少女まどか☆マギカ』の生みの親はアニプレックスの岩上敦宏氏(当時はプロデューサー)でしたが、その功績が認められすぎて、今ではアニプレックスの社長かつ、親会社であるSME執行役員という、めちゃくちゃ偉いさんになってしまいました。最近は現場の仕事もやっているようなクレジットも見かけますが、とても1つのアニメに関われるような立場ではなくなったと思います。オリジナルアニメのヒット作が多いP.A.WORKS社長の堀川憲司氏なんかも、発想力に関しては業界随一のものがあるでしょう。ただ堀川氏も、最近では現場を離れ、部下のプロデューサーに企画も任せているような節があります(おかげでヒット作から遠ざかっているようにも……)。彼らを引き抜くことは、まあ無理な話ですよね。そう考えると、アクタスごと丸山氏を買収してモノにしてしまうというのは、戦略としてはアリなのだろうと思うわけです。

 「けものフレンズ」騒動でもありましたが、製作委員会の権利元と制作会社とのトラブルによって、プロジェクト全体の流れが滞ったり止まったりというケースが出てきました。あるいは、アニメ側の都合や方針ではなく、原作側の都合に振り回されて、アニメ側の展開に支障をきたすケースとも言えるのかもしれません。
 そうした事態を防ぐための、バンビジュによるアクタス買収なのかな、とも思いました。
 ガルパンは、製作委員会に出版社が入っていないアニメですし、極めて出版社の影響が及びにくい体制になっています。同じバンビジュのオリジナルアニメである『ラブライブ!』シリーズは、そもそも企画が、今はKADOKAWA傘下に入ったG'sマガジンですし、制作も、グループ会社でありながら、力関係的にはバンビジュがどうこう言いにくいサンライズですから、バンビジュの意向だけで作品の展開を進めていくことは難しいでしょう。そういった事情から、アクタス買収に至ったと考えるのは自然だろうと思います。そのくらい、バンビジュにとってガルパンというコンテンツが巨大化して、かつ優秀な収入源となっていることも伺えます。
 メディアファクトリー(MF)や、アスキー・メディアワークスあたりを買収してきたKADOKAWAからすれば、アクタスの買収くらいははした金だとも思うわけですし、傘下に収めたMFからコミカライズもしている関係から、バンビジュ側が先手を打ったようにも感じました。

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 先日、TBSがセブンアークスを買収したとかありましたし、こうした動きは加速するかと思います。
 ただ、京アニPAWHITE FOXみたいな、制作会社が主導的に作るアニメを決めたい的な制作会社は、まだまだ制作会社主導でやっていくのだろうと思います。
 こうした制作会社が、大手の何処かに買収されるようになるのなら、大きくアニメ業界の流れも変わっていきそうな気がしますが、どうなりますでしょうか。

 2017年が終わります。
 更新頻度は全然上がらず、申し訳ない限りなのですが、最後に何とかあげられて良かったなと思ってます。
 水島努監督の作品よりは、頻度の高い更新を目指したいですね……。