月村了衛の月録

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近況

□いよいよ『対決』発売日(4月24日)が迫って参りました。

皆様どうかよろしくお願い申し上げます。

 

□「中央公論」連載、『地上の楽園』第四回鋭意執筆中。

題材が題材だけに予想した以上の大作になりそうです。

 

□他にも並行して執筆中の作品がありつつ、来年度、再来年度の打ち合わせが連休の前後に集中しております(連休中にも一件あり)。よりよい作品執筆のため一層の精進を致す所存です。

 

□『地上の楽園』執筆のための膨大な資料を読みつつ、別に時間を取って日本推理作家協会賞候補作を精読中。

今年も素晴らしい作品が揃っており、選考会(五月十三日)が楽しみです。

 

□過去のブログに書きました通り、「機龍警察」次作のタイトルと内容は『白骨街道』執筆時から決定しており、変更等は一切ありません。

 

□近年は多忙のため映画館に行けない状態が続いており、せいぜい年に一本程度なのですが、『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』はなんとしても行きたいところ(まず無理でしょう)。

劇場に行けない映画は主にBDで購入しておりますが、これも積み上がる一方です。

それにしてもクライテリオンは小津・溝口・成瀬・黒澤くらいは一刻も早く全作4K UHDで出して下さい。できれば山本薩夫もお願いします。贅沢は言いません。

 

『対決』

光文社より四月二十四日刊行予定。

この作品では、取材の過程で相当にヤバい資料を入手しました。

どんな資料なのか、どこから入手したのか、絶対に明かすことはできません。

 

どうかお楽しみに……と言えるような気楽なカンジでもテーマでもないのですが、

読者には手に汗握って頂きたいと考えています。

答え合わせの是非

読者は作品を好きなように愉しめばいい。私は基本的にそう考えている。

だから、作者の立場としてあえて言わないことも多々あったりする。

しかしごく稀ながら、あまりに鋭い指摘をしてくれる人もいて、思わず膝を叩いたりするのである。

 

『機龍警察』シリーズなどで協力を仰いでいる元キャリアの坂本勝さんが、拙作『半暮刻』についてブログ「新宿あたりから世界を語ってみる 2023/11/02」で触れて下さっている。

それを読んだとき、同作の核心を見事に言語化していて、正直に言って感嘆した。

特に舌を巻いたのは次の一節である。

 

読者は、作中の翔太に深く同情しつつも、翔太の人生を歩みたいとは思わないはずだ。同じ生きるなら、むしろ社会的に成功を目指す海斗になりたいのではないか。僕らが海斗にならないのは、「人間性」豊かだからではなく、知恵と才覚と機会が足りないだけなのではないか。」

 

そうなのだ。

海斗とは、私であり、あなたなのだ。

 

『地上の楽園』

中央公論」四月号(三月十日発売)より連載開始。

 

現在発売中の「中央公論」三月号に予告として著者コメントが掲載されております。

超ヘヴィ級の題材に極センシティヴな内容で猛デンジャラスなテーマゆえ、着想した一昨年よりいろんな意味で不安におののいております。

無事最終回を迎えられますかどうか……

ご声援のほど何卒よろしくお願いいたします。

 

ちなみになんの話かと申しますと、まったく題名の通りでございます……

ミステリの住人

小学館ポッドキャスト本の窓」で、

書評家若林踏さんの番組「ミステリの住人」が始まります。

その第一回ゲストとして、主に警察小説・冒険小説について語りました。

2月1日に前編、2月5日に後編を配信予定です。

https://podcasters.spotify.com/pod/show/honnomado

 

・後編の方で、香港の銅鑼湾書店事件について触れておりまして、私が「二十年くらい前」と発言しておりますが、同事件の発生は2015年なので、「十年くらい前」の間違いです。あらかじめお詫びして訂正いたします。

香港情勢

周庭(アグネス・チョウ)氏の動画。

「香港には戻らない」民主活動家・周庭氏、世界の人々に「香港を忘れないで」 - YouTube

 

私がある作品で伝えたかったことは、作中にある以下の文言に尽きる。

「この国(日本)は香港と同じ道を辿っている。しかも恐ろしいまでの早足で」

サンドマン

□『サンドマン2 人形の家』(インターブックス)を翻訳者の柳下毅一郎さんから御献本頂きました。

言わずと知れたニール・ゲイマンの名作で、怪奇幻想者にはたまりません。

造本にはさぞお金が掛かっているのではないかとお見受けしますが、こうした出版活動は大いに応援したいところです。

来年一月刊行予定の『サンドマン3 夢の王国』も楽しみです。

 

□柳下さんからはアラン・ムーアの『プロビデンス』(国書刊行会)も頂いており、こちらも刊行が予告されている『プロビデンスAct3』が楽しみでなりません。