「Tico Tico」

朝=焼き鮭、厚揚げ煮物、納豆、味噌汁、白米/夜=タム肉と新玉のスパイス焼き、ニンジンラペと野菜サラダ、カルボナーラ

昔読んだハービー山口さんの著書に「ひとつの外国語とひとつの楽器が僕の人生を豊かにしてくれた」という一文が印象的で、僕も真似しようと思った。

47歳で英語を、57歳の時にウクレレを始めた。どちらも大したことはないが、英語で誰とでも話せるようになったし、ウクレレは毎年主催しているルデコでのグループ展のパーティで、仲間と演奏を披露している。娘が「小学生のピアノの発表会を見ている親の気持ちがわかった。失敗しないかドキドキで、まったく音楽として入ってこない」。そんなレベル。でもウクレレは小さいし、楽器の値段も大したことはないし、音も大きくないから丁度いいのだ。

今年もグループ展のパーティの発表会に向けて、「Tico Tico」を練習しなくてはならない。でも僕は楽譜が読めない。そこで助かるのがYoutube。弾き方を全部教えてくれる。https://youtu.be/AdgCQLiW3lI?si=HybL97nvToCJWZAk

これを2日間かけて1日3時間くらいやって体で覚える。3日目にはつっかえながらも最後まで通しで弾けるようになって、5日目には動画に合わせて弾けるようになる。1週間でほぼ完成で、そこから数ヶ月弾き込んで、ようやく人前で演奏できるようになる。

もう6年くらいやっていて、20曲以上は弾いてきた。でも常に新しい順に3曲しか覚えられないのは、やっぱり楽譜が読めないからだ。ひとつ覚えてはひとつ忘れていく。どんなに練習した曲でも、あっという間に忘れてしまう。

そこで気がついたのは、その道のプロというのは、それに対しての記憶力が高いのではないかということ。僕は写真に関しては高校生の頃に撮った写真の記憶が鮮明にあるし、これまで見てきた写真もかなりの確率で覚えている。だから音楽家もそうなんだろう。スポーツ選手も同じだろう。一度覚えた体の使い方を反復できる。

「 Tico Tico」は5日でかなり精度が上がってきた。僕は一旦やるとなると妻が嫌がるくらい、毎日毎日やり続けてしまう。ひさしぶりにウクレレを弾いて、まだまだ集中力があることがわかった。

本と映画

朝=トマトパスタ/夜=チョップスティックの豚チリ飯、スープ

事務所と主にプリントや機材置き場になっている部屋を、ここ数日かけて整理したらスッキリした。身軽になったとまではいかないが、スペースができた。余白が少ないと新しいものが入り込めないのかもしれない。ちょっと前まで、いろいろいっぱいいっぱいだった。空いたところには、物ではないものを入れることにした。

まずは勧められた本2冊、灰谷健次郎「兎の眼」と福原義春「文化資本の経営」。「兎の眼」は学生時代に読んだ記憶がある。冒頭の描写で思い出した。福原義春は資生堂の経営の他に、文化事業として東京都写真美術館の館長も勤めていた。写真史には、資生堂の形を作った福原信三が必ず出てくる。福原義春も写真を撮っていたそうだ。

それとNetflixの映画「フォードとフェラーリ」。フォードがルマン24時間耐久レースで戦うストーリー。個人の力が発揮されることで全体を引っ張っていけた時代。なんだか西洋的なロマン主義だなって思った。そこに憧れていたわけだけど。もう二度とやってこないんだろうな。それはともかく、前のめりになって見れるいい映画だった。次に見ようと思ってるのは、ジム・ジャームッシュの「パターソン」。映画好きのおすすめだからね。

X1D2 売ります

朝=焼きサンド、ビーツの野菜スープ/夜=ナスの蒸しひたし、節と温キャベツサラダ、餃子、納豆、味噌汁、白米

朝起きるとズーンと体が重い。わりかし落ち込まないほうなのだが、ここ最近の様々なことで体というか、気持ちがしんどい。こういうのは、本当に久しぶりだ。

こういう時は部屋を徹底的に片付ける、というより捨てる。ガンガン捨てる。使わない機材は、こういう時にみんな処分する。コロナの間に溜まったものを70リットルのゴミ袋いっぱいに捨てた。「もしかしたらまた使うかもしれない」「売れるかもしれない」というものも全部処分。

そして銭湯に行ってさっぱりして、家でハイボールを飲みながら餃子をベタらいい感じになってきた。お酒がちょっと入ったら気持ちがスーとして「ああ、だからみんなお酒にはまるのか」と実感。こんな時はちょっとだけ飲める体質でよかったな。 

 

63歳の“はじまり”

朝=和食ごはん/夜=生ハムとキャベツの玄米パスタ、野菜のオイル焼き

4月になったのだな。ここ数日暑いくらいだった。もう石油ストーブの出番はなくなってしまう。ちょっと寂しい。

1週間ほど屋久島に行って来た。今回で8回目。屋久島国際写真祭の打ち合わせと写真撮影が目的。最初の2日間は抜けるような晴天。今回はハッセルブラッドX2Dにタムロン500ミリのミラーレンズを持っていった。思いがけないものが撮れて、それが今やっている「inception」のイメージとピッタリあっていた。何かの機会に大きく伸ばして展示してみたい。

V2Dは専用レンズ以外を使うと電子シャッター制御になり、撮影中にどんなにシャッター速度を速くしても、スキャナーのようにラインで読み込むために、読み込み中に動かすと大きく歪んでしまう。これはX2Dの大きな欠点なのだが、それを利用してみた。歪むことで「うねり」を出すことができた。

屋久島から帰った翌日が63歳の誕生日だった。誕生月というのはバイオリズムでいうと一番下なんだそうだ。確かに色々モヤモヤしている古とがある。言い換えれば、これが底な訳なわけだ。63年前、日本ってどんな感じだったんだろう。歴史的には戦後の整理がついてひと段落した頃。「明日は良くなる」って思た時代か。僕の気持ちは新作写真集のタイトルにあるように「inception」。「はじまり」という意味だ。63歳のはじまりというわけだ。

4メートルのプリント完成

朝=ひじきの炊き込みご飯、玉子焼き、味噌汁/夜=出汁茶漬け、コロッケ、唐揚げ、キャベツサラダ

土日は汗ばむような陽気で、外出時、服のチョイスに困った。夜になると冷え込むし、かといって厚手のものはもういらない。

週末に5月の京都ギャラリーMainでのプリント。天井から垂らす方式にしようと思っている。なのでプリントの長さは4メートルにすることにした。実際にプリントする面積は80センチくらいで、あとは白のまま。ヒューレッドパッカードの大型プリンターを使って、レタッチャーのTさんとプリンターを操作してもらうHさんと3人がかりで始めたのだが、設定が出るまでに3時間もかかった。30メートルのロールペーパーを3本持ち込んだのだが、最後の最後、プリントが終わるのと同時に用紙が終了。ちょっと奇跡的な感じだった。これで京都での展示用16枚のプリントは完成。

月末は写真集「inception」の印刷が控えている。今日は写真集に同梱するチラシのデザイン決め。『eyes』の時にチラシを作ったのだが、とても好評だったので今回も作ることにした。写真集に解説テキストは入れず、チラシで読ませることに。写真集を見た後に読んでもらえたらと思っている。

ライカの波に溺れそうw

朝=白菜の炒め煮、納豆、野菜のみそ汁、白米/夜=おでん、おにぎり

今年は花粉症が出ない、と思っていたけどそんなことはない。一昨日から急にズルズルになった。

Youtubeライブで近況を話しているので日記はどうしても疎かになってしまう。先週は写真家中平卓馬の「カメラになった男」とパリコレファッションデザイナー中里唯馬「燃えるドレスを紡いで」の2本のドキュメンタリー映画を見た。それとアニメ映画「ブルージャイアント」。ビックコミックオリジナルで連載中のジャズプレイヤーの話で、漫画が原作。中里さんの映画を見た翌々日に、中里さんがパリコレで出した作品の一部が公開されているので見に行った。

僕の写真集「inception」」は、僕が土壇場で変更をしたため大騒ぎになったが、いい方向に落ち着いた。色校正も無事終わり、あとは本番印刷を待つのみ。「da.da」以来3年ぶりの写真集出版。これで7作目。これからは、年に一冊のペースで作りたい。と、ここで宣言(笑)

そういえば定期的に我が家にライカの波が押し寄せてくる。それはそれは大きな波で、溺れそうだよ。

猪肉を頂いたので角煮にしてみる

新高円寺の珈琲店「長月」でマンデリンとチーズケーキ食べてからすぐの銭湯へ。気がつけば3月、前回日記を書いたのがなんと2月18日。あっという間だ。毎日仕事なんだか遊びなんだかわからない用事で朝から晩まで埋まっていて、日記を書くことがスッポリ抜けてしまっていた。Youtuneで動画配信を始めてからというもの、暇な時間というものは消えてしまった。常に未編集の動画がある状態。外収録があるわけではないので、肉体的な大変さはないのだけどね。

先週は、5月の写真展の打ち合わせで京都へ行ってきた。用事が済んだあと、京セラ美術館でやっている村上隆展へ。僕と同年の作家なのだ。世界で活躍する村上隆の新作は面白かった。京都ということで、日本画を参照するように作られていて、200年後の人々がこの作品を見て「へー、2000年ごろってこういう感じだったんだ」って思うんだろうな。

今週は東京駅ステーションギャラリーの安井仲治展へ。20年前に松濤美術館で初めて見て、以来ずっと注目していた。戦前のある時期に突如現れて38歳の若さで亡くなった伝説の写真家だ。もっと若いうちに、学生時代に見ておけばよかったのにと今になって思うのだけど、あの頃は人の写真になんて全然興味がなかった。写真集を買い始めたのは30歳を過ぎてから。今の方が若い頃よりもずっと写真が面白くなってきた。

久しぶりに米沢牛

甥と姪と娘が家にやって来て、一緒にごはんを食べた。2人に会うのは12年ぶり。前回は母親の四九日だった。あの時大学生と高校生だった甥と姪は米沢を離れ、いまは社会人として独立。甥は数年前に結婚もしている。彼は高校の頃から難しい時期もあって、一時はどうなるかと思っていた。こんな風に3人が揃って美味しいお酒を飲むことができるようになるなんて、あの頃は思いもしなかった。

僕はといえば、米沢にはコロナの時期をまたいで、もう何年も帰っていない。実家があるわけでもないし、両親がいるわけでもないし、帰ったとしても墓参り以外、何もすることないしなと思ってしまう。大好きな米坂線も数年前の大雨で橋が落ちてしまって途中で止まっている。「da.gasita」は遠くなりにけり。米沢にノスタルジーを感じることはなくなってしまった。かといって東京人でもないしなとも思う、もうすぐ63歳。

果てしなく続く、、

朝=鯵と秋刀魚の干物、白菜煮、納豆、白米、味噌汁/夜=生姜焼き丼、里芋と大根の煮物

『eyes』増刷分の販売を開始。https://2bh.base.shop/items/80594871

2月14日からはAmazon、楽天ブックスからも購入可能になる。これで増刷分の1000冊の販売目処がたった。

いつまで経っても、動画収録の音声が定まらない。ふたりまではなんとかうまく行くようになったけど、3人の収録になると途端に破綻する。ピンマイクで個別に音をとったとしても、ひとりの声が小さいと、編集時にバランスを取ろうとしてもうまく行かないのだ。他のチャンネルを見ているとみんな上手いなあと感心する。ライブは配信の音声も、いまだに小さいとコメントが入る。しかしこれ以上あげると、そもそも音が割れてしまうのだ。みんなどうしてるんだ? 自己流の問題がここにきて大きくなっている。もう機材云々ではない、根本的なところが違っていそうだ。そもそもこれ以上の機材はないのだ。果てしなく続く音問題は解決の糸口が見当たらない。

5月に京都KG +で2ヶ所と名古屋のギャラリーで展示をする。加えて6月下旬の2週間、新宿のプレイスMで企画展をやってもらえることになった。瀬戸さんから「ギャラリーの壁を新しくするから渡部さんやってくれない?」と声をかけてもらえたのだ。

東京での新作写真集「inception」のお披露目にちょうどいいのでお願いすることにした。プレイスMは今は新宿御苑にあるけど、以前は四谷三丁目にあって、その頃から知っている。今のギャラリー「ニエプス」の場所は、もともと「プレイスM」だったのだ。新宿御苑に場所を移してからは、ギャラリー、ワークショップ、レンタル暗室と様々な活動を続けている。実はPGIに次いで日本で2番目に歴史のあるギャラリーなんだそうだ。打ち合わせに行ったらビルの4階に特別室があって、そこには細江英公、森山大道、深瀬昌久、鬼海弘雄、そして瀬戸正人さんのオリジナルプリントがたくさん飾られていて、貴重な写真集も並んでんいる贅沢な空間だった。

写真集「inception」」のサイズやデザインの雛形が決まった。あとはレイアウトを再度検討して今月末に入稿、4月中には出来上がることになっている。今までとは全く違うアプローチだからどうなるか楽しみでもあり、ちょっと心配でもある。

ちょっと余裕

朝=塩ジャケ、納豆、レンコンのキンピラ、温玉、ごはん、大根の味噌汁/夜=豚と白菜の鍋

2月23日(金)にリコーのイベントに出ます。https://www.grblog.jp/article/25402/

内容は打ち合わせの時に担当者が「面白すぎる」と言っていたので是非お越しください。募集は始まっています。それと2月25日(日)、横浜で毎年恒例のCP +で雑誌「写真」の編集長村上さんと対談します。カメラ目当てに来ている人ばかりなのに、写真の話をして人を集めることができるのか?

毎年5月は京都グラフィーなのだが、今年はKG +枠で2ヶ所に参加することになった。ひとつは屋久島国際写真祭(YPF)の国内作家として苅部太郎さんと一緒に展示。その作品作りのためため3月に屋久島に行ってこようと思っている。もうひとつはギャラリーMainでの展示。ここでは新作写真集「inception」のお披露目になる。同時に名古屋ではギャラリー「FLOW」で個展を開いて、6月後半は東京新宿の「プレイスM」で企画展。いろいろ予定はあるけど、ここ数日は大した用事もなく、一日にひとり、誰かと打ち合わせで会うくらい。Youtubeはストックがあるのでちょっと余裕。そろそろ銭湯に行ってこようかな。夜は久々に娘と一緒に食事だ。

赤と青で紫

朝=山かけうどん/夜=高円寺「フジ」

いつも週末にかけて予定が入りがちになるので、プライベートな用事は月曜日と火曜日になる。昨日はちょっと用事があって京都の「Purple」へ。用事自体は1時間ほどですんでしまったので、写真集を見せてもらう。いまギャラリーのほうは、韓国の作家の展示をやっていて、写真集も面白いのが揃っていたので、その中から2冊購入してきた。水曜日のライブ配信のネタにもなるけど、今回のものは単純に「面白い!」。韓国の作家すごいぞ。教育もいいそうだ。現代アートのコレクターが「これからのアジアの現代アートは全部韓国に持ってかれるよ」と言っていたが、写真もそうなりそうだ。

15年前くらいに、韓国の作家との交流会でソウルに呼ばれたことがあったけど、彼らの作品は当時からほぼ全員が現代アートだった。いつからそうなったのかと聞いてみたら「留学先が日本ではなく、アメリカになった時から」。まずは映画だったらしい。若い人たちがアメリカに渡って韓国映画をハリウッド形式で作り出し、そこからエンタメはアメリカをターゲットに考えるようになった。内需が小さい韓国は外に需要を求めたわけだ。韓流ブームもアイドルグループも日本を席巻した。BTSなんていまや世界トップになった。

写真作品も発想が現代アートになっている。そのベースの上に乗っかっているから、歯応えがあって噛み締めると面白い。いや、一口目のインパクトがある。「Purple」の品揃えはすごい。ちなみに「Purple」は赤々舎と青幻舎が共同で作った書店兼ギャラリー。赤と青で紫というのが由来だそうだ。

転んでもタダでは起きないYoutuber

朝=お餅/昼=リンガーハットのちゃんぽん/夜=白菜鍋

2023年のパリフォトで、「The Tokyo Toilet」のパフォーマンスの様子を、現地にいた石井朋彦さんに伝えてもらって「2BChannel」で紹介した。これは、TOTOとユニクロが組み「東京に清潔で安全なトイレを」という企画で、東京渋谷区に個性豊かなトイレが17ヶ所作られている。それに合わせて「PERFECT  DAYS」という長編映画が制作されたそうだ。監督はヴィム・ヴェンダース。「ベルリン・天使の詩」や「パリ、テキサス」、キューバ音楽を扱った「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を作った人。その監督が東京を舞台とした映画を作ったのだ。

ヴィム・ヴェンダース監督作品は大好きなので、観に行ってきた。主演は役所広司、というか80%は彼しか出ていない。なのにセリフが極端に少ない、状況説明も一切ない。筋もなければ落ちもない、ないないづくしの映画だ。でもやられた。すごい体験だった。ラストシーンはなんのドラマもないのに感動する。60歳以上受けする映画だと思う。

「写真の会」賞の授賞式に出たという話を前回書いたが、実は、いただいた特製の賞状を僕が会場に忘れてしまったことで、無くしてしまった。授賞式が終わり、バタバタしている中でギャラリーを後にしたために、カバンの脇に置いていた賞状をピックアップし忘れてしまったのだ。家に帰り着く直前になって気がついたので、後日ギャラリーに取り行こうと、事務局にメールをしておいた。

ところが、その返信がなかなか来ないな、と思っていたら一大事になっていた。僕が賞状を忘れたことに気がついた事務局の方が「渡部さんには僕が届けます」と、その方が自分のカバンに賞状を入れて、そのまま打ち上げに向かったそうだ。そこでなんとカバンごと置き引きにあってしまったというのだ。もちろん僕の賞状はカバンの中。警察に届けたそうだが、状況から見て置き引きだから出てこないだろうということだった。

そしてなんとありがたいことに、そこでもう一度賞状を作り直していただけることになった。制作責任者は、山形にある東北芸術工科大学の教授の方なので、出来上がったら僕が山形まで取りにうかがうことにした。ついでにといっては申し訳ないが、興味があった方なので、チャンス到来! ということで、インタビューさせてもらえることになった。転んでもタダでは起きないYoutuberっというわけだ。