『ガールズ&パンツァー 劇場版』の一週間
「ガールズ&パンツァー 劇場版」はTV版から更に前進した個人的アニメ史に残る怪作でした。
その当作で気になったことが1つある。
最初に見た時、この映画の作中時間は長ければ1ヶ月、短くても2週間は経っているだろうと思っていた。
でも本当は1週間の中に収まっているらしい。
確かに初見の時も気になった台詞があった。エキシビジョンマッチの後で優花里が「あと1週間で新学期が始まります」というようなことを言っていた。これを聞いた時、ああこの辺をネタに話を進めていくのかなと予測したわけだけど、すぐに物語は急展開を見せてそのままこのことは忘れていた。
一週間のキーワードがあるのかもしれないと考えたのは2回目の鑑賞で、ノンナがエキシビジョンの際に口ずさんでいるのがロシア民謡の「一週間」であると思い出したからだ。一回目に見た時はこんな歌うたいながらスコープ覗いたらトリップしそうだというくらいの感想だったのだけど。
ガルパンの選曲には限定された意味がある。ノンナはTV版において2回、歌を歌った。8話の「カチューシャ」と9話の「コサックの子守歌」。ともに兵士の歌であり、戦中の愛唱歌であり、場面に合った選曲である。しかしこの「一週間」は違う。特に軍隊に関する歌ではないし、戦中によく歌われたわけでもないようだ。そもそも日本で知られているほどにはロシアでは親しまれているわけでもないらしい。いまいち選曲意図が不明である。
ということはこのタイトル自体に意味があるのではないか?
と思い至ってガルパンの劇中経過時間を追っていくと実に丁寧に追いやすく描写されている。一日の終りの時間が必ず描写されている。
エキシビジョンマッチの日を1日目とすると、学園艦云々のところで夜が来る。退艦して2日目、サンダース再びで夕方である。各々の過ごし方を見せながら日が落ち夜が来て3日目が終わる。あんこうチームのお出かけの日の夜にみほが船に乗る。西住家のやりとり島田家のやりとり、会長が戻ってきた時夕方である。6日目は慌ただしく過ぎ、試合前夜になる。決戦の日が7日目で、夜が明けたラストシーンが8日目の朝。
ぴったり一週間後である。
もっと時間が経過していると思ったのは、まず試合の準備時間が大洗・相手双方に必要なはずだと判断していたからだ。6日目に当たる部分に最低1週間要していると。
そしてその前、陸で過ごす大洗の面々の心身の変化もその理由の1つだ。たった2日でこんなに見違えるような自分に?!魚の干物も多すぎない!?というツッコミによってこのシークエンスもここだけで長い期間が必要じゃないか?と判断していた。
しかし先のキーワードを優先に考え直せばすべて問題ないようにも捉えられる。1日あれば移動はできる。相手チームの使用していた戦車は直前の描写とは全く別のものだ。陸の描写はコメディリリーフ。あの肉体を手に入れるには何日待ってもらちは開かない。
OK確かに一週間だ、問題無い。
ただなぜ一週間なのか、それがわからない。意味なんて無いのかもしれない。でも確かにキーワードとしてつながっているようにも見える。
ということがずっと気になっているという話でした。
輪るピングドラム MAWARU-PENGUINDRUM
劇中で作品名が引用されてるから言うけど、村上春樹の小説のような決着のつき方だと思った。『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』あたり。
物語の画角から世界が大きくはみ出たまま作品は結末を迎える。
眞悧は「運命の至る場所」で一人列車を待ち続け、冠葉と晶馬はペンギンを引き連れてどこへともなく歩き去る。愛と呪いの終わり無い物語。
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リアルタイムで半年もTVアニメを追いかけるなんて初めてじゃないだろうか。毎週これを見るためにいたような気すらする。見慣れた風景が登場して、これが運命だったとすら、なんて。オールナイトイベントはチケットがとれたらわざわざ荻窪駅から丸ノ内線でぐるっとまわって池袋に行こうと考えてたとか。
音楽も良いものばかりでハズレ無し。「ノルニル」「少年よ我に帰れ」はやくしまるえつこの歌ではあるいは「テレ東」や「スカイライダーズ」を超えるお気に入り。
9話から「灰色の水曜日」のイントロのピアノの下降線を聞くたびに涙腺を刺激され、20話から「コーラス入りのあのBGM」を聞くたびに涙腺を刺激され。
でも、10話の引きにマリオの「生存、戦略ーっ!」を使った以上もっとマリオにも焦点が当てられてしかるべきだったんじゃないかと。11話でどうやらマリオは陽毬の「運命の人」ではなさそう、マリオの役割はそこではなさそうだとは思ったけど、クリスタルとマリオのペンギン帽によるイリュージョン合戦くらいはありそうだとも思った(更に言えばそれ以前に10話の引きのかけ声は、日記を眞砂子に奪われたことで怒ったクリスタルが電車に乗り込んできたのかと思ったのだ。陽毬が一旦家に戻ったのはその伏線で、ついにバトルアニメになるかと一瞬想像した)。まさか本人の活躍は祖父に取り憑かれた時だけだとは。まあそれがわかった後から見れば問題があるわけじゃないんだけれども。
まだまだSW
ストライクウィッチーズ2 9話10話見た。
9話は意外と面白かった。2クールあったら評価できる小品という感じ。またの名を『マグマダイバー』。
本当におぼれている人はおぼれているようには見えない、静かに沈んでいく人に気付くためのポイント
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100910_what_drowning_looks_like/
この記事を読んだときに1期5話が思い浮かんだ。声はほとんど出て無くて手も水面下。あれはけっこうリアルな描写だったんですね。
10話は2、8話に続く「ぼくのかんがえたすとらいくうぃっちーず」が発動してしまう回だった。
エーリカの「単機での戦闘能力」がトゥルーデより上でマルセイユと同等とか残念な設定。そこは単機では劣るのに実戦でロッテを組みながらだと最強のウィッチになるて感じのほうが良かった。固有魔法のシュトルムもエーリカの空気読める性格にひっかけて、風を操ることで僚機をフォローする能力だと良かった。
マルセイユのライバルもトゥルーデにしちゃって、でも45年時点だともう2人の実力差は歴然としてて、圧勝したマルセイユはトゥルーデをコケにするんだけどそこでエーリカが怒ってじゃあ2対2でやろうよと・・・・・・みたいな筋書きがいいんだけどネウロイ絡みづらいしマルセイユの僚機(つまりライーサ)をどうやって連れてくんのか。メンドクサイ。
マルセイユの凄さもイマイチ。偏差射撃の天才が撃つ弾を徹底的に避けるエーリカとか、エイラの未来予知の価値がまた薄れた。
カッコいいカットも無かったしなあ。それさえあれば百難隠してくれるんだろうけど。
そういえば今期は作画陣にガイナックスからの大物助っ人は来なかったんだな。今石さんとか「原画で呼べ」なんて言ってたのに。パンティアンドストッキングが忙しいのか。自分の見てるBS日テレじゃあストパンの後番組がパンストって狙ってんのかと。
ネウロビームと未来予知エイラで板野サーカスなんかやったら悶絶するけどな。4話がそれっぽかったか。ビームを避けながらネウロイに近づくシャーリーのカットとか。やっぱ佐伯さんか。
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妙にメルヘンなキャラ設定がなされているのも良い。酔っ払ったサンタクロースからシュールストレミングを貰ったとかサウナの妖精をポケットに入れて連れているとか。
『放浪息子』アニメ化続報
http://www.houroumusuko.jp/
3月の発表から音沙汰ないから難航してるのかと思ったら1月放送か。にとりんの声優は少年俳優を起用。かなり本気だ。
話はどこらへんまでやるのだろうか。どの要素が削られるだろうか。千葉さんは相当な簡略化を余儀なくされそうだし、末広安奈は単行本10巻現在ものすごい重要キャラだけど存在を抹消されそうな気がする。つうか真穂のモデルエピソードごと削らるのは確実?
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百合百合言ってる作品は敬遠するけど『青い花』は好き。男の娘ブームとかナニソレな感じでも『放浪息子』は最高。
坂本真綾15周年記念ライブ“Gift” at 日本武道館 [Blu-ray]
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スペシャルゲストのひとりとして鈴木祥子が出たってことで気になってたライブだけど、「衣装替えのつなぎに佐野康夫がドラムソロ」という仕掛けがあると聞いたのが購入の直接の動機。DVD/BDどころか考えてみれば坂本真綾のライブ映像を見ること自体初めてだった?
確かに衣装替えのところはスゴイ。
歌うべき部分を終え真綾退場→アウトロのギターソロ、続けざまにドラムソロ・パーカッションソロ、コーラスが入って次曲のイントロ→せり上がりから真綾再登場
こういう流れも成立するんだって侮ってた。バンドメンバーは上手い人(というか河野伸とか三沢泉とかああここでも会いましたかって人たち)ばかりで安心。
名前を出したからというわけでもないがなぜか、「歌手として森高的だなあ」と思った。
ナタリーとかのレポートには祥子さんがバースデーケーキを運んできたという記述があるけどどうやらビデオではカットされているらしいのは残念だった。ブックレットにはケーキのろうそくを吹き消す真綾さんの写真が載ってるのだけれど。
8月のヘビーチューン
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8月の頭に谷山さんがライブの曲リクエストを「好きな3曲」としてtwitterで投票受付していた。せっかくだからファンの端くれとして投票しようと思ったのだけれどもできなかった。
2曲はもう問答無用で決まってる。『冷たい水の中をきみと歩いていく』と『僕は帰るきっと帰る』。あと1曲が決まらなかった。『穀物の雨が降る』とか『森へおいで』とか『ひとりでお帰り』とか『ドッペル玄関』とか大好きな曲はいろいろあるけど1曲に絞れなかった。『ドッペル玄関』なんかライブで「青青赤赤黒黒透明」と聞いたら訳も無く涙がこぼれそうな気がするんだけど3曲目にできなかった。
じゃあ2曲で投票すればいいんじゃないかと問われれば、そんなの中途半端で(略
たどり着くのが遅すぎて溺れる船を救えなかった魔女 Witch Arriving Too Late to Save a Drowning Ship
「ストライクウィッチーズ2」を8話まで見て4・6・7話が好きだ。1期では芳佳初飛行の2話、サーニャヲソンナメデミンナーの6話、芳佳がネウロイと遊ぶ9話が好きだったのでまさに佐伯無双。「2」でももう1回(11話で?)コンテを切ったようなので期待。しかしここにきてSWで佐伯さんの評価を爆アゲというのもねえ、一応カレカノとかフリクリとかいろいろ見てたのに。あのころは周りが凄すぎたってことでしょうかね。
6話で「芳佳のストライカーに何か異変が起きてそれでエイラと交代したことにすれば良かったんじゃ」とか言ってるやつはどうしようもない。
あれは芳佳が「エイラはサーニャを守ることができる」と確信してサーニャのところまで押していくからいいんじゃないか。「上手く説明できないけど信じられるんです」と言いたげな強引さが効いてくるんじゃないか。
何か問題があったとすれば、盾役の指名からエイラ暴走までの間に芳佳の描写がほとんど無いってことだけど、このへんはエイラの一方的な敵対心を補足する消極的演出ともとれるしなあ。エーリカの代わりにサーニャと水浴びする芳佳とか改変案は浮かぶけど。
7話のエイラがサーニャのズボンを下ろしかけたくだりのサーニャの目付きが「ゴミを見るようだ」とか本気で言ってる人は日本のテレビアニメにおけるクレショフ効果の有用性を実証している。クレショフ効果とは、ある映像が前後の映像によって相対的に意味を解釈されるうんぬん。要は単に「顔を赤らめて眉をひそめている」というだけの情報量の少ない描写がのちのエイラのたんこぶによって(それはサーニャが殴ってできたものだという解釈によって)さかのぼって「エイラの行為に怒って蔑んでいる」ように解釈されたんじゃないかなとか思う。
2話と8話がしっくりこないのはパワーインフレが気に入らないのも要因かもしれない。坂本少佐より戦闘能力高そうな西沢義子とかどんな魔王ですかと。まあもっさんは剣術にのめりこみすぎで実力は落ちてるとかそういう脳内補正もかけられないではないけど。
逆に8話まで芳佳がひよっこてのも無理がある。ウォーロックを1人で押さえ込んだ時点でもう一人前だと思ってたんだけど。それともさらに逆にウォーロックが雑魚だったとか。
ミーナが撃墜数200機に到達したのは地味に事件だと思うのだが。なにしろ「本人」の撃墜数162を遥かに越えちゃってるわけで、さらに元ネタ的には上であるエースたち何人かの撃墜数を抜き去ってしまってもいて、これは「総合1位はエーリカ・ハルトマン」「スオムス空軍で1位はエイラ・イルマタル・ユーティライネン」「エディータ・ロスマンは100機未満」とか既に設けられている定義に抵触しなければどれだけ撃墜数を伸ばしても順位が入れ替わっても良いとも解釈できるんだから。
501の夜を一手に引き受けるサーニャの撃墜数が本編ではいまいち凄さの分かりにくいペリーヌを越えているとかそういうこともありえるんじゃないかと。
ときおり思う、なぜ501JFWは結成当時に治癒魔法の使えるウィッチが配属されていなかったのかと。後からジョーゼット・ルマールの設定が出されちゃったのがそれに拍車を掛ける。いくらガリアでトップといえども化物ぞろいの501では埋もれてしまうペリーヌよりも回復役としてジョーゼットを起用したほうが戦略的には正しかったのではないかと。(連続でペリーヌを貶めてしまった)
芳佳が坂本少佐の個人的コネで501にスカウトされ、502へのジョーゼットの抜擢もポクルイーシキン大尉の個人的コネによるものであることからしても、ウィッチ隊の人事には何か問題があるとしか思えない。