私のような専業主婦が同性の恋人を作ることを主婦レズと言うそう。ネットでいろいろなことを知る。主婦レズはバイセクシャルを名乗るな、とも書かれていた。特に名乗る必要がないので「私はバイセクシャルです」とは言ったことがないけれど、レズビアンでもパンセクシャルでもないようなので、結局私はバイセクシャルなんだろう。セクシュアルマイノリティの中でも私のような人間は忌み嫌われているよう。自分以外のセクマイに会ったことがないので嫌われている自覚がまるでない。レズビアンに蔑視されてる主婦レズ。通常は夫に恋人のことを隠すらしい。私は普通に話すようにしている。ただ女子大生がそれを嫌がるようになってしまった。行員の彼と別れてから私に対する独占欲が強くなってしまった、とのこと。夫の話をするのも嫌がるようになり、子どもに時間を取られると寂しがるようになる。しばらくは寝る時間を削るなどして女子大生の気持ちを損ねないように合わせていたけれど、9月上旬、急に私が疲れてしまい別れ話を持ち出した。我慢をしている自覚はなく、ただただ大事にしているつもりでいたけれど、ふと気がつくと私が大事にしてもらっていなかったようにも思う。試されていたのかどうかは分からないけれど随分つらかった。9月はそんな具合に酷かった。ただその分10月は平和になった。先日、女子大生が北関東に遊びに来た際に出勤前の夫と対面した。私の運転する車の助手席で女子大生は固まっていたが、後部座席の夫は普段と変わらなかった。その日は幼稚園のお迎えに女子大生がついてきた。これまでは夫と子どものいない時間に来て、夫と子どもが帰る時間には居なくなってしまっていたので、これは子どもが大いに喜んだ。私は女子大生を自分のこの環境に引き入れたいと望んでいた。一方、女子大生は私と二人だけで暮らしたいと言っていた。結局はどちらも実現出来ずに辛い別れが待っているんだろうと思う。女子大生は完全にヘテロだと思う。私の強烈なアプローチがなければ一生女と寝ることなく社会的に許された形の結婚などをして暮らしていくタイプだったんだろう。だから私には男性的なものを求めているんだろう、というのは分かっているんだけれど、私も女なのでどうしたらいいのかな。

[JD]

7月下旬、女子大生は彼氏に別れを切り出したらしい。目の前で泣かれて帰れなくなり、とりあえずまた日を改めて、と言ってしまったとのこと。私は二度と会わないで欲しいと伝えた。翌日、女子大生のバイト先に彼氏登場。咄嗟に隠れて直接話すことはなかったらしい。別れないと思っていた。いつかその彼氏と結婚するんだろうと思っていた。「ついでに別れ話してきた。やっぱり持ち越しになっちゃったけど、ごめんね」というメールを読んで震えが止まらなかった。あんなに別れて欲しいと思っていたのに怖かった。まさかこの年になって男から女を寝取ることになるとは思わなかったし、自分のものにしてしまったら、いつかずっと先で今度は自分が寝取られる側だ、と思った。専業主婦が女子大生に恋するリリカルでファンシーな記録を、暗号のように切手の合間に挟んで誰かに聞いてもらいたかっただけなのに、私は此処にこんなことを書いていいのだろうか。8月、これまで二股していた女子大生は私だけの彼女になってしまった。経済力将来性皆無の専業主婦が行員に勝てたのはセックスだけだ。現実が痛い。