細く長くなる影

八月初めの日曜日、子供らが通うヴァイオリン教室の発表会があった。
六月ぐらいから、家の玄関扉を開けるとヴァイオリンの音色が迎えてくれるようになっていた。
小学校最後となる彼は三曲の課題曲を与えられた。思うように弾けない時など、ヴァイオリンの高い音色に似た声を発しながら、必死になって練習していた。
その課題曲の一つに「カノン」と云う曲があった。

ヨハン・パッヘルベルのカノンは、ドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルがバロック時代中頃の1680年付近に作曲したカノン様式の作品である。「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」の第1曲。この曲は、パッヘルベルのカノンの名で広く親しまれており、パッヘルベルの作品のなかで最も有名な、そして一般に知られている唯一の作品である。
しばしば、クラシック音楽の入門曲として取り上げられる。また、ポピュラー音楽において引用されることも多い。卒業式や結婚披露宴のBGMとされることもある。
> Wikipedia:カノン(パッヘルベル)

毎日毎日「カノン」ばかり聴いていると、自然と「カノン」ばかりな脳内になってしまい、知らず知らずの内にハミングしている事も度々あった。そのうちに「カノン」が流れる脳内では、プレゼント包みを抱えた牧瀬理穂が右往左往しだす始末。

間奏はコード進行が似ていたことから思いついた(山下談)というパッヘルベルのカノンを取り入れて作られている。
> Wikipedia:クリスマス・イブ (山下達郎の曲)

しばらく季節はずれなクリスマス・イブのサビを口ずさんでは、大気中の湿度の濃さを示した薄青い空を見上げ、悪態ばかりついていたら、27年ぐらい前、友人にずいぶん聴かされていたアルバムが恋しくなった。結局、今年の夏ヘビロテとなった。

BIG WAVE

BIG WAVE

特に悲しみのJODYが好き、というか、むしろ悲しみのJODYしか聴かなかったり。
日本語だと聴き入ってしまうと悲しくなってしまうので英語版が好み。

先日、地元で秋刀魚の水揚げのニュースを眺めながら、秋刀魚のつみれ汁に想いを馳せてる、今日この頃。

存在の耐えきれない暑さ

今年の夏の暑さときたら、むしろ熱いものだから、厚くはない作品ばかり読んだ。

屋上への誘惑 (光文社文庫)

屋上への誘惑 (光文社文庫)


哀しい予感 (角川文庫)

哀しい予感 (角川文庫)


幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)


おめでとう (新潮文庫)

おめでとう (新潮文庫)

「おめでとう」はまさに川上弘美的恋愛短編集で、あいかわらず、文章と云うか、日本語表現がとても美しい。
その一作目「いまだ覚めず」に以下のような文章がある。

十年たってみると、自分がいつかは死ぬことが十年前よりもはっきりわかってきて、箒でごみを掃きだすように、やり残したことやしそこねていたことをどんどんおこなってしまわなければもったいないという気分が強まったのである。(13p 抜粋)

ここ最近の私の気分がまさにこれであって、なんだかどきりとした。

長い休暇の終焉に

夏季休暇明け、靴下を履くと云う苦行に耐えていた昨日夕刻。

ディスプレイ傍で、ぶるる、メール受信を知らせるモノが有った。
手に取って、これ確認したならば、細君からだった。
ハナの右前脚が腫れている、右前脚を床に着く事も辛そう、これから又は明日にでも病院に連れて行ってほしい、旨の内容だった。
赤子と動物は、痛いだの痒いだのと云う事が出来ない分、これ一大事と、有り余っている有給休暇をここぞとばかりに消化して、急いで帰ることにした。

自宅に着いて、ハナの右前脚を確認して見たならば、それライオン様な、立派な前脚。左脚に較べてみれば二倍ぐらいに腫れ上がっているのが見て取れた。

キャリーバックの蓋を開けた途端に興味津々、ひょいと入ってくれたので、みゃーみゃー云わせながら、かかりつけの動物病院に車を走らせた。

病院についたら、結構混んでいたのだけれど、出入りの回転が速くて5分程で呼ばれた。
医師が右前脚をむんずと掴み上げ、肉球を拡げて瘡蓋状となっている毛をむしり取ってみたところ、肉球の奥の方に裂傷が確認されたのだけれど、化膿はしていない様子。背中の皮をつまみ上げられ、抗生物質の注射をして貰って診断終了。塗り薬を貰って無事帰宅。

大事に至らずに済んだし、靴下を早々に脱ぐことが出来たので、色々と安堵した一日であった。
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で、塗り薬、塗ったそばから舐めるし。

ピンチアウトした空の下

二ヶ月ほど前の事のことになるが、携帯電話本体の分割払いの残り月が、親指と人差し指を折って数えれる程になった。

それまで D社の携帯電話とiPod touchを使っていて、これと云って不自由など感じていなかったのだけれど、そこここでスマートフォンの液晶画面を指でシュッシュッとしている行為が、なんだか気になってしょうがない。いつのまにやら、同時期に携帯電話を購入したはずの細君も、事あるごとにシュッシュッしていたりした。そうなってくると自ずと私もシュッシュッしたい衝動に駆られ始める。

以前、取引先の方と打ち合わせが無事に終わって世間話をしている時のこと。
携帯電話の話から、年に一回、決まってタイにゴルフへ行くという話に展開した。
「しかし、タイに行った時も普通に(この)携帯電話は使えるから、世の中便利になりましたよね」と云って、S社の最新機種らしい携帯電話をこれみよがしに左手の中で器用に回して見せた。
その当時 *1、周辺市町村でのS社の携帯電話は、将棋の駒みたいに吹けば飛ぶ様な電波状態で、少なくとも会社付近では、ほぼ電波受信マークが立った状態を見る者無く、結果、タイよりも電波状態が悪い地域であることがわかった。あえてそのような事を知らないまま、彼は会社を後にした。

D社の夏モデル発表、将来的にiPhoneは取り扱わないであろう旨の発言、噂のiPhone5は発売されなかった、で、何ら迷うことなく、前述の電波環境もあって、自ずとa社のiPhone4Sへの乗り換えることを決めた。
D社のファミリー割引の主回線になっていることで、解約などの手続きがしちめんどくさかったのだけれど、ちょうど乗り換えキャンペーンとかで現金三万円を握らされたら、すべて丸く収まった心持になった。

自称ロッカー*2 なので、持ち物は断然黒が多いのだけれど、今回は爽やか?に白を選んだ。
けれども、自称ロッカーは譲れない?部分なのでヒョウ柄(J.Crew)のカバーを被せた。

えぇ、今年無事に43歳になった次第で、えぇ。

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*1:現在でも一部地域では電波状態は変わらない。

*2:この場合、Locker(収納家具の一種)ではなく、Rocker(音楽のロックファン)を意味します。

早朝の来訪者

朝早い時間から、階下で猫が騒がしい。

親子して喧嘩でもしているのだろうと、寝返りをうてば、ただならぬ様相である事を、サッシ窓や壁を伝う衝撃音が知らせる。
おぼつかない足取りで階段を下り、リビングへのドアの前に立ったところで、声の主は娘猫(ハナ)である事を理解した。
ドアを開ければ、親猫(ウメ)が、毎朝の習慣通りに、ころころと喉を鳴らしながら、足にまとわりついて みぃーと短くないて朝飯を要求(ねだ)った。
カーテンを引いた薄暗い室内に目を凝らせば、庭に面した大きな窓のカーテンが激しく波打っていて、その波間からハナの興奮した威嚇声が轟いている。

カーテンを静かに小さく開けてみたら、犯人はそこに居た。

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最近、毎朝やって来ては、カーテンの隙間から室内を覗き、サッシ窓を猫パンチしている様子。
おかげで、目覚まし時計要らずで、毎朝猫の威嚇声で目を覚ましている。