『岩本社会学論集』

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イベント→コミケ3日目S57bおよびコミティア101「前途洋々だ会」での委託販売
A5判/本文141ページ/定価500円


目次
序文「岩本社会学ダブルミーニング」(日高利泰)
岩本ナオ作品紹介」(橋爪太作)
Column 1「デリカシーのなさには定評があります」(高柳紫呉)
第I部 岩本の社会
「『町でうわさの天狗の子』にみるキャラクター表象の両義性」(杉本章吾)
Column 2「天狗、その始原と現在」(高丘讓)
「〈まなざし〉の行方――『雨無村役場産業課兼観光係』試論」(岩下朋世)
Column 3「Awareness always comes afterwards. はじまりはいつも、少しだけ手遅れ」(高柳紫呉)
第II部 社会の岩本
岩本ナオの描く〈リアル〉な農村」(一宮真佐子)
Column 4「雨無村在住青少年にとっての健全な娯楽とは?」(高柳紫呉)
岩本ナオとその瞳に広がる世界の入り口のこと」(やごさん)
Column 5「メディアとしての少女マンガ、その都市的諸性格について」(高柳紫呉)
補遺
「灘崎紀行――岩本ナオの世界へ」(橋爪太作)
「路上の蛮行はいかにして正当化しうるのか――「灘崎紀行」解題」(日高利泰)
Column 6「桜とスミオのFunctional Analysis」(高丘讓)
あとがき「岩本社会学でやったこと/やりたかったこと」(橋爪太作)


 若手のマンガ研究者が集まってまるまる一冊岩本ナオについて語るというおバカ企画なのですが、当然本人たちは大マジメです。岩本ナオ先生への愛にあふれたファン活動であると同時に、マンガの研究というのがいかにあるべきかということにも正面から向き合ったものです。そこらあたりは序文でも詳しく書いたのですが、序文の解題については販促企画として別立てでやろうかなと思います。
 また期せずして、伊藤剛さんの「マンガのふたつの顔」(『思想地図β』3号収録)とも内容的に呼応する論文が複数(岩下朋世「〈まなざし〉の行方――『雨無村役場産業課兼観光係』試論」、やごさん「岩本ナオとその瞳に広がる世界の入り口のこと」)含まれております。もちろん、それ以外の論文も読み応え十分ですので、よろしくお願いしまーす。

追伸
ツイッターあります。@shigureya

こっそり再開のお知らせ

 長らく開店休業中でしたが、いい加減きちんと運用していこうと思います。やはりアウトプットを増やさないとダメだな、と。ブログを書いていない間も、「岩本社会学」を作ったり、マンガ学会で発表したり、それなりに色々やっていたのですが…。

という訳で、『岩本社会学論集』(「岩本社会学」シリーズ最新刊)のお知らせです。

ケータイ擬人化

以前読み切りで載ったときにたまたま『なかよし』を買っていて、印象に残っていた(あぁこれ連載化するだろうな)作品でついに連載化というニュースを聞きましたので、応援記事を書こうと思った次第です。
こういうのはツイッタがいいんでしょうけどね。
ツイッタは当面始めるつもりはございません。
妙なこだわりですが。もう少し様子見です。

以下、ナタリーの紹介記事です。
http://natalie.mu/comic/news/44461

ケータイ擬人化、と云うよりもより端的に「ケータイくん」と云えば、花ゆめ読者にはおなじみの柳原望『ケータイくんといっしょ』がまず思い浮かぶわけですが、今回の瀬田ハルヒ「非科学常識ケータイくん!」との間での影響関係などは何とも云えません。
何よりもまず、私自身が『ケータイくんといっしょ』を未読ですし、柳原以前・以後のその他の類似作品についても把握しておりません。
ですから、今回は単純にこんな連載が始まって『なかよし』のテコ入れが激しいということだけお伝えしたいと思います。これが売り上げに結び付くといいですね。

連載の方は未読なのでこれもコメントできませんが、読みきりの時の印象で云うと、ドコ○のCMにインスパイアされたものかなぁという気がするものの、タイムリーなネタできれいにまとめておられるというポイントとテンポのいい演出が好印象でした。読み切りのテンポをどのくらい連載でも活かしていけるかが楽しみです。

祝復刊

ちくま文庫版の『王の二つの身体』が復刊しているようです。

在庫切れ状態が長らく続いていて、中古市場でも妙な高値が付いていて、何とかならんもんかとここ数年待ち望まれていた復刊がようやくかないました。円高だと調子に乗って密林で英語版を購入しているというのは秘密です。

少女マンガの研究とはもちろん(直接的には)何の関係もない訳ですが、これは歴史的研究の成果としてはかなり感動的なもので、とにかく面白い。

また品切れになったりしないことを祈ります。

草川為『八潮と三雲』2巻

草川為という作家ももっと評価されてしかるべき作家だと思っています。
龍の花わずらい』もLaLa本誌で毎月楽しみにしてたのに終わっちゃうし…。(だいぶ前の話ですが)
王道的な構図でありながらも、設定のレベルでひねりが利いているというかなりの上級テクを毎作繰り出してくるあたり、かなり上手い作家だと思うのです。
絵柄もかわいいし。(やや地味という説もあるが)

今作『八潮と三雲』もそんな彼女の巧さが遺憾なく発揮されています。
「取り立て屋→バディもの」はよくある設定ながら、「猫社会」ということでキャラ造形の旨み倍増です。
よく考えると結構ハードなアクションなのに、絵柄のかわいさと猫設定のおかげで、深刻になり過ぎない。

忙しい毎日に疲れたなーという時に、読み返したくなる作家の一人です。

文フリお疲れ様でした

 先日の第10回文学フリマで『岩本社会学への招待』なるナゾ本を売ってきました。

 岩本ナオがらみで色々書いたり話したりしてきた内容の現時点での総括のつもりで自分は書きました。ご実家の方へ献本してご本人にも渡るようにしようと思ってますが、ストーカーまがいの愛があふれすぎていて正直キモイのではないかという疑惑もあります。この場を借りて、先に謝っておこうと思います。

 文フリ当日は持っていった冊数が少なかったんで(全部手作りなので製本作業がすごくめんどくさい)、買えなかったという人もいて、非常に申し訳ないです。自分としてはそんなに売れるとも思っていなかったので、興味を持ってくれる人がそれなりにあって嬉しかったです。

 追加生産が進んでいるはずなので、そのうちまた何か告知を出せると思います。


<岩本社会学目次>
『岩本社会学への招待――マンガ表現空間における〈地方〉の現代的位相をめぐって』
序章 岡山県岡山市南区奥迫川地区
第一章 マンガ家・岩本ナオ
第二章 岩本社会学理論編
1 マンガパート
2 社会科学パート
第三章 岩本社会学実践編
1 異類属性の機能と構造――あるいは神の子と名指されることのパラドクス
2 桜――超越的特異点をめぐるコミュニケーション幾何学
3 ツタヤ・ケータイ小説・硬派の城――〈地方〉の空間感覚
4 天狗――そのライフコースの根源的不確定性
5 道路先生――「日本的」開発システムとその運命
6 ホームセンター――〈地方〉における複層的経済圏の存在
終章 〈地方〉を生きることの問いと倫理

 A5判で120ページ強、しかも本文のレイアウトがかなり贅沢な紙の使い方をしているという本です。印刷機がしょぼいので微妙にかすれていて、昔の学術書みたいな風合になっております。いちいち学術書風の装いなのですが、中身はかなりバカバカしいことを大真面目にやっているので、冗談と本気の境界線上のかなり危うい感じです。

 次回の文フリでも頒布予定、他の機会にも売ることになるかもしれません。ぜひ買ってください、よろしくお願いします。