Clap Your Hands , Say Yeah

shuh2005-12-27



http://www.kcrw.com/cgi-bin/db/kcrw.pl?show_code=mb&air_date=9/16/05&tmplt_type=show

http://3voor12.vpro.nl/3voor12/groups/index.jsp?groups=24684154

↑ライブ音源。


今日現在、自分の年間ベストを変更しました。

http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051210


理由はこのバンドが自分の中で思った以上に大きくなってきたから。


ぶっちゃけた話、僕のこのバンドの第一印象は、「ああ、優等生なバンドだな」でした。


何が優等生か。このバンドの出す音があまりにも時代の流れにド真ん中過ぎたから
彼らが引き合いに出されるアーティスト、ピクシーズペイブメント、ベルベッツ、キュアー、トーキング・ヘッズ前の三つはアメリカのインディーバンドなら誰しもが憧れ、その影響から逃れがたいバンドだし、後ろ二つはここ数年のバンドがこぞって真似しようとする(単に、「影響を受けてる」っていわれているだけかもしれないけど)存在。


一部には「レディオヘッドのパブロハニー」に似てるって声もあるけど、そもそも「パブロハニーがペイブメントピクシーズに影響受けまくりじゃん」って話もあるわけで。


結局のところ、ストロークス以降の2000年代のロックと、モデスト以降の現代のインディーロック、その流れのど真ん中にたった(というか、あまりに器用に立ちすぎた)バンドだと思っていた。そして、それがゆえに、もうひとつそこからはみ出したものがあってもいいのかなって思ってもいたんです。


発売から、早3ヶ月。本当にこのバンドのすごいところ(少なくとも自分にとってね)が、見えてきた気がいます。すごくベタだけど、それはソングライティング


"Over and Over Again""Skin of My Yellow Country Teeth""Is This Love""Heavy Metal""Is This Home On Ice"…


何度聴いても聴きべりしないどころか、むしろ個々の色を明確にさせていく楽曲達。
この5曲がひとつのアルバムに入っていること自体がすごいと思う。


バンドを評価するとき、「ソングライティングがいい」っていうとすごく安直に
聴こえるかも知れないけれど、結局時代に新しい空気を持ち込むバンドの根幹ってえてしてそういうもので、ストロークスの『Is This It』だってそうだと思うんです。


「こんなオールドロック」といわれながら、結局時代を変えてしまった理由は
あのアルバムに"Modern Age"と"Someday"と"Last Nite"と"Hard To Explain"と"NYC Cops"が入っていたからだった思う。
(音の上辺じゃなくてね)


それこそ、"Skin of My Yellow Country Teeth"からの3曲は、個人的に"Last Nite"からの3曲を彷彿させたりする。もちろん、ストロークスのときと違って、明確にオルタネイトする対象が存在しない以上、CLAP YOUR HANDS SAY YEAHストロークス並みのバンドだとは思わないけど、それでもこのバンドの力量がそれだけ破格であることには変わりないと思う。


たしかに彼らは「優等生」であることには変わりないと思う。
でも、彼らは、彼らの先生はビビるくらいに異様に出来る優等生。
それってすごいことだと思うよ。


[追記]
ただね、このバンドがもてはやされるたびに、どうしてもひとつ思うことがあるんです。
それは・・・


もっとウルフ・パレードだって取り上げてくれたっていいじゃん!



Clap Your Hands Say Yeah
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Pitchfork年間ベスト2005

http://www.pitchforkmedia.com/


さてさて、個人的に(世界で)もっとも好きなロックメディアPitchforkの年間ベストが出ました。たぶん、今年の雑誌の出してるリストの中で最も好きです。


こういうリストを見るときって、単に自分の気に入ったバンドが高ければいいってもんじゃなくて、ならびから見えてくる主張みたいなものがポイントで。
「いいものを、いち早く」そんな前のめった姿勢が、頼もしい。



では、簡単にリストを。


Pitchfork Albums of the year


1. Sufjan Stevens / Illinois
2. Kanye West / Late Registration
3, Art Brut / Bang Bang Rock & Roll
4. M.I.A. / Arular
5. Antony & the Johnsons / I Am a Bird Now
6. Deerhoof / The Runners Four
7. Animal Collective / Feels
8. LCD Soundsystem / LCD Soundsystem
9. Cam'ron / Purple Haze
10.Wolf Parade / Apologies to the Queen Mary
12.New Pornographers / Twin Cinema
14.Vitalic / OK Cowboy
16.Love Is All / Nine Times That Same Song
17,The Clientele / Strange Geometry
18.Clap Your Hands Say Yeah / Clap Your Hands Say Yeah
23.Ladytron / The Witching Hour
26.The Decemberists / Picaresque
27.Jamie Lidell / Multiply
30.Franz Ferdinand / You Could Have It So Much Better
33.Bloc Party / Silent Alarm
38.Devendra Banhart / Cripple Crow
42.My Morning Jacket / Z
43.Spoon / Gimme Fiction
44.Vashti Bunyan / Lookaftering
46.Fiona Apple / Extraordinary Machine [Jon Brion Version]
49.Fiery Furnaces / EP


スフィアン、カニエ、アントニーLCDはどこも選んでるから順当として、
自己主張を思いっきり感じたのは、3位art brut,10位wolf parade,
18位Clap Your Hands。
意外と他の雑誌選んでなかったし、うれしかった。


あと、アルバム出したばかりのLove Is Allがなんと20位以内!
アルバムやっと聞けたんだけど、すごくいいです。

この4バンドはホント自分の中での期待の星。

http://d.hatena.ne.jp/shuh/archive?word=%2a%5bK%2dP%5d


とがってる分、フランツが低かったり、ホワイト・ストライプスを選外にしてるのは
ご愛嬌
だけど、さり気にファイアリーズが最近出た新譜じゃなくて、EPの方選んでるのが
結構すきだったり
。このバンドは、3分間ポップスでも個性的な曲がかけるんだから、
一度、それだけで勝負したアルバムを作ってほしいもんです。

“Soul Meets Body” Death Cab For Cutie 『Plans』

http://www.rollingstone.com/artists/2563/videos/video/7605345



もちろん、デスキャブの話。
全英4位を記録したメジャーからの第一弾アルバム『Plans』は、僕にとっても感慨深かったから


今回のアルバム、デスキャブにとっては難しい立場にあったと思うんです。
前年、モデスト・マウスがまさかの100万枚突破で、一気に「インディー・ブーム」がアップグラウンドなものになったアメリカ。デスキャブのフロントマン、ベン・ギバートのサイドプロジェクト、ポスタル・サービスもリリースから2年かけて一度もBillboard100位以内に入ることナシに、50万枚以上売れてしまった。(もちろん、デスキャブ本家よりもこの数字は大きい。)


そしてそのまま、インディーレーベル・バースクを離れ、メジャー移籍。


今回の作品は売れることを求められたと思う。
しかも、メインストリームな音でのヒットじゃなくて、「次のモデスト・マウス」としてのヒット。


でも、それってどんな音なのか、皆目見当つかないわけですよ。


インディー時代までの音、特に冷感漂うノイジーなギター(彼らが時に「エモ」といわれた最大の要因もこれ)は正直、モデストとはあんまり似てないし、モデスト周辺の持つある種の風通しのよさからすれば異質にさえ見えた。


さらに、本家よりも売れてしまったポスタル・サービスの存在
「何のために、デス・キャブ・フォー・キューティーというバンドをやってるのか」
そういう問いを突きつけられてもおかしくない状況なんじゃないかと、僕個人は思ってた。


そんな邪念を、あっさりと吹き払ってしまったのが、先行シングル「Soul Meets Body」。


ポスタル・サービスで獲得した軽やかで滑らかなリズム。ギターからキーボードに回ったクリス・ウォラが織り成す煌びやかで風通しのいいエレクトロ音。そして、デスキャブ本来の本質であるナイーブなセンチメンタリズム。


そのすべてがこの一曲に集約されている。


自分達が求められているものに対するこれ以上ないくらいの回答作。


自分達と、アメリカの新しい時代を祝福する序曲。


この曲を聴いたとき、来るべきアルバムには絶賛の嵐が吹き荒れるに違いないと思ってたんですが・・・


ふたを開けてみれば、意外と、厳しかったんだよね。どのレビューも。


曰く、『O.C.に出演して、セルアウトとしたエモバンド』。


デスキャブが知名度を上げたもうひとつの要因は、人気ドラマ『O.C.』(ホントに普通の青春ドラマみたいですね、ただ、サントラはもろUSインディーでいいコンピになってます)への出演(といっても演奏シーンだけだけど)と、主題歌の提供。


そして、その結果としてエモっぽさが全くなくなった新作に、エモライターは紛々。という図式みたい。要はやっかまれちゃったわけです。


だけどさ、デスキャブらしさ=エモなのか?ちがうだろ?結局のところこのバンドの本質は、ベン・ギバートのセンチメンタリズムだと思うし、これまでの音のつつましさとは裏腹に、本人達は「メジャーでだそうが、インディーで出そうが関係ない」と飄々としてたそうで、お門違いな期待をかわしたのは正解だったんじゃない?


それに。今回はリスナーの方がわかってた。
アルバムの全米4位。シングル「Soul Meets Body」はこれまで彼らの曲をかけなかったラジオ局でもOAされ始め、iTMSアメリカのストア全体でも2位を記録。カニエ・ウエストとリリースがかぶったため、1位はならず)


これまでとは比べ物にならないくらいの数の人が、彼らの音を聴いた。


去年のモデスト・マウスと、今年のデス・キャブで、明確に「あたらしいアメリカ・インディー」の音が確立されたと思うんです。


ペイブメントピクシーズが作り上げたインディーの伝統に、エレクトロな音とビートへの探究」。結果としての、インテリジェンスと可愛げなユーモアのある音。


そして、このシーンから、Clap Your Hands , Say Yeahっていう有望な新人が登場したのもまた頼もしい。


そんな彼らの第一歩がうれしかったんです。あ、和田―仲根の話ではありません←思い出した)


*あえて、アルバムを今年の十枚からはずしたのは、アルバムにもう少し「Soul Meets Body」みたいな曲がほしかったっていうとこですね。エレクトロ・フォークもいいけれど、明確に「ポスタル通過後」を感じさせる音があと2曲くらいあれば、ほんとに文句なかった。それくらい、この1曲に感動したってことなんだけど。



Plans
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Death Cab for Cutie
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嫉妬とやっかみを乗り越えて  Death Cab For Cutie

shuh2005-12-13

・・・「嫉妬とやっかみ」って言っても、ソフトバンク和田と仲根かすみの結婚の話ではありません。(まあ、あれはあれで、和田が自分と同い年だったりもするせいで、なんか感慨深かったですけど)

"Touch The Sky" Kanye West 『Late Registration』

shuh2005-12-12



すっかりすごい人になっちゃいました、カニエモン。
絶賛&ロングセラーの前作「大学中退(和訳)」から一年、アルバム『登録遅延』は、Rolling Stoneの星5つ(ホワイト・ストライプスの『象さん』以来?)、アメリカで初週80万枚のセールスを上げた(今年、同じくらいの初動だったのって、コールドプレイと50セントしか、ぱっと思いつかないんだけど、他にいたっけ?)いまや、ブラック・ミュージックの顔です。マスコットは熊さんの癖に。


その3曲目「Touch the Sky」は、そんなカニエさんの充実感をてらいなく表現した曲。「空にだって、届きそう」。そんなリリックをカーティス・メイフィールドのド名曲「Move on up」の超有名なホーンリフをそのまま拝借するという、聴くもの唖然とさせる大ネタ使いっぷり。


だけど、そんなことも、「今のカニエさんならしかたねーな」と許せてしまえるくらいの高揚感。彼はそれだけ大きな存在になった。(これがやる人がやる人なら、「ファック!セルアウト!」といわれても仕方ないのだけど)


以前も書いたことがあるけれど、カニエは自分のことを「Jay-Zとタリブ・クエリの中間にいる」と表現しているのだけど、このアルバムの中の例えば、「ダイアモンドは永遠に」の中で言及しているような黒人(これはアメリカ内やアフリカまでにも包括しているのだけど)の貧困や拝金主義に対する問題意識を表明するシリアスさや、ロックジャーナリストさえうならせるクリエイティヴィティに対するこだわりがある一方で、「Touch The Sky」のような、自分の成功に対して辺にひねたりしない素直さもある。(ちなみに、収録曲のリリックには、USヒップホップお得意の「ナンパネタ」も多い。まあ、そんなリリックにさえ妙にユーモラスなところがあるのが、この人らしいけれど)


そんなところが、下手にシリアスになれば、「説教臭い」といわれるアメリカのヒップホップの中で、これだけの人気を保ててる理由なんでしょう。


さて、個人的にカニエモン・パワーを見せ付けられたシーンが実はもうひとつありました。


それは、「大学中退」での客演家のソロまでブレイクさせてしまったこと。


一人は「All Falls Down」で、本当はロウリン・ヒルのサンプリングを使いたかったのに、許可が出なかったから代わりに歌ってもらったという曰く付の爆乳ディーバ、シリーナ・ジョンソン


そして、もう一人は、「New Workout Plan」でバイオリンを弾いた、ミリ・ベン・アリ。この人にいたっては、それまでシックなドレスを着て、クロスオーバー系のジャズ・バイオリニストだったのに、へそまで出して「ヒップホップ・バイオリニスト」を名乗るはっちゃけっぷり。


この二人までそこそこ売れてしまうのだから、今のカイエモン景気ってすごいね。


Late Registration
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チャプター3:ザ・フレッシュ
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The Hip-Hop Violinist
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個人的年間ベスト 2005

shuh2005-12-10



NMEも年間ベストを出して、もう12月中旬なんでね。
個人的な年間ベスト出しときます。


album of the year

1.Bright Eyes “I’m Wide Awake , It’s Morning”http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051125#1132851085

2.Sufjan Stevens “C’mon Feel the Illinoize”

3.Common “Be”
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051107#1131645750

4.Coldplay “X&Y”

5.Clap Your Hands , Say Yeah “Clap Your Hands , Say Yeah”

6.Wolf Parade “Apologies For Queen Mary”

7.Damian Marley “Welcome to Jamrock”

8.Franz Ferdinand “You Could Have It So Much Better”

9.White Stripes “Get Behind Me Satan”

10.Bloc Party “Silent Alarm”
アーケイド・ファイアは昨年扱いです。



track of the year

1.Juicebox / strokes
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051124#1132764056

2.Soul Meets Body / death cab for cutie
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051213#1134405262

3.hounds of love / futureheads

4.Touch The Sky / Kanye West
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051212#1134491193

5.I feel like a child / devendra banhart
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051118#1132248713


best live
Arcade Fire @ Summersonic 05

次点:The Roots @ Summersonic 05
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051202#1133451224


Best Pv
Arcade Fire "Rebelion"


Scene Of The Year
Canada
Freak Folk


Comeback of the year
Vashti Bunyan
http://d.hatena.ne.jp/shuh/20051105#1131645987


*12/27日変更しました


今後の日記で、この中の一部についてコメントをつけていく予定。