移動中。
今日は仙台の電力ホールへミュージカルVIOLETの夜公演を観てきます。
キャストは↓。(敬称略)
ヴァイオレット:屋比久知奈 フリック:東啓介 モンティ:立石俊樹 ミュージックホール・シンガー:sara ヴァージル:若林星弥 リロイ:森山大輔 ルーラ:谷口ゆうな 老婦人:樹里咲穂 伝道師:原田優一 父親:spi ヤングヴァイオレット:嘉村咲良
4年前、チケットは購入済みだったんですが公演中止になり、3日間限りのリトライ公演があってからの今回の再演。
3日間限りの方はコロナ禍真っ只中で悩みに悩んでチケットを取らなかったのです。
キャストがだいぶ変わってしまいましたが私の住む街に近い仙台に来るなら観にいこうと思ってチケットを取ったのです。
VIOLET役は一昨年のキムが素晴らしかった屋比久さんにしました。
楽しんできます!
到着。
観てきました。
ざっくりとしたあらすじは主人公のヴァイオレットは不意の事故で負った顔の傷を治してもらうためにグレイハウンドバスに乗ってTVで見た伝道師に会いに行く。そのバスで黒人兵士のフリックと白人兵士のモンティと出会うことから始まる話。
ヴァイオレットの顔の傷、フリックを始めとした黒人の肌の色とかはメイクとかはせずにお客さんに想像させる演出なんですが、途中からその設定を一瞬忘れてしまうように感じてしまってセリフや動作で設定を思い出したりしたけどこれは一長一短なのかな?とは思う。肌の色を黒くするのはわかりやすいけど今の時代だとアウトだろうと思うし。
主人公のヴァイオレットに最初は世間知らず過ぎて全く共感できずで。でも「Let It Sing」の前のフリックとのシーンでこの時代の医療ではヴァイオレットの顔の傷を治すことは不可能で怪しいTVの伝道師に助けを求めるほど追い詰められてて解決方法がヴァイオレットの中ではもうそれしか考えられなくて、例えば今の難病患者とかが怪しい商売にも治るならばという僅かで切実な希望をヴァイオレットは伝道師に見出してるんだろうなーと思いながら見てる内に共感し始めて。
屋比久さんのヴァイオレットの歌で怒るシーンはミス・サイゴンのキムの怒り方がよぎって屋比久さんはキム役者なんだなーと改めて思ったり。
ただ屋比久ヴァイオレットと東フリックとの身長差がえぐかったなー。調べたら190cmの東さんと153cmの屋比久さん。身長差があり過ぎて大人と子供に見えてしまった。。
東フリックは軍服が似合っててタッパもあるのでカッコいいなーと。あの時代の黒人役、差別が酷い時代なのはオープニングの黒人3人が強い水を浴びせられてるシーンや序盤の食堂のシーンとかで分かるし、物語の後にヴァイオレットと結ばれても大変なのは変わりないんだろうなーと思いながら観てたかな。フリックソロの「Let It Sing」とか似合っててカッコよかったなー。
立石モンティは終盤のベトナムへの出征のシーンが涙が溢れそうになった。希望があるような歌で終わるけどヴァイオレットもフリックもモンティもこの物語の先の未来は決して明るいものではないんだなーと私は想像してしまってキツかったなー。兵士になるということはそういうことなんだろうなーとは思うし私が平和ボケなだけなんだろうとも思う。
Spiさんのパパは筋肉が凄かったけど力仕事でヴァイオレットを守ってきたんだろうなーとは思う。ただヴァイオレットと対峙してる時のセリフや仕草が毒親のように感じてしまって共感は全く出来ずで。でも不器用なりにヴァイオレットに負わせてしまった顔の傷への後悔はずっとあったんだろうなーとは思った。
ヴァイオレットに必要だったのは父との対話・和解と顔の傷のコンプレックスとの向き合い方だったんだろうなーと伝道師のシーンから父とのシーンになったところから思って。父との対峙の後に顔の傷が治ったと思い込んでフリックとモンティと再会するシーンのヴァイオレットの明るさが素敵だったけどその後に傷が治ってないことに気づくシーンが残酷で。そこにモンティのベトナム戦争への出征も重なるわけで。
原田伝道師はTVで映るシーンの最初から誤算くさくてw TVで見せる姿と実際の姿が別物というのも誤算くささと冷たさが出てて。ヴァイオレットと会った時のあの冷たさはヴァイオレット目線で見たら残酷だったしキツかったけど役としては正解なんだろうなーと思いながら観てました。
原田さんはアンジョルラス、クリス、マリウスなどのかっこいい若者役を結構観ていたのでこんな感じになられたのかーと感慨深さを感じるw
この内容を実際に見ると初演キャストがふうかさん&優河さんヴァイオレット・光夫さんフリック・成河さんモンティで3日間だけでもやったというのが全く想像がつかなくて。ただふうかヴァイオレットと光夫フリックの身長差もえぐそうだなーとは思った。そこに実年齢差も加わるわけで。観てみたいけど今回のキャストで見てみると藤田演出版初演キャストのヴァイオレット・フリック・モンティの三人関係のイメージが全く想像つかないや。でも観てみたかったなー。
今日は屋比久ヴァイオレットの大千穐楽でアフタートークもありました。
立石さんと演出の藤田さんが秋田県出身で立石さんが大館市で藤田さんが秋田市で今回の仙台公演と同じ東北出身ということにアフタートークの時点まで気づいてませんでした。いや藤田さんは知ってたけどさw
内容のだいたいは忘れちゃったけど「東北公演はやるとしても期間が短い」と話されてるのも印象的で。
いや観客側としてはやってもらえるだけでありがたいのよ、こっちは。仙台はミュージカルや舞台は東北の別の土地とかになっちゃうことが多いから見たい演目は東京へ行ったりしてるもので今回来てもらえるの嬉しかったんだけどね。
東さんは映像のお仕事もされてて「映像から舞台へお客さんを連れていく敷居が高い」といった趣旨の話されてて舞台の値段が高いしそれはそうなんだよね。
でも舞台で一度見ると価値観が変わることが多いんだけど、そこまでの敷居が高いのは昔から思ってたりする。一般の方が10000円超えるチケットは躊躇するよね。
藤田さんの「舞台は映像に残らないし明日の公演が終わればすぐに明日の内にセットがバラされて何もなくなってしまうけど見た人の記憶には残るということ」といった趣旨のことを結構長めの尺で話されてて。
その通りだなーと思いますし映像や音源に残してもらえるなら嬉しいけど版権とかで難しいのもわかってるので頷くばかりでした。
藤田さんが「今回はWキャストのヴァイオレットの役をそれぞれ全く会わないで稽古をしてそれぞれの個性を活かして全く違うヴァイオレット像になってる」といった趣旨の話されてて三浦さんのヴァイオレットも観てみたくなったけど、今回終演まで見ると繰り返して観るには私には重たくて今回だけで私は十分かなー。
最初はキャラクターが誰にも共感できないまま進んでいったので「これ見て正解だったんだろうか?」と思いながら観てましたが物語が進むにつれて物語に引き込まれていって結果的に見れてよかったです。でも再演されてもキャスト次第だろうなーとは思う。
今更、藤田演出版の初演キャストがカムバックすることは無いだろうなーと今回の舞台を見て思ったし世代交代感を強く感じたのが正直なところ。初演キャストでも観てみたかったという後悔はずっとある。
でも今回VIOLETの世界に触れられて見れてよかったなーと思いました。