2014 Top 40 Albums


 rank / band / album / country


 40. martyn jackson / the people we used to be (single) / UK




 39. okkur / whispering mountain / PT




 38. moonlit sailor / we come from exploding stars / SW




 37. basin / you'll know it / US




 36. wander / mourning / CA




 35. glories / put the beast out of mind / US




 34. sleevenotes / the pain of nostalgia / UK




 33. pianos become the teeth / keep you / US




 32. hotel books / i’m almost happy here, but i never feel at home / CA



 冒頭3曲の曲名が切実すぎる



 31. good weather for an airstrike / a home for you / UK




 30. ali murray / further still / IE




 29. this patch of sky / s/t / US




 28. raised by swans / öxnadalur / CA




 27. estates / s/t / US




 26. andrei machado / catarse / BR




 25. blueneck / king nine / UK




 いつからうたをうたうようになったの?




 24. other mountains / mare's nest / US




 23. a film in color / to scale a mountain / US




 22. homeless atlantic / echoes / NZ




 21. kazuo / shipwreck / FR




 20. dore mear beon / an ode to the sacrificial pigeons of the holmdel horn antenna / CA




 マスロック枠




 19. kakurenbo / take, run, lookback. / JP




 18. plainfire / but when words fail / NE




 17. random forest / s/t / UK




 the echelon effectの別プロジェクト




 16. we stood like kings / berlin 1927 / BE




 15. tide/edit / foreign languages / ES




 toeのファンらしい




 14. ehgo / s/t / PT




 13. saisa / aftermath / JP




 ライブ観たいのだけどあまり情報集まらない……




 12. maybeshewill / fair youth / UK




 11. ynicorns / falling and fell / UK




 いわゆる解りやすい展開は少ないのだけれど すごく良いポストロックバンドだと思う




 10. funeralbloom / petals / US




 メタル的アプローチの中に綺麗な旋律がある曲




 9. mermonte / audiorama / FR




 ライブ観たいなー




 8. maven / staring at eastern lights / FR




「CD売ってよ」と問い合わせをしたら 幾度か遣り取りをしたのちに「Bandcampに公開したからこっからよろしく★」とメールが届いた
 買ったよ!




 7. flyingdeadman / sending fires to the sky / FR




 新星 今年はフランスから好きなアルバムがたくさん出たなぁ




 6. this will destroy you / another language / US




 1曲目のnew topiaから素晴らしくて 引きずられるように聴いてしまう




 5. gates / bloom and breathe / US




 満を持してフルアルバムをリリースし正当な評価を受け始めているのかなという気がしているけれど 楽曲は1stから変わらず素晴らしい



 4. all shall be well (and all shall be well and all manner of things shall be well) / blauwgeel / NL




 いい曲多いと思うのだけれど なぜか名前の挙がることの少ないall shall be well



 3. varg / embroidery / SE




 ねばりとした力のある声がどうも苦手なのだけどvargはすごく好きで きっと知り合いの影響なのだろうと思う
 エレクトロニカ系の音楽を教えてくれた別の知り合いとも今度ライブへ行く約束をしていて 僕は色々なものでできているのだなという思いを強くする 十代の頃は周囲から受けるそういった影響やつながりを不純物として忌避していたような気がするけれど 今はなにひとつ気にならないのだからなんだか不思議




 2. ecco / freedom summer / US




 おそれず言うなら今後ポストsigur rós一番手になるのは彼等かもしれないと思う まだ知名度が低いけれど僕がレーベルの人間だったら即契約だろうなぁ




 1. rumour cubes / appearances of collections / UK




 1stを買っていた縁があってkickstarterで出資したけれど 素晴らしいアルバム過ぎてなんだか恐縮してしまう



 内面はひどく落ち着いているのに 自分も含めた周囲は年が終わる間近まで目まぐるしく動き続けていて 意思と身体がだんだんと乖離していっているというのに 物事は不思議とうまく運ぶ不思議な一年でした

2014-6-24


 グループ展があるのですという連絡をいただいたのは偶々汐留で打ち合わせのあった日で 場所は清澄白河だというから駅のホームで少し悩んだあと 帰りの方向とは逆の電車に乗って会場へ向かった 打ち合わせで会社を出る僕に「嵐が来るみたいですよ」と同僚が言っていたように 地上へ出ると雷を伴ったまばらな雨が 波のように降っては弱まりを繰り返していた ギャラリーに入るとYさんがいて なんとなく気恥ずかしくて打ち合わせで近くまで来ていたことを言い訳のように話し 真白い壁に下がっている四人の作品を見て回って 二脚だけ用意されていた小さな椅子に座った Yさんは以前よりも顔色が良く会話も落ち着いていたが お客さんの前で話題を探す僕の上司のように忙しない様子で 受付に座ってはまた立ってみたり ポストカードを揃えたり マカロン食べますか と僕に訊いてみたりしていた


「誰か気になる人いますか?」


「この正面の人の絵 ちょっと好きです」


「Kさんですね Kさんは最近絵に悩んでるみたいです」


「そうなんですか」


「私この子に良く怒られるんです 悲しいとか辛いって感情を絵にぶつけちゃ駄目だって」


 空はますます嵐特有の青むらさき色に染まり 強弱を繰り返す雨音と主催者の家族が送ってくれたという大きなクチナシの甘い匂いでするすると非日常へたぐられては 車の水を跳ねる音や下校中する彼等彼女等の声でふらふらと現実へ戻ってくる 少し慣れてきた様子のYさんは創作にまつわる様々な話をして といっても絵そのものについてではなく絵にまつわる自身の生活の話をして 僕はその内容よりも ゆっくりと手で形を確かめるような話し方をするな なんてことを考えていた しばらくして一緒に主催をしたKさんがやって来て 絵のことで少しだけ話をさせてもらい それじゃあとギャラリーを出た
 僕が今でもひっそりと文章を書き重ねるように Yさんも絵を書き続けていきたいと言った 僕の勝手な印象だけれど 会う度に自身への約束事を増やして不自由になっていくような彼女に 実感を伴って伝わりはしないだろうが 君の敵はどこにもいないのだから他の誰かや自分自身に縛られず自由にやれば良いのに と白昼夢のような雰囲気に任せて話すことができれば良かった

2014-7-4


 定時で切り上げようという日に限って誰がやったっていいような急ぎの雑用を頼まれてしまい 待ち合わせをしていたKさんに遅れますという連絡をして 予定していた時刻を20分過ぎてからようやく会社を出た 粉のような霧雨の降る駅までの道は傘をささずに走ってやり過ごし こういう時にさっと取り出すとしまうことのできない折り畳み傘の不便さは良い言い訳になるなんてことを思う 最近は自転車に乗って移動することが多いから前以上に人混みが苦手になってしまって あわあわと上げた足の着地点を探してしまうような歩き方で新宿での乗り換えを終え一息つくと そういえばヘッドフォンを買う時はKさんに相談したのだったということを思い出した B&OのH6買えば? と彼は言ったけれど 結局僕はFocalのSpirit Classicを選んだ
 大塚駅の適度な人波に安心して約束の居酒屋に入ると Kさんは入り口に近い窓際の席でビールを飲み始めていた 僕に気がつくと 彼はなぜか壁側の席を僕に譲ってくれ 簡単な挨拶をしてお久しぶりですなんて世間話からはじめた


「仕事どうですか?」


「スタジオ売ることになって 翻訳とか編集の仕事メインでやってくみたい だからもっと頑張ってみたいなこと言われちゃって」


 彼の部署はコンテンツを発信するという名目で自社にスタジオを構えていたが 数年前に会った時に「業績悪くてレンタルすることになったみたい」という話をしていたような記憶があり この度とうとう売りに出してしまうらしい 人もすごい減っちゃったよ 毎月送別会があって先月も4人くらい辞めた 俺送別会行かなかったけど と続けた


「そういえばKさんから今日飲むんでしょ? みたいなメールありましたよ 戸田かなんかに引っ越したんですよね」


 共通の友人であるKさんからのメールを見せながら言うと あぁそうみたいねなんて答えながら 彼の結婚式で会った友人の近況について話し 買い続けている漫画の話をし 聴いている音楽の話をした 彼はエレクトロニカが好きでネットで情報を集めているようだったが 最近はCDや音楽を紹介する個人ブログは加速度的に減っていると言った


「俺が見てたエレクトロニカ紹介してたやつも急に更新しなくなっちゃったし」


「インターネットを寂しさを埋めるツールみたいに使う人が増えたからじゃないですか? Twitterに移行したとか」


「ブログに書いてないから移行してないと思う しかもそういう人がTwitterに移行すると 音楽知ってるから俺! みたいな空気出すから嫌なんだよね やってることが一つ前のアルバムと一緒です! とか書いたりさ」


「あはは でも音楽レビューできる人ってすごいですよね」


「うんすごい 俺ジャンルとかしか書けないもん」


「僕も同じ言葉ばっかり使っちゃいそうです ミニマル! インダストリアル!」


「ミニマルな曲とかそんなないからね」


 発展性のない会話を形式美的に続けて一頻り笑ったあと でも俺もTwitterとかだと知ってる振りしちゃうかもなぁ とKさんはとぼけた風に言って 自身が過去に参加した音楽関連のコミュニティでそのように振る舞ったことがあったと笑った


「なんか全然うまくいかなかったけどね ○○くん(僕の名前だ)って気○いなのに――」


「気○いじゃないですよ」


「変態なのに人とうまくやれてるよね」


「あぁ……まぁそうですね」


「メンヘラなのに」


「メンヘラじゃないですよ」


「こう 線が引けるメンヘラだよね」


 Kさんとご飯を食べると最終的にはお互いの音楽や小説の話に流れついて 僕は最近Google Driveに移した書きかけの小説をiPhoneで彼に少しだけ見せ 彼は過去にあった音楽に関する秘密を話してくれた 夢物語を突き進んだわけではないにしても夢の中には立ったという風な内容だというのに Kさんの素直な語り口では日常にあった些細なできごとのようにも感じられた 店を出て終電一つ前の電車に乗ってKさんと別れたあと 僕は久し振りに満員の電車に乗りながら彼の音楽を聴いて 自己欺瞞のない創作物の価値についてあらためて強く実感するんだった


「ちょっと今後のために訊きたいんだけど ○○くんってなんで小説書くの?」


「昔は現実逃避でしたけどね」


「今は現実逃避してないけど書くわけだよね?」


 現実逃避から生まれる文章に違和感を覚えた時から 僕はゆっくりと文章と戦うことを止め 代わりに気まぐれな動物と接するように静かに寄り添うように文章を書き続けていこうと決めた


「多分 何か変わってきてるんでしょうね」

2014-01-16


 Yさんに会った 年末を迎える前の土日もなく仕事をしていた時期のお誘いで 祖父の四十九日法要を終えてすぐであったこともあり 仕事以外では泥の下で眠る蛙のような生活であったから 数少ない幾人かの友人から来た連絡を当時そうしていたように 彼女への返信もなんとなく出せずにいた 数日経ってから やはりなんとなく思い立ってメールを返信したけれど たった一通のメールを出すのが心苦しかったのは きっと文章から長いあいだ離れていたせいだ 電車を乗り過ごし続けるような日々を送るあいだ Yさんは大学の催しで自身の絵画作品を発表して 小さな個展を開くまでになっていた きらきらとした銀座の通りから一本入った小さな画廊で一週間程の展示がはじまって 毎日あぁ油断していると終わってしまうと思いながら仕事をし 木曜日になってようやく展示へと向かったけれど 静かで暗い道沿いには幾つものギャラリーが集まっているようで ぐるぐると探し回ってたどり着いた頃にはもう閉館間際の時間になっていた 地下への階段を降りるとすぐにYさんがいて お互い形式的な挨拶を終えると 彼女は唐突に


「失恋しちゃいました」


 と何かを誤魔化すように言った 仕事を終えたばかりだったからか受け答えが上滑りしているように感じられ おかしなことを口走ってしまわないように しばらくは相槌ばかり打ちながら 四方の壁に展示された彼女の絵を見て回った 彼女の絵から受けた印象は 彼女の書く文章とさほど変わらなかった 清廉であるもの 計算のないもの 美しいものへの崇拝 それから それ等がそうではいられなくなる瞬間を描いているものが多かったように思ったけれど 直接的な表現の少なかった最近書いたという大きな絵が 僕は一番好きだった 地平線をなぞるように薄く差す光が個人的な心象と重なったのかもしれない 閉館時間を少し過ぎて場所を喫茶店に移してから また少しだけ話しをした 小説と絵と彼女の好きな人の話で 多くは彼女の失恋相手のことだった 『その子』はとても魅力的な文を書く方らしく Yさんはその子の文章を読み 文章を書いていた自分を見限ってしまったと言った


「**(僕の名前だ) さんの文章と少し似てるんです」


 まだ僕が文章を書いていて良かった とも


 約束があるという彼女と駅までの道を歩きながら 僕が最近考えていたことを言うと Yさんはなぜか「ありがとうございます」と答えて 「展示で絵を買ってもらった時 一人じゃなくなった気がしてすごく嬉しかったんです」と続けた Yさんと別れ 自転車で皇居を回るように走ってる最中 彼女が言った「その子と一緒にいるあいだ ずっと悲しいこととか辛いことばかりだったんです」という言葉を思い出した 親族が亡くなって以来 死を辛く苦しいことだと捉える時期が長かったが 皇居を走る人がみな同じ方向に回るような自然さで 今はこの世界に存在する人間以外の ただ生を全うするなにかになったのではないかと思っている

2013 Top 50 Albums

 rank / artist / album


 50. cuushe / butterfly case

 red rocket telepathyリリースパーティか一時myspace(もうアカウントない)でしか聴けなかったhanabiが収録されて良かった



 49. foxing / the albatross

 48. splitter / himmelsfenster e.p.

 47. infinite third / (eardrops3)

 46. this town needs guns / 13.0.0.0.0

 45. amiina / the lighthouse project

 44. arise fair sun / s/t

 43. bvdub & loscil / erebus

 42. tides from nebula / eternal movement

 41. the ambient light / nostalgia trip (deluxe edition)

 40. behzad mehrnoosh / himlavalvet

 39. the appleseed cast / illumination ritual

 38. everything is made in china / amber

 37. lights dim / soft steps e.p. / between spaces

 36. glorie / falling

 35. imst & psynapse / purgatory

 34. cedar falls / elsa

 33. grouper / the man who died in his boat

 32. apricot rail / quarrels

 31. the ansion / when the clyde floods, we'll all get carried away

 30. thursday bloom / quiet fire

 29. the polar dream / kiev

 28. mooncake / zaris

 27. the picturesque episodes / singularity

 26. light parades / through all times

 25. endless melancholy / epilogue / autumn outtakes

 24. qibe / nafas batin

 23. industries of the blind / silver creek

 映像作品 industries of the blindは次アルバムがyndi haldaの次に楽しみ



 22. french teen idol / four three three

 21. malacar miles / postpone

 20. qualia / ecliptic

 昔は録音状態が悪かったけれどだんだん改善してきてる



 19. cinématique / a great movement in a static moment

 18. sleevenotes / we are mostly made of nothing

 17. hammock / oblivion hymns

 16. dorena / nuet

 deep elm recordsではlights&motionの方が有名だろうけどdorenaも良い



 15. tim hecker / virgins

 14. lastdayshining / the patchwork

 13. spanish air / revival gardens

 12. rqtn / passenger

 11. lights & motion / reanimation / save your heart

 「俺のCDのジャケット持って写真撮ってアップしてよ」企画など facebookでの活動が盛んだけれど音楽も素晴らしい




 10. sigur rós / kveikur

 武道館ライブ良かったよ そのあと会社戻って仕事したけど



 9. last days / satellite

 8. caspian / hymn for the greatest generation

 ベーシストの死が悔やまれる この流れでアルバムが作られるなら名作になる



 7. ioseb / agartha

 活動してなかったと思っていたのでアルバムが出たことじたい衝撃だった
 発売当初はデジタルのみのリリースでその後CDが発売されたこともあって amazonとbandcampで二度買いました……



 6. ef / ceremonies

 期待以上に良かった



 5. closer / white heat / in search of life

 リリース数は少ないけれど 個人的に期待値はlast daysと比肩してる



 4. halves / boa howl

 前作 前々作ともに良く 発売前からリードトラックを繰り返し聴いていた halvesの音楽が生み出すある種不穏さを持ったような幽玄的な響きは他のバンドでは感じられない



 3. glories / mother reverb

 2013年最大の発見



 2. the files & fires / form//content

 kickstarterでアルバム作成の資金を募っていたのだけれど 無事目標金額を達成してリリースされたニューアルバム bandcampのSupport欄にoxide tonesのロゴを見るとレーベルに取り込まれるのかなとちょっと不安になる rallye labelの一件があるからだろうな……



 1. sky flying by / can you say it with one word?

 悲しいことが多かったこの一年間 ずっとこのアルバムを聴いていた




 虚ろであるのに 忙しく落ち着かない一年でした 今年はもう少し静かに 祈るように暮らしたいです