おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

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<アジェンダ>………“なされるべきこと”引用訳“政策課題”“行動計画”“政治目標”“検討課題”一般訳

これもすごい今さらなんですけども、夏の参議院選のキーワードになった<アジェンダ>です。

みんなの党の<アジェンダ>に関しては“政策課題”という言い換えが多いようです。<アジェンダ>は「それは我が党のアジェンダではありません」とかいう場合の“行動計画”“政治目標”のような意味と、「次の会議のアジェンダに目を通しておいてください」とかいう場合の“検討課題”“議事日程”のような意味に分かれます。ややこしいです。

しかも「みんなの党」のサイトで、「みんなの党のアジェンダです。」って案内されるページを読むとですね、タイトルが「選挙公約」になってて、URLも「manifest.html」だったりしてズコーってなります。

結局、印象が悪くなった「公約」という言葉の言い換えなんじゃないか、民主党が流行らせた「マニフェスト」の二の線だろうという印象はぬぐえません。

でもですね、私マニフェストの時も同じような事を言ってたんですけども、こないだの選挙では管首相が消費税の税率に関する発言のブレで信用を下げたじゃないですか。

あれって細かい数字を出すのが信条の「マニフェスト」ならではの現象で、民主党があんまり細かい事は言わない「公約」で勝負する政党だったら、ちょっと展開が違ったんじゃないかと思ったんですね。

そう考えると“選挙公約”にまでなっちゃった<アジェンダ>も、あとあと「優先課題なんですよ」「目標なんですよ」っていう部分が意味をなしてくる局面もあるのかもしれません。

さて、訳語が多すぎて結局意味を忘れそうな気配まんまんのこの言葉ですが、語源を調べますと

英語のagendaの語源はラテン語で「なされるべきこと」という意味で、もともと教会の「礼拝規定」や「儀式」、または「礼拝や祭典の手順を定めた文書」をさしました。「実践すべき行動指針」といったところです。これに対して「信じられるべきこと」つまり「信仰の指針」にあたるのが「クレデンダ」(credenda)と呼ばれますが、こちらはカタカナ語としては使われていません。

第50回 アジェンダ | 10分でわかるカタカナ語(三省堂編修所) | 三省堂 ことばのコラム

とのこと。日本語の場合も「なされるべきこと」を当てはめておけば、ほぼ意味が通るケースが多く、いちいち課題だ計画だのの四字熟語を複数覚えてなくても良さそうです。

転業のお知らせ

今ごろ08年秋アフタヌーン四季大賞受賞のお知らせとはてな話 - 庄司創のブログ

私sugioが漫画デビューしたのでいつか単行本が出たら買って下さいという下心がこもった記事と、作品中のはてな話です。

今までネット上での個人情報は「日本人」「男性」「30代」「なんか美大出身でなんかデザイン関係の仕事」ぐらいに押さえていたんですが、もう少し素性を明かしております。

おま訳を始めた頃の話はこちらの御礼という記事の方に詳しいです。詳しく書けなかったですけど、いろんな企画とか巡回してた日記が本当に勉強になったんですよねえ。


<ニート>………“若年無業者”一般訳“なまけ青年”“青年隠者”おま訳

2009年はこれを訳さなきゃなー、と思っているうちに過ぎてしまいました。無職を気にする若者が殺傷事件を……みたいなニュースを見るたび暗い気分になってしまって。

私が初めてニートという言葉を知ったのは2004年11/21の霞が関官僚日記さんだったと記憶しております。当時の「厚生労働省ニート対策に231億円」という話題に対して、“予算が通りやすいようにニートという新語を使ってラベルを貼り替えたのだろう”というような考察をされてます。

厚生労働省職業安定局のサイトによりますと、※「ニート(NEET)」とはNot in Education,Employment or Training(就学、就労、職業訓練のいずれも行っていない若者)の略で、元々はイギリスの労働政策において出てきた用語。日本では、若年無業者のことをいっています。若年無業者とは、「15〜34歳の非労働力人口のうち、通学、家事を行っていない者」をいいます。とのこと。元の英語「NEET」とは意味が変わっていて、総務省厚生労働省の定義も微妙に違います。

ニート状態の若者の推移グラフ

上のサイトの「ニート状態の若者の推移」によるとその後のニート数はあまり変わっておらず、ニート対策は成功していないようです。「ニート利権」なんて批判もあるんですね。

でも計上された予算よりも、ニートという新語を使って予算書のラベルを貼り替えたことの方が社会的効果は大きかったはずです。この後マスコミやネット上で、この新語にまつわる話題がかなり盛り上がったと記憶しています。

当時はまだライブドアショック(2006年1月)の前でしたし、今で言う円安バブルの最中で就職売り手市場だったんですよね。企業としては若くて安い労働力が欲しい中で、この新語の流行は都合が良かったんだと思います。世界不況のご時世ではニートの数は減ってないものの、あんまり問題視されなくなりました。去年2月にはニートスズキことid:rahorahoさんもニートを卒業宣言(プチはてな情報)。と思ったら先週、「たけしのニッポンのミカタ!」に出ます - phaのニート日記ですか(プチはてな情報2)、また景気が上向いてきたのかな。でもちょっと取り上げ方がバラエティー色か。

流行した「ニート」に込められた意味は、“なまけ青年”だったと思うんですよね。「失業者」と言ってしまうと、失業者は必ず出るものですし、過去の政策責任とか企業責任が蒸し返されてしまいます。でも失業者の中から働く意志のない者を選別して新しい病理のように扱うと、本人の心の問題に限定できますし、自己責任や親の責任という事にしやすい。また企業が欲しくない中高年を対象外にできるというのも、まことに都合が良い。日本経済は落ち目ですから「金の卵」なんて持ち上げて就職させる状況じゃないわけで、なまけ者はとにかく働けと説得する時代になりました。

流行当時は“ニートなんてカタカナの呼び方は格好よく聞こえてけしからん”という意見もよく見かけたのですが、意味が意味ですからそんなにかっこいいイメージで定着するわけがありません。今の若い人が「ただメシ食い・ごくつぶし・すねかじり・ニート」の中で、ニートだけかっこよく感じることはないでしょう。むしろ、今の20代には「ニートは嫌!」という意識をびっしり植え付けられた人が多いと思います。10代の人はそれより若干、「ニート」に対する忌避感が薄いんじゃないかしら。どうでしょう?

フリーター数の推移

フリーター数の推移グラフ

完全失業率の推移

完全失業率の推移グラフ

で、先のサイトによるとニート流行後に顕著に減ったのは、「フリーター」と「15〜24歳の完全失業者」なんですよね。

まあこのグラフで断定はできないでしょうけども、みんなが「ニートは嫌!」という気持ちになったときに就職できるのは、ニートより就職意欲の強い「失業者」と、元々働いていた「フリーター」、というのは当然の結果と言えましょう。

高卒者の就職率も07年まで上がってますし、もともと就労意思のある若者に悪化した雇用条件を納得させて就職させることに関して、「ニート」は役立ったのではないでしょうか。政策キーワードとして、経済キーワードとして、そういう意図が働いた新語の類いだったと思います。

私がニートと言われて連想する、就職意思がなくて引きこもってるような若者に改めてレッテルを貼るとしたら“青年隠者”かなあ。「草食系男子」に通じますけど、厭世観が強いんじゃないかと想像するんです。今時の隠者はそうそう山野で暮らしたりできないですから、被扶養者になるのは必然。「小人閑居して不善を為す」と言いますが、逆に暇な若者が悪事に手を染めず倹約的に生活しているだけでも、けっこう真人間だと思います。とりあえず隠者でいられる特権のある人たちですから、生きてるうちに色々やられたらいいんじゃないでしょうか。同じ人でも「プー太郎」って呼ぶと全然イメージが違いますけどね。なんか楽しそうだから、しっかりしろって言いたくなる。

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