山猫島

we didn't mean to go to sea.

目の前に似たような(たぶん30代後半以上)カップルが二組。
どちらも男性は白いキャンパスシューズにシンプルなチノパン(裾折り返し有)、女性はシンプルな白いローファーにやはりシンプルな淡いパステルカラーのクロップドパンツ。4人とも首には巻物。
色味だけ、片方ブルー系、片方ピンク系。淡い上品な色合い。
あまりにも似すぎているが、全く無関係っぽい‥

夏は死が多いと母がつぶやいた。
話題はいったりきたり振り子のように回り続け、言葉はふよふよと4人の間で漂うばかり。
私が泣いてなんになろうか。この涙は、いつの涙か。
悲しみと笑いの往復運動は永久には続かない。すり減らし、力を失いながら収束した現実を。
この現実を。