UbuntuにWordpressをインストール

Ubuntuwordpress をインストールする方法を紹介するページは多い。しかし、野良インストールをしていたりUbuntu流儀に反することが多い。そこで、ここではすべて Ubuntu のお膳立てに従って wordpress のサーバを構築する。環境はこんな感じを想定した:

  • OS: Ubuntu Server 12.04 LTS
  • サーバのFQDN: www.example.jp

LAMP をインストール

LAMP とは Linux + Apache + Mysql + PHP のこと。LAMPのようにしばしばサーバで用いられるサービスは tasksel とよばれるパッケージで用意されている。まずは tasksel をインストールする。

$ sudo aptitude install tasksel

tasksel を用いて LAMP をインストールする。

$ sudo tasksel

LAMP をチェックしてインストール。インストールの過程でMySQLにrootのパスワードを設定する。

Wordpress をインストール

$ sudo aptitude install wordpress wordpress-l10n

Wordpressの設定

原則として/usr/share/doc/wordpress/README.Debian に従い、Debian流儀で設定する。

$ cd /usr/share/doc/wordpress/examples
$ sudo chmod a+x setup-mysql
$ sudo ./setup-mysql -n wordpress www.example.jp

これで mysql が設定され、 wordpress の設定も完了する。すばらしい。
最後のコマンドにおいて -n wordpressmysql のユーザ名とデータベース名の指定で、ここでは普通に wordpress とした。

Apacheの設定

原則として /usr/share/doc/wordpress/examples/apache.conf に従う。

$ cd /etc/apache2/sites-available
$ cp default default-wordpress
$ vi default-wordpress

ここで VirtualHost の directiveの最後に以下のコードを付け足す。

#
# Wordpress
# from /usr/share/doc/wordpress/examples/apache.conf 
#
UseCanonicalName    Off
VirtualDocumentRoot /srv/www/%0
Options All
#ServerAdmin admin@example.com

# Store uploads in /srv/www/wp-uploads/$0
RewriteEngine On
RewriteRule ^/wp-uploads/(.*)$ /srv/www/wp-uploads/%{HTTP_HOST}/$1

設定ファイルを読み込む。

$ sudo a2dissite 000-default
$ sudo a2ensite default-wordpress
$ sudo service apache2 reload

Wordpress はじめ

できたので http://www.example.jp にアクセスして wordpress のユーザとパスワードを設定する。
Wordpressの設定ファイルは /etc/wordpress/config-www.example.jp.php にあるので、適宜調整する。例えば、以下のコードを追加する。

define('WPLANG', 'ja');    # 言語を日本語に
define('FS_METHOD', 'direct');  # WordpressのアップデートをFTPではなく調節に

ただし、アップデート対象の書き込み許可がないので、パーミッションを修正する。

sudo chmod g+rx /srv/www/www.example.jp/wp-content

あとはお好きなように。

ひと月で激変したキャリアとメーカーの力関係

iPhone4Sの販促合戦の効果でしょうか。iPhoneの躍進ぶりがわかります。
9月と10月の月別販売台数の図です。ネットで拾った図で、出典の詳細はわかりません。

この図からわかること:

  • iPhoneの販売台数シェアが 15.1%から59.6%に急増した。10月はスマホ販売の過半数iPhoneであった。
  • NTTdocomoの一人負け。MNPdocomoから7万人が転出したのと整合的。それでもそこそこ売れている。
  • au では、iPhoneスマホ販売の7割程度を占めるようになった。auは「未来は、選べる」というフレーズで、スマホに選択肢があるように宣伝しているが、事実上iPhoneが主力機種になった。
  • SoftBankMNPが転入出ほぼ±0なのにもかかわらず、SoftBankの販売シェアが増加しているのは、(1) 機種変、(2) 2台目としてiPhoneを購入、(3) iPad を購入のいずれかであろう。1番目は徳政令、3番目は「アレコレソレキャンペーン」の効果か。
  • SoftBankでは、iPhoneの占める割合が9割以上となった。逆にAppleへの依存度が高すぎて心配になる。いままでAppleの手のひら返しに泣かされた企業が多数あった。SoftBankもそうならないことを願う。

追記
ブクマでコメントをもらいましたが、図は月別販売台数ですね。上記も訂正しました。

au版iPhoneは買いか?

 MNPを利用してソフトバンクからauiPhoneに乗り換えました。孫さんごめんなさい(笑)。数週間使ってみての感想を書いてみますね。

auの電波は良好、さらば圏外

 電波状況には満足です。地下鉄以外は圏外がありません。
 ソフトバンク時代には、職場で表示上は圏内でしたが、(1) メールを受信できない、(2) 通話が途中で切れるもしくは警告音が鳴る、ということがしばしばあり、電波状況には不満でした。
 そんな職場でしたが、auiPhoneではメールの受信漏れはなく、通話も良好です。気になる通信速度ですが、時間帯によらず下りで2Mbps程度出ています。

 もっとも規格上はソフトバンクのほうが通信速度が速いので、好条件の場所ではソフトバンクの方が速い通信が可能でしょう。

 携帯電話はインフラですから、安定性と信頼性を優先してキャリアを選択しました。

auの安い通話料金

 ソフトバンクホワイトプランは一見安そうなんだけど、実際の社会活動においてiPhoneを電話として使う場合、通話料が結構高くなった。実際、ソフトバンクの携帯に電話する機会はそんなに多くない。学生だったら、安くすむのかもしれないけど。
 auにしてから無料通話分がついたり、繰り越せるので、通話料金はソフトバンク時代よりも安くなると思われる。事実、10月は無料通話分で収まった。

その他の機能は要改善

 見切り発車でauから発売されただけあって、キャリアの対応は皆無です。これからiPhoneへの対応をしてゆくのだと思います。公式に発表された対応状況は以下の通り*1

未対応機能 対応状況 備考
絵文字 2012年1月対応予定 日本では必須
プッシュメール 未定 回避策はあるけど対応するべきだろう
MMS*2 2012年3月対応予定 未定 どうでもいい
国際SMS 未定 どうでもいいと思っていたが、Viberというアプリの認証に必要だった。回避策はあった。
iMessage 2011年3月対応予定 どうでもいい
FaceTime 2012年3月対応予定 どうでもいい
PPTP 予定 一部開通との噂あり。IPsecVPNを使うのでどうでもいい
ビジュアルボイスメール 2012年3月対応予定 未定 どうでもいい
3Gデータ通信と通話の同時使用 不可 どうでもいい。iPhoneを3年間使ってきて、通信しながら通話したことは一度もなかった

とまぁ、現状では未対応の機能がたくさんあります。iPhone3Gの発売当時もメールまわりは未対応が多かったですが、当時とは状況が異なります。KDDIはメール環境の整備が急務でしょう。

まとめ

 auiPhoneはまだβ版といった感じです。RC版が欲しいならソフトバンクにするべきだと思います。電波の安定性と信頼性を最優先するならau版でも良いでしょう。

*1:2011年12月14日改訂

*2:MMSに対応したいとの社長の意向はあるようで

RubyでHPCは可能か? HPCで駆逐されるベキもの

 科研費調書の締め切りが迫る中、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 予言通りに、奥多摩にホットスポットがあることがわかり、シミュレーションやHPCの凄さが鮮明になりました。そのあたりのエントリーも書きたいのですが、科研費の締め切りでドタバタしております。で、書類書きに疲れたのではてなブックマークを巡回していたところ、面白い記事がありました。

Ruby で HPC?

テクノロジー : 日経電子版

 まつもとさんが、rubyで夢を語る記事です。この中で彼はつぎのようなことを言っています:

天文学とかバイオの世界で多用されるHPCで手軽にプログラムを組めるルビーが使えれば研究の速度向上に貢献できると思うので、ぜひ取り組みたい。

 これを読んで思わずコーヒーを吹きました。「ねーよw」と突っ込みを入れずにはおれません。

 しかし、よくよく考えてみると、HPCをするときには、実行ファイルをshellスクリプトでラッピングするのが普通です。こんなふうに:

Shell script

バイナリ実行ファイル Fortran/C/C++

そういう意味では、上記のshell script の部分をruby, perl, pythonのような言語で置換することも可能です。実際、結構手の込んだshell script を書くこともあるので、移植性が許されればrubyを使うのもアリでしょう。

 しかし、HPCにおいてrubyFortran, C, C++ を代替することはないでしょう*1

 発想を転換して、rubyFortranやCのコードを生成するというフレームワークは良い方法です。このようなプログラムがプログラムを作る(吐き出す)というアプローチはしばしば用いられますし、成功することが多いです。ボクもやったことがあります。

HPCで駆逐されるべきもの

 HPCのプログラムをrubyでお手軽に書けたらどんなに素晴らしいでしょうね〜?そんな夢を見るよりも、HPCを健全に進めるために、今のHPCのおかしいところを考えてみました:

  • MPIはいらない

 なんでユーザレベルでこんな低級なことを書かなけりゃならんのじゃ。

  • 並列計算機はいらない

 現在のスパコンの潮流は並列計算機です。たくさんのCPUを同時に動かして、たくさんの計算をしようという戦略です。したがって、たくさんのものを同時に計算するのには向いていますが、ひとつのものを丹念に計算するのには不向きです。不幸なことに、多くの研究者にとって興味があるのは後者の計算なのです。

いや、たんに現在のスパコンアーキテクチャに疲れたのです。ちょっと愚痴ってみました。




さて、科研費調書の仕上げにかかるか。
ロイヤルミルクティーと生ハムメロンで潤いながら。

*1:昔の話しですが、perl2cでperlコードをCに変換してスパコンで実行したことがあります。もちろん性能はでません。

埼玉県と千葉県のセシウム沈着量

 埼玉県と千葉県の航空機モニタリング結果が文科省より発表された。
文部科学省による埼玉県及び千葉県の航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月29日)(PDF:1829KB)
 今後、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、山梨県・・・とぞくぞくと結果が公表される。そのたびに一喜一憂することになるのだろうか。

 さて、埼玉県と千葉県を加えたセシウム134/137の沈着量の分布は下図の通りである。

千葉県


 柏で予想通り沈着量が多い結果となった。東大の柏キャンパスが線量を計測して公開したので、線量が高いことは地域の人々には周知のことであっただろう。

 霞ヶ浦から柏へ伸びる汚染帯は確実に東京都内に到達する。おそらく、東京都東部に達するだろう。江東区において高い線量が報告されているが、その事実と整合的である。東京都23区の東半分は30kBq/m2以上に汚染されているかもしれない。

埼玉県


 秩父で沈着量が多い結果となった。秩父は埼玉県の西部に位置し、東京と隣接している。東京都の県境ではセシウムの沈着量が60kBq/m2を超えた(図中青い色)。その先は、奥多摩である。

 昨日のエントリーで、奥多摩ホットスポットがある可能性を指摘した。どうやら、杞憂とはならないようだ。

朝日新聞での報道(参考)

http://www.asahi.com/national/update/0929/TKY201109290441.html

この図は朝日新聞が掲載したものである。文科省が作成した図をトレースしたのであろう。そのためか、秩父ホットスポットが不鮮明になっている。この図からは、埼玉はオールセーフという印象を持ってしまう。

セシウムが群馬県まで届いていた件は予測されていた

 朝日新聞の記事が話題になっている。福島第一原発からのセシウム群馬県にまで飛散していたという。

 文部科学省は27日、航空機を使って測定した放射性セシウムの沈着量について、群馬県の汚染マップを公表した。東京電力福島第一原発事故によって飛散した汚染の帯が、250キロを超えて広がっていることが分かった。(後略)

http://www.asahi.com/national/update/0927/TKY201109270600.html

文部科学省の発表

 新聞記事のもとになった文科省の発表はこれ:
文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月27日)(PDF:1500KB)

 記事に掲載されたもとの図はこれ(セシウム134と137の沈着量の合計):

 震災直後から米国DOEがやっていたのと同様の航空機モニタリングによる調査結果である。今回は、群馬県の調査結果が追加され、群馬県ホットスポットが存在することが確認された。上図はセシウム134と137の合計だが、セシウム134とセシウム137の個別の分布も同様の分布であった。

 はやく首都圏も発表してほしい。後回しにするのは大人の事情でしょうか?*1

国立環境研究所のシミュレーション

 上のセシウム134/137の分布は、環境研のシミュレーション結果とそっくり。環境研のシミュレーションは以前のエントリーで紹介したが、今回あらためて紹介する。下図はシミュレーションで再現されたセシウム137の積算沈着量である。

 群馬県にまでセシウム137が届いてる。群馬県ホットスポットの分布が見事にシミュレーションで再現されていた。環境研の本気を見た気がする。ちなみに、原研のWSPEEDIによるシミュレーションでも北関東のホットスポットが再現されているが、航空機モニタリングの結果とはあまり一致していない。環境研のシミュレーションに軍配があがる。大気シミュレーションでは、環境研に一日の長がある。
 環境研のシミュレーションは沈着量の絶対値もうまく再現している。航空機モニタリングとシミュレーションでの単位換算は、 kBq / m^2 = 10^3 M Bq / km^2である。したがって、航空機モニタリングでくすんだ緑色の値(30 kBq/m2)が、シミュレーションの緑色の値(30 ×103 MBq/km2)に対応する*2

詳細な資料:

心配なホットスポット

 環境研のシミュレーションは、もうひとつ気になるホットスポットの存在を示唆している。それは、東京都西部の山梨県との県境、奥多摩である(下図参照)。ここには東京都の水道水源のひとつ、多摩川水系の取水口(奥多摩湖)がある。また、横浜市の水源である山梨県道志村も近い。首都圏の水道水が心配である。

 水道水の観点では、今回の群馬県で確認されたホットスポットも、東京都の水道水に与える影響が心配だ。ホットスポットは水上・奥利根付近に存在する。ここは利根川の水源である。春の雪解けの季節が心配である。いずれにしても、浄水場のモニタリングから目が離せない。

*1:文部科学省の発表によると、東京都と神奈川県の航空機モニタリングは9月14日から行われた模様。通常、調査から1ヶ月程度で結果が発表されるので、首都圏の汚染状況が判明するのは10月中旬と予想される。

*2:このエントリーに掲載したのはセシウム134と137の合計の沈着量である。航空機モニタリングとシミュレーションを比較するためには、セシウム137だけの沈着量の分布を比較するべし。

Cs137 環境モニタリング (文科省・原研・環境研)

食品中の放射性物質のモニタリング計画策定のための環境モニタリングデータ等の提供について(東京電力福島原子力発電所事故関連) |報道発表資料|厚生労働省

(1) 航空機モニタリングの測定結果(福島県会津地域を除く。)、宮城県、栃木県及び茨城県については既に公表、他の地域については随時調査を実施)(別紙1)。【文部科学省
(2) 最新の放射性物質の放出率の推定値(暫定放出量)を用いたWSPEEDIによるシミュレーションの試算結果(別紙2)。【(独)日本原子力研究開発機構
(3) 最新の放射性物質の放出率の推定値(暫定放出量)を用いた(独)国立環境研究所地域環境研究センターのシミュレーションの試算結果(別紙3)。【(独)国立環境研究所】

文科省・原研・環境研の御三家によるセシウム137降下量と沈着の見積もり。
文科省のデータは既出。

環境研のシミュレーションを見ると、静岡県にもセシウムの沈着が局所的に高いところがある。静岡茶から基準値を超えたセシウムが検出されたのもうなずける。

あとで何かコメントするかもしれないけど、とりあえず
おせーよ
なにもかもが遅い。

追記

文科省・原研・環境研はそれぞれ独立にプレスリリースしている。
厚生労働省のプレスリリースよりも詳細なデータを見ることができる。

http://www.nies.go.jp/shinsai/images/conc_i.gif

http://www.nies.go.jp/shinsai/images/conc_cs.gif