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ブンガクの言葉 | |
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うーん。面白い。正直、人には教えたくないぐらいだ。なんていうと営業妨害になってしまうので言えないけど。
タイトルからは、一体どういう内容なのかわからない。が、著者の大ファンなので読んだ。
で、「こんなにくだけた、面白い文章書ける人だったの!?」と、私などではおこがましいが、「嬉しい」驚きを感じたのである。いや、今までさんざん宣伝をブッてきてこんな驚き方をしているのではカッコ悪くってしょうがないのだが、告白する(笑)
有名な文学作品に表れた一つの言葉を採り上げ、作品の内容をざっと説明しつつ、自分のエッセイを展開していくのだが、1つ1つの表現がとてもわかりやすい。何と、採り上げられた作品の中で私が読んだことがあるのは『放浪記』1つだけで(『外科室』は確かレンタルビデオで観たような気がする)、それなのに、他の作品も、どのように面白いのか、どのように著者によって面白く読まれ、或いは著者がどのように考えさせられたのか、とてもよく伝わってくる。だから、いくつかの作品は、文学作品の作家というものを食わず嫌いしていた私でも、読んでみたいと思ったほどだ。あと、これもまた、高名な作家と自分を似ているなんて言うと所謂中二病と謗られるのを恐れずに言えば、著者の若き日の姿には私自身いくつか思い当たる所があり、共感した、というのも面白く、もしお金の工面ができて買えたなら、しばらくはスリスリしたいような本と思っている理由である。
あと、挿入されている写真もいい。この人の「文章+(撮影は他の方だが)写真」という形の本のよさは、私は『新選組幕末の青嵐』で知って、時代小説にこんな写真の使い方があるんだ!と思ったのが最初なのだが、既にこの本からこのスタイルは使われていたのね…。モノクロで、直接文章の内容とは関係ない。なのに、文章と並べて目に入れると、文章だけよりもじんと胸にくるものが増える。不思議だ。『幕末の青嵐』も、内容には関係ない写真が入っているのに、何故こんなに効果が!!??と思う。騙されたと思って『青嵐』、読んでみてほしい。
ちなみに、私が一番ウケたのは、『外科室』における、麻酔なしの開胸手術、という、こうして書いているだけでも血を想像してウウウとなるシーンに一言、
「アトムかよ!」
と突っ込んだくだりです。
こんな感想ですいません。
↓単行本の方が写真が大きいです。
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2ヶ所で、しばし激しくニヤけてしまうほど萌えたのですが、女性の読者の皆様、あそことあそこですよね?ほら、手挙げた人一杯見えるよ!そのシーンを実際に脳内で想像してみると、1週間ぐらいは辛いことがあってもそのたびに凌げるかな、というぐらいの萌え具合。
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それはともかくとして
なーんか最近本を読んでいてつまらないなあと思っていたら、もう何ヶ月も、推理小説を読んでいないのだった。(銭形平次は推理ではあるけれど時代小説という感じだし、下町探偵局は人情小説だと思う。)
最近立て続けに、いくつかの本で、推理小説が最も役に立たない、と槍玉にあげられていたなあ、そういえば。あと、図書館で借りた本が身につくわけがない、とも。そういうことを書く奴はブッ殺したくなるわけだ。誰か私に3億ぐらいくれてから言ってちょーだい(笑)。そういう人に言わせると、推理小説を図書館で借りて読んでる奴なんて、読まない奴より最低ってことになるわけだ。別にいいけど。本を買うか借りるか、何を読むかは、私にとっては本そのものの問題ではなくて、時間を潰すのに何をするか、という論点になるのだろう。
などと言っていたら、いつの間にか有栖川有栖も、マイクル・コナリーも(『エコー・パーク』読んだばっかりだというイメージが)(!)、新作が出ていやがったよオイ。当然予約者多数。待ちます。でもローレンス・ブロックとマイクル・Z・リューインがもう何年も止まってるのが心配。コナリーは、訳者があとがきで翻訳出版の不況ぶりを嘆いたお蔭で、読者からの要望が多かったってことなんでしょうかね。有難いことです(このへんも、買わない人間には発言権ないなー)。
しかしいずれにしろ、感想書いてる間はないので、そろそろブログも更新停止にしようかなぁ。となると、放置しててもサーバの無駄なので、バックアップ(これがちみちみコピー&ペーストなんですよ、今時…)が全部取れ次第、削除の方向で。でもそのコピペ作業がこれがもう時間かかるわ、間空けるとどこまでやったかわからなくなるわで、ちょっと前にもやって音を上げた。果たしていつ終わるのやら。
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探偵局があるのは両国。事件の舞台は両国以東市川まで。わはは。地元過ぎて地理わかりやすすぎで個人的に楽しすぎでした。逆に言えば、皇居より東にお住いの方には、チンプンカンプンの可能性ありですが…(私も東京の西の田舎に住んでた頃は、墨田江東あたりのことなんざ別世界でした…形の上で電車で簡単に行き来できるようにはなっても、やっぱり人間のイメージというものは、実際に暮らしているエリアを超えないんでしょうね)
ハルキ文庫での再刊で、底本は1984年版の角川文庫。物語の舞台になっているのは、戦後すぐ生まれの人間が分別のつく齢になっているという時代で、今からざっと40年近く前。なのに、驚いたのはストーリーが今読んでもまるで古くないこと。探偵社に持込まれる事件、つまりは人の心というのは、ほとんど変わっていないんですね。
謎解きの芯になっている社会問題も、今ではなじみのないものもありますが、大部分は変わりありません。
独居の寝たきり老人、若者の閉塞感、家族の離散といった、特に肉親の問題なんかは、今を先取りした…というか、3、40年前でもう十分問題になっていたんだということが、あらためて思われ、その間社会や政治は一体何をしていたんだろうなあという気にもなります。
そうした、「復興」こそ終えたものの、早くも既に21世紀と同じ問題を孕んだ昭和40年代〜50年代初頭の下町で、自他共に認める貧乏探偵社、気はいいが同じく貧乏で、”貧乏に誇りを持っている”地元の人々が織り成す物語。
主人公は探偵社ですが、「謎が解ける」というよりは、調査によって段々と依頼人の背景にあるものが見え、それを通して社会が見えてきた所で、何らかの「折り合い」がつく。その依頼を社会的にどうするか、より、心の問題にどう折り合いがつくか、ということが主眼。その後どうなったの???という部分を残しながらも、人ってそんなもんだよね―――としみじみする3編。
これは、ある程度齢のいった人が読むものですね。介護問題、家族の問題、社会の矛盾…申し訳ないですが、親掛かりの年代では本当にはしみじみできないでしょう。