第42節 対栃木戦

1-0
得点 石神


セレッソが苦手としているミッドウィークの試合をはさんでの3連戦3戦目。しかも香川くんが右足甲に違和感とかで欠場。すぐに回復すればいいのだが、原因がはっきりしないだけに心配な状況だ。


スタメンは前線、香川くんが抜けた分で小松が復帰し、カイオがシャドーに下がる形に。ベンチには先日ブラジルから戻ってきたばかりのマルチネスが入った。ツモ情報ではまだ別メ調整中ということでこれまた心配。


栃木はDFから入ってくるチームでセレッソが苦手とするタイプ。先制されると引き込まれる可能性が高く、先制点がゲームのポイントを握ると思われたのだが。キックオフ直後は両チームとも比較的緩やかな入り。セレッソはトップの小松にボールが収まらず、攻撃の形が作りきれない。しかし10分、クロスからのこぼれ球をペナ外で石神がフリーで受けミドルシュート。無回転のボールがゴール隅へ吸い込まれるように突き刺さり、早い時間に先制した。


久々の昼間の試合で非常に高温となったこともあってか、その後もあまりチャンスを作れずに前半を終える。


後半もペースは変わらず。乾がいい形でボールを持っても、前線での連動が乏しくチャンスを作り出すことができない。1-0のまま迎えた67分には小松に代えて濱田を投入。カイオをトップに出す。しかし攻撃の改善はさほど見られず、終盤には交代で入った濱田をさらにマルチネスに交代。ピッチに入るタイミングでトラブったマルがイエローをもらい、累積で次節から2試合の出場停止に。その後のマルの動きを見るに、ケガで本調子でないマルチネスがイエローの累積を解消するため、ある程度意図的にイエローをもらいにいったようにも見受けられた。


見所に欠ける試合はこのまま終わり、ホームで勝ち点3を得ることができた。低調な内容については選手、監督も十分に自覚しているようで、第2Cには引き分けている福岡との対戦に向け、しっかり休養しながら立て直すことが求められる。


しっかしスタンドにいても暑かったこの試合。内容には不満ながらも選手は90分よく集中を切らさずに戦ったと思う。ホームでの前戦が大一番の湘南戦で、その時とはスタンドの雰囲気も大きく異なり、ともすればぼんやりと入ってやられてしまい兼ねない試合ではあった。わずかながら見えてきた昇格、優勝というゴールに向けて、船山のコメントにもあったように選手、スタッフ、サポ一丸となって進んでいきたいところだ。

 第41節 対ヴェルディ戦

4-2
得点 河野、藤本、香川、酒本、藤本、土屋


前節大一番の湘南戦を制し、最高のムードで迎えたヴェルディ戦。得てしてこうしたビッグゲームの後ではリズムを崩しがちだし、相手は苦手なヴェルディ、しかも中2日と難しい試合になる状況がそろっていた。


前半はこのイヤな予感が的中。スペースをねらって上下動を繰り返す大黒に前田がまったくつききれず、ボールさえ入れば、という場面を何度も作られてしまう。さらに中盤の運動量がまったく不足しており、ボールをつなごうとしてはイヤな位置で奪われる、の繰り返し。


ゴール前に上げてきたロングボールを大黒がうまく落とし、林が絡んだところに河野がドフリーで走り込み、14分に早くも先制されてしまう。その後も中盤で完全に劣勢に立たされ、何度もチャンスを作られてしまう。早々に対応しないと前半で試合を決められてしまいそうなほどの勢いがあったのだが、2点目かと思われた大黒のシュートはポスト、はね返りを決めた林のヘディングはからくもオフサイドの判定に助けられた。


後半、なんらかの策を打たないとどうにもならないように思ったのだが選手交代はなし。追加点を取られたら絶望的、という状況だったのだが、なぜか立ち上がりからセレッソがペースを握る。開始直後には香川がドリブルから抜け出しGKとの1対1となるがシュートは止められてしまう。


その後もセレッソが中盤でボールを持てるようになり、藤本が中盤でボールを奪うとかんたんにはたいてそのままフリーランニング。カイオ→乾とつながったボールをペナ内で藤本が受け、冷静にゴール左上へ決めた。


この見事な攻めあがりに感激したのもつかの間、さらに乾がゴールラインぎりぎりまでドリブルで抜け出し、ふんわりと上げたクロスに香川が競り勝ちすぐに逆転してしまった。これは乾のクロスの質もすばらしかったが、香川についていた相手がDFのうまくない河野だったのもよかった。前半から攻守にわたって効いていた河野を失点に関わらせたことも試合展開に影響したのではないだろうか。


ここでひと息ついてもおかしくない展開ではあったのだが、セレッソは手を緩めず、香川の巧みなタメから出されたスルーパスになんとか走り込んだシャケがスライディング気味のダイレクトでシュートを決め、後半立ち上がりから15分で3点を奪った。


この後も同じような形でチャンスを作ったのだが、これはさすがに決められず。シャケは左でシュート打てるようになれば、プレーの幅が飛躍的に広がるのだが。


後半30分すぎにはシャケのFKから藤本がヘディングでゴールを上げ試合を決定づけた。康太は05年に4試合連続ゴールを上げていたころの感覚が完全に戻ってきたのではないだろうか。DFでも対人能力の高さを存分に発揮しており、いまの4-3-3で3ボランチの底、というのは康太の能力が最大限に生かせるポジションなのかもしれない。湘南戦に続いてセットプレーから得点できたことも、古橋がいなくなってからのセットプレーがまったくチャンスになっていなかったこともあり、非常に大きい。


しかしながら、試合終盤にCKから土屋にあっさり決められ、セットプレー時の対応も引き続き大きな課題を残してしまった。湘南戦での失点を生かせていないという意味でこの失点は大きく、今後ほかのチームも間違いなくねらってくる。ファーポストにも前田なり康太なりのヘディングで競れる選手を配置するなり、しっかり対応しないと、昨年の仙台戦のようにどこかでとてつもない痛い目を見ることにつながりかねない。


次はホームで栃木戦。ミッドウィークの試合を挟んでの3連戦3戦目に弱いというデータもあるだけに、気を引き締めて挑みたい。

 第40節 対湘南戦

2-1
得点 船山、藤本、ジャーン


ホームで迎えた昇格争いの直接対決、湘南戦。ここまで2敗と相性の悪い相手だが、なんとか一矢報いてJ1へ近づきたい。セレッソは今節も4-3-3の3ボランチ。湘南はアウェイで最悪ドローでもOK、としてくるだろうから、その守備ブロックを以下に撃ち破るかがポイントになる。


試合はやはりどちらも慎重な入り。特に湘南はアジエル不在が響いてか、ボールを持っても中盤の押し上げが少なく、またロングボールから裏をついてのカウンターも不発で、セレッソはピンチらしいピンチはほとんどなかった。その分、セレッソも散発的にシュートまではいくものの、決定機までは作ることができずに前半を終えてしまった。ここ数試合の4-3-3では、攻撃開始時にSBの位置取りが低めになることが多く、どうしても攻撃参加は少なめになってしまう。そこで3ボランチの前線への飛び出しが重要になってくるのだが、湘南が中央をがっちり固めてきたため、前半に関してはそこを機能させることができなかった。またカイオがボランチからのボールをもらいに中盤まで降りてきてしまうため、数少ないサイドからのクロスも中央で待つ人数が少なく、得点機に結びつけることができなかった。


いずれにせよポゼッションの時間等見ればセレッソのペースではあるのだが、0-0の時間を極力長くして、というのは湘南の狙いどおりの展開で、決して楽観できない状態で後半に入ることとなった。


後半も引き続きセレッソのポゼッションが長いもののなかなか決定機を作ることができない展開。我慢比べになるのかと思いきや、湘南は55分すぎの早い時間に香川をマークしていた田村が、香川のドリブル突破を思いきり手をかけて倒し2枚目のイエローで退場。これが試合展開を大きく変えた。


数的優位に立ったセレッソボランチ、SBも攻撃の圧力を強めだし、中盤から持ち上がった船山がペナルティエリア近くから香川とのワンツーで抜け出す。それほどシュートコースはなかったように見えたが冷静に左足でファーに決め、待望の先制点を生み出した。船山はセレッソでの初ゴール! マルの負傷後ボランチで起用されるようになった船山は、ボランチ2枚のフォーメーションでは中盤でシンプルにボールをさばきチームにリズムを生み出していた。前線へあがることも少なく、バランスを取ることに徹していたように見えたのだが、3ボランチになってからは積極的に攻撃参加し、1トップ2シャドーの攻撃に厚みを加えている。この戦術理解の高さはさすが鹿島出身とうならずにいられない。右サイドのボランチ黒木もセンターハーフタイプで、アンカーに対人能力が高い藤本がいる安心感からか積極的に攻撃参加しており、非常にバランスのいいゲーム運びができている。


10人の相手から先制しグッと有利になったところで、安心しきれないのがセレッソではあるのだが、この日はなんとこれまでまったく期待できなかったセットプレーから貴重な追加点奪うことができた。左サイド船山のCKからこぼれ球を藤本がていねいにハーフボレー。完全に流れを握ることに成功した。


あとはゲーム終了のホイッスルを待つだけだったのだが、終盤に相手FKからジャーンにフリーでヘディングされ1点返されてしまった。ゾーンディフェンスの欠点をつかれた形だがまったくもってよけいな失点。1点差となり守備に徹する時間を作ることになってしまった。


しかし湘南に勝てたこと自体がとてつもなく大きな自信をチームにもたらすだろうし、内容的にも完勝といっていいものだった。長居の雰囲気も今季最高といえるものだったし、4位に勝ち点差6をつけることとなり、昇格争いという意味でも大きな大きな勝ち点3を上げることができた。


これでなんとか昇格がうっすら、ぼんやり、見えてきたような気もするけれど、油断せず「優勝」をめざして戦っていかなければならない。

 第39節 対岡山戦

3-1
得点 香川、黒木、乾、川原


終始主導権を奪いながら前半は無得点。ここで気を抜いて後半立ち上がりに先制されるイヤな展開が頭をよぎったが、意外なことに後半スタートからヒラジoutシャケinの交代策。運動量の多いヒラジがある程度機能していたように見えただけに、意図をつかみかねたがこの交代がずばりはまった。


ウイングバックのように高めにポジションを取るシャケに気を取られてか、岡山が押し込まれ早い時間帯から引き続きセレッソがペースを握ることができた。先制はパスをつないでつないで、乾のスルーパスに抜け出した石神が、角度のないところからゴール前へ折り返しシンジがごっつぁんゴール。冷静に決めることができた。


早い時間帯に決めたことで次の1点が非常に重要になったわけだが、黒木がグラウンダーのミドルをゴール隅の見事なコースに決め、あっさり追加点を奪うことができた。岡山の調子から見ても、実質これで試合を決めることができたのだが、攻撃の手をゆるめることなく香川のゴール前でのタメに乾が飛び込んできて久々のゴール。あとは試合を終わらすだけとなった。


その後、3点差を付けた状態でのアキ起用はもったいないようにも思ったのだが、やはり登場すると見事なポスト、タメでチームに貢献してくれた。しかし終了間際にカウンターから1点与えてしまい、下位相手に最後まで緩めずに戦いぬくという課題は残ったままとなった。なにせ昇格戦線は4チームでの団子状態になっているため、得失点差もムダにすることはできないのだ。とはいえ次節はホームで湘南戦。大一番をいい状態で迎えることになったのは確かだ。

 第38節 対甲府戦

1-1
得点 香川、マラニョン

今季2戦して2分けの甲府との最終戦。昇格争いの直接対決でもあり、なんとしても勝ち点3を積み上げたい試合だったが。


セレッソは前節イエロー2枚で退場の前田が出場停止。藤本が復帰しての4-3-3にシステムを変更してきた。この4バック、3ボランチだがSB2枚の位置を高めに上げ、アンカーの藤本がDFラインに入れば、なんのことはない以前からの3-6-1になるだけなのだが。とはいえ、サイドの2枚がSBであることを意識してか攻撃が手薄になる印象が強い。となると前線の3人だけで点を取ってこないといけなくなるわけで、いかにセレッソのDFが安定しないが故の策とはいえちと厳しいのではないか。


甲府もアウェイということもあってか積極的に攻めてはこず、重い試合展開となったが、前半30分すぎに香川が乾とのワンツーからねらいすましたシュートで先制。ワンチャンスをものにし優位に立つことができた。しかしそこで気を抜いてしまうセレッソの悪い癖が出て、マラニョンに広大なスペースをつかれ前半のうちに追いつかれてしまった。


後半も見所少なく、濱田out小松inで2トップに変え勝ち越しにいったのだが、決勝段を奪うことはできなかった。


結局今季甲府とは3戦3分けともやもやの残る結果となってしまった。試合後にはカイオがネックレスしているのを主審に見つかりまったくよけいなカードをもらってしまった。試合中はテーピングで隠していたようなのだが、試合後整列でユニの外にネックレスを出している姿がビジョンにもばっちり映し出されており、なんと言い訳のしようがない。こういったところにも「勝者のマインド」の欠如が見出される、といっていいものやらどうやら…。

 第37節 対富山戦

1-0
得点 香川


セレッソがJ全チームから勝利、という微妙な記録を達成するために残された最後の相手、富山。第1Cではくやしいスコアレスドロー、第2Cではジンヒョン、マルが退場、となんとしても勝ちたい相手だ。


しかし富山は調子がよく、第2Cだけの成績を見ればセレッソよりかなり上。格上と戦うぐらいの気持ちで挑まなければならないところだ。前半開始直後はプレスが緩い富山を相手に、気持ちよくボールを回せていたのだが、ディフェンスにいったところで相手にボールがこぼれるシーンが多く、そこからピンチになることが数度あった。特に8分カンヒョンスがシュートした場面ではチアゴが抜かれた後の緩慢な戻りが目に付いた。チアゴはDFラインの中でかなり効いているのだが、時折守備で淡泊なプレイをするのはなんとしても改めてもらいたい。


このプレイが影響したのか定かではないが、前半のうちにチアゴout、小松inで4バックに移行。クルピとしてはかなり珍しい積極的な采配が振るわれた。そうすると試合はふたたびセレッソペースに。この時間に先制しておきたいところではあったが、前半は0-0で終了。


後半、富山が気持ちを入れ直してくるかと思われたが引き続きセレッソペースで試合は進む。60分を過ぎたころから、富山が高く上げてくるラインの裏を使ったショートカウンターが決まり出すが、最後のところでボールがあわなかったり判断が遅かったりでゴールまで持っていくことができない。


なんともじれったい時間が続いたが、香川くんのサイドからの突破に乾くんがワンツー。ゴール左45度からのミドルが決まり待望の先制点をあげた。そこからもしばらくはセレッソの時間が続き、乾くんがGKと1対1になる場面もあったのだが、ゴール前でのパスをGKに読まれ追加点とはならず。点を取りに行くのか1点を守りに行くのかはっきりさせたい時間にカイオout、黒木inの交代があり、ベンチからのメッセージが明確に出された。これまたクルピとにしては珍しい交代策だったのではないか。


80分すぎには熊本のカウンターを防ぎにいった前田が明らかに相手選手へのスライディングで2枚目のイエローをもらい退場。これでさらに守りきる方向に割り切ったセレッソは、しっかりと時間を使いきり最少得点差で2連勝を飾ることができた。


試合終盤の時間の使い方では、前節に続きジンヒョンがゴール前で効果的な働きをしていた。相手FWからのプレッシャーをいなしながら、ゆったりとプレイする様はなんともふてぶてしく、相手チームのサポなら腹立たしくてしかたないだろう。しかしこれもリードしているからこそできること。この時間帯に相手をじらすプレイは効果的で、日本人選手が苦手とする試合運びの巧みさを感じさせてくれた。これからもしんどい試合が続くことは間違いないのだが、ジンヒョンがこういったプレイをできる状況にもっていけるように全力を出し切ってもらいたい。

 第36節 対熊本戦

2-0
得点 カイオ、香川


水戸戦で途中交代したマルが全治2ヵ月の重傷で離脱。根本的に異なるチームとしての構築を迫られながら迎えたアウェイ熊本戦。マルの位置に入ったのは鹿島からレンタルで獲得した船山だった。


熊本はセレッソが苦手とする木島、さらにベテラン藤田がベンチスタート。キックオフ直後、前線から積極的にプレスをかけてくる熊本に対し、ボールを落ち着けて回すことができなかったが、DFからのロングボールにカイオ、香川が走り込み熊本DFと競り合う形に。カイオが判断よくダイアゴナルに走り込み、シンジがヘディングで落としたボールを冷静にシュートし、意外なほどあっさりと先制できた。


その後も失点した熊本が落ち着かずセレッソペースになり、決定機をなんどか作る。守備が安定しないセレッソはなんとしてもこの時間帯に追加点がほしかったが決めきれず、1点リードで前半を終える。チャンスを逃したカイオはなんともくやしそう。


後半、熊本は藤田を投入し2トップに変更。流れを持っていかれるかと思ったが、セレッソも落ち着いた試合運び。ペナ内まで何度も持っていくが、どうしても追加点をあげることができない。終盤にカウンターから同点に追いつかれる最悪のパターンが頭をよぎり始めた時間帯、ドリブルで持ち込んだヒラジがペナ内で福王に倒されPKゲット。これをシンジが決め待望の追加点を得ることができた。


守備が決定的に崩されることもなく試合を終え、マル不在という大きな不安をはねのけ、勝ち点3を得ることができた。とはいえ、香川・乾のコンビネーションがいまいちかみ合わず、中盤で大きなスペースを与えてくれた熊本に助けられた試合であったことも確か。船山はシンプルにボールをさばき無難なできではあったが、決定的な仕事ができるようになるにはまだまだ時間がかかりそう。とにかく辛抱強く戦い続けていくしかないように思う。