レッドと連合赤軍と非実在青少年

先週の木曜、山本直樹さんに誘われ『レッド』文化賞メディア芸術祭特別賞報告会というパーティに行ってきた。パーティの様子はツイートで少しばかり書いているし、Facebookで動画も上げているので、ここでは書かない。

この受賞は次の2つの意味で非常に象徴的な出来事であった。

1つは、ほとんどノンフィクションと言っていいこの漫画が、連合赤軍の話を題材にしつつ、国から表彰されたと言うこと。そして、会場である赤坂のフーターズ(まさに米国の象徴ではないか?)ではその元連合赤軍メンバーが集まり、国からのカンパで飲み食いをしていたという事実。そしてそのわずか2日後に永田洋子が死んだのだ。連合赤軍事件は一つの歴史として、一区切りを着けたということだろう。

ところで、事件の原因はあらゆるメディアにあらゆる形で書き連られてきたが、実際にはある種のタブーとして、あるいは特異な例外として、一般には消極的・積極的に無視されてきた感がある。元連合赤軍メンバー達は、renseki.netという事件を風化させないための活動をしているそうだが、『レッド』の様な漫画が余に受け入れられたことを経て、事件は歴史としてあるいは次世代への教訓として、いま再考証され、受け入れられるべき時期に来たのではないだろうかと思う。

もう1つは、山本直樹というわずか2年前に東京都から有害図書規制を受けた作家が、ここで見事に賞を受賞しているという事実である。それは痛快であると共に、いったいあの都条例の規制は何だったのかと思わざるを得ない。私自身としては、規制自体に反対ではないのだが、規制派も反対派も誰もが追求しようとしなかった、ごくごくシンプルな疑問、「エロ漫画を規制したら性犯罪が減るのか?」ということを、誰もまじめに深く追求しようとしていなかったことを訝しく思っている。

もしこれが、一般企業だとしたら、「エロ漫画で性犯罪が増えているという定量的なデータはあるのか」「規制にはどの程度のコストがかかり、どれだけの性犯罪が減るのか」「規制後にどのようにしてその効果を計測するのか」という論証が不可欠のはずだ。規制派も反対派もそこを十分に(少しは言っているようだが)突っ込もうとしないのは、実におかしな話である。実は規制はのみならず反対派にも、暗黙のコンセンサスとして「過激なエロ漫画が性犯罪の原因になる可能性は否定できない」というものがあったのではないだろうか。規制派はその可能性だけで規制する理由として十分だという本音を、「あなたはこの漫画を自分の子供に見せられますか!?」といった感情的な言葉にうまく置き換え、反対派はその言い訳よろしく、「表現の自由」「親の責任」「なぜ漫画だけ」だの言い続けてきたことが、規制派を押さえることが出来なかった原因だと、私は思っている。

反対派が本当にすべきだったのは、コストと効果の問題を定量的に提示させることのはずであり、無いものは証明できないので、規制と犯罪低減の効果に関するデータの証明責任は都の側にあったはずだ。都はおそらくコストすら具体的に提示できなかっただろう。逆に、都も本当に性犯罪を減らしたいと思うのなら、定量的データをしっかり見せれば、反対派も納得せざるを得なかったはずだ。

だいたい、これだけの討論や会議に費やしたコスト、出版社の離反によるとのイベントの凋落など、いくらコストがかかってるか、分かっているのだろうか。それで、「これだけかかってこれだけ犯罪が減りました」と言えないとするなら、まさに税金の無駄遣いである。単に規制のみが目的にしか見えず、目的と手段を混同しているとしか思えない。本当に性犯罪の低減を目指すなら、本当に規制で性犯罪が減るなら、映画もアダルトビデオも小説も、あらゆる表現媒体に規制を設けるべきである。それをしないのは、石原慎太郎をはじめとする老人達が「漫画は低俗」と思っていることに他ならない。

フライヤー展のHPはこちらに移しました

イベント特設ページを作りましたので、詳細情報はそちらをご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/flyer-info/

遅ればせながら、どんどん充実してきました。フライヤー展のフライヤーももうすぐ上がって参ります。トークショー出演の園田さんも、Dommune出演が確定し、ますます話題に。ご期待ください。

「思い出のフライヤー展」準備の経過

だいぶ間が空いてしまいましたね。
当方、平日は仕事に忙殺されているためなかなか準備が進められないでいるのですが、それでもいくつかフライヤーの提供をいただき、それがまたものすごくコアなんで一人ニタニタしてます(笑)とはいえ、まだまだ募集しているので、ぜひご応募下さい。連絡先は、下記になります。折り返し送付先をご連絡します。

takioh@gmail.com

さて、もう少し経過を。一昨日、期間中にプレゼンテーションを行っていただける方とお話をしてきました。園田佐登志さんという方で、70年代半〜80年代中盤ぐらいにかけての日本のアングラ音楽シーンにて活動を行っていた方で、非常に興味深いフライヤーをたくさんお持ちになっています。実は、Mixiでふとしたことからマイミク申請をいただいていたのですが(石塚潤一さん経由だったような期がします)、そこでぽつりぽつりとアップされるフライヤー画像のコアなこと。思えば、大阪のマサオ氏が「東京でやってくれと言うんなら自分でやれ!」というつぶやきに反応して、自分がやる!といったのは、園田さんのことが頭にあったかもしれません。

話がずれましたが、園田さんには2回に分けて、日本のアングラ音楽シーン事情について、フライヤーを素材にプレゼンテーションをしていただく予定です。たとえば、見せていただいたフライヤーには、ガセネタ、Aunt sally、スターリン高橋悠治美狂乱といった名前が……。パンク・ニューウェーブプログレや現代音楽まで巻き込んでの、ものすごい時代があったんだなと。その時代の空気を呼び込んでもらうような、そんなプレゼンになればいいかなぁと思います。もちろん、園田さん秘蔵の音源もかける予定となっています。

フライヤー展をやります! 展示用のフライヤーを貸していただける人募集中

余り見られていないブログではありますが、11月に私主催でイベントをやることになりましたので、その告知をいたします。

内容は、いろいろな人が所有しているフライヤーを展示する展覧会です。 大阪で『おとうた通信』を主催している吉田氏(10年来の知り合いです)が行った企画「忘れられないフライヤー展」にインスパイアされた企画ものです。

そこで、ぜひこの日記をごらんになっている皆様、 およびそのお友達の皆様、こんなフライヤー持っているよ、 というのがありましたら、ぜひ貸していただけないでしょうか。

ただフライヤーを展示するのみならず、 皆さんにそのフライヤーの思い出を語っていただきたく、 それも合わせて見ていただけるようにしたいと思っています。

イベント詳細は以下の通り

  • 期間:11月3日〜14日11月23日〜12月5日に変更になりました! 休日も開催 11時〜20時(予定)
  • 場所:新宿区曙橋 i-cafe(徒歩10分ほど)
  • http://www.inte-grity.co.jp/i_cafe/
  • 入場料:無料
  • ※初日にはオープニングセレモニーでもやりたいかなと

募集するフライヤーに規制はありません。 自分のイベントでも、他人のイベントでもOkです。 また、ポスターなどの大型サイズのものなど、これはおもしろいよ、 というものがありましたら、可能な限り展示いたします。
ミュージシャンの方・イベントやってらっしゃる方は、 これからやるイベントのフライヤーを持ってきていただけたら、 展示と合わせて配布させていただきます!

展示方法としては、ウォールポケットを制作し、それにフライヤーを入れて、ピクチャーレールにて展示する予定です。(もちろん、貼り付いたりシワにならないようにする予定です)それぞれに合い判を振り、提供者のフライヤーにまつわるストーリーを別途配布予定のパンフレットにて参照できる、と言うことを考えています。収まりきらないものに関しては、バインダーにて展示予定です。

フライヤーを提供していただける方、 お手数ですが下記アドレスまで、メールを送って下さい。
takioh@gmail.com
提供していただきたいのは、

  1. フライヤー。ジャンル、枚数は問いません。
  2. そのフライヤーにまつわるあなたのストーリー。メールでも手書き原稿でもかまいません。

よろしくお願いします。


以下が自分のフライヤーとストーリーです。
フライヤーを貸して下さる方、参考にして下さい。

1)フライヤー
後でアップします。

2)ストーリー

 それは90年代半ばのこと、クラシックというマニアな音楽の中でも、とあるアングラなジャンルを愛好する集まりがあった。その集まりは、東大ピアノの会とそのOBを中心に組織され、彼らはロマンティックで超絶技巧を駆使したピアノ音楽(彼らはゲベゲベ系と呼んでいた)を愛好していた。
 このジャンルは日本の評論家には完全無視されており、一般にはまるで知られていなかった。当然、コンサートの演目になど登らない。それでも俺たちは聞きたいんだ!という彼らは、なんとお金を出資し合って、あるピアニストを招聘した。それが今やレコ芸でも名前を見かけるマルク=アンドレ・アムランだった。実物のアムランが見せつけた超絶技巧に狂喜乱舞した彼らは、続けて第2のピアニストを招聘する。それが、今回紹介するリベッタだ。
 当時、ヨーロッパでも知る人ぞ知る彼の演奏を聴いたことのある人は、招聘者の中でもごくわずか。海外ファンの噂を耳にしての、ある意味賭けの招聘だった。果たして集客はアムランほどではなかったのだが、90年代半ば〜2000年頭のアングラ音楽シーンの1ページであることは間違いないだろう。個人的には、故・大里俊晴氏をタワレコでのインストアライブに招待したことも思い出として残っている。
                                      細谷滝音

Q 提供したフライヤーは返却されますか
A 返却をしますが、もし返却不要ならそういっていただけると助かります

Q フライヤーは何枚までOKですか?
A 枚数制限は設けていませんが、他の人と重複した場合、1枚にまとめてることになります(ストーリーは掲載します)。

Q 音楽ジャンルはなにがOKですか?
A ジャンルの制限はありません。あなたが好きな音楽ならOKです。

遠くない将来にe-Inkを採用した電子書籍リーダーが出るだろうと思っていたのだが、こんなに早く出るとは! と喜んだのもつかの間、記事を読んでゲンナリしてしまった。富士通はどうやら未だに昔ながらの大鑑巨砲主義に拘泥しているらしい。止せばいいのにカラーだけじゃなく、Windows搭載でOfficeも使えて音声読み上げやらネットも3GもBluetoothもで、さらっと9万円オーバーである。いったい富士通は何を考えているのだろう。

もしこれがiPadのようにネットも使えてゲームも出来て電子書籍も読めて……というのを目指しているのだと言うのなら、あまりの的外れとしか言い様がない。アップルの物作りは富士通のように“加算”方式ではない。CPUパワーやキーボードやマウス、メモリーカードやCD/DVD-ROMドライブと言った余分な物を間引いた“減算”の果てに出来た物なのである。余計な物をそぎ落としたスリムさがアップルの美しさなのだが、それに比べたら富士通はメタボもいいところだ。コンセプトモデルならまだしも、これが正規の製品だとしたら、まさに帯に短したすきに長し。どの用途においても中途半端な上に、値段まで高いと来ている。これでは売れない。もっともっと贅肉をそぎ落とさないと。

私に言わせれば、この機種の機能はほとんどが無駄だ。Windowsなんてコスト増にしかならないのだからいらない。LinuxBSDでいい。Windowsを持ってきた方が制作期間は短くていいと思ったのかもしれないが、電子書籍さえ読めればいいのだから、Linuxでもそれほど時間はかかるまい。必要なら後からソフトやファームをアップデートすればいいのだ。さらに踏み込めば3Gすら必要ない。iPodに3Gが無いからと言って文句を言っている奴はいるだろうか? いまだiPhoneでも無線で曲が買えないのだから、USBで転送でいい。その代わり安くするのだ。値段は2万を切るぐらいでスタートし、将来的には1万4800円ぐらいにする(いわずもがなファミコンの値段である)。それで、プラットフォームの独占だとか四の五の言わずに、現在出ている主要なフォーマットや販売サイトに片っ端から対応していけば、間違いなく売れる。早くもコストを渋りだしたAmazonKindleで使っている電子書籍フォーマット対応すれば、Amazonも大歓迎だろうし、日本での販路もあっという間に広がる。後発の利を活かして、どうしてもっと戦略的な発想出てこないのか不思議で仕方がない。