futurology

地下鉄の階段抜ければ
静謐と大きな月が出迎える
誰もいない並木道を歩く
きみが好きだった唄とともに

思い出のサイロ辿れば
「おいでよ」と小さなきみが手招く
誰もいない砂の城は崩れ
10年の時が僕らを分かつ

ただ一緒にいたい
それだけのことが言えずに無くしてばかりだ

未来へ手を伸ばそう
このあたたかい体を抱いて
届けるさ きみのもとへ 今
言えなかったあの青い想いを


『言葉より大切なもの』
『言わなくちゃ伝わらないこと』
ぬるま湯と砂糖菓子みたいな
優しい世界に僕は赦されてきた

ただの感傷ではなく
大人になれなかった夏の続きのために

全てを受け止めよう
ただまっすぐに続く道を
叶えよう きみと掴む今
言えるはずさ 夢じゃないのならば

未来へ手を伸ばそう
そのあたたかい言葉を持って
届けるさ きみと紡ぐ今
繋がっていく この先の10年へ

坂本真綾20周年記念LIVE “FOLLOW ME”@さいたまスーパーアリーナ

なんでもない普通のことが特別なんだ。

−そう彼女が呟いた台詞を理解した気持ちでいた。





誕生日じゃない日。

怒られて落ち込んだ日。

恋人にこっぴどく振られた日。

人生には様々なアンラッキーがあって、それをも愛しく思える大人になりたかった。





2015年4月25日。

坂本真綾の20周年ライブへと足を運んだ。

最初にかぜよみというアルバムの名が付いたライブツアーに友人から誘われて生の声を聞いて仰天し、翌年の武道館ライブでは何度泣いたかわからない程度に涙した記憶をつい昨日のように思い出す。

しかし、ここ数年彼女のライブが増えるに従い、慣れが出て、最近の活動にも少し一定の距離が開き始めたかなと思っていた矢先のライブだったことを冒頭で申し上げておく。


−結論から言うと、僕の青春と共に歩んできた音楽の一つであった彼女は、もっともっと先を見据えていて、これからの10年や20年に向け歩き出していた。

正直なところ、自分の中で泣きに泣いた武道館ライブよりもずっとずっと印象に残るライブだった。

ライブが終わって2日経った今でも、どこか地に足がつかないような不思議な感覚がずっと体を覆っている気がする。

2010年の武道館ライブは、お祭りだった。

師である菅野よう子がサプライズで登場して鮮烈な印象を残したり、彼女自身が一度投げ出したギターを手にし、しかも歌いだしたら弾かないという面白さだったり。

一方で、アンコールで出てきた鈴木祥子がポケットを空にしてを歌って歩き回るという場面もあり、ある意味では坂本真綾自身よりも、いろいろな飛び道具のほうが印象に残ってしまった気がする。

ただし、上にも書いたように、今でも本当に素敵なライブだったと思っているし、宝物ではあるのだけど。

そんな武道館でも、I.D.という曲のMCで印象的な場面があった。
まるで語りかけるかのように自分の存在意義を確かめる書いた歌を歌うという内容だったと思う。

前置きが長くなったけれど、今回のライブは、そんな武道館ライブと違い、印象に残っているものがすべて坂本真綾という人そのものだった気がする。

サプライズではなく、ゲストとして菅野よう子が迎えられていたのだけど、彼女のピアノそのものは相変わらず聞き惚れたし、温かいものだった。

ただし、いわゆる衣装替えでピアノソロとして使われる贅沢さも、ピアノソロの中で菅野さんが真綾作曲のeverywhereを弾くところも、すべては坂本真綾という人が5年という時間の中でしっかりと自分をプロデュースし、もっと先を歩んでいるというとても眩しい光景だったように思う。

僕が今回まずうっかり涙腺を滲ませてしまったのは、プラチナという多くの人が知っている名曲だ。

ここのところ歌われる機会も多かったのだけど、菅野よう子のピアノの前に立ち、「I'm a dreamer」とアリーナの上空へと浮かんでいく力強く伸びる声に、ものすごく感動してしまったのだった。

−ああ、なんて美しい人なんだろう。

ここのところ思っていた少しの不満も一気に飛んでしまうほど、背筋をピンと伸ばしまっすぐ前を見て歌う彼女が眩しく映った。

そして、「菅野さんの前でどうしても歌いたい曲がある」と歌われた「光あれ」の歌声の説得力ときたら。

少しずつ手元の明りが点る演出にも、花道で天に向かって手を伸ばす彼女を温かく見守る観客とバンドメンバーの一体感。

会場を埋め尽くすたくさんの温かな光に少し酔ってしまった瞬間だった。

ハイライトは彼女自身の作曲であり、最新曲の「これから」だ。

演奏の前に「この20年で間違えたことはたくさんあるけれど、後悔したことはない」と言い切る姿がとても眩しかったのだけど、そのあとに過去の映像と対峙しながらやわらかい表情で歌をつむぐその姿は、後悔しないという言葉が嘘じゃないということを雄弁に物語っていたように思う。





今がいつも一番輝いてる。

自分がそう言えるように、今日も歌を口ずさみながら歩いていこうと思う。

素敵なライブをありがとうございました。








音楽の作り手でも弾き手でもある僕が、音の話をまったくしない少し珍しい感想でちょっと我ながらおかしいですね・・・。

扇谷さんのピアノソロだったり、恐ろしく正確でリズム感のいいドラムだったり、キレのいいベースラインだったりと、音楽的なアプローチで書きたいことはたくさんあるのだけど、どうしても適わないなあ、かっこいいなあと思ってしまったあの瞬間を綴っておきたくなったのでした。




I WILL follow you!



人生を変えた10曲

好きな曲の数でいえば、10曲どころか100曲でも収まりきらない。
それでも、この曲と出会えたから何かが変化した&10年経っても20年経ってもきっと好きでいられる曲を選んでみました。



1.Ned Doheny / Between Two Worlds

僕の親父とお袋が、二人ともに好きなアーティストがネッド・ドヒニーというAORのアーティストでした。
こんな透明感と芯のある声なのに実は40代なんです。
声変わりが始まった頃、こんな声で歌いたいと思って歌を歌いすぎて、喉をつぶしかけたくらい。
トゥーワールズは、サビで急に暗い調性になるところがたまらなく好き。曲の中にこんな喜怒哀楽が入った曲が僕も書きたいなあといつも思います。



2.山下達郎 / 蒼茫

この曲をテレビのCMで聴いたとき、その空気感に圧倒されて、テレビを消した後もずっと暗い画面と対峙していたことを思い出します。
高校生のとき、色々と持て余した衝動や空回りする感情たちをおさめるがごとく、この曲を何度も聴いていました。
今思えば、自分の生き方のテンポというのが、この曲を聴いてなんとなく分かったというか、それ以降の自分の歩調に大きく繋がった曲だと思います。
エンディングのラララコーラスは、今聞いても鳥肌がやばい。



3.PE'Z / AKATSUKI

「蒼茫」が自分の歩調を確認できた曲であるならば、このAKATSUKIは逆に、自分の思い込んでいた常識たちを一気に解放してくれた曲。
当時大学のゼミで作曲にもがいていたとき、こんなジャズもいいんだ、かっこいいじゃん、って教えてくれた曲です。そして、今聞いてもやっぱりカッコイイ。
中学生や高校生が抱える衝動ではなく、大人がこうやって疾走感や溢れる感情を曲に詰め込むと、その音作りにほのかな感傷が混じって、すごく好みだなあと実感します。
B♭m7→E♭→A♭→G#→C#→F#と畳み掛けるようにうつっていくコードがスリリングで、そのとき行き詰っていた自分が脱却できそうな気持ちになれた大切な曲です。



4.坂本真綾 / rule〜色褪せない日々〜

明るいメロディーに乗った少し昔の僕にたいして問いかけるこの歌、どこか明るいのに切ないというのが自分の音楽のツボなんだと再認識した曲です。
「教えてあの頃よ、僕は今も煌いていますか」と何度も問いかけるこの歌。
大学受験・就職活動・そして新社会人と時を重ねていく間、ずっとこの曲を聴き続けてました。
名古屋から東京に転勤になるとき、友達に送別会を開いてもらった際、サプライズでお店(しかもベトナム料理やさんだった)でかかってびっくらいこいた曲でもあります。
名古屋での仕事というのは僕にとって人生の転機にもなった出来事だったので、余計にこの曲の「誰にも咎められないことの悲しさを思い知る」という部分にほろ苦さを感じ、「さよなら遠い日々、色褪せない僕の魂」というサビで大切な感情に触れることができたんじゃないかと思ってます。



5.JAMES INGRAM / JUST ONCE

かのクィンシー・ジョーンズプロデュースな曲。
ザ・80年代の曲だけど、そのメロウな曲調と太い歌声がマッチして、すげーかっこいい。
大学1年生のとき、軽音サークルの部室でピアノ弾きながら歌っていたら、ドアの前で友達が泣きながらこの曲を聴いてたのが今でも思い出されます。
当時は単なるキーボードだった僕ですが、「お前、歌も歌ってみろよ」と言ってくれたのが、多分僕が歌が好きになったきっかけ。



6.orange pekoe / 愛の泉

上にも挙げたような曲たちを聞きながら育った僕ですが、そんなこともあって一時期ジャズのコードを多用したアーティストにもずぶずぶはまっていました。
この愛の泉のライブ映像は、極楽鳥というシングルについてきたのですが、当時自分の歌に若干の行き詰まりがあった僕にとって、この愛の泉の映像は衝撃でした。
なんというか、歌が啼いている印象だったんですよね。
こぎれいに歌ってるCDよりも、聞こえは少し汚いかもしれないけれど、圧倒的に押し寄せる何かがあって、胸を打たれました。
歌ってこういうもんだったよな、と再確認できる曲。



7.CHEMISTRY / US

ここで、なんでCHEMISTRYやねーんと思いますよね、やっぱり。この曲、大好きなんですけど、ちょっと思い出料込みなんです。
今から7年前、ほとんど土日ずっと一緒にくっついて遊んでたくらい仲がよかった友達と、最後にカラオケで歌ったのがこの曲なのでした。1ヶ月後にはもう会えなくなるとも知らずに。

「歩いてく、振り返ればいつもあの日の僕らが映る」と懐かしむこの歌。
歌うときにはいつもヤツの姿が思い出せるので、僕にとっては亡くした親友を忘れないための歌なんだなあと今にして思います。そんなこともあって、ちょっぴり特別な記憶の歌。



8.ピチカートファイブ / メッセージ・ソング

上にも書いた親友とも思い出も含め、生きることの意味をそれからしばらく思い悩んでました。未来について思い描くことはその当時難しい部分もあったけれど、この曲の明るさと切なさと前向きさに、大きく助けられました。
さっきのUSという曲の後、おそらく僕が先に進むためにこのメッセージが必要だったんだと思う。

音楽的なことに触れると、「思い出して」の部分で音が急にナチュラルになるあの瞬間がたまらなく好き。
ピチカートファイブはどうしてもおしゃれっぽいというイメージが強いかもしれないけれど、技巧的にもなかなか面白いことをやってて、ゆがんだ音とポップが両立してたりで結構楽しかったりもするんですよね。



9.Dave Brubeck / Blue Rondo A La Turk

こんなカッコイイ曲が1959年とかに出来てることが何より衝撃だった。なんだこれ。
僕は小2のときからしばらくジャズドラムを叩いていたんですが、この曲聴いてひっくり返りそうになりました。途中の怒涛のような9拍子(2+2+2+3から3+3+3へ)を抜けると一気にスタンダードなウォーキングベース奏でる4拍子へ。
本当はパーカーやガレスビーを1曲混ぜようと思ったけれど、やっぱり人生を変えた曲となればこれかなーと思います。ある意味、僕がジャズドラマーになれなかった曲でもあるのかも。



10.塩谷哲 / Brazilian Rhyme (feat.Harumi Tsuyuzaki)

昔のカッコイイ曲がさっきの曲なら、今のカッコイイ曲がこれかなと思って選んでみました。
当時バリバリとピアノを弾き倒していた自分が、唯一この人のピアノだけは叶わないと思っていたのがこの塩谷さんでした。
ジャズという垣根を越えてこんなにカッコイイことが出来る。
ある意味では、色々なことに精通しているからこそできる曲でもあるし、僕も人生色々回り道しながらも、いつか自分でしか奏でられない人生の音を作るのが、たぶん夢なんだと思います。
そんな夢に気付かせたこの曲が、まさか音ゲーに使われていると知ったのは随分後のことでした。








おまけ Dale North - Home Again

I believed in roses kissed with dew
Why shouldn't I believe the same in you?

坂本真綾ライブツアー2011 You can't catch me 厚木に行ってきました!

もはや1年くらいエントリーがあいていてすみません。
僕は元気です。

さて、1年ぶりのエントリーも坂本真綾関連のエントリーから。
2011年のライブツアーYou can't catch me初日in厚木にお出かけしてきました。
大学時代は神奈川県に在住だったので、厚木という地名にも懐かしさと親近感が。
今回、チケットを譲っていただけたので、ご好意に甘えて参加してきました。

会場に入った瞬間、その狭さに少し意外性を感じつつ。
今回、構成も弦がなく、代わりにツインギターという構成。
バンドサウンド中心で鳴らしていく感じのライブで、従来のようにキャッチーなノリで手拍子するというよりは、体ごと乗れるようなそんなライブになってたと思います。
以下、全体及び個別曲の感想。
<以下ネタバレを多く含みます。これから見に行かれる方はページを閉じられることをオススメします>





かぜよみ及び武道館ライブの面々は、ある意味ポップスという意味では洗練された演奏の面々で、すごく相性がいいと思ってただけに、今回どうなるかなーと思っていたんです。
ツインギター構成をもっと押し出してくるかと思ったけれど、そちらに関してはソロパートが若干激しい以外はさらっとした感じでした。
バンマスの北川さんが全体のバランスをうまく舵取りしてるせいなんだろうけど、個人的には北川さんのバリバリやる演奏ももっと見てみたかったなあという所感。
ノーナリーブスの奥田さんのプレイはかっこいいけど、トピアなどの音使いなどを聞き比べても、前回ギタリストの石成さんの演奏のが好みではありました。
(泣かせどころの違いなんだとは思いますが)

今回個人的にMVPをあげたいなと思ったのはピアノ・キーボードの扇谷さんでした。
河野さんの手堅いプレイも安心感があるけれど、今回のピアノは、ピアノ弾きから見てもうまいなーと思って素直に聞きほれました。
ソロパートでの制御の仕方(細かいアドリブのセンスがとてもよかった!)もさることながら、後ほど述べますがムーンライトなどの伴奏に徹するプレイの歌への寄り添い方が、とても真綾さんの歌と相性がよくて。
今後アルバムとかでも組んでくれないかなー。

また、毎度のことですが、ドラムの佐野さんのプレイ、今回も素敵な演奏でした。
ニューアルバムでは叩いてないので、ある意味聞き比べできた部分も大きくて。
eternal returnや秘密のあたりのフィルインは、CD音源と比べても独特で面白かったし。
トピアのようなリズムキープにゆだねられた曲でも、その音色がすごく曲にマッチしてて心地よかったなーと思い出します。

個人的な意見として残念だったのはコーラス周り。手堅いコーラスだったと思うので、贅沢な話ではありますが。
武道館のときのコーラスの方と違って、音色がちょっとばらけてたり音量がばらけたりしてたこともあって、思ったより醍醐味が味わえなかったかなあ。
フレーズ終わりの歌の収め方(ビブラートとかも含めて)の処理がボーカルとコーラスでぶれてたのもちょっとした気になる点。

  • 演出・構成面

バスが高速道路沿いに会場にやってきて、また旅立つという演出もあり、バスのサイドミラーっぽいディスプレイが表示されてたりと、旅の雰囲気を感じ取りながらという感じのステージ構成でした。
途中ビロードのカーテン(DOWNTOWNのPVのような)を生かした演出もあったりして、個人的には視覚的にも楽しめたステージだったかなあと。
曲の雰囲気と色を合わせたような演出もあったしで、このあたりは毎回楽しみにしていている部分がちゃんと楽しめた感じで素敵でした。
そういえば、いつものライブより若干ですが男性比率高めだった(6.5:3.5くらい)印象でした。

  • 個別曲感想

(MCは割愛します、自分の頭の中の音の記憶を掘り起こしながらなので、色々違っている部分があるかもしれませんがご了承ください)

1.eternal return

やはりの一曲目。そしてピアノのイントロの瞬間にわっと歓声が上がり、総立ちになるこの雰囲気は、今までのライブのそれとは少し違う空気に包まれていたように思います。
僕の席の周りでは手拍子せずヘドバンしてたり体を揺らしたりして、音楽に気持ちよく浸っている人が多くて自分も楽しかったです。
ボーカルも最初から綺麗に伸びつつも、「諦めたいのに 何度も」のあたりの高音の感情の揺らぎ方に対して、「欲望を抱いて」の高音の混じりけのない声の出し方に巧さを感じました。

2.秘密

アルバム通りの曲順できたこの2曲目。歌の感情の制御ということでは、前の曲に続きボーカルの妙味を感じた一曲。
一方で、1曲目に続いてアッパーな曲だと思っていたんだけど、意外にも声や歌詞に浸ってしまって、あがったテンションが微妙なところに行ってしまった感じも。
要所でのフィルインが本当にかっこよくて、佐野さんのドラムが映えた一曲だったなあと思い出してるところです。
一方で、ストリングスに関しては今回打ち込み音源でやや物足りなさも。
最後の畳み掛けるサビの部分でAからA#の音を連続する部分の声がすごくスリリングで好きでした。

3.ミライ地図

実は、アルバム中で聞いてたときにはAメロ・Bメロが好みなんだけど、サビがあまり好きになれずじまいという曲でした。
今回、動きも含めてみてると歌詞にあったかわいらしさがあって、ちょっと前と聞き方が変わったような気がします。
今回のバンドの音にもよく合ってたし、特にベースの動きに躍動感があって好みの演奏でした。
たぶんサビが好きになれないのは、A・Bと妙にメロディーが離れてしまった感じがするからなんだろうけど、ツアーでの歌はちょっと茶目っ毛もあってよかったなあ。
もっとも序盤の3曲連続というのが多少しんどかったのが、「むねのなかー」の伸ばす音のビブラートがややフラットになったりシャープになったりで安定しなかったのが多少気になったところも。

4.キミドリ

イントロはギターからではなく、「トゥールトゥットゥルー」のコーラスからで歓声がどっと上がりました。
いつか生で聞けたらと思ってた曲がいくつかあったんですが、今回この曲も含めてそういう曲がいくつか聞けて個人的にめっちゃ嬉しかった曲です。
Bメロの高音部の抜けのよさは以前より随分とパワーアップしたなと思う反面、Aメロの低音部の透明感はそのまま堪能できてニヤニヤしておりました。
もっとも、この曲である意味コーラスに対してもっともっとと思ってしまった曲でもあって複雑な気分。(もっと主張してくれてもよかったなーと)

5.美しい人

遣唐使船再現プロジェクトまで飛んでいったのを思い出してしまう、いまや少し懐かしい曲。
この曲はちゃんとパーカッションや笛入りで聴きたかったなあという思いはあったけど、高難易度のこの歌がちゃんと目の前で再現されていることに改めて惚れ惚れしたなあ。
高音続きの曲が多かったせいか、普段はもっと出るよなーと正直な気持ちもなくはないものの、掠れることなく丁寧にまとめてきた印象。
この曲も「愛だけは」と被さるコーラスにもっとボリュームがあるとよかったなあと思いつつ。
高音のFの音は、ややCDの音源に比べて裏で抜いてる感じはしたけれど、上記にも書いたとおりそれがまとまってる印象でちゃんと聞こえてきていたので、かぜよみの頃と比べてもペース配分がうまくなったように感じました。

6.みずうみ

美しい人からみずうみの流れは曲のテンポとしてはすごくいい流れだったなあと会場で聞いていた立場としては思う次第です。
調性としても、C♭からAという形で明るいながらもダウナーに降りてきているのがうまいなあと感心。
一方で、声の使い方としては中音域より少し高音がサビで続く難曲なので、もう少し喉の負担に配慮した曲でもよかったんじゃないかとも思うところ。
この曲の最後のアレをどうするのかと思っていたら、オルガンやギターのアドリブで巧くまとめてきた印象。
あと、この曲のコーラスの声色はウィスパー寄りだったせいもあって、ボーカルにうまく嵌ってた感じでとても聞きやすかったです。
ドラムは原曲よりやや所々跳ねた感じがあって、それがまたみずうみに広がる波紋のような感じで、いいアクセントになってたと思います。

7.ピース

FCイベントでも2枚目のオリジナルアルバム「DIVE」からの選曲はあって、歌声の違いに成長を感じたものでしたが、この曲は聴きたかった一曲でイントロでテンションがあがりました。
ホーンの音がやっぱり生ならうれしかったなーとかいろいろ思いはありますが、バンドの演奏がグルーブ感たっぷりで、体が動き出しそうな衝動を何度も抑えました。
リズム隊めっちゃグッジョブ。
ボーカルについては、これが意外なほど当時の印象を強く残したボーカルで、ちょっと跳ねた声色がこれまたよかったー。
もっと余裕たっぷりに歌うのかと思っていたので、うまくグルーブに乗っかった若い声が印象的でした。
が、フレーズ終わりの処理などがやや疲れていた感じもあったので、このあたりは息の長い曲が続いたせいなのかなと思いつつ。
そういえば、みずうみからこの曲への繋がりは、調性が随分違うなと思ったんですが、前の曲のオーラスの部分でいろんな楽器が絡み合った後にイントロがきて各楽器が暴れるとあまり違和感がなかったのが不思議。

8.スピカ

MCをはさんで再び歌ったことがない曲をと流れてきたのがこの曲。
個人的に、坂本真綾の書く詩の中でも5本の指に入れたいくらいすごく好きな歌で、イントロ聞いてすごく嬉しかったです。
ただ、CDの歌い方で「どうか〜」のかの音の響きが破裂しすぎて、今の彼女の歌ならもっとうまく響かせるだろうにと思っていた曲でもあって、今回ようやく念願が適いました。
実際、どうか・日々がといった言葉の処理の仕方が格段にうまくなってて、ピースのときに多少へばってた感じの声がうまく調整されてて、内省的なA/Bメロと開放的なサビがうまく表現されてるように感じました。
あ、でも、願わくば・・・この曲の弦は打ち込みじゃなく生の弦で聴きたい。
反面、CD版でもドラムパートは結構おいしい使い方をしてたんだけど、佐野さんの軽いながらも渋いスネアの音色が曲をちょっと大人にしてくれててよかったなあと思ってます。
サビから間奏に移行するときのギターが乾いたいい音をしてたのも印象的。

9.ゼロとイチ

この曲は、良くも悪くもCDとの印象があまり変わらない一曲だったように思います。
バックの落ち着いた演奏に乗る声はスピカのそれよりもやや陰りがあって、あまり抑揚をつけないその歌い方が逆にぐっときて、原曲のおいしいエッセンスに改めて気がついた次第。
ただ、この曲のギターに関しては、石成さんの寄り添い方がすごくよかっただけに、今回のバンドのギターの音色はやや印象よりも元気だったかなという感じも。

10.キミノセイ

前半パート〆となる一曲。
CD版でも好きになった部分で、「やわらかすぎる感情を引き裂いて」という部分があるんですが、ここで本当にやわらかい声色に一瞬なるところを今回生で味わえてすごくうれしかった。
少年アリスの頃にも、アップテンポだけど影のある曲というのはあったけれど、今の彼女だとそれがマイナスの影ではなくて、どちらかというと、それこそが今ある自分の肯定のように感じられて個人的には歌声に痛々しさがなくなった(それがいいことか悪いことかはわかりませんが)なあと改めて実感しています。
ここで彼女が一度はけて衣装がえ。
最後のギターソロの暴れっぷりはよかったけど、PA関連でハウリングしてしまっていたのがとても残念でした。

11.Hello

後半のスタートが夕凪LOOPの一曲目であるこの曲というのにちょっと驚きました。
一緒に見に行った方たちから、今回一番印象的だった曲としてよく名前があがったこのHello。
夕凪LOOPというアルバムをあまり聞いてなかったけど、歌詞と歌がしみてよかったという声をよく耳にしました。
実際自分もすごく沁みた曲だった上に、サビの表現力がすごく増したなあとしみじみしていました。
高音や語尾の処理なんかが当時少し気になってた部分がうまく消化されて、今の彼女が歌うHelloでもう一度録音しなおしてほしいと思ったくらい。
「あしたをみつめること」の「こと」という単語のフレージングの強さが変わったせいなのかなと今ふと思いました。当時は音階の強さに引きずられていたんだけど、今はちゃんと見つめるという単語に芯がある聞こえ方になってるというのかなあ。

12.手紙

先ほどのHelloという曲が、実は仮歌では手紙というタイトルだったというエピソードが語られて歌われたこの歌。
アルバムの歌い方に比べて、やや坂本真綾らしさの残る歌い方。
北川さんのギターに寄り添って歌う感じがくすぐったくてよかったなあ。
永遠よりも長い間・僕の孤独に触ってくれた人、なんて言葉の選び方を見るに、実はすごく彼女らしい詩。
この曲も後半のコーラスはもう少し分厚くてもよかったような気がする。

13.悲しくてやりきれない

個人的にこのツアーの中で、後に述べるムーンライトと並んで一番ぐっときたナンバーがこれ。
CDのバージョンに比べ、もっとジャズトリオ色が増したアレンジで、ややスウィンギーなアドリブが随所にきいたライブならではの良アレンジでした。
それに伴って、彼女の歌い方もリズム感のとり方が少し変わってて、ある意味サウンド側に寄り添った形でこれまたよかった。
「かなしくてかなしくて」の二回目の悲しくて、なんて歌い方のシンコペーションが多少変化していて、すごくグルーヴィーだったんですよね。
原曲の歌詞を噛み締めるようなカッチリとしたスタイルも好きですが、体が揺れてしまいそうなくらいに、グルーブ感溢れたいい演奏でした。

14.ムーンライト(またはきみが眠るための音楽)

E♭の調整に対して、Bのキーのこの曲が続くのは、歌いだしのD#(E♭)の音にあわせてきたのかなと思いました。曲がそのまま続いても違和感のない曲の続き方だったので、ちょっとうまいなーと変なニヤニヤ。
原曲の冨田ラボアレンジと異なり、今回はピアノと歌だけのシンプルな構成。
ディスプレイにうつる月がだんだんと移動していく中で、一番歌声の状態もいい曲だったのではないかと思います。
ここまではそれなりに耳馴れたアレンジのものが多かった中で、ライブならではの音が聴けて、ここにきてようやく歌声が沁みてきました。
(逆に前半パートは歌声・アレンジともに高品質であったものの、ライブ感に乏しい感じがあったこともあるのかもしれませんが)
ただ、後半の高音のサビのところとピアノアレンジはもう少し工夫があってもよかったなあと思ったりもして、今後のライブでの変化が楽しみなところです。

15.DOWN TOWN

バンマスの北川さんが踊りくるって、真綾さんが噴出してしまった一曲。
サビで手を左右に振ったりして、思った以上にライブとして盛り上がる曲になったのが意外でした。
ドラムがとても力強いビートで、ほんとにノリノリな曲として、それまでの空気が大きく変わったような気がします。
歌声も、CDでは結構いい抑制が効いてたんだけど、ライブでは随分とはじけた明るい声になってたなあ。
そして、何より印象的だったのは、ベースラインがとても原曲以上にウォーキングベースになっていたり、途中のギターがその割にロックテイストのソロをしてたりと、かなり色々盛り込んでいたことかもしれません。
いろんなエッセンスを楽しみながら聞けて、ほんといろんな楽器を聴くのが楽しい一曲でした。

16.Private Sky

メンバー紹介がドラムのキック音だけでテンションがとても高いまま一気に突入したこの曲。ライブ中一番盛り上がった曲だと思います。
イントロのエレキの音でうわっと一気に歓声が。
サビでの客との歌のやり取り、やや尖った歌いまわしなど、ライブでの変化を如実に感じられる一曲でした。
あと、何より今回のバンドの構成とすごくいいマッチングをしたかなーと思ってます。
ブリッジの「Take Me To」のトゥの部分の音(高いD)がすごくばちっとはまってて気持ちよかったなあ。

17.Get No Satisfaction!

盛り上がる曲がさらに畳み掛けるようにやってきたこのナンバー。
ボーカルの具合としては、武道館のときのそれのほうがやっぱりフレージングがしっかりしてた覚えがあるんだけど、これはこれでこういうノリがさらに盛り上がって、ライブ感たっぷりのボーカライゼーションで、個人的にはこういう感情が先にたった歌い方が珍しくてノリノリになりながらも、ちょっとほほえましい気持ちで聞いていました。

18.マジックナンバー

北川さん作曲のナンバーが2曲続きました。Get No〜の歌い方とはまた違ってやや抑制のきいた歌い方が印象的。
ミックスボイス的なアプローチがさらに生きてて、前の曲との対比で思ったよりも楽しめた一曲でした。
なぜか体感でテンポが原曲より速く感じたのは、ドラムのパッセージが多少付点音符気味だったせいなのか、今でも頭の記憶に残った音の手触りを確かめてますが、さすがにドラムの音は記憶が抜けていってるなあ・・・。

19.光あれ

ここまでのアップテンポナンバーをやや引き締めたこの曲。
前回の武道館では光あれというのがすごく印象的なナンバーだったんですが、今回のこのライブでは、不思議と光あれに関しては、ちぐはぐな感じがしました。
ここまで内省的なアプローチのライブではなかっただけに、この曲自体がもつ力や、それによって変化するボーカルが、ここまでのやや開放的な音作りとちょっと違う印象を受けたからなんですけどね。
ボーカルに多少疲れは見えたものの、逆に声量がぐっと増してきて、改めて随分とライブ慣れしてきているんだなあと思いながらでもあり、特に「みちあふれー」の伸ばす音の美しさときたら、もうほんと涙が出るくらい綺麗でした。

20.トピア

実は、僕の中では、今回のトピアという曲、everywhereというある意味特別な意味づけの曲が、もう少し日常に降りてきたような、everywhereの続きの物語のような曲だと思っています。
本編の最後を飾ったこの曲、今までとは逆にCDよりは付点のリズムを薄くしたというか、ちょっと淡々とした歌い方になっていた気がします。その分、サビの「かかえて」「たべよう」などの単語の部分がすごくたっぷりと歌われていて、CDのときにeternal returnへとまたつながっていくような余韻とは違い、終わりを予感させるようなボイッシングだったと思っています。
あと、エレピが非常に細かくところどころで入っていたんですが、リズム隊の演奏の仕方のせいなのか、ちょっと原曲のAOR的なアプローチがもう少しシティポップ寄りになったような感じを受けました。

ER1.エイプリルフール

本来北川さんとのデュエットのようにMCで言われていたのに、結局北川さんが声を枯らしてしまったせいなのか、そういったニュアンスではあまり聞こえてこなかった一曲(笑)。
この曲は、CDでも感じたけれど、「夕陽とうそが〜」のゆの音の入り方だけ少し下の音から入るのがすごく印象的で、う行で韻を踏んでいる部分がすごく気持ちよく聞こえてきました。
最後のサビの「4月1日がきたら」の部分はリズム部分でおかずをはさまなかったのが意外でしたね、そういえば。

ER2.everywhere

ようやく原曲どおりのアレンジで聞けたeverywhere。
「そっとぎゅっと」の歌い方は、今まで聞いたeveryhwereよりもすごく包容力がある歌い方に変化していたように思います。自分がエッセイを事前に読んでいたせいなのかもしれないけれど、一番坂本真綾らしい曲だとずっと感じながら聞いていました。そのボーカルのナチュラルさも、他の曲よりも作為的ではなくて、単なるフレージングの部分で言えば、一番この曲のフレージングが好きでした。
惜しむらくは、コーラスのeverywhere〜という声質との差に妙に現実を見てしまった点。

ER3.stand up,girls!

ライブに参加される方には色々楽しみにしてほしいこの一曲。
客側とこんなにもかけあうことが出来る曲になるとは思わず、ライブで随分と印象の変化した曲です。
ぶっちゃけ、他の曲と違って手をたたくのに必死で、この曲だけ音の記憶が随分薄れてしまいました。
「stand up girls!せーの」で練習させられたのも遠い記憶のような感じでw
でも、「1,2,3,4」というカウントの声がほんとにかわいかったからいいんです。いやー、あの声ずるいや。

ER4.ポケットを空にして

恒例のアンコール曲。僕の周りの席はちゃんとみんな熱唱という感じでうれしかったなあ。
途中のアコーディオンの音はキーボードで多少さみしかったけれど、原曲通り、ボーカルも随分と力が抜けていて気持ちよく聞けて歌えた一曲でした。
「ないけれど」の歌い方も、武道館のときに比べてやや大人びた歌い方をしていて、声に余裕があるんだな、となぜか頭の片隅で考えながら手を打っていた記憶。
そういえば、stand up〜と同じハ長調同士で、つなげるのには相性よかったよなあとふと思い出しました。


その後、eternal return音源が流れ、手拍子で終わるという珍しい終演の仕方で、なんというか、ここからまだライブが続いていくんだという勢いを感じさせる形で2時間半のライブが終わりました。
今回のライブでは、武道館やかぜよみで披露されたいわゆる彼女を代表すると思われるシングル曲たちは殆ど入っていなかったわけです。それなのに、このライブでの曲目を味わってみて、まったく過不足は感じなかったどころか、聞きたかった曲がちゃんと聴けたなと思えたのは、実は色々なことを示唆しているのではと振り返って思いました。
前回の武道館が曲のつながり方も含めてうまく研究してたのに比べて、今回はそういった工夫なしでしっかりと彼女が歌える歌を歌いきった、そしてアルバム曲が中心でありつつも、ある意味独り立ちした彼女がちゃんと作り出せる次のステージというのが見えた気がします。

一方で、バンド編成に対してのアレンジがやや気になる曲があったのも事実で、特にいわゆるバンドサウンドをメインにした曲に対して、ストリングスやコーラスが多い曲たちがうまく料理できていない部分があったような感じも個人的には受けました。
こういった点がライブの回数とともに変化していくのであれば、それもまた楽しみではありますけどね。
特に、ピアノとベースがかなりアコースティックな楽曲でいい味出してただけに、もう少しそういった部分とバンドサウンドが絡み合って、いい味が熟成されてこないかなと次のステージに期待十分です。


MCについては結構忘れているところも多いんですが、今回いつものようにメッセージ性が強いものではなく、楽しんでもらえるようにという彼女なりの配慮が随分詰まったMCだったと思います。だからこそ、いい意味で、「普通のライブ」でした。
武道館のような特別な空間じゃないこういう普通のライブがこれだけ気持ちよく楽しかったのが、個人的にすごくうれしかったなあ。サウンド面でも豪華というわけではないし、色々キニナル点がありつつも、そういった点をちゃんとまとめるだけのボーカルがそこにあったのがとても幸せでした。
あと、厚木はやっぱり、「宇宙初」だらけのライブだったのが嬉しかった。

これを書いている3月11日、ちょうど厚木の次のステージ、福岡のライブ当日。僕も福岡に行ってきます。
全部のステージを見れるわけではないのですが、ツアーで変化するバンドの音作りにまた注目して聞く楽しみを福岡に向かう鞄の中に詰め込んで行ってきます。

坂本真綾15周年記念LIVE「Gift」in日本武道館に行ってきた!

すっかり春めき、年度がわりしてしまった今日この頃。

忙しい年度末の隙間をなんとか縫って、3/31に東京へと遊びに行ってきました。
坂本真綾嬢の30回目の誕生日でもあるこの日、彼女の初となる武道館ライブが催行の運びとなり、僕自身初めてとなる武道館に足を運んだのでした。


武道館から最寄となる九段下駅
名古屋からの上京だと、東京駅から大手町駅へ歩き、そこから東西線というコースになるんですが、この大手町までの行き方がさっぱり・・・。
そして、名古屋からの上京の暇つぶしに買ってきた彼女のベストアルバムを聞こうと思いきや、いきなりヘッドフォンを忘れる失態っぷり。
あわてて無印でイヤホンを買いつつ、店員のお姉さんに大手町まで案内してもらったりなど、本当にこの時点で色々な方にお世話になりました(ノω`)


九段下の駅で、普段twitterでお世話になってる方に出迎えてもらったりしつつ、友達と合流し、早速物販へ。
春らしくあたたかい気候でもあり、物販自体は友達&友達の後輩とわいわい並んで1時間ほどで購入場所へ。その間にも、twitterの真綾部のみなさまに探しに来ていただいたりして、はじめましてのご挨拶など、人見知りの自分には結構たいへんなイベントがいくつかありましたけどね(笑)。
あの場でお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

さて、購入物は、こんな感じ。
パンフレットが複数あるのは、友達のお土産用ですけどねw
Tシャツは、イラストだとピンクがかわいく着れそうだと思ったけど、思ったより男が着れなさそうな感じだったので、黒に変更。
まあ、ツアーTシャツって最近こそ着れるデザインのものが増えてきたけど、結構記念アイテム的な様相も多いから、なかなか普段使いで着れるデザインのは少ないなーとは思うんですけども。。。


さて、そんなこんなでいよいよ本編。
僕は1Fのスタンド東側の一番壁側という、普段監視員の方が座ってるんじゃなかろうかという席でした。
まあそれはそれで、よく見渡せてよかったんですが、目の前の通路をたくさんの人が行き来するため、やや没入感が削がれた感じがあって、そこだけが少し残念。
それでも、この場に居合わせただけでもとても幸せだったし、その価値があるライブだったと思います。
観客の男女比は自分が見た感じ男:女で5.5:4.5くらい。


18時35分。
やや押していた開演時間にやきもきしていたら、突然客電がばっと落ちて、暗闇の中で大歓声。
ステージのところに作られていた大きな黒いボックス(赤リボンで巻かれたディズニーランドにありそうな外見)が上に徐々につりあがっていき、中からスモークと共に、いくつもの箱をぶら下げた真綾さんが登場。
遠めにはスカートがもこっとなってる黒い衣装でかわいらしく見えたんですけどね!

1.Gift

1曲目でいきなりくると思っていた、このライブのタイトルでもある「Gift」。
比較的低音域〜中音域での曲だと思うんですが、低音の安定感が随分あるなあという印象。
声自体は1曲目でもあり、すごく伸びるとまでは感じられなかったけれど、CD音源とは異なる低音の仄かな色気と、それでも変わらない透明感。
今回、コーラスが2人ということもあり、Bメロのところから入ってくる下コーラスがちゃんと再現されてて、個人的にはすごくうれしかったなあ。
「ジレンマばかりの日々なのさ」という歌詞の響き方が変わったのは、多分そのジレンマを実際に抱え、それとうまく折り合ってきた彼女ならではの表現に感じられたからなのかもしれません。
もっとも、なのさ、という言葉の押し出し方が昔より柔らかくなって、それがまた心地よく聞こえてうっとりしてたのもありますが。

2.Feel Myself

実はすごく好きなんです、この曲。1stアルバムの1曲目を飾るこの曲、往年のAORサウンドにも通じるところがあって、結構凝ったコード進行ながら、メロディーが歌いやすい音域でまとまってて。
だからこそ、30歳になった彼女の歌でそれを聞いたとき、その15年という時間の堆積にじーんとしてしまって、少し目が潤んでしまったのを覚えています。
だけど、「時間も空間もないココロで」というメッセージ、今の真綾さんが歌っても何の違和感もないことこそが、坂本真綾の魅力でもあるんだと少しフェイクがかった最後の歌の部分を聞きながら思ったり。

3.プラチナ

イントロでわっと観客の沸く声が。
かぜよみライブのときと違って、あまり原曲とフレージングを変えず、コーラス共にかなり元の雰囲気に忠実な演奏だったような気がします。ただ、まだ緊張されてたのか結構この曲だと歌詞が飛んでたのはご愛嬌。
ブリッジのところあたりでは、(歌詞間違いで)緊張がちょっとほぐれたのか、声がぐっと伸びて武道館の空に歌声の余韻が残るほどでした。
今回、かぜよみのときより弦がよかったなあ。かぜよみライブは、個人的にはちょっと弦が調整不足かなと思う部分がいくつかあったりもしたので。


ここで最初のMC。「こんばんは、坂本真綾30歳です。」という挨拶になぜかおかしくなってしまったのはナイショです(笑)。
ライブのMCの狭間に入る客側からの声は女性からの「かわいいー!」という掛け声がとても多くて、本人もとても照れくさそう。

4.blind summer fish

まさか生で聞けると思わなかった曲でした。コーラスワークも複雑だし、裏に入ることが多い曲だから、ライブではやりにくいのかなと思っていたので、だからこそ聞けてすごくうれしかった。
今はきっと高音部は普通に地声で出るんでしょうけど、女声コーラスとうまく調和しながら、言葉の響きを大切に歌ってたような印象。
最後転調した後の「あなたの呼吸感じながら」の部分で少し裏に入るところなんて、ライブなのにホント情緒があって素敵だったなあ。

5.ヘミソフィア

七夕ソニック以来のヘミソフィア。相変わらず佐野さんのドラムに圧倒されておりました。俺もドラムやってたけど、あんな変態ドラムどうやっても無理です・・・笑
さすがに前の曲と違って急に声を張らなきゃいけなかったせいか、ややボーカル部は大変そうにも聞こえたものの、それゆえに切迫感もあっていい演奏だったと思います。
個人的にはもうちょっと張るボーカル曲の後で聞きたかったりもしたんですけどね。
弦がいい塩梅で切迫感を引き立ててたんですが、この曲に関してはもうちょいバランスいじってもらってもよかったかなあ。武道館の箱でそれをやるのも大変なんでしょうけど。

6.ユッカ

DIVEの中で間違いなく一番リピートしてる曲。岩里さんの詩ではあるけれど、どこか坂本真綾というアーティストの本質をついたような詩で、また弦がある今回のライブだからこそ聴きたかった曲でもありました。
「一人で生きていくけど一人で生きていけない」という謎の歌詞になってたのに思わず噴出したけど、それはそれである意味深いような(笑)
淡い照明効果のせいもあって、当時よりややボーカルの表情が穏やかに聞こえたんだけど、それは逆にこの曲が持つ生と死の対比をうまく浮かび上がらせてる感があって、今の坂本真綾の歌で聴けてよかったなあとつくづく。

7.30 minutes night fright

打ち込みメインの音作りが原曲なので、まさか佐野さんのドラムで生で聴けるなんて思わず声を上げた一曲でした。欲をいうと、ベースラインはもうちょっと工夫できたんじゃないかしら、とも思いつつ。
この曲はエアポートのような絵作りがとにかく印象的でした。もっとも、ボーカルに関してはちょっとこの曲のボーカルは少し張りがなかったり、あるいは部分的に張りすぎてるような感じもあって、調整含めてまた別の機会に聞きたいなと思ったりも。
でも、原曲がすごく好きなので、まずは聞けてよかった。


この次にきたMCで、早めのバンド紹介がありつつ、今日という日が1日だけであり、特別だと語る真綾さん。その狭間の水を飲むところで、案の定「おいしい?」と声があって、どっと沸く会場。まあその後同じ掛け合いがありすぎた感もあって、個人的には自重してほしいなと思う場面もあったけど、「ふつー。水は水だろっ」と男らしく言い切った真綾さんの声に、見に行った友達とみんなで「やべーかわいい」と言い合ってたりも(笑)。

また、メルマガにお母さんがちょっとずつ彼女の半生を振り返る連載もどきのものが、全然いつまでたっても終わらなくて、今日になっていきなり「中学高校といろいろありました」でまとめられたなんて話もあって会場は大笑い。こういうMCの声自体もすごく落ち着くんですが、なんというか話のまとめ方がとてもクレバーだなといつも思います。

8.Remedy

最近よく歌ってるせいか、ボーカルのフレージングも表情豊かで、このあたりではホントうっとりでした。かぜよみのときと異なり、コーラスが入ることで曲がぐっと締まり、またブリッジのところの弦が本当にぴたっと入ってきて、それがボーカルと相まってすごく温かい空気になったように感じました。「守ってくこと それが今の夢」という部分での高音の抜けがすごく綺麗で、身動きすることを忘れて聞いていました。

9.紅茶

イントロ部分がさみしくもあったけれど、これも初めて生で聞けたこともあってうれしかったです。
今の真綾さんの声で聞くと、透明感はそのままにほんのりと色気があって、「どうしようもなく泣きたくなるよ」という部分なんか、当時のニュアンスと随分聞こえて、それはそれでぐっと来るものがありました。
さすがに中盤戦ということもあり、Aメロの低音部分が少し掠れたりもあったけれど、それがこの曲にはすごく合ってる感じもあって、セットリストの妙を変なところで感じたりして笑。

10.SONIC BOOM

実は、かぜよみの中でもすごく好きな曲。去年のFCライブで聴いて、改めてよさを実感した曲でもあります。今の坂本真綾の声質にすごく合った曲で、歌詞はシンプルな言葉だけどどこか本質を突いてて、ライブでもその言葉の一つ一つがよく染みてきて、少し切なくなりました。
余談だけど、サビの「早く一番大切な〜」のところと、スピカの「どうか君が〜」の冒頭の音がまるで同じなので、たまにあれ?と思ってしまいます。コードは違うけど、同じ調でメロディーも同じなんだよな(ノω`)
実は、もともとの音源ではちょっと音ががちゃがちゃしてるイメージだったんだけど、ライブではそういう気持ちになることもなく、また原曲以上に力強いイメージがありました。思いを形に変えるんだ、という言葉が陳腐に聞こえないだけの説得力がある声が本当に素敵だと思います。



SONIC BOOMのアウトロで引きずり、真綾さんがいったん退場し、その後に待ってたのが佐野さん&三沢さんのソロ!
超絶ドラミングや、間を意識したパーカッションの妙が楽しめて、個人的にはとても楽しめました。
佐野さんはスネアの音が軽すぎないけど重たくなりすぎず、本当に気持ちいい音出すんだよなあ。

11.奇跡の海

パーカスソロからそのままこの曲のイントロへ。女性コーラス部分が今回はちゃんと再現されてた上に、その上にさらに伸びるように乗る真綾さんの声のバランスがすごくよくて、かぜよみライブのときと同じく鳥肌が立った曲です。
今回は音が分厚い構成になってたけれど、伸ばす音の部分でしっかりと声が伸びてくるのは、きっと今の彼女だから出来る芸当でもあって、その安定さに痺れることしばし。
とはいえ、実は歌詞間違いがないかドキドキしながら聞いてた曲でもありました(笑)。
この曲から衣装をチェンジして出てきた彼女は・・・あれ、ウェディングドレス?


その後のMCで、「結婚前に着ちゃったらお嫁にいけないんだよね、たしか・・・まあいいや」とさばさば切り捨ててしまったのがなんとも男らしくて、一緒に見に行ったグループの女友達が「私が嫁にする!」と断言してました。いやいや、俺がですね・・・。
「でもすごいでしょ、この衣装・・・エチゼンクラゲ?」という彼女の照れくさそうなたとえにまたみんなで心臓わしづかみなのでした。

12.gravity

ここからはしばらくしっとりと、というMCに続いてやってきた英語曲!七夕のときに一度聞いてはいるものの、今回はコーラスとの絡みもバッチリ。
個人的に真綾さんの声は低音〜中音域にかけるところもすごく芯があって好きなんですが、英語の発音の心地よさに相まって、会場の空気がこのあたりから少し変わったような気がします。

13.カザミドリ

もうこの位置でやってきたかという、今の彼女にとってすごく大切であるはずのこの曲。
今回はアコースティックアレンジでのバージョンになっていて、個人的にはこのバージョンが一番好きになりました。早く音源になるのが楽しみ。
下の音(A)から高音部の(F#)と非常に音域の広い曲なんだけど、そのどこの部分の響きもしっかりと響いてくるのが今の彼女のボーカルの魅力のひとつだなあと改めて実感。

14.ダニエル

せり出したセンターステージでギターの石成さんと二人だけで奏でるダニエル。
ギター1本ということもあって、力強さと繊細さが同時に備わったボーカルの妙味を十分に堪能できて、個人的には一番彼女の声が聞けたパートだったかなと思ってます。
また、石成さんのギターがまたいいんだよなあ・・・彼女のボーカルにあわせた揺らぎもありつつ、最後のキメの部分をちゃんとはずさず決めてきて痺れました。


その後、真っ暗になったステージからピアノの音が。
明らかに約束はいらないのメロディーなんだけど、まるで菅野さんとピアノでやってるときのような伴奏に思わず視線が向きました。河野さんは、比較的型にはまったピアノなのに、実はこんなくだけたピアノも弾けるんだなーと思っていたら・・・。

15.ピアノメドレー

ピアノに指をおろしてたのは、誰であろう彼女の育て親菅野よう子
僕は、特別彼女のファンというわけではないものの、この展開を実は予想してなかった一人で(バンドメンバーを差し置いて出てくるとは思わずで)、おかげで観客と同じく興奮して「ええええええ」と叫んだ一人ですヽ(;´Д`)ノ
そして、大興奮の観客の声を背にして、伴奏がそのまま指輪のメロディーに流れて。
「涙が後から〜」という聞きなれた彼女の声を聞いて、ついに堪え切れずぼろぼろと泣いてしまいました。

泣いてしまったのは別に菅野さんが出てきたからじゃなくて、菅野さんのピアノに対して、堂々と渡り歩いていける自信をもった彼女のボーカルと、また菅野さんを演出のひとつに組み込めるようになった彼女自身のプログラムに対する自信に対して、だったような気がします。
ともあれ、Active Heart→アルカロイドと流れ、右足出して左足出して、の部分ではそのとおりに足を出すかわいい演出を経て、今度は夜明けのオクターブへ。
あの台詞を本当に恥ずかしそうにやっていた真綾さん。まだまだ30でもかわいいからもっとやっちゃえよ(´ー`)なんちて。
このかわいい曲たちの間、菅野さんと幾度となくタイミングをあわせながら、ボーカルにいい意味で緊張感が抜け、ぐっと声量が増したように感じました。

その後ピアノの伴奏がやや影を落とした音に変わり、流れてきたのがTell Me What The Rain Knowsでした。
とあるサントラにひっそりと収められたとても短くて美しいこの英詩の曲、彼女の憂いのある高音ファルセットを堪能できる一曲なんですが、本当に絶品でした。
その後、コード進行をやや抑えめにしながら移行したtune the rainbowでは、少しここまでの曲の中で抑え目だった抜けのいいボーカルがぐっと引き出された感じもあって、次の曲に移ってくのが惜しいなと思いながら耳を傾けてた僕です。

そう思ってた矢先聞こえてきたのが「さりげない言葉で言っちゃえよ」というアレ、そう、チョコと勇気(チロルチョコのCM)でした。
誰もが聞けるとは思ってなかった曲なんだろうけど、これ映像化のときに企業名入ってるしだいじょぶかなあと今でもドキドキです笑。
そして、コードがまたマイナーコードへと移って流れたのがアコースティック版トライアングラー
マクロスライブで聴けなかったので、どうしてもききたいと思ってたこともあり、すごくうれしかったのですが、一瞬でまた次の約束はいらないへ。
大事なデビュー曲もメドレーの中に見事に組み込まれ、最後は菅野さんからのハッピーバースデイトゥーユーで〆。

個人的には、意外な曲ばかりが聴けてとても楽しめたけれど、tune the rainbowあたりはやっぱりフルで聞きたかったな、という少し贅沢な思いも。


さて、そんな興奮が落ち着くかと思いきや、いきなりその下から派手な衣装が出てきて、さらに手にしているのはなんとエレキギター・・・!

16.Get no Satisfaction!

ジャジャッジャジャッという最初のリフの部分をぎこちないギターで奏でる真綾さんが本当にかわいいやらなにやらで、会場の空気がさっきのテンション以上にぐっと上がった一曲。
さっきの菅野さんのメドレーよりも個人的には熱気があった一曲だったんじゃないかと思います。
だってだって、ギターは断念したって言ってませんでしたっけ・・・!
ボーカルも抜けのよさとちょっとした可愛らしさを混ぜこぜにした按配で、聞いてて本当に楽しかった一曲でした。
演奏レベルの高さとギターのサプライズもあって、このときの楽しそうな真綾さんが個人的には一番印象に残ってます。


その後、そのギターに関するエピソードを話しながら、今回のアルバム&武道館に関連した展示品の話へ。
「そういえば、お願いがあるんです。私の等身大パネル、もし当たったら人がいたら、私に返してください!」という言葉に思わず会場苦笑い。なんというか、本当にこの人のMCって可愛らしいんだよなあー。

17. マメシバ

ここまであまり動かない曲も多かったんですが、マメシバでは会場のあちこちを走り回って、本当にエネルギッシュな印象に。
それなりに近い場所にきてくれたりもして、思わず手振ってみちゃったり。
この曲、歌うとなれば肺活量がちゃんとないと難しい曲なんだけど、走りながらもぶれない発声に思わず鳥肌が立ちました。最後のアウトロの部分、伸ばす音のぶれなさとかすかなビブラート、今でも耳の奥に残ってます。

18.Private Sky

ライブ用に作ってきたというだけあって、本当に楽しかった一曲。
「アイ、アイ、アイ」の部分をまさか観客にやらせるなんて聞いてないって笑!
でも、こういうポップロック+ポストグランジみたいな感じの曲って、ボーカル次第ではすごく下品になりがちなのに、生で聞いても清涼感たっぷりなのは、真綾ボーカルだからこそなんだろうなと改めて実感。
とはいえ、バックの音作りも下品にならない程度に遊びが入ってて、サウンド全体を素敵に楽しめた一曲でした。

19.光あれ

かぜよみライブではハイライトになったこの一曲。今日は乗りに乗った後で十分に油が乗ったボーカルが聞けたような気がします。
途中でセンターステージで段々と彼女を乗せた台が上昇し、光で会場が満たされる演出もあったりで、視覚的にも随分楽しめました。
個人的には、5拍子なのに無理に入ってくる手拍子にやや気がとられがちだったんすけど、まあそれはともかく、かぜよみのボーカルに比べるとやや力が抜けて、聞きやすい演奏だったなあと思います。


曲の終わりと共に「次がラストの曲です」とのアナウンス。どよめく会場をよそに、彼女が次に語ったエピソードこそが、前回のかぜよみライブにおける「光あれ」の告白と同じ意味を持つ、もうひとつの告白でした。
ひょんなことから歌手の自覚もなくデビューをしてしまった自分にとって、次のDIVEというアルバムにて、何度ももがいて自分の存在意義を確かめるために書いた、大切なうた。

20.I.D.

そのうたこそが、この曲でした。
思えば、everywhereの一曲目がこの曲という意味、今回のライブまでは意味をちゃんとわかってなかったような気がします。彼女の言葉で語られたこの曲に含まれた意味を受けて歌われたそのボーカルに、思いがけずまた涙が止められない状態に。
あの空へ、という部分、当時の録音を聞くとなぜか閉塞感を感じるんですが、今のボーカルで聞くこの曲はとても開放感と喜びに満ちていて、ただその瞬間がすごくいとおしく感じられたのを今でもよく覚えています。


アンコールで紺のショートドレスのような格好で出てきた真綾さんと共にさきほどなかったものがひとつ。
「ドラム・・・私がたたくんじゃないですが(笑)」
そして、導かれたもう一人のゲスト。

21.風待ちジェット

そう、何度となく彼女とタッグを組んだシンガーソングライター鈴木祥子!楽器をなんでも出来る人だし、佐野さんとのツインドラムもお手のもの。
随分と力強いドラムで、この曲のイメージが結構変わったのが新鮮でした。
そういえば、例の振り付け、自分の周りの席は殆ど全員がやってたような気がするなあ。ちなみに、この曲披露前には鈴木さんの歌と共にケーキが出てきて「えええ、サプライズはなしでっていったのに!」と拗ねる可愛らしい真綾さんが。

22. マジックナンバー

そして、もう一曲とツインドラム2曲目にきたのがこのマジックナンバー
原曲もすごく好きなんですが、くるくると回転しながら歌う彼女の楽しそうなボーカルが武道館の狭い空をいっぱいにしていて、「1・2・3の合図で」の部分では、みんなで猪木のコール状態になってたような気がします(笑)。
そういえば、この曲の弦がすごくよかったなあ。ボリューム感ある演奏で好みでした。

23.everywhere

MCの後、彼女がおもむろに座って弾き出したのがこの曲のイントロでした。
キーをひとつ下げて弾き易い音にしていたものの、1番のサビまで彼女自身の奏でる音+コーラスだけで見事に歌いきったことに、思わず胸を打たれました。
この曲、Aメロ・Bメロのメロディー運びが知的で好みなんだけど、これが作曲初の人から出てきたメロディーであることが何より恐ろしいなと思います。
そのあたりは、なんでも乗せりゃいいわけじゃないだろ、とシニカルに見てた一人だったんだけど、作曲者を伏せられてても好きになってた曲だと思います。
途中から調が変わり、オケが全部乗った状態で歌われたこの曲、会場中が一音も聞き漏らさないようにといい緊張感が走ってるようで、すごくいい空気の5分間だったなと今でも思い出します。

24.ポケットを空にして

やっぱりないと困るよね、なこの曲。
ノースリーブにした彼女と共に現れた4人の女性。
そう、ゲストのお二方+コーラスのお二人でした。
アコーディオンをもった菅野さん・タンバリンの鈴木さんが本当に楽しそうで、見てる自分がほっこりしながらの恒例の曲。前回のかぜよみのとき、ちゃんと歌えなかったので、今回こそはと楽しみにしてました。戻っていく日常が特別な日常であることを再確認するこの歌が今日も最後に歌われたことも、また坂本真綾からのGiftだったのかもしれません。


こんな感じで、本当に気がつけば3時間が過ぎていました。
実は、前回のかぜよみライブがすごくいい出来だった故に、今回のライブ、それ以上のものは見れないんじゃないかという変な心配がありました。
しかし、レポートを読んでいただければわかると思いますが・・・表現者としての壁を乗り越えた姿が美しかった前回のライブと違い、今回は一人のエンターテイナーとして計算されたエンターテイメントを見事に展開してもらったステージだったと思います。
ボーカルも固さの具合は緊張感などで様々ではあったけれど、総じて状態がよく、低音から高音まで本当に伸びのある透明感と風通しのよさを備えた声が、3時間ずっとホールに響いていました。

また明日からはじまる日もきっと特別な日だと彼女は言います。
もしそれが本当だとするなら、この思い出を抱えた一日がまた送れるからに他ならないのではないかと、僕はそっと思うんです。
空を包み込むように枝を伸ばした桜を見上げながら、少し花曇りの夜の空が、ちょっぴり眩しく見えた東京の夜。


−僕の2010年3月31日は、こんな特別な一日でした。


藍坊主の新譜:「伝言」レビュー

伝言

伝言

すごくお久しぶりな藍坊主の新曲。

視聴の段階でなんか今回よさげじゃない?という感覚があって、楽しみにしていました。


結果から言うと、まずまず期待通りの出来。藍坊主の持ち味である疾走感のあるリズムライン、いつもよりもやや渋めだけど、キャッチーで切なさを漂わせるメロディーの出来は相変わらず。
今回、「雨の強い日に」以降久々に弦が暴れまくるアレンジで、こちらもとても素敵な出来。



藍坊主を期待する向きにはかなりいい出来具合じゃないかと思うわけなんですが、その一方で少しだけ残念なことも。
以下は個人的な感想としてご覧ください。





藍坊主を支えてるのは、前途のキャッチーだけどひたむきさがあったり知性の感じられるメロディー・がつんとくる疾走感だと思ってるんだけど、これはおそらくリーダーの藤森さんの作曲によるところも大きいのかなーと思ってます。もう一人、ボーカルのhozzyさんの曲もたくさんあって、その中に好きな曲も何曲もありますが、基本的には藍坊主のこのクオリティーがぶれないのはリーダーのメロディーセンスだと思うし、そこが稀有な部分でもあるのかなーと。



ただ、もう一つ、どうしたって欠かせないのが、演奏のうまさ。

中でも、ボーカルのhozzyの歌いっぷりや歌のうまさは藍坊主に欠かせない要素だと思っています。

デビューのころとしばらくしてから歌い方もパンクの香りが抜けて随分聞きやすく、一方でうまくなっていってる印象だったんですが、フォレストーンの辺りから少しボーカルがざらついたり、あるいは柔らかくなりすぎて、ちょっと個人的に好みから外れてしまったかなというのが残念なところ。



今回の新曲の「伝言」も、Aメロの部分の歌い方の柔らかさや、サビのちょっと硬くなってしまった声質に、もう一歩を求めてしまうんです。とても些細なレベルの違いでもあるし、それが進化であるととらえる人もいると思うので、こればかりは好みなんでしょうけどね。


自分が好きなのは、アルバムで言うと、ソーダやハナミドリの辺りのhozzyの声なんですが、次のアルバムのフォレストーンになると、「言葉の森」の時点でも声が少し変質してしまっていたような気がするんです。個人的には「瞼の裏には」の辺りのhozzyの声の抜けっぷりが最高に好きなんだけどなあ。
今のhozzyの声だと高音部に硬さがあって、それはそれで楽曲が締まっていいのかなと思う反面、抜けのいいボーカルが聞けなくてちょっぴりさみしく思ったりしたのでした。

詩に関していうと、今回もここ最近の哲学的な内容を含むものの、パーソナルな愛情へと回帰してるのはいいなあと思う。もっとも、ストレートなラブソングや、若さ全開の孤独感・焦燥感を歌った曲もまた聞きたいなあと思ってみたり。
きっと、前途の声の変化は、同時にこうした詩のテーマに合わせたものなのかなとは思うんですけどね。
ファンってやつは贅沢だなあ。

男が歌う女性ボーカル曲のたしなみ

talet2010-01-09

あっという間に2010年になりました('∇')今年もどうぞよろしくお願いいたします。



新年一発目のエントリーは、早速ですが、あまりこれまで取り上げたことのないカラオケネタ。
自分が歌うのも、人の歌を聴くのも好きな自分にとって、カラオケというのは相手の人間性を知る上で密かに大事にしてる空間・イベントだったりします。
しかし、カラオケで歌う曲ってどうしても偏りがちだし、ましてちょっと濃いカラオケだと女性ボーカルの曲が多かったりしませんか・・・?


しかし、男が女性ボーカルの曲を原キーで歌うには、声帯をうまくコントロールしないとなかなか難しいことも多いですよね。特に一般的な男子の声の場合、女性ボーカルの曲をがんばって歌えば張り上げて歌い続けることになって、空気を壊しちゃったりとかするし、かといって裏声を使うと変な感じになっちゃったりとか。
僕自身、最近m-floのように男女交互に入ってる曲だったり、坂本真綾みたいに綺麗な声の歌をどうやって歌おうかなーと悩んだりするケースも多かったりで。


そんなわけで、男が女性ボーカル曲を楽しく歌う&聞いてもらうにはどうしたらいいか、という方法を考えてみようぜってコーナーなんです。

先日、男友達同士でカラオケに行ってきたときの録音素材*1を例にちょっとご紹介してみたいと思います。
2つのケースを取り上げたいと思いますが、どちらも坂本真綾の歌です、サーセン(⊃д⊂)

  • キー操作にて「男の声で歌う」曲に変えてしまう

原曲のキー至上主義なんて方もいらっしゃいますが、例えば桑田啓祐がライブで宇多田ヒカルの「First Love」をCのコード(#5)で歌ったことなんかもあり、自分の歌いやすいキーで歌うことはとても自然なことだと思います。
まあ、声が違うんだから当然持ち味のキーに変えることで、原曲とは違う味わいながらも、ひとつの曲として存在できるんじゃないかなーっつー感じです。

ポイントは、#3〜5(+5)・♭5(-5)に変えること*2です。
例) 坂本真綾「雨が降る」(キー5つあげてます) http://chiba.cool.ne.jp/talet758/rain_test.mp3

  • 地声と裏声をうまくmixして歌う

自分がたまにやってるのがこっちの手法。裏声っぽい声ではなく、地声で歌いつつ裏声を軽く混ぜて女性ボーカルぽい感じにするっつー感じです。まあ、一歩間違えるとカマっぽい声になりかねないので、使い方注意っすけど(ノω`)
例) 坂本真綾「Rule〜色褪せない日々〜」(原曲キー) http://chiba.cool.ne.jp/talet758/rule_test.mp3





曲によって、男が歌ってもかっちょいいなあって曲もあれば、女性ボーカルだから感じが出るものもあるんで、この2つを使い分けて、男でもいろんな曲歌って楽しみましょうって感じの提案でした。酒のんで友達と歌ってる上に、iPhoneのボイスメモでの録音というぐだぐだっぷりなので、音源は多分参考にならないんすけどねw

そんなこんなで、今年も楽しくカラオケしたいなーと思います。本当はこんなぐだぐだ音源じゃなくて、ちゃんと弾き語り音源を作らなきゃなんだけどな・・・。

*1:本文中にもありますが、携帯のボイスメモで録音というへなちょこ音源な上に、酒のんで歌ってるのでぐだぐだでごめんなさい

*2:当然原曲の音域や、歌う人の音域にも寄りますが、一般的な女性ボーカルの曲→一般的な男性の音域を想定してます