英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

「強いドル」はなぜ危険なのか

 雨。

 「強いドル」はなぜ危険か。トランプと中国の間で新たな衝突を引き起こす危険性があるからだ。

 ドルはますます強くなっているように見える。米国の成長率は力強く、投資家はFedが利下げをするとの見通しを撤回した。マネーは米国市場に流れ込み、とくにドルが選好されている。

 ドルは今年に入り、実効レートベースですでに4%も上昇した。大統領選が近づき、民主党共和党も双方が米国の製造業の振興を掲げている。世界は新たなドル高地政学の時代を迎えている。

 ドル高は同時に、他の通貨が弱いことを意味している。2023年末までに、米国経済は2019年末比で8%も成長した。これは英国やフランス、ドイツ、日本はいずれも2%未満の成長だったのと比べると大きい。とくに円は、対ドルで34年ぶりの安値に沈んでいる。ユーロは今年初めと比べて下落した。トレーダーらは来年初めにはドルユーロはパリティに到達するとみている。

 もしトランプ氏が秋の選挙で勝利すれば、新たな戦いが始まる。ドル高は米国の貿易赤字を拡大し、トランプがそれを問題にしそうだ。トランプ政権の側近であったライトハイザー氏はドル安を志向しているという。

 https://www.economist.com/finance-and-economics/2024/04/23/why-a-stronger-dollar-is-dangerous

「準合併」の時代がやってきた

 曇り。

 21世紀という時代において、グローバル企業帝国に育てるには。M&Aが欠かせない。テック企業からAI企業、自動車メーカー、エネルギー企業まで幅広い。企業買収は2023年に急増したが、JVやパートナーシップは40パーセントの増加にとどまった。しかし、企業帝国を拡大する方法として、JVやパートナーシップ契約は有効である。ディズニーやフォード、マイクロソフトで起きている。「準合併」の時代がやってきている。

 https://www.economist.com/business/2024/04/22/how-to-build-a-global-business-empire-in-the-21st-century

 コンサルティング会社は、パフォーマンスの低い従業員を追い出そうとしている。

 マッキンゼーは先週、3000人のパートナーがコペンハーゲンに集まった。2年に一度の会合である。首脳陣は今後、コンサル市場が拡大していく見通しを示した。

 https://www.ft.com/content/8c3679c4-b34a-41d0-93c9-af96ea6f90e2

中東全面戦争化へ回避の道

 米国のワシントン政府は中東地域が全面戦争に拡大するのを避けようとしている。19日間の奮闘。バイデン大統領と彼の国家安全保障チームは、4月13日に鳴った警告を注意深くみていた。ホワイトハウスのシチュエーションルームにおいて、イランの弾道ミサイルイスラエルを攻撃する模様を映し出していた。

 イランによる今回の初めてのイスラエル攻撃は、米国の情報機関がワーストケースシナリオとして見ていたものに合致した。これは米国のもっとも緊密な同盟国に脅威をもたらしただけでなく、バイデン大統領の中東危機拡大を防止する望みも危険にさらすことになった。

 https://www.wsj.com/world/middle-east/white-house-scramble-avert-middle-east-war-fc012c43?mod=hp_lead_pos1

ウクライナ、時間との闘い

 雨。

 アメリカ議会がようやく支援を決めたのを受け、ウクライナは時間との闘いを強いられている。長らく待ち望んでいた支援が決まったが、今後数週間、厳しい戦いが待ち受けている。ロシア軍は着実に前進しているからだ。

 米議会下院は600億㌦の軍事支援を決めた。今後数日のうちに、ウクライナに対し、弾薬や武器が送られることになる。すでにポーランドや欧州のほかの地域において、武器と弾薬は備蓄されており、送る準備ができている。しかし、今回の米国の支援によりウクライナ軍が直面している前線が劇的に変わるほど甘くはない。

 1000キロに及ぶ前線のいくつかのポイントにおいて、ロシア軍が攻勢を強めており、ウクライナ軍にとっての戦況は悪化している。ロシア軍の容赦ない攻撃により、ウクライナ軍の前線は崩壊しかけている。

 米国の武器や弾薬支援により、ロシア軍の前進を遅らせる効果が期待できるが、止めることはできなさそうだ。同時に、ウクライナの人々は米軍の支援により戦争が終わる見通しを立てられるとの幻想は抱いていない。

 今回の支援により、稼ぐことのできる時間は1年ほどだ。ロシア軍の優勢に変わりはない。

 ウクライナ政府にとっての最大のチャレンジはマンパワーである。マンパワー次第で、2025年まで戦争がどう展開するかが決まる。ロシアは現在、1カ月あたり3万人の兵士を動員できる力がある。この人数は少なくとも戦場で亡くなる兵士を十分賄うことができる。

 これに対し、ウクライナ軍は今月、動員年齢を27歳から25歳に下げる法律に署名した。米軍の軍事支援により、ここ数週間、深刻なダメージを受けたウクライナのインフラを防衛することができる。

 https://www.ft.com/content/099e668a-61c8-43c0-87a4-546dc09b73c2

 2年に及ぶ戦争がウクライナ人を困窮させている。特に高齢者や障碍者への影響が大きい。

 https://www.economist.com/europe/2024/04/21/two-years-of-war-have-impoverished-many-ukrainians

米議会、ウクライナ支援へ

 曇り。

 最終的に米国議会はウクライナに寄り添った、正しい行いをした。最悪の事態は避けられた。

 https://www.economist.com/2024/04/20/finally-americas-congress-does-right-by-ukraine

 FTより。米議会はウクライナイスラエルへの支援を可決した。数か月間、支援が遅れることになった。米国議会の下院は600億ドルに及ぶウクライナ支援法案を可決した。数か月間、ウクライナ支援の動きが滞っていたが、ようやく動きだすことになった。

 ウクライナへの支援は950億ドルに及ぶ国家安全保障法案の一部である。イスラエルには260億ドルを支援し、80億ドルはインド太平洋向けである。同時にTikTokは米国のアプリストアにおいて禁止される。

 ウクライナ支援法案は土曜日の午後、下院を通過した。311の賛成に対し、112の反対があった。民主党の反対はいなかったが、112人の共和党議員が反対した。多くの民主党議員がウクライナの旗を振ってこの結果を喜んだ。

 バイデン大統領は土曜日に出した声明において、世界における米国のリーダーシップに対するはっきりしたメッセージであると述べた。

 https://www.ft.com/content/e42dd872-f550-47f0-b203-3420cf498fcf

不透明な米金利のゆくえ

 曇り。

 米国の金利は今年、下がりそうにない。

 株式投資家から住宅購入者、そしてバイデン大統領に至るまで、今年はほとんどの人がFedが利下げにすぐにも踏み切るとみていた。しかし、過去2週間ほどで、こうした望は砕かれた。

 3月の年率換算の消費者物価指数は3.5%伸びた。直近3カ月間において、この数字は予想よりも高めの数字であった。小売り売上高も前月比で0.7%増となった。

 4月16日において、パウエル議長はインフレとの闘いは予想よりも長くかかると述べた。投資家は今年、金利はわずかに0.5%ポイントしか下がらないのではないかとみている。

 パウエル議長はピボットにピボットを重ねている。Fedが12月にハト派に転じた後、利下げの期待は消え去った。より高い金利がより長く続く状況は、米国だけでなく、金融市場や世界経済に反響することになるだろう。

 米国経済は、少なくとも現在の高い金利に耐えられることを示している。4月16日にIMFは2024年の米国経済の成長率を2.7%と見通した。1月の予想が2.1%だったので、上方修正となる。しかし、高金利にさらされ続けることによる耐性は未知数である。

 多くの企業は低金利の際に多くの社債を発行した。このことは、今の高金利に対処することを助けているが、次第にこの借り入れのリファイナンスを必要がある。住宅ローン金利はすでに7%近くに到達し、住宅市場を冷え込ませている。

 米国の国債利回りの上昇と残高の拡大はより高価なものになりつつある。

 https://www.economist.com/leaders/2024/04/17/americas-interest-rates-are-unlikely-to-fall-this-year

パウエル議長が講演で話したこと

 パウエル議長が講演を行った。インフレ率が目標に到達するには、従来予想していたよりも長くかかると述べた。今年の利上げペースに関し、市場で疑念が高まっている中での発言である。

 パウエル議長によると、中央銀行が目標としている2%の物価目標に到達し、利上げを正当化するには予想よりも長い時間がかかりそうだ、と述べた。インフレ抑制に思ったよりも手こずっている様子がうかがえる。

 

 https://www.ft.com/content/3d0ddbe1-4637-4262-ba40-934015606166