英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

欧州ポピュリズムを防げ

 曇り。

 エコノミストより。欧州を形成する3人の女性政治家を取り上げている。EUのフォンデアライエン氏とフランスのルペン氏、そしてイタリアのメローニ首相である。広がるポピュリズムをどうさばくか、そのジレンマに彼女らは直面している。

 欧州は分岐点に立っている。ウクライナでは、欧州大陸で1945年以降としてはもっとも激しい戦争が起きている。もしトランプ氏がホワイトハウスに復帰すれば、彼はNATOを徐々に傷つけていくだろう。NATOは言うまでもなく、欧州の安全保障にとって基礎となる。

 そして、欧州産業政策や保護主義も跋扈するだろう。ユーロプロジェクトに懐疑的なポピュリズム世論調査で上位を占めることになる。

 こうした危険に対処するため、欧州が最低限必要なのは、EUレベルで一貫したリーダーシップだ。同時に、極端主義者を権力から遠ざけることも必要だ。そのカギを握るのは言うまでもなく、3人の女性政治家である。

 https://www.economist.com/leaders/2024/05/30/the-three-women-who-will-shape-europe

 メキシコの大統領選。暴力が過去最大の選挙を傷つけており、投票が危機に瀕している。

 5月29日、ある市長候補がメキシコシティの南西部の州で射殺された。約40人の候補者が今回の選挙で暗殺された。

 メキシコでは暴力が今回の歴史的な選挙を傷つけている。支配政党であるモレナ党の女性候補であるクローディア・シェインバウム氏が勝利しそうだ。同国にとって初めての女性大統領となる。

 https://www.economist.com/the-americas/2024/06/01/violence-mars-mexicans-biggest-elections-ever

国債格下げにひりつく仏マクロン政権

 曇り。

 フランス国債のクレジット格付けが引き下げられた。このアクションに、マクロン政権がピリピリしている。

 S&Pは今後数年間は債務比率が悪化する一方であると警告した。フランス政府が掲げる2027年の赤字目標は達成できないと評価している。

 マクロン政権にとって経済分野が唯一、自慢できる部分だったが、それにも疑問符がついた。

 S&Pフランス国債長期格付けをダブルAからダブルAマイナスに1ノッチ引き下げた。見通しは安定的とした。理由はGDP比の債務比率が上昇し、低下する見通しも立てられない、というものだ。

 同時にフランスの予想よりも低い成長率も格下げの要因となったという。政治的な対立が成長政策を実行する上での妨げになり、財政的な不均衡をマクロン政権が是正するのを難しくしてしまうという。

 今回の格下げは政治的にはマクロン政権にとっての打撃になるが、財政的影響は限定的とみられる。10年前の欧州債務危機の後、大きく格下げを受けた経験があるからだ。

 むしろ公的財政の関係でマクロン中道政権にとって悪いニュースなのは、6月9日の欧州議会選挙で幅広い敗北が予想されることである。事前の世論調査によると、ルペン氏の率いる極右政党に比べ、17.5%ポイントも差をつけられているのだ。

 野党も政府の予算案に反対の姿勢を示しており、今や予算案が通過する見通しはない。マクロン氏はもはや議会多数派を獲得できず、フランス憲法は予算案に関し、政府の議会に対する優越を認めているが、予算案の法制化は一層困難になりそうだ。

 エコノミストS&Pの格付けを正当と認めている。欧州ではフランスとイタリアのみ、債務比率が悪化している。歳出をカットすべきであり、成長のために財政支出すべきではない、という立場である。

 マクロン氏が2017年に選挙で最初にえらばれて以来、マクロン氏の戦略の限界を昨今の状況は示している。その戦略というのは、法人税を減税し、ビジネスフレンドリーな改革を進めることだ。

 失業率は過去数十年で最低レベルまで落ち、海外投資が増加したが、政府の支出は減少していない。

 https://www.ft.com/content/20815670-2a94-4ee5-a013-0f64ccf529fb

ラファ攻撃に、高まるイスラエル批判

 曇り。

 イスラエルがラファを空爆し、避難キャンプに大きな被害が出た。イスラエルに対する非難が高まっている。欧州とアラブ諸国は攻撃を止めるよう求めている。

 https://www.ft.com/content/1f1bcea0-fe5a-4440-8802-4e49551bd1a0

メゾ経済学の誕生

 メゾ経済学が登場しようとしている。経済生活のデジタル化と実際の世界のデータが、経済学研究に新たな地平を開こうとしている。

 戦争には4つの現代化のレベルがある。第一は完全な機動化だ。第二次大戦時のイギリスで進行した。第二は部分的な機動化。第三は準備。第四は、平時経済の非機動化だ。

 https://www.project-syndicate.org/onpoint/mesoeconomics-study-of-networks-supply-chains-key-to-successful-industrial-policies-by-william-h-janeway-2024-05