妊娠中にふさわしい本……それは児童文学

うっかりとこんな本を読んでしまい,

ジェントルマン

ジェントルマン

心理士としてもおもしろかったけど,胎教にはよくないと友だちに怒られ,本のセレクトを考え直しました。


妊娠5ヶ月にはいってやっと身体が動くようになってきたので,ようやく図書館へお出かけして,ごっそりと児童文学を借りました。(妹と甥っ子のカードもあるので,なんと30冊借りられる!! 重い児童書を30冊借りるために,ごろごろキャスターのついたかばんを持参することを忘れてはならない。)


さて,30冊借りたなかにすごいヒット作品があったのでご紹介。妊娠中にゆったりと読むにはベストです!!

魔使いの弟子 (sogen bookland)

魔使いの弟子 (sogen bookland)

魔使いの呪い (sogen bookland)

魔使いの呪い (sogen bookland)

魔使いの秘密 (sogen bookland)

魔使いの秘密 (sogen bookland)

魔使いの戦い〈上〉 (sogen bookland)

魔使いの戦い〈上〉 (sogen bookland)

魔使いの戦い〈下〉 (sogen bookland)

魔使いの戦い〈下〉 (sogen bookland)

魔使いの犠牲 (創元ブックランド)

魔使いの犠牲 (創元ブックランド)

魔使いの悪夢 (創元ブックランド)

魔使いの悪夢 (創元ブックランド)

農家の7番目の息子が弟子入りした先は「魔使い」,知恵と勇気とスキルを駆使して悪いいきもの(魔女やボガートやゴースト)を退治するお仕事。通常の“魔法使いもの”とはちょっとちがうおもしろさ。主人公の少年が親の言葉や師匠の言葉をたよりに,覚えたことを駆使して,知恵を勇気をふりしぼって悩みながら「お仕事」をする感じがなんというか楽しく,面白く,また勇気づけられる。出てくる魔女たちもなかなか怖くて,そこもみどころ!


そして,日本の作家ではだんぜんこのひと! 「千と千尋の神隠し」のもとになったといわれるお話をはじめ,ほのぼのしつつも不思議な,読ませるお話ばかり! ついつい夢中になって読んでしまう。

霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)

霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)

帰命寺横丁の夏

帰命寺横丁の夏

魔女モティ (文学の扉)

魔女モティ (文学の扉)

新装版 天井うらのふしぎな友だち (講談社青い鳥文庫)

新装版 天井うらのふしぎな友だち (講談社青い鳥文庫)

霧のむこうのふしぎな町 新装版 (講談社文庫)

霧のむこうのふしぎな町 新装版 (講談社文庫)

新装版 地下室からのふしぎな旅 (講談社青い鳥文庫)

新装版 地下室からのふしぎな旅 (講談社青い鳥文庫)

魔女モティ とねりこ屋のコラル (文学の扉)

魔女モティ とねりこ屋のコラル (文学の扉)


つぎは,イタリア各地を冒険している気持ちになれるファンタジー! こちらもページをめくる手をとめづらいおもしろさです。

ストラヴァガンザ 仮面の都

ストラヴァガンザ 仮面の都

ストラヴァガンザ 星の都

ストラヴァガンザ 星の都

ストラヴァガンザ 花の都

ストラヴァガンザ 花の都

妊婦のダイエット

休職して妊婦ライフを満喫していたら……太ってしまいました!!


産科の先生に言われた一言,「赤ちゃんはまだ100gしかないのに,妊婦が1ヶ月3キロも太ってどうするの!! こらっ!!」


えええ……まだ100gしかないの……? じゃあこの5キロほど増えた体重は……脂肪じゃ……


6〜8キロ増えるくらいが理想らしい。それ以上になると難産やら妊娠中毒症やらいろいろな弊害があるらしい。ダイエットしなければならぬ!!


そこで妊婦は考えた。なんとかして楽にたのしくダイエットできないものか……。妊婦は腹が重くてめんどうくさがりになるのである。


ここは財力にものをいわせるしかない! 妊婦は財布の紐をゆるめた。ポチッ!!


Wiiフィット プラス (バランスWiiボードセット)(クロ)

Wiiフィット プラス (バランスWiiボードセット)(クロ)

購入した。これはなかなかいい! バランスゲームもたのしいし,ヨガをするにして素敵なお兄さんが指導してくれる。いいポーズをとるとほめてくれる。バランスボードにかける体重の安定具合から,点数が表示される。これがけっこうモチベーションにつながる。ただマタニティヨガをするだけよりもいい。運動貯金できる様子や,BMIの移り変わりのグラフなどいたれりつくせり。これはすばらしい!! 妊婦に最適なのではなかろうか!!


これは去年ダイエットのために購入して,しばらく放置されていたもの。レベルが4段階あって,下のほうのレベルにすれば軽いステップだけなので,妊婦でもたのしくとりくめる。難点は……曲が少なくてちょっとあきちゃうところかな〜。


JUST DANCE Wii

JUST DANCE Wii

これも買っちゃいました!! コントローラーを持って踊ると,画面に「カンペキ!」などフィードバックがあらわれる。K−POPなどなどいろいろ楽しいダンスをマスターできるのでなかなかいい。けっこう汗もかいてしまう。甥っ子(りょうちゃん師匠 小5)といっしょに踊る。楽しい。


さいきんはマタニティ水着もかわいいものが出ているらしい。「ちょっとしか着られないからな〜」としぶったけれど,もしかすると2,3人産んじゃうかもしれないし,高くてかわいい水着を買ったらプールに行くだろうから……と合理化し,ポチッと買いました。マタニティ水着。春休み,甥っ子につきあってもらってプールに行って水中ウォーキングをがんばるわ!!


あとは食事療法……。しかし,24時間食べ続けられそうな食欲とのたたかいはなかなか難しい。「赤ちゃんがほしがっている……」なんてついつい考えてしまって,いくらでも食べられる。やばい。とりあえずお米を2〜3杯とおかわりするのはあきらめて,3口くらいにして,のこりは千切りキャベツか千切りレタスにしてみた。カレーもこれにかけちゃう。けっこうおいしい。このテクニックの有効性は,先代の犬,わがやのラブラドールレトリーバーちゃんで証明されている。食べ過ぎて太りすぎちゃったラブちゃんは,キャベツにヨーグルトをかけたおやつをもりもりたべて,食欲をなだめることができた。味をしめて切り干し大根などを盗み食いするようになったのにはまいったが……。


ちなみに妊婦といえば便秘。便秘といえば妊婦。
毎朝妊婦のスペシャルミックスジュースをつくって飲んでいる。バナナ,りんご,いちご,にんじん,プルーン,ケフィアヨーグルト,豆乳。けっこうおいしい。もしかしてこれのせいで太っている?? それでもまだまだ便秘。はぁ。

専門書翻訳をする前に読むべき本

 英語がどれだけうまくても翻訳ができるわけではない。日本語の表現にすぐれていても,それだけではすばらしい翻訳はできない。心理学のどんなにすごい先生でも,専門書の翻訳はできない。

 翻訳に必要なのは翻訳のための脳の使い方である。「翻訳筋」とでもいうべき筋肉を鍛えなくてはならない。

 学校で習った「英文和訳」は翻訳ではない。英単語をそれに匹敵する日本語に移し変え(辞書にのっている言葉で),文法にあわせて正しく並べたものは翻訳ではない。別宮貞徳先生のことばを借りれば,「原文がその読者に与えたのと同等の効果を,訳文もその読者に与えなければいけない」のである(『裏返し文章講座―翻訳から考える日本語の品格 (ちくま学芸文庫)』)。

 専門書を読んでいて腹ただしく,また残念にも思うのは,「悪訳」がそれらしい通常の訳としてまかりとおっているところである。わたし自身もそれをなんとかしたいと思い,すこしでも読みやすい訳をつくりたいとがんばっていたけれど,別宮先生の本を読んで初めて,自分自身もまだまだ「悪訳」をただしい訳だと思い込んでいたことに気づいた。あまりにも悪訳で書かれた専門書が多すぎるがために,「専門書はこのように訳さなくてはいけないのかな……」とすりこまれていたのだ。おそろしいことである。

 たとえば,好きな日本の作家の本を読むように,翻訳ものの専門書を楽しむこともできるはず。翻訳さえよければ。もちろん原著がかたくるしいものであれば,当然かたくるしさは残るけれど,それでもやはり読みやすく,読んでいて心地よい,日本語として違和感のまったくないストレスフリーの翻訳ものの専門書は存在しうるはずである。

 そのために,翻訳の指南書を探しては読んでいるが,気づくとこんなにたまってしまった。ちょっとまとめておきたい。やっぱりいちばんいいのは別宮先生の本! 直訳という悪訳からぬけだすときの「だめなんじゃないかな……」という罪悪感をみごとにけちらしてくれる。また,やっぱり越前敏弥先生の本も大切。わたしは翻訳をはじめて最初にこの本に出会って,「ああ,わたしの直訳は誤訳であり,悪訳なんだ!」と学ぶことができた。この本をきっかけに翻訳の専門的な指導を受けようと決意することができた。感謝でいっぱい。

裏返し文章講座―翻訳から考える日本語の品格 (ちくま学芸文庫)

裏返し文章講座―翻訳から考える日本語の品格 (ちくま学芸文庫)

さらば学校英語 実践翻訳の技術 (ちくま学芸文庫)

さらば学校英語 実践翻訳の技術 (ちくま学芸文庫)

誤訳をしないための翻訳英和辞典

誤訳をしないための翻訳英和辞典

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

新編 英和翻訳表現辞典

新編 英和翻訳表現辞典

英和翻訳表現辞典 基本表現・文法編

英和翻訳表現辞典 基本表現・文法編

翻訳の基本―原文どおりに日本語に

翻訳の基本―原文どおりに日本語に

続・翻訳の基本

続・翻訳の基本

翻訳の技法―英文翻訳を志すあなたに

翻訳の技法―英文翻訳を志すあなたに

英語脳の鍛え方

英語脳の鍛え方

英語のしくみと訳しかた

英語のしくみと訳しかた

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翻訳教室

翻訳教室

英語は頭から訳す

英語は頭から訳す

英日日英 プロが教える基礎からの翻訳スキル

英日日英 プロが教える基礎からの翻訳スキル

誤訳の構造

誤訳の構造

 ほかにもまだあるだろうし,この中にももしかしたら翻訳の専門家からしたら意見の異なるものもあるのかもしれないけど,まだまだその域には達していない。翻訳道はたしかにあって,しっかり学ばなくては,「翻訳をした」と胸を張っていえない。でも,翻訳道は楽しくて,まさに「知的なパズル」(by 別宮先生)だなあと思う。

 専門書翻訳は,いまのところそれだけで食べていけるものではないけれど(そうなったらうれしいけれど),趣味としても楽しく,同時に社会貢献もできるよい仕事だ。心理学の後輩たちが「翻訳ものの専門書ってなにかいてあるかわからん〜,読んでて眠くなる〜」という悲鳴をあげずに,楽しく熱中して読むことができるようにがんばりたい。そしてたくさんのセラピストたち,クライエントたちのよりより明日のヒントになる本を提供できたら,これ以上うれしいことはない。

フットワークが軽いのは……


 夫は理系草食男子である。趣味はいろいろある。車をいじること,ケーキづくり(ふくらむ過程に興味を示す),写真,i-phone,そしてアクアリウムである。特技は家電の修理である。先日はカプチーノメーカーと灯油ストーブを直してくれた。なかなか便利である。工学部院卒の学歴はこのようなところに生かされている。


 ところで,アクアリウムとはなにか。それは熱帯魚よりも水生植物に重きを置いた水中箱庭のようなものである。美しい透き通った水のなかにゆらゆらと水草がゆれうごくさまは,見ていて心が癒される。(ADA - アクアデザインアマノ参照) わたし自身もいつかカウンセリングルームをオープンするとしたら,大きな水槽を置いて,待合室に水中箱庭を提供したいという思いはある。


 しかし,しかし,しかし,


 妻の妊娠が発覚したとき,彼はそれなりによろこびはしたものの,その日のうちに妊婦のためのプレゼントを買ってくることはなかった。




 なのに,アクアリウムのめだかの妊娠がわかったとたん,その日のうちにフットワーク軽く車を30分以上かかるお店まで走らせ,産卵に適した水草やらエサやらをあっというまに買ってきた。




 
 おいおい,妻よりめだかのケアのほうがフットワークが軽いとは,どういうことだ?

 大暴れをする夢を見た。車のリアシートをぶちっとちぎりとってうおーっとブン投げて怒っていた。そのくらい妊婦の怒りは激しい。いつも怒っているわけではない。怒るべきできごとがあったとき,それがほんとうにささいなできごとで,妊婦ではないときの自分ならちょっとムッとする程度のものであったとしても,妊婦のわたしは怒り狂ってしまうのである。大暴れをして泣き喚いてこんにゃろ〜と叫ぶのである。


 妊婦の感情は通常の10倍程度に増幅されている。ゆれ幅がぐぐーんと広くなる。ストレスを検出しやすくするためなのかもしれない。これまでは見過ごされてきたようなレベルの些細なストレスであっても,妊婦は許さない。赤ちゃんのためにささっと検知し,ストレス源を排除しなくてはならない。


 夫そのたの家族は,ちょっとした言葉づかいであっても,それについて泣きながら抗議されたら,そしてそこに恐るべき妊婦の権力と破壊力がそなわっているとしたら,言うことを聞かざるを得ないだろう。触らぬ神にたたりなしとばかりに,その地雷ゾーンを慎重に避けるようになるだろう。家庭内の平和のためにも,妊婦の感情は日々増幅されている。きたるべき赤子の日々のためにも妊婦の感情は増幅されている。妊婦が涙と怒りによって掃き清めた安全な空間で赤ちゃんは育つ。そう,妊婦の感情はあくまでも自分と子どもを守るという自己中心的な防衛本能によって増幅されているのだ。……たぶん。

臨床心理士が妊娠すると,どうなるのか?
まったく普通の妊婦である。
ただし,自己を客観的にみつめるもうひとつの目がある。
その目にうつったものを書いていこうと思う。


妊婦は自己中心的である。
妊娠したとたん,自分のこと,自分の体調のこと,自分の赤ちゃんのことしか考えられなくなった。
仕事をしようとするとイライラし,いやなことをしようとすると涙が出て,外出しようとすると気持ちが悪くなる。


そう,クライエントのために,カウンセリングのために自己管理をすることはもはやできない。感情も,体調も管理できない。
どんなに寝ても眠く,どんなに食べてもお腹がすく。
ストレスをためないように努めてもイライラする。
はやく寝たところで,トイレが近いので何回も目が覚める。
便秘と吐き気を抑える食べ物のことばかり考える。


妊婦というのはもっともカウンセリングに不向きな状態なのではないだろうか。
自分と赤ちゃんのことが優先されてしまい,クライエントを中心にものごとを考えることができなくなるのだ。
こうなってしまうと仕事は休むしかない。もちろん,つわりも体調不良もなく元気いっぱい仕事ができる妊婦もいるし,体調不良をおしてがんばらざるを得ない妊婦もいる。けれど,妊娠というのは,一生のうちでもっとも自己中心的になることが許される(あるいは遺伝的にそうなることがプログラミングされている)リフレッシュ休暇なのかもしれないとも思う。


このところ自分がずいぶんと本能に支配されているのを感じる。
妊娠という原始的な営みによって,脳と身体は本能に刻まれた自己防衛手段を実行している。
安全なところから出たがらず,自分を守ってくれる存在のみを許し,それ以外を完全に排除しようとする。
1日中食べ物と自分の体調のことばかり考える。なにを食べようか,なにが食べたいか。
自分の心が研ぎ澄まされ,自分の身体がなにを食べたいのかすぐにぴんとわかる。


「自分の身体の状態がわかること,内臓感覚がわかること,自分の心の声が聞こえることが,共感性につながり,情緒的知性につながる」と,いま訳しているすばらしい本に書かれている。


妊婦になると,自分の脳は自分の子宮を中心として身体のすみずみと直結する。
いや,もともと直結するラインはあったのだと思うが,理性や思考を優先して弱まっていたはずのラインが,いまやなによりも太くなっている。
自分のつらさ,お腹の痛み,空腹の具合,便秘の具合,疲労の度合い,お昼寝のタイミング・・・・・・
きっとこうして9ヶ月間,妊婦は母体をなによりも優先するようにできているのだろう。
自分の身体をほかのなによりもいたわるという,ふだんは忘れられている課題が最重要のものとなってあらわれる。自分と大切にすること以外なにもできなくなる。それが妊娠という身体と脳のシステムなのかもしれない。

今日うっかりぽちっとやっちゃった本。医学書院の新刊。大人の発達障害について専門的に扱った書。買うしかないですな…。仕方がありません。次の翻訳の資料にもなるし。専門書の翻訳って収入はわずか,支出はけっこう大きい。ついつい資料を購入してしまう。でもいちばん勉強をさせてもらえるのでそこはありがたい。勉強にもなって,お金もちょっと入る。うむ。いい趣味だ。


夜行観覧車

夜行観覧車

図書館にリクエストしてさくっとゲット。田舎はいいわぁ〜。
これはぜひ心理職に読んでもらいたい。高校のスクールカウンセリングのお昼休みに読んでいたら,午後からの男子高校生のケースに深く感じ入るものがありました…。この小説の題材は「エリート医師が息子に勉強を強要,見かねた妻が夫を殺害」なのですが,その見かけ上の事件の背景に潜む家族の闇とあたたかさ…,紙一重のお隣の家族…。ページをめくる手が止まらず,一気に読んでしまう小説です。『告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)』の作者だけに,ラストは「もうちょっと…!」と期待してしまうのですが,そこはしょうがないよね。


アルバトロスは羽ばたかない

アルバトロスは羽ばたかない

本屋で見かけて気になって,図書館でリクエスト。児童養護施設での出来事を児童相談所児童福祉司さんが謎解きをするというミステリー。連作のようになっていて,最初の短編では,母親が息子を崖から突き落としたという出来事の裏に潜む母親の愛を探偵ならぬ児童福祉司さんが見つけ出す。なかなか新しいミステリーだ。ぜひ臨床心理士もミステリーの主役になりたいものだ。



睡眠をとるふっくらネコてとさん
いつものことながら,やはり目つきが悪い。