失くしたもも

立ち成分献血センターにてコップに入った粒々の成分を眺めている。
透明のキレイな粒々入りコップの下にはリスト。
ガラス窓の向こうをメリーポピンズみたいな格好をした
幼い顔の女がコマ送りで歩いている。


リストに載っている名は「ももいクモ」
帽子を被ったダックスフントが「彼女がそうだよ」と教えてくれる。
羨ましいような、嬉しいような気分になって
彼女の後姿を見送った。

泥の身分

湿度の高い宮殿の地下を歩いている。
廊下の所々に水たまりが出来ていた。


少し広まった廊下の壁に3つのすりガラスが掛けられていた。
1つ目の前に立つと、すりガラスはぼんやりと七色に光った。
2つ目の前に立つと、すりガラスは光りながら波打った。
3つ目の前に立つと、廊下全体が青緑の光に包まれて巨大な深海魚と海蛇が泳ぎだした。
CGだとわかっているのに、それとぶつかるのが怖くて体勢を低くした。

巨木が見たいだけ

草原に立つ何本もの巨木は枝同士が繋がっているという世界遺産
それはここから見える高架の向こうにあるらしい。
その方向からサクラの軍団がやってくる。


マンションの一室に死体があることがわかっているが
知らないフリをして中に入る。
顔だけ出して濡れた白い布に包まれた死体が確かにあった。
が、まだ死んでいなかったらしく目がギョロっと見開く。
濡れた布にキッチンペーパーを押し付けて水分を取ろうとするが
キッチンペーパーなんかではどうにもならない。


死体?に「早くここから出て行け」と小さな声で忠告される。
宗教はマンションを定期的に変えていく。
偽者はその都度マンションに閉じ込めて、そこを墓としていくのだと言う。
もうこのあたりは墓だらけだった。
遠くでブザー音がしたので、荷物を持ってその部屋から出て行った。


途中で立ち寄ったファミリーの一室でも逃げる準備をしていた。
皆、それぞれお気に入りのバスタオル一枚を持って逃げるらしい。
「そんなもんなのか」と少し拍子抜けする。


マンションを出るとトラックの荷台に荷物が山積みされていた。
中にはユニットバスが丸ごと詰まれているものもあった。
隣に立っていた人が「あれはね、専用の宇宙服で一般のとは訳が違う!」と力説するが
そんなことより、マンションの周りの腰ほどまでしかない低い塀の一部が
なくなっていることが気になって、近くにあった横型ロッカーをはめることにした。
しかしなんとかしてはまったものの、少し高さが合わなかった。
するとさっきの人が「それじゃまるで小人のアスレチックだ!」と笑った。
もう一度塀にはめられたロッカーを見直すと小人が飛び回っていた。


高架の向こうからサクラの軍団がやってくる。
脳内で描かれる、枝同士の繋がった巨木を上空から眺める絵。
早く、その絵が見たいのに。

さて、オムニバス

【第一部】

駅からジムに続く道を「モッソーじいさんグループ」のパレードが過ぎる。

モッソー青年と、彼を囲むおばあちゃんのグループが
レースで飾られたジム目指して進むパレードのお話。


【第二部】

封書の3分の2を赤ペンキで塗りたくる先輩の動きはまるでディズニー映画のよう。
塗り終わった途端、その封書たちに赤ペンで「ペン」と書きなぐる先輩に
「何しているんですか?」と尋ねたら
「うん!シナチク!」と返事がくるお話。


【第三部】

買ったばかりのCDを3つ同時に鳴らしたら、
懐かしい言葉が降り注ぐお話。

現実世界町内

文字が迫ってくるのでブログが読めなくなっていた。


近所の小さな犬は病気で大きくはなれないらしい。
手術をして帰ってきたら掌サイズになっていた。


バスを待つ間、犬のことについて話し合った。
2人が空中に「NUM」「INT」とメモ書きをした。
同じことを書くなら2人1つで十分じゃないかと思った。