「グインサーガ105/風の騎士」 栗本薫

風の騎士―グイン・サーガ〈105〉風の騎士―グイン・サーガ〈105〉
栗本 薫

早川書房 2005-12
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去年のうちに出ていたことを知らず、最近になってようやく購入。
懐かしの名前が相次いで登場、同窓会の趣…ではあるのだが、物語にさしたる進展は見られず、後半は風の騎士の恨み言を延々と聞かされる。こうした会話での水増しは極力減らしていただいて、話を少しでも先に進めてほしいな。 (06/5/2読了)

「ホラー映画の魅力」小中千昭

ホラー映画の魅力―ファンダメンタル・ホラー宣言ホラー映画の魅力―ファンダメンタル・ホラー宣言
小中 千昭

岩波書店 2003-09-06
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映像作家で、最近は小説も書いているらしい著者によるホラー映画論。サブタイトルに「ファンダメンタル・ホラー宣言」とあるが、これは「本当に怖い映画」指す。
ホラー映画って怖い映画のことじゃないの?と突っ込む向きはあるだろうが、ホラーを名乗っている映画の中に、本当に怖い映画は実はあまりない。お化け屋敷的な驚きや嫌悪感を誘う映像が、観客には恐怖として記憶されているだけ。そこで「本当に怖い」となるわけだ。自伝的要素もあるので、小中千昭本人に興味のある人にも楽しめるかも。巻末には高橋洋清水崇との対談もある。
余談だけど。10年くらい前になるか、ご本人は覚えてはいないだろうが、小中氏とネットを通じてやり取りする機会を得、『戦慄のムー体験』(94)のビデオをいただいたことがある。そのビデオ、まだ大事に持っていますと言いたいところだが、貸した友人とともに消息不明となってしまった。 (06/3/28読了)

「ジウ」誉田哲也

ジウ―警視庁特殊犯捜査係ジウ―警視庁特殊犯捜査係
誉田 哲也

中央公論新社 2005-12
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ふたりの女警察官を主人公に据えた警察小説+α。ヒロインには両極端な性格を持たせて対置させており、ダブルヒロインものとしてはよくあるタイプかもしれない。
それぞれのキャラを立たせるためのエピソード、パートナーの配置は、良くも悪くも教科書どおり。安心して読むことができる代わりに、ふたりともにちょっとステロタイプな印象はまぬがれ得ない。 それから、あまりにヒロインに注意がいきすぎて、バイプレイヤーの描き込みが甘い。登場人物が多いこともあって、かなり未整理な印象を受ける。
未整理といえばプロットもそう。もう少し、メリハリとテンポの良さが欲しかった。
冒頭の+αの部分、タイトルにもなっている犯罪者ジウを今後どう描くかがシリーズのポイント。逢坂剛高村薫とはまだ比較しちゃいけないが、ひとまず続編に期待したい。 (06/3/3読了)

評価 ☆☆☆★

「悪霊」高寺彰彦

悪霊悪霊
高寺 彰彦

チクマ秀版社 2005-07
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諸星大二郎妖怪ハンター」、とり・みき「山の音」を彷彿とさせる伝奇ホラー。著者は大友克洋のアシスタントだったという。飲み屋で会う知人より紹介され、読んでみた。
童夢」をホラー寄りにシフトして、よりアカデミックにしたようなストーリーが好みに合致。読んで良かった。満足した。それと、読んでる最中になんとなく「エクソシスト」を思いだした。
タッチは上に掲げた二者、そして初期の大友作品風。だからというわけではないが、ジジババはいいとして、若者の描き分け(性格でなくて絵的な)が今ひとつで序盤は誰が誰やら混乱するのが難。そのうち登場人物が減りはじめてからは、こちらの頭も整理されていくんだけど。
ちゃんとつくってくれるんだったら、アニメでも見てみたいなあ。 (06/2/28読了)

「初ものがたり」宮部みゆき

愛蔵版 初ものがたり愛蔵版 初ものがたり
宮部 みゆき

PHP研究所 2001-05-24
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かまいたち」に続いて宮部の時代ものを再読。
「本所深川ふしぎ草紙」「幻色江戸ごよみ」のエピソードと合わせてNHKで「茂七の事件簿」としてドラマ化された作品だが、連作としての面白さがあるぶん、他二者よりはリーダビリティに優れている。 (06/2/26読了-再読)

「かまいたち」宮部みゆき

かまいたちかまいたち
宮部 みゆき

新潮社 1996-09
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久しぶりの再読。楽しめた。霊験お初シリーズの第1、第2短編が収録されているが、ノンシリーズの表題作が、ちょっと未整理ところもあるけどいちばん面白い。 (06/2/21読了/再読)

「推理小説」秦建日子

推理小説推理小説
秦 建日子

河出書房新社 2004-12-04
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現在放映中の連ドラ「アンフェア」の原作。なんとなくドラマを見続けてて、小説のほうはどうなんだろうとふと興味を惹かれたので読んでみた。
思ったより面白かった。見くびってたわけじゃないけど、もっと酷い出来かと想像していた。ドラマは3つのエピソードを全11回(10回?)で描き、この原作小説はその最初のエピソード(4話分)にあたる。そのため最後のターゲットが変えられていたり、小説ではケリの付いた問題がドラマでは今後も引っ張られたり、といった変更はあるが、プロット、キャラ配置の基本的な部分は、ほぼ忠実にドラマ化されている。というより、これは補完といった方が正しいのかもしれない。小説がβ版でドラマが完成版といった趣。そういう意味では、小説→ドラマといったほうが、ドラマ→小説といくよりは満足感が高いと思う。 (06/2/13読了)

評価 ☆☆☆