同人誌印刷 トム出版 爛柯(らんか)の思い出

tomshuppan2008-01-24

同人誌印刷 トム出版
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爛柯の思い出
囲碁仲間



これも随分むかしの話になるが、

季節的にはちょうど今頃の時分だったと思う。

大阪梅田、カッパ横丁の古書肆に行った帰り、

阪急百貨店から地下鉄へ向かう通路の人ゴミの中を歩いていたところ、

そのとき前方から、

以前から顔見知りである壮年の男性がこちらに

向かって歩いてくるのが認められた。

まだちょっと距離があった上、大勢の人が行き交う雑踏の

場所だから、はっきり確認できないが、

どことなしにいつもよく会うお方のようである。


三つ揃いの背広姿に両手に白い紙袋を提げゆっくり歩を進めている。

どちら様だったかなぁ、もし声をかけても知らぬ人だったら困るし、

その逆に声をかけられても返事に窮して、失礼になってはダメだし、、。



と、色々思案しているうち、段々と相互の間隔が縮まってきた。

とうとう目の前まで接近したとき、両者の目と目が合った。

うむ、、やっぱり知っているお方だ、、


誰だったかな、、、?


瞬間、私は頭を下げ軽く会釈をした。


すると先方もまた穏やかな表情で軽い会釈を返してきた。


そのお方は何気ない風で歩を進めつつ、やがてその場を通り過ぎていった。


どなただったかな、、?

なかなか思い出せない、、。



地下鉄に乗り心斎橋で降りようとしたとき、ふと何の脈絡もなく、

さっきの男性のことが頭に浮かんだ。

何処のどなただったかな、っても何もないだろう。

私は思わず驚き、そして苦笑を禁じ得なかった。



テレビでしょっちゅう見る、関西棋院

あの高名な第12期十段の

橋本 昌二 先生だった。

勿論、面識は一度もない、


こちらはテレビで

親しみを感じているだけだったが、

人の錯誤というものは、まことにはなはだしいものである。


そして、その年の春、橋本 昌二 先生が、

日本を代表するプロ棋士たちを悉く退け、

第二回目のNHK 杯優勝を、

感動の涙で決められた瞬間を

今でも鮮明に覚えている。
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