●;キャリア・コンサル業界の課題

●;「キャリア・コンサル業界の課題」と大層なタイトルを付けたが、「人事部支援」(の一部)を担う《キャリア・コンサルタント》諸兄姉にとって差し迫る「課題」は何か?といろいろな意見を引用しつつ、語ってみたい。
①;諸兄姉が仕事上に関係する《場》によって、その押し寄せる課題の位相(レベル)が違うから、均して「…である」とは言い難い。ただ、日本社会を規定する時に《少子高齢化社会》《グローバリゼーション》という前提条件は、誰しも否定することは出来ない。あらゆる矛盾の源泉は《少子高齢化社会の到来》が「グローバル社会」に晒されていることである。「ワーキング・プア問題」も含むきつい諸現象は、そういった矛盾のしわ寄せであり、政府が政治日程に挙げていた「ホワイトカラー・エクゼプション」の追求も、参議院選挙を見越して? 一時中止になったようだが、人件費比率を下げるのが必至の経営者側は、手を変え品を変え、「労働者側に生産性の向上」を迫って来ることもまた必至である。
●;キャリア形成、採用、リストラを手伝う?「キャリア・コンサルタント」も、かかる情況のなかに存在している。

●「ニート論議」の盲点…鈴木謙介氏が語る

●;「若もの論議」は止まない。「格差社会化」でのフリーター、ニートについての論議はかまびすしい。『カーニヴァル化社会』(講談社現代新書)の著者・社会学者の鈴木謙介氏に編集者・サイトー商会(斉藤氏)のインタビューに答えている。
若者にヤル気がないからフリーターが増えたという「ヤル気還元説」…団塊オヤジに限らず「今時の若いヤツは〜」は、年長者がよく発する腐れコトバ。もう一つは、不況下で「若者が構造的に弱者になっている」と社会構造から説明するたぐい…これもなにやら「構造的に〜」といって社会学的な分析?をもって語る手合いのよく発するコトバ。⇒で、そのあたりの整理から伺うとして…。
●;城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか』(光文社新書)についての哲学者・内田樹氏の「読後感」。

「下流社会」の著者が語る「若もの像」

●;ベストセラーになり、「勝ち組/負け組」ともダブって流行語になり、今でも続々と出ている「格差社会本」の火付け役にもなった?「下流社会…新たな階層集団の出現』(光文社新書)の著者・三浦展氏が「下流社会の若もの」について「正論」誌のインタビューで語っている。若ものウォッチング(マーケティング)雑誌「アクロス」(パルコ出版)の元編集長だから若ものの表層分析は、お手の物。
タイトルは「正論」っぽく「ニートは国を滅ぼす」と、この雑誌らしい異物排除的なタイトルになっている。「ニート」は「美しい国」では国賊?扱いかよ。

●;過激なニート論

●:『論争 格差社会』(文春新書)という本が今夏に出た。「ニート」、「格差社会の定義」を巡って「文藝春秋」「諸君!」「論座」「世界」「中央公論」など論壇誌に載った社会学者、労働経済学者、教育社会学者などの対談(竹中平蔵大臣も登場や寄稿論文などを纏めて新書版にしたもので、甲論乙駁。「新書はバラエティ」(@池田信夫説)に従えば、ポレミークな文章もあって愉しめる。参考になる見解もある。観客としての欲を言えば、もっと愉しみたい。例えば、《無学歴、無職歴、無実力のニートが年収500万円の正社員になる方法》といった「分裂勘違い君劇場」のシニカルな一文なども収録するセンスがあれば、もっとよかったぜと言いたくなる。

●;七五三問題

●;話題になった『内側から見た富士通成果主義」の崩壊』を著した(元・富士通人事部で現・人材コンサルタント)の城繁幸氏の新著『なぜ若者は三年で辞めるのか?』(光文社新書)が売れているらしい(出版社の広告によれば15万部とか)。サッサと会社を辞めたい若者が「フムフム、なるほど」と手を叩いているのか、はたまた(広い意味で)人材系の人々が抱えている「若手人材像」を探りたくているのか、<読者の貌>が浮かばないが七五三問題」についての論述がある…中卒7年、高卒5年、大卒は3年で最初に勤めた会社を辞めるそうだ。新卒の10人に3人、3年以内に離職。新卒採用コストは会社の規模、業況によってだが、結構掛かっている。辞める社員については、経営者はもちろん、人事担当者も頭を悩ます。選ばれて入った当の新卒社員も、選んだ会社を3年以内に去るとは夢にも思っていないだろうが、3年以内に三割ほどの確率で離職者が生まれているのは事実。彼らもまた「転職市場」の供給商品になるというパラドックス
●;「まなざしの快楽」のPikkarri氏の論述。「強い絆のコミュニティ」である企業は、頭のてっぺんからつま先まで面倒を見てくれる。「ありがたや、会社さま…」となる訳だが、「プロジェクトX的夢」を仮託出来る「幸福な仕事の時代」は終焉した、と。「それに代わるコミュニティ」とは、何かとドラッカーの「ナレッジワーカー論」を引用して語っている。
・一方、居心地のよい会社に(優秀な)人材が居座?って?るソフト系人材を語るKlab(株)CTOの仙石浩明氏のブログ

●;格差拡大の実感

●;連合の調査によれば「格差拡大の実感」が高いという結果だそうだ。連合ならずとも、設問次第だがTV局や新聞社の調査で同じような結果になるだろう。「ワーキングプアⅡ」NHK放映の反響は分からないが「ブログ」をざっと眺める限り「身につまされる〜」といった意見・感想が多い。

●;「ワーキング・プアⅡ」

●;今年の夏だったか「NHKスペシャル」で放映された「ワーキング・プア」は話題になった(ようだ…NHKに1400通ほどの電話、FAX、メール等が寄せられたそうで、取材歴25年とかのキャスター氏も初めての経験と番組で言っていた)。(わが事のように)受け取った人が多かったのだろう。その第二弾「ワーキング・プアⅡ」が12月10(日)放映された。番組でコメントを寄せた内藤克人氏…《貧困者がマジョリティになる》。金子勝あたりは、それ見たことかと「グローバリズムのせい」と言いそう。貧困層は、中小零細業者、母子家庭、障害者、高齢者〜に。最近、「ニート」についての言及(新聞、雑誌、テレビなど)が少なくなったような感じがする。一方で「年齢が若いフリーター探し」が派遣会社等で熱心に行われている。
●;「論座」(07-1月号)のあるフリーターに関するルポ記事。「あんた若いんだから、働けるんでしょ」とは、生活困窮したフリーター氏に社会福祉事務所の担当氏が言ったセリフ。