怪物
これはかなり良かった。
少なくともカンヌのパルム・ドールを獲得した「万引き家族」よりも、
個人的にはこちらの方が断然好きだ。
本当に正しく受け止めきれているかはわからないけれど、
自分としては自分自身を納得させられる程度には解釈できたつもりになれたので。
この作品は三部構成になっている。
そのパートごとに、それぞれの視点人物が異なっている。
第一部は”被害者(仮)”の保護者の視点から。
第二部は”加害者(仮)”の視点から。
第三部は”被害者(仮)”自身の視点から。
それぞれの視点から見える”怪物(仮)”は異なっていて、
別の視点から見ると、それこそ全く怪物ではないようにも見えることも。
芥川龍之介「藪の中」や、それを下敷きとした黒澤明「羅生門」のようにも思えるが、
事件の様相は一つで、ただその視点から見える光景が違うだけ。
盲人がそれぞれ違う箇所を触って象を評する「群盲象を評す」が最も近いかも。
最後に、この映画の感想を述べる人の多くが口にするように、
この子役二人の演技が本当に素晴らしかった。