新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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女郎ぐも 日本ふしぎ草子

 
作者には「唄う骨」というグリム童話モチーフの短編漫画集もあるが、
これはその日本昔話版。
 
とはいえ、あらすじをよく知ってるのは「さるかに合戦」くらい。
柳田国男「日本の昔話」、坪田譲治「新版 日本のむかし話 全8巻」
という参考文献は挙げられているけれど、それに手を出すにはハードルが高い。
 
グリム童話だとネットの検索ですぐにあらすじに辿り着けるけど、
本書だと結構辿り着くのは困難そう(全部は試してないけど)。
 
元ネタをどうアレンジしているのか、というところが、
本書の一番の価値ポイントだと思うので、
昨日感想書いた「霧の中のラプンツェル」みたいに、
冒頭に元ネタのあらすじ入れてくれたら親切なのになぁ。
 
ただ昔話を昔話のまま(現代劇としてではなく)アレンジしてるので、
ギャップの面白味は薄かったと思う。
 
最後に順不同でベスト3を選んでおこう。
掲載順で「地獄の鬼」「さるかに合戦」「シノの枕」かなぁ
 

霧の中のラプンツェル

 
実に惜しいことではないか。
 
こんな作品が未完のままだなんて。
 
ホロコーストを描いていること自体は珍しいわけではないが、
なんといってもこの語り口が素晴らしい。
 
各話の章題がグリム童話のタイトルになっていて、
各話の冒頭にそのあらすじが掲載されている。
(第1話だけは中途に盛り込まれているのだけど、その効果も素晴らしい)
 
そして、その回はそれをモチーフにしたシーンや展開が
必ず盛り込まれているのだ。
 
こんなの無茶苦茶難易度が高いよ。
 
一話一話がもの凄く丁寧に作られていることがよくわかる。
 
未完ながらも傑作たる所以。
 
確かにここからが辛い描写になることはわかっているのだけど、
救いの残るラストになる可能性も秘めている。
 
いや、たとえそうならなくても、辛い描写がまだまだ続いたとしても、
この作品は最後まで読ませて欲しかった。
 
本当に惜しいことではないか。
 

逆転美人

 
「ミステリー史に残る伝説級超絶トリックに驚愕せよ!!」
ってだけで、どういう仕掛けかは想像が付くかも。
 
しかも書影見たら、帯に「紙の本でしかできない驚きの仕掛け!」
って書いてあって、そんなんほぼネタばらしやん。
 
で、よく見たら「ミステリー史上初の」って、
どんな物知らずの編集者なんだか。
 
幾つも先例を挙げることのできる、この趣向。
しかも難易度は、それこそ史上初と言っていいくらいの低さ。
こんなんなら簡単にできちゃうよなぁ。
 
但し、一点だけ評価できるのは、
この趣向の必然性がきっちりと設定できていること。
これだけは好感度が高い。
 
しかし、それだけのために、この退屈極まる手記を
読まされるのは、正直苦痛。
 
というわけで採点は6点。
 

12人の女優の惑星で魔法少女の物語をバーで考える七人の狂気の少女

土曜は永山まで歩いて2軒、日曜は中山から十日市場まで歩いて3軒回るコースで、13,782歩、12,977歩。

1.はヨーロッパ企画のDVDは滅多に出物がないので購入。三谷の12人は傑作なので、こちらにも少し期待。2.は本放送で見た気はするし、伊集院にしてはぬるめの企画だけど。3,は110円のこの巻だけ。4.はまだ感想書いてないけど、リリリライトはまぁ良かったので。
 

1.はこの作者の初作品集。2.,3.はこの原作者と漫画家の組み合わせだもの。4.は奥田民生はほとんど聴いたことことがないけど、いろんな歌い手によるカバーって良い作品が多いので。
 

星野之宣は見つけた時に買っておく。
 

これがこんなに安く買えただけで、今日出かけた甲斐があったというものだ。
 

3編収録されてて、絵師は全員違うみたいだ。
 

買った後で最後の対談をちらっと見たら、原作とは違う結末らしい。う~む。
 

Kentaro Kobayashi Solo Performance Live Potsunen 2008 『Drop』

 
第16回「TEXT」と第17回「TOWER」の間の時期のソロ第3回公演。
 
収録コントは以下。
・小噺
・椅子落語 其ノ一
アナグラムの穴
・コミヤヤマ
サウンドノベル
・史上最大アメリカ横断ウルトラなんとか
・メロス
・干支
Drop
・椅子落語 其ノ二
 
公演自体の統一性は一番感じられたかも。
これまでのソロ公演の集大成って感じもしたな。
 
新規性の面から云えば、今回は「サウンドノベル」がピカイチ。
ホントに芸達者だなぁ。
 
第1回から必ず盛り込まれている映像ネタも
洗練度が更に上がってきて、今回の「Drop」がその最高潮かな。
 
もう一作は個人的好みで「メロス」かなぁ。
 
アナグラムの穴」はもうやり過ぎてしまって、今回はダメだったな。
 
とりあえずここまで見たソロ公演3作だと、全体が初見で目新しかったのと、
ラストの格好良さが格別だったので、初回がベストかな。
 
ひとまずラーメンズ(ソロ公演含めて)のレビューは、これで一段落。