東京国立博物館 書聖王羲之―書を芸術にした男―
平日にゆっくりと行きたいところだが、とても有給休暇を取る余裕がないので行ってきた。
館内はそこそこの混み具合。いつもの企画展示の通り、入り口付近だけは異常に混んでいる。しかし、中盤になると途端に空きはじめる。
そもそも書をゆっくりと観覧するのは、まず書家か趣味人だけだろう。何となく行ってみた程度の興味では、すぐに飽きるのが関の山だ。
おかげで展示室中盤にあった行穰帖原跡と、新発見された大報帖、蘭亭序の特集については存分に拝めた。
漢字文化、というものは実に偉大である。
生憎心得がないので、草行書については満足に読めない。が、楷書であれば字面を丹念に追えば読めるのである。そう、千数百年前の文書が読めるのだ。
古来、洋の東西を問わず数多の名言、格言の類が発せられ、また残されてきたが、その墨痕が評価されるのは漢字文化だけである。その礎を築いた王羲之の功績は多大だ。
惜しむらくは、唐の太宗が副葬品として多くの真蹟を陵墓に納めてしまったために、その真蹟は残されていない。が、精巧な複製が多く作られたために、今日こうして残っていることは実に幸運であった。
紙は傷みやすく保存が困難ではあるが、ぜひとも末永く未来に残してもらいたいものだ。

ホビット 思いがけない冒険』
正月二日目にして、やることも特に無いので、観てきた。
かつての『ロード・オブ・ザ・リング』のクオリティを引き継いだ良作であった。
原作がかなり短いのでどうやって三部作にするのかと思ったのだが、いろいろと『指輪物語』の追補編からエピソードを追加しているらしい。
導入は、老いたビルボが袋小路屋敷で回顧録を書くためにかつての冒険を回想するように始まる。
未だ過酷な運命を知らないフロドが、ビルボの誕生祝賀会に来るガンダルフを迎えに行くシーンは、胸に迫るものがある。
一行のリーダーであるドワーフの王子トーリン“オーケンシールド”はかなり格好良い。名誉を重んじる高潔な人物だが、頑固かつ偏狭であり、竜やオークに対する強い復讐心を抱える様はまさにドワーフの鑑。
いやはや、13人のドワーフどもはどいつもこいつもファンタジーのテンプレート通りのイメージで実に微笑ましい。
最年長者バーリンの歳を重ねた重厚さと聡明さ、若いフィーリとキーリ兄弟のやや軽率ながらも気持ち良い陽気さ。いずれも典型的なドワーフだ。
火竜スマウグに奪われたドワーフの地底都市“はなれ山”エレボールへの遠い旅路。その道すがらの大自然が実に美しい。
まさかのオークロード“穢れの王”アゾクが出現。
ドワーフ一族とオークどもの因縁の歴史が語られるなど、中つ国の歴史を振り返るように親切なつくりになっている。
終盤、追いついたアゾクに追い詰められる一行。父祖を侮辱されトーリンは単身アゾクに挑むが、返り討ちに遭ってしまう。見かねたビルボはとっさに我が身を省みず、助太刀に飛び込む。
その英雄的な行動によって、ビルボはついにトーリンに認められる。この一連の流れが、良い。
随所に、『リング』のオマージュ的なシーンがちりばめられているのがまた良かった。霧ふり山脈地下のゴブリン王国下層でゴラムに遭った末に“ひとつの指輪”を手に入れ、偶然転んだ際に落ちてくる指輪をはめてしまうビルボは、まさに運命を感じさせる。
年明けて早々だが、年末に公開されるであろう二部『スマウグの荒らし場』が楽しみで仕方ない。

友人が『GUNDAM SENTINEL RPG OE』(以下『ガンセネ』略)を使ってセッションを開きたいが、GMを担当する上でのノウハウを知りたい、ということを言っていた。そこで、思い当たることをざっと書いてみた。
シナリオの題材や内容については、『ガンダム』シリーズの知識や作品への思い入れによって各GMが工夫するであろうと思われるので、ここでは触れない。


■シナリオについて
『ガンセネ』の醍醐味はキャンペーンシナリオにある。功績ポイントを稼ぎ、高級機に乗り継いで強くなっていく楽しみは格別のものがある。また同時に経験値を獲得して成長することによって、より多彩な技能を習得してMSの機能を使いこなせるようになるのもまた、実に楽しい。
そこで出来るだけシナリオはキャンペーンとした方が良いだろう。
しかし、問題となるはキャンペーンの長さである。長ければ長いほど良い、という訳ではないからだ。
『ガンセネ』はシステムの志向性の問題から基本的に戦闘中心のシナリオとなる。同じような戦いがただ続くだけではマンネリとなるからだ。
PL1から開始するキャンペーンならば、6〜9シナリオ程度の長さが程良いだろう。そうなると、だいたい最終シナリオにPL7〜8で臨むことになるだろうか。


■シナリオの組み方について
序盤、中盤、終盤とそれぞれにメリハリの利いた構成にすることが望ましい。それぞれの作り方のポイントを挙げる。


まず序盤。初期配備のMSは量産機であり、たいていは脆弱だ。そして、PL1のキャラクターは出来ることが少なく被撃墜されやすい。
そこで、戦闘回数は出来る限り少なくした方が良い。1シナリオあたり3〜4回くらい、各PCの戦果が3〜4機となる程度で良いだろう。
MLは1〜2で十分。敵機は低レベルのザコを中心にして、攻撃機会を少なくするといいだろう。(1回の被弾が致命的になる可能性も十分あるため)
なお、大量のミサイルを搭載した敵MSを配置することは厳禁だ。まだ回避値が低い上、反応機動技能を持っているPCも少ないだろうから、被撃墜の可能性が高くなるからだ。
序盤は戦闘の仕方の習熟と功績ポイントの蓄積に充ててもらうのがポイントとなる。


いよいよ、PL4〜5あたりに上がりMSを中堅の量産機に乗り換えたあたりで中盤となる。
戦闘はし烈さを増して良い頃合いだ。MLは3〜4に引き上げよう。
1シナリオでの戦闘回数は5〜6回に上がり、対艦戦闘を経験しても良いだろう。そして、ようやくPCたちの壁となる敵エースパイロットを投入する時期である。
敵エースはPCと同等の能力を備えたNPCパイロットである。しかし、必ずしもPCと同じ方法で作成する必要はない。
というのも、複数のNPCを同時に操るのはかなり大変だ。そこで高レベルNPCを1人だけ投入して、PC全員の相手をする方が管理しやすいはず。
お勧めとしては、射撃、回避、反応の能力値を高めに設定すること。また、攻撃系技能を複数持たせて多彩な攻撃パターンを駆使した方が、卓越したエースとしてプレイヤーの記憶に残るだろう。
敵エースのPLとしては9〜12くらいが適当か。
戦術としては、同じPCを集中攻撃するのではなく、PCすべてにまんべんなくダメージを与えていくとプレイヤー全員に危機感を与えられる。
PCにほどほどの痛打を与えたらエースは潔く撤退させよう。(必ずしもPC機を撃墜しなくても良い。あくまでも顔見せなので)
そして、PCには最終シナリオあたりで雪辱を果たしてもらおう。


終盤。いよいよ、PLが上がり十分な成長を遂げ、高級機に乗り換えたPCに大活躍してもらおう。
MLは5〜6となる。1シナリオの長さを十分に取って、戦局に関わる大規模戦闘を演出しよう。
大規模戦闘にふさわしく交戦する敵機は多少多くてもいいだろう。各PCにつき9〜10機くらいを撃墜させて、エース気分を満喫してもらおう。
そして、中盤で苦戦した敵エースとの因縁の対決を制してもらうのだ。高級機に乗り、成長したPCたちならば、強力な敵エースといえども、力押しで倒せるはずだ。


■戦闘について
基本的に判定はほぼすべてオープン・ダイス・ロールで通した方が良い。ダイス目の疑心暗鬼がなくなり公平性が増すからだ。
むろん事故死は当たり前のように多発する。敵も味方も分け隔てなく。戦争だから仕方ない。プレイヤーには割り切ってもらおう。
ザコMSはあっさり墜とされて当たり前なので、ムキにならないことを心掛けよう。
対して、敵エースを操る時は本気でPCを皆殺す気で掛かろう。1機くらいは撃墜する心算で問題ない。ただし、PC機すべてを半殺しにしたら手を緩めよう。最終的には撃墜される存在であることを忘れずに。


■失機者、戦死者対策について
なお、勢い余ってPC機を撃墜した場合、無償で代替え機を用意しよう。序盤なら初期配備機、中盤以降でも中堅の量産機あたりは手当した方が良い。なるべく保持している功績ポイントは、乗り換えを希望している上位機のために温存させた方が、プレイヤーのモチベーションが続くからだ。
戦死したPCについては、それまでに獲得した同量の経験値を与えて、補充兵を作ってもらおう。機体については失機者と同等の扱いとして、功績ポイントは他のPCの保有量の平均程度を与えよう。


■経験値と功績ポイントについて
キャンペーンの長さによって、総経験値、総功績ポイントの量は変わってくる。
6シナリオなら経験値6000、功績ポイント9000あたりを、9シナリオなら経験値12000、功績ポイント18000あたりを目安にすると良いだろう。
あまり成長を急ぐと後半が力押しに傾きがちとなるので、なるべくゆっくり成長するようにバランスを取った方が良いだろう。序盤でも1シナリオ1〜2レベルの成長に止めた方が良い。


■功績ポイントの獲得について
敵エースや戦艦について、単独撃破することは困難だろう。多くの場合、共同撃墜、共同撃沈となるはずだ。
しかし、通常のルールにおいては撃墜したMSは撃墜したPCのスコアになる。また、戦艦についてはダメージ按分で経験値を得ることになっている。
そこで、敵エースと戦艦については、イベント扱いとして参戦したPC全員に経験値と功績ポイントを同じだけ配布することを勧める。
特に敵エースは高レベルであるために経験値や功績ポイントが高く、撃墜者が総取りすると成長に差が出てしまう。これを避けるためである。
戦艦への攻撃で二次被害が発生した場合は、ルール通りに功績ポイントを得ても良いだろう。
スコアシートへの記入については、従前通り撃墜者/撃沈者に記入してもらおう。


■超高級MSについて
功績ポイント5000を超える超高級機は、各時代を代表するフラッグマシンが揃っている。いずれ乗ってみたいと願うプレイヤーも多いのではないだろうか。
だが、普通にプレイしていてそのクラスの超高級機に乗れることは少ないだろう。
そこで、最終シナリオ直前くらいのタイミングで、そういった超高級機を配備しても良い。もっともその場合、搭乗するPCが保有している功績ポイントすべてと引き換えにとなるだろう。
あまり戦果に恵まれなかったPCやイベントで活躍したPCなどに1機配備するくらいがバランス取れて良いだろうか。


■演出について
『ガンセネ』においてPCは、やがて“戦局を動かすほどのエースパイロット”になる。
その過程を丁寧に描写していくのがコツである。
ガンダム」ワールドにおいて、戦場の無線通話は敵味方ダダ漏れの混信状態が当たり前である。
それを活用して、シナリオ中盤以降に戦果を挙げるPCたちの噂が戦場で漏れ聞こえるようになっても良い。
“凄い機動をするMSが居る”“〜のエンブレム付きのMSとは交戦するな”“鬼神のような小隊がいる”とか何とか。
翻って、味方もまたPCたちの小隊を頼りにし始めるだろう。
ブリッジクルーやメカニック、果ては補給部隊の面々まで。PCたちの活躍は後方の司令部にも届いているかもしれないのだ。
時には戦闘任務だけでなく、前線に近くに赴く要人の護衛任務さえ任されるかもしれない。
そういった境遇の変化の描写もまた、GMの腕の見せ所だろう。
図抜けた戦果に対しては勲章を授与して報いても良い。(例:1ミッションで単機にて9機以上を撃墜、もしくは単機で戦艦を撃墜、など)


■“根性”について
精神力を消費して奇跡を起こす“根性”は非常時の底力としてPCを強力にバックアップする。
ただ野放図に使用させるとPCが強くなりすぎてしまう。そこで精神力の回復の機会を制御して“根性”の使用を抑制しよう。
キャンペーンの長さにもよるが、だいたい1シナリオで1〜2点くらい回復するのを目処にしよう。
非戦闘時のイベントにおいてPCがリラックスできる状況が生じたときは1D6くらい回復しても良いだろう。(イベント例としては、バカンスを満喫する、帰郷して家族と逢う、恋人と過ごす、などなど)


ニュータイプの扱いについて
結論から言うとニュータイプは導入しない方がゲーム管理をし易い。
だが、各種ニュータイプ専用機を使ってみたいプレイヤーは少なからずいるだろう。そこでニュータイプを導入してのセッション運営について書いておく。
まず、複数のPCをNTにするのは絶対に止めた方がいい。とてつもない数の敵機を一方的に撃墜していくだけのひどく面白味のないゲームになる。
小隊に1人だけNT値1レベルのPCを置く程度に留めた方が無難だ。ただ、NT値の効果は絶大だ。他のPCとのバランスを取るのは容易ではない。
そこで、非NTのPCには代わりに成長をしてもらうのだ。最初におよそ2〜3000程度の経験値を与えて成長してもらうといいだろう。
経験豊富なベテランのオールドタイプと経験ゼロのルーキーなニュータイプ。歴代のガンダムシリーズでもままある構成であり、プレイヤーも特に異存はないのではなかろうか。
ただ、ニュータイプのルーキーはPL1で開始したとしても、いずれ実戦を経験して成長する。成長してベテランに追いついてしまえば、最初のアドバンテージは消失する。そこはシナリオで調整しよう。
ニュータイプを導入してのキャンペーンは短い方が良い。3〜4シナリオくらいのショートキャンペーンが丁度良いだろう。
なお、シナリオ中でのNT値の成長も止めた方が良い。
NT値2レベル以上をPCに許可する場合、シナリオ中のイベントや戦闘において、ダイスの出目に関わらずセッション運営を十分にコントロールできるだけの技量をもったGM以外にはお勧めしない。

京都三日目。昨日までの不安定な天気とは打って変わって快晴である。
湖西線に乗り、比叡山坂本駅下車。まずは日吉大社にお参りする。
西本宮、東本宮と詣でて、奥宮に挑む。ここもまた峻険な山道である。
参道の頂には金大巌がそびえたち、それを挟むように三宮宮、牛尾宮が並んでいる。ここから望む琵琶湖は非常に美しい。
次いで、比叡山に上る。
……さすがにこれだけ山登りをしてきた上で登山道を行くと死んでしまいそうなので、ケーブルカーで東塔に向かうことにする。
東塔根本中堂に参拝し、文殊楼、大講堂、大書院を眺める。
遊歩道で西塔に渡れるとのことなので、てくてくと歩いていく。
山王院、浄土院、にない堂(常行堂・法華堂)、釈迦堂と拝んで廻る。
遊歩道はさらに横川まで延びてはいるのだが、4kmとある。これを徒歩で往復し、さらに京都まで戻ることを考えると時間的に厳しい。
残念ながら今回は断念することとする。次回は装備を整え計画の上、山王権現の麓から挑むことにする。
こうして、京都二泊三日の旅は終わった。

京都二日目。
朝からまず向かうのは一条戻り橋のたもと、晴明神社に詣でる。
一時期の陰陽師ブームも去ったのか、本来の閑静さを取り戻している。ついでに戻り橋も渡ってみる。
その後、てくてくと歩き、上御霊神社に詣でる。こちらは人気はまるでない。道中の無事を祈る。
さらに歩を進めて賀茂川を渡り、下賀茂神社に向かう。糺の森をしばし散策する。
その後、高野川を越えて修学院前駅から叡山電鉄鞍馬線に乗り、貴船口駅下車。貴船神社に向かう。
駅前からバスも出ているのだが、独り歩いて向かう。貴船川の流れが非常に美しい。
本宮、奥宮と詣でて、帰り道に鞍馬寺奥ノ院への参拝路を見つける。そのまま鞍馬寺に向かうことにする。
……険しい山道だった。上り詰めると僧正ヶ谷につながっていた。奥ノ院魔王殿に参拝し、さらに上って本殿金堂を目指す。
金堂前からの眺望は絶景である。帰路は正面の参道を下って帰る。
明日は比叡山に上る予定。

ようやく夏季休暇が取れたので旅に出る。
今回は久しぶりに京都に行くこととする。東京からのぞみに乗り一路京都へ。
現地に着いたのは13時過ぎだったが、何となく怪しげな空模様で、あまり遠出はできそうにない。
そこで、市バスに乗ってまずは蓮華王院に行く。
蓮華王院前の京都国立美術館は改装工事中で閉館していた。ので、三十三間堂を拝んでくる。
平日で観光シーズンから外れているせいか、割と空いていた。無数に居並ぶ千手観音像は圧巻である。
次いで、清水寺に詣でることにする。
雨が降りそうにないので、思い切って歩くことにする。
汗だくになりながら清水寺に着くと、こちらは大盛況であった。特に地主神社は、女性客がひしめいている。
音羽の滝も修学旅行と思しき学生が群れているので一瞥してスルー。
そのまま八坂神社に足を延ばす。
こちらは意外と空いていた。牛頭天王に無病息災を祈る。
帰り道に六道珍皇寺六波羅蜜寺に詣でて宿に入る。
明日は洛北に行く予定。

機動戦士ガンダムSEED BATTLE DESTINY』(バンダイナムコゲームス
プラットフォームをPS VITAに変えたガンダムバトルシリーズの最新作。
正直、SEEDシリーズは好きではない(初作を飛び飛びでしか観ていない)のだが、ゲームとしては面白そうなのでハードごと購入。
操作感は旧作と変わらないので、序盤は割とサクサクと進む。
問題としてはMSの名前と性能がさっぱり分からないので、敵として出てきても手強いか否かの区別がつかないこと。
ザク強いよ。びっくりだよ。
まず一周目は、連合→アークエンジェル→連合→アークエンジェルのルートで攻略。
案の定、フリーダム系は最強だった。
二周目はZ.A.F.T.で、三周目は連合でプレイした。
なお、もっとも苦戦したのは、意外にもZ.A.F.T.編だった。よもや、デュエルで最終戦まで戦うことになるとは……。
連合編は前半ストライク、後半カオスで戦い切った。
それにしても、ガンダム多すぎ。敵も味方もフラグシップモデルはぜんぶガンダムなのかよ。
しかし、MS設定は面白そうなので、いずれ時間ができたらTRPG化してみるかも。……いや、無いな。たぶん根気が続かない。