LLRのM-1 LAST YEAR〜M-1に向けてチャンピオンにネタのダメ出しをしてもらおう!〜 2017.9.13
第3回目にいってきた。
「3回目ですが、どうですか?」とMCの竹内に聞かれて、福田は「プロ野球で例えるなら、『肩をこわしている』」「ネタをこんなに書き直したことがないから、意味がわからなくなっている」などと言っていた。
竹内「まだわからないですね。大丈夫かもしれないし、肩をこわしているかもしれないし…」
今回のゲストはR-1チャンピオンのあべこうじと佐久間一行。
ゲストが発表されたとき、なぜ漫才師じゃないのかと訝しんだが、古くからの付き合いで自分たちを良く知る先輩として、所作などを見てほしいというLLRからの希望らしい。結果、それに見事に応える二人だったし、本当にLLRのために素晴らしいアドバイスをしていた。第1回から最終回のこのライブまで完璧なゲスト設定!!すごいドキュメンタリーを見た。M-1の結果に反映されればもっとすごいが…
一人暮らし
このネタは去年の8月の幕張ファクトリーで新ネタとしておろしたものだが、先日*1の幕張ファクトリーで2本目のネタとして、久しぶりにやっていた。翌日のロードtoM-1でも披露しており、3分にまったく収まらずタイムオーバーしていたので、この日は数カ所カットしていた。
- このネタの位置づけ
あべ「まず、自信ある?」
福田「初めてやりました」
あべ「こういうのどうですか?ということね」
M-1にかけるネタとして、自信を持っているようには思えないが、こういうネタもあるよ、という意味で今回やったのなら、まあ分かる、といった風のあべ。
- LLRを初めて見る人がどう思うか
佐久間「初めて見た人がどう思うか。僕達はLLRのことを知っているからいいけど…」
まず話しだすと、福田が暗い感じで、ボケなのはわかる。伊藤がツッコミなのも分かるが、どういうタイプのツッコミなのか。ボケツッコミなのか、正統派のツッコミをするタイプなのか、というのがなかなか分からない。自分の場合はこの人たちはどういう人達なのかという疑問が解決してからやっと笑えるようになるから、そういう疑問を10秒くらいで解決してほしいと思う。「伊藤ちゃんの感じが伝わりにくい」
あべ「ネタをやっているときの伊藤は違和感がある」
- 2分の1でスベるというくだりについて
(一人暮らしが寂しいならロボットを買えばいい、と伊藤が提案し、福田が自分がロボットと会話するのを再現する場面で、ロボットが福田が舞台でスベる確率は2分の1だと言う)
あべ:“スベッた”というとこを処理したほうがいいのでは?伊藤に「そんなにスベってなくない?」と言わせるとか。あのままだと、お客さんは「そうなの?そんなにスベってるの?本当に?」となるだろう。それが処理されずに流れている。
この部分、幕張ファクトリーのときは福田が自分で「2分の1でスベるってなんだよ。」って言っていた。それがロードto M-1では、伊藤が「2分の1でスベッてるの?スベりすぎだろ」と言い、福田が「そんなもんだろ。俺なんて」というような会話になり、今回はそこへの言及がなくなっていた。
- ネタの途中から話が変わる
あべ:途中から話が変わって一人暮らしの話から女の子に話しかける話になる。最初からそれでいいのでは。
元は違った。犬→ロボット→植物*2ときて、「(伊藤は)俺のことハメようとしてない?」「人間じゃないものばかり言ってきて…」というネタだったと福田。
あべ「なるほどおもしろいじゃん。なんでやめたの?」
やめた理由は「ウケなかったから」
あべ:元のままで1本化したほうがいい。
佐久間:しかし、伊藤ちゃんが(福田を)ハメるのはなんか違うだろう。キャラで見たら、福田がハメるほうが似合う。
- お芝居の伊藤漫才の伊藤本当の伊藤
漫才をしているときの伊藤は本当の伊藤ではない。本当の伊藤を出すべきである。
あべ「多い。伊藤に言葉は」
無理やりネタに合わせて伊藤がしゃべる必要はなく、伊藤ができるペースで言葉を発すればよい。もしも多くしゃべるのであれば、伊藤の間で。
あべ「お芝居の伊藤ができてない。本当の伊藤が漫才の伊藤に出てこない。本当の伊藤のお芝居ができてない。」
本当の伊藤を漫才中に出すためのお芝居ができていないという意味だと思われる。
福田:伊藤には多面性がある。先輩に見せる伊藤と、俺達同期に見せる伊藤と、後輩に見せる伊藤は全部全然違うと思う。
あべさく(二人)「それは分かってる!」
あべ:そうだろうと思う。でも初めて見ても本当の伊藤じゃないと分かるだろう。そこをクリアしないといけない。それがLLRはできてない。
あべ「このネタ絶対俺のほうが面白くできると思ったもん。それって最悪だろ?」
伊藤「うわー!」
例えばノンスタイルの井上なんて絶対井上じゃないと面白くない。俺にはできないと思う。そうでなければいけないだろう。
- どう改善するか
あべ:それを実現するには福田のプロデュースが必要か…
佐久間:または、ネタを録画して、伊藤が自分で見てみるか。見てみれば絶対わかるだろう。「伊藤ちゃんにはネタを見る力はある。」
伊藤はピン芸人の単独ライブの打ち上げに参加して、全員にネタのダメ出しをする。それがいつも的を得ている、と力説する二人。
福田:どうすればいいのか。ハメようとしているネタに戻して、ハメようとする人物を逆に?
あべ:それはなんとも言えない。やってみないと
部活
哲夫の意見を聞いて大幅改変。茶道部、手芸部、演劇部の3部構成をやめて、茶道部1本に絞っていた。福田の一人芝居でドラマ仕立ての体育会系茶道部物語が繰り広げられていた。哲夫に提案されたボケをそのまま入れることはなかった。
福田「練習のときより動きすぎて体力がついていかなかった」
- 茶道部だけにしたのは?
あべがこのネタは前は3つあったのに、部活を茶道部だけにしたのはなぜなのか、と。
福田がボケが思いつかなかったから3つにしたと思われるだろうと哲夫に言われたことを説明。一つの部活で追及してみた。「ただ、哲夫さんの言うのとはちょっと違う感じになりましたけど」
- お茶室でランニング
あべ「お茶室で走るところが(ボケがツッコまれずに)流れている」
20周走るのは狭くない?それなのに、そういう部分が全然処理されていない。
伊藤「一応言ってたんですけど…クチャってなっちゃって…」
あべ「もちゃってた!」
- 差引ができてない
あべ:ボケとツッコミの差引ができていない。会話するのか福田が暴走して、伊藤のツッコミを寄せ付けないのか、どちらかにすべきだろう。
- 客に向かってネタをしてほしい
佐久間:二人だけでやっている。もっと客席に向かってほしい。福田の一人芝居後に伊藤が「長いわ!」と言うが、客席にもそう思わせたい。客席も伊藤と同じ気持ちになれるようにすべきである。
- 細かい部分について
-
- お茶たての捨て方
改変部分で、重い茶筅*3を使って、捨てるシーンができた。そこについて。
お茶たては後ろじゃなくて前に捨てたほうがいい、とあべ。
福田「リアリティを追及しちゃいました」
竹内「よく漫画だと後ろに捨てるからねw」
あべ「いや、後ろに捨てたら見えないじゃん!」 - 半年間
後輩が「半年間がんばってきた成果を…」という部分について
あべ「半年間なにやってたの?と思う。」 - 先輩の名前
あべ:先輩の名前を玉露崎*4に言わせるべき。なんでもいいから先輩の名前を決めれば1ボケ作れるだろう。それを聞いた伊藤が「○○って名前だったのかよー」などとツッコめる。 - 後半いらない
あべ:一人芝居して、それを伊藤が「イッセー尾形かよ」とか言うくだりはいらない。
佐久間「いらないねー」
あべ:「1回仕切りなおしてオチだけいうやつ。LLRやるよねー大嫌い。部活だけで終わればいいのに」
- お茶たての捨て方
- 元のネタと改変したネタと
あべ「前のと今のどっちが好きなの?」
福田:今のほうが好き。元々3つに分けたりするのは好きじゃない。しかし、こっちのほうがウケづらいとは思う。
あべ「でも、なぜウケないのかは分からないということね〜」「それは、こっち(僕)も分からない」
竹内「分かるかのように言っておきながら!」w
佐久間:どうしても笑ってほしいというエネルギーが足りないのでは。
女子会
このネタは2回目の時の改変からまた更に改変されていた。前回加わった女子会を見ている37歳の福田はこわいというのは残しつつ、二人で女子会を再現する部分は減り、伊藤が福田にかみつく場面はなくなっていた。雰囲気としては元のバージョンに近い
- 前半と後半がつながっていない
このネタについて福田自ら「前半と後半がつながってないと思う」と。前半→女子会は怖いという部分、後半→それを聞いている福田がこわいという部分
「そう!それで、オチも効いてこなくなっている」と佐久間。(前半で再現した相槌は打つけど全然話は聞いていないというのをオチでも使っている※石田案そのまま)
前半の女子会に異常に詳しいところをつきつめれば、ネタ中に福田を「こわい」と言わなくても怖いヤツになっているだろう。女子会ベストも聞きたかった。
女子会ベスト(福田が作成しているという録音した女子会で最も怖かった女子会ベストアルバム※新しいくだり)
- 前半か後半か
あべ「前半と後半どっちが好き?」
今に関して言えば、後半が好きだと答える福田。しかし佐久間としては、入り口を膨らませたい、と思う。
福田:もはやこのネタに原型はない。
あべ:女子会のどこが恐ろしいかのラインでやっていったらどうか。「39年一人でいたんだから〜」のくだりのように、そこ?という部分を重ねていくのは難しいのか。
- 細かいこと
女子会を録音しているのは犯罪だろうのくだりで、福田は「バレないから犯罪じゃない」と弁明するが、そこは「俺も女子会の一員だから」だろう、とあべ。(福田が女子会の一員のように錯覚するくだりがあるから)
福田「バレなきゃいいってやつが一番ヤバいから…」
あべ「本当にヤバいヤツやらなくていいから!」
- 根本のライン
あべが「やっぱり構成なんだよねー」と言うと、福田は「いろいろ変わっていってるから…」と。
佐久間:でもネタとは、そういうものだと思う。変わっていくもの。
あべ:でも、自分たちは根本のラインは変えない。佐久間もそうだろう。自分の面白いものを突きつめてチャンピオンになっている。面白いと思っている部分をなくしたり変えたりはしない。
- 福田のネタ作りのスタンス
福田はネタを作る際に、できることとできないことで分けているかもしれない、と。やりたくてもできないと思ってしまう。あべになぜそう思うのかと問われると、少し考えてから、「伊藤のやりやすいようにやっているのかも…」と言うのだった。
あべ「伊藤はやりやすくてもできないから!」
佐久間は、福田のやりたいことに伊藤は全ノリすればいい、と断言。
- ネタの尺と伊藤のツッコミ
普段のネタ作りにおいて、LLRは福田がネタを書いて、伊藤に「こう言ったらどう言う?」と聞いて、ツッコミ台詞を決める。しかし、そういうやり方で作ったネタは賞レースの尺に入らない。
あべ「福田の言ったことをつままなくてよい」(おそらく福田の言葉一つ一つに構っていかずにという意味)そういうのを切れば入るだろう。
佐久間は、普段の寄席から時間を守るように訓練すればよいと。LLRは5分ネタのところ毎回6分とか7分とかやるから。
あべは、伊藤は自分のターンが多いとは思わないかと聞くのだった。伊藤としては“間を埋めてる”気持ち。「笑顔がないのは?」と問われれば、「笑おうと思ったことはない」と答える伊藤。
あべ「漫才のとき怖い」
とにかく伊藤はそんなに発言しなくてよいというあべさく。
- 福田は今のままでいいのか
福田は今のままでやって、伊藤をおいてちゃったときの処理ができればいい、とあべ。
福田「待っちゃいけないときに待っちゃう」
二人「今日もあったー!」
あべは、それはいらないやりとりがあるから待ってしまうのだ、と。
福田「それは全然わからなかった…」
伊藤「自分たちでは会話してるつもりだった」
- 福田の覚醒
結局のところ、とことんM-1に寄せるか、変えたくないなら突き抜けるか。M-1が終わった後のことを考えたらそれは大切なことだとあべ。
佐久間もそうだと。R-1に寄せてネタを作っていたが、ウケているのに落ちたりしていた。芸人はウケることが成功だと思っていたのにダメなのか。それで、「R-1のほうが後輩なのになんで寄せなきゃいけないんだ!」と思い、自分のおもしろいと思うことを貫いたら優勝できた。
福田「それしかない。ない気がしてきた!」
「覚醒しました!」
女子会のネタはM-1のネタをお客さんや芸人に聞いて決めようというライブで選ばれたネタ。今年はみんなにまかせて決めてもらおうと思った。なぜそう思ったかというと、去年は3回戦で自分が一番面白いと思うネタ*5をやったら落ちたから、人の意見を聞いてやってみようと思ったのだと。
「なんとなく違和感はあった。正直言うと女子会のネタを面白いと思ってない!」
「わかった!自分は自分が面白いと思ったことしかできない!このネタじゃない!」
と台本投げ捨てる福田w
あべは、そこで面白いと思ったネタの面白さがなぜウケなかったのか、と考えなかったのかと言うのだった。
福田「俺の感性は一般の人間に合わないんだなと」
竹内「格好つけるな」
面白いと思うものを伝えることが技術なんだと伝えるあべだったが、そこはもう福田の耳には入っていない感じだった。
福田「奇跡がおきる!」
ED
一人暮らしのネタのときも言われていた伊藤は自分のネタを見てみるべきだ、という話から、伊藤はアドバイスも上手くて、佐久間の井戸のネタも伊藤が「音楽のネタやったら?」ということでやったのだと*6
そこで福田が、ネタ全部録画して、伊藤に俺も両方にダメ出ししてもらえばいいですね!と。よさそう。
福田「なんかいける気がしてきました。おとついまでは決勝いけるなんて1mmも思わなかったけど…」
伊藤「昨日はどうしたんだよ」
福田「昨日はネタ作っててそういうこと考えられなかった」
福田「なんか頭の中で音が鳴りましたよ!」
あべ「椅子じゃない?」
竹内に、はっきり「決勝いきます」と言えといわれて…
福田「運命に影響して変わっちゃうかもしれないんで、なんとなくにしておきます!」
最終的には歯切れが悪い…w
ライブ前半でLLRを15年見てきたあべさくに“全然できていないこと”を突き付けられ、改善の余地なしじゃないかと、かなり泣きそうになったが、どういう風に直せばいいのか、直せないならこうすればいい、ということをアドバイスしてくれたし、結局このネタじゃないという当初からの問題にLLR(福田)を気づかせ、希望を与えてくれたのだった。
今回とても興味深かったのは、「どう思っているのか」というあべの質問に答える福田が言葉にしてみて初めて気づいたことがあるのかな?と感じたこと。
たとえば「伊藤がやりやすいようにやってる」というのも、無意識でやっていたのではないか。そして、伊藤の方は自分のやれることやれないことについては考えたこともなくて、福田の思う通りにやらなければ、と過剰に思っているところもありそう…
世間に伊藤がどう見えるか、というのは近すぎる福田にはもう分からなくて、伊藤本人のほうが見えるかもしれないなーと思った。だから、映像を見るのは本当によさそう。
しかし、チャンピオンたちが言うことは4人とも同じだったなー
「自分が面白いと思うことをやれ」
いや…なんだかすごく感動したけれど……よく考えたらなんだったんだ…
LLRのM-1 LAST YEAR〜M-1に向けてチャンピオンにネタのダメ出しをしてもらおう!〜2017.7.13
LLRが前回のNONSTYLE石田に続き、今回はパンクブーブー哲夫からダメだしを受ける。
福田いわく「パンクブーブーさんは僕らの始祖」
LLRはお笑いを全く知らずにNSCに入学し、卒業後ルミネのゴングショーに出ていたが1年半の間、1度も勝つことができなかった。そんなとき、友達*1に先輩の単独ライブを手伝わないかと誘われ、手伝ったのがパンクブーブーの単独ライブだった。そこでパンクブーブーのネタを見て、「漫才はこうやって作るのか!」と学び、真似してやってみたところ、ゴングショーに受かるようになったと。
福田「あれがなかったら、僕ら確実に辞めてますから。歌舞伎町でホストやってますよ」
哲夫「それで何年かしたら(単独の手伝いに)来なくなって。もうお前らから学ぶことないって。それでラストイヤーになったら『もう1回くらい聞いて利用してみるか』っていうことか!」
そして、哲夫は「アドバイスすることは1つしかない。石田の言うことをちゃんと守れ。間違いない」と。
今回LLRがダメだしを受けたネタは「部活」「パン屋」「女子会」の3本。
前回やった「パン屋」と「女子会」は石田の意見を取り入れて大改変していた。その改変部分も合わせて書く。そして前回はやらなかった「部活」のネタ。この場でこのネタをチョイスするLLRの感覚に、だからコレを今年M-1でやるのおかしいだろ!!と憤ったが、結果的に他の2本と比べられて興味深かった。
部活
このネタは前回披露していないので、新たな改変はなし。少し前からの変更バージョン、茶道部が卑しく、針山からボビンになっている程度。
ダメ出し
- 「俺だったら1つでいく」
まず登場する部活が「茶道部」→「手芸部」→「演劇部」と3つあることに関して。
笑いは階段になっていくべき。1段で10の笑い、次の段に上がるとまた10積みあがって20になる。5段上がったら50の笑いになる。50までいくと、同じ話題ならそこからは小ボケでも50の笑いのままでいく。しかし、例えば3段の段階で話題を変えると、どんなにおもしろいボケでも30から40に積みあがることはなく、一旦リセットされて、10から始まることになる。(これはホワイトボードに階段の図を描いて説明していたw)
お客さんもその話の続きを聞きたいと思っているのに、別の話題になってしまうから一旦リセットされてしまう。
そもそもこのネタは部活を変えただけで同じボケをしている。
- 審査員から見ると
茶道部のボケが無くなったから別の部活にいったと思われるだろう。
審査員にボケが無くなったと思われるという部分に関して福田が「(そんな風に思われるなんて)知らなかった…」と言っていた。
- ツッコミについて
これはパン屋のネタにも言えることだが、伊藤が「ちゃんとやって」というツッコミをする。「ちゃんとやって」というツッコミをする人はよくいるが、実は一番ダメなツッコミ。なぜダメなのかというと、ツッコミというのはボケを減らしていく作業だからである。
基本的にボケはツッコミの言うことをきかないと漫才は成立しない。ツッコミの言うことをきかないボケはただギャグをやっている人になってしまう。
例えば面接のコントがあったとする。面接官(ツッコミ)が、受験者(ボケ)に「座れ」と言う。すると受験者(ボケ)は椅子の横に立膝で座る。面接官(ツッコミ)は「いや椅子に座れ!」とツッコむ。するとボケは次は絶対に椅子に座らなければならないので、椅子には座るが後ろ向きに座る。するとツッコミは「逆逆!」とツッコむ。ボケは後ろ向きに座れなくなるので、今度は椅子の上に正座する……というように、ツッコむことでボケが狭まっていく。その中でボケることで笑いが生まれる。だから最初から「ちゃんとやれ!」というツッコミをされたら、ボケは何一つボケることができなくなって、言葉通りちゃんとせざるを得なくなる。
これはお客さんの視点からも同じことが言える。お客さんも次のボケを予想しながら見る。ツッコミによって狭まっていくボケを次々予想し、想像できなかったボケが出てきてウケるのだ。
だから「ダメだよ」「ちゃんとやってよ」という曖昧なツッコミではなく、どうしてほしいのかを具体的に言うと、次のボケのフリにもなる。
- 伊藤のツッコミは思い込み
「茶道部にはイヤなやつなんていない」というが、そんなことないだろう。伊藤の思い込み。ツッコミはお客さんの気持ちの代弁である必要があるのに、これではお客さんが伊藤の味方にならない。最初のツッコミが思い込みだから、その後、福田の演じる茶道部のヘンなやつに対して伊藤が「そんなやついない」とツッコんでも説得力がない。「伊藤のヘンなセリフでおかしくなっている」w
- 最初のフリ
「青春ていいですよね。部活は青春でしたね。でもイヤな先輩もいましたよね」という最初のフリ。
最終的にどうなったら正解なのかがわからない。最初にお客さんも正解を思い描けたほうがよいだろう。
例えば「先輩のしごき厳しかったよね」「僕は耐えられるけどね」とか、“しごきに耐える”という具体的なことを提示する。ここから具体的に哲夫ならこういうネタにするというデモンストレーションがすんごい!
茶道部ならどうしごくか。
ボケ「声出してけ〜」(手芸部の部分で実際にあるボケ)
ツッコミ「茶道部なんて声出しないだろ!」
ボケ「結構なお手前で〜(大声)」
ツッコミ「大声で言うことじゃない!わびさび考えろ!」
ボケ「ワビッサビッ(ランニングの掛け声風に)」
ツッコミ「茶道部ランニングしないから!!」
なんやかんやあって…
ボケ「(遅刻してきた後輩に)正座しろ!!」
ツッコミ「元々正座してんだよ!!」
もうパンクブーブーのネタだよ!!ちょうおもしろい!
哲夫「あと野球部だとケツバットとかあるかもしれないから、ケツししおどし…とかね」
福田「けつししおどし…(メモする)」
竹内「そのままメモしない!これ哲夫さんのネタだから!」
パン屋
前回の石田ダメだしによって、大きく改変されていた。まず、伊藤の死んだ妻の名前が「みさこ」から「ようこ」に。*2 そして福田の購入するパンは30個から12個になり、畑に埋められた妻以外に「モモコ」という子供が登場。双子のパン屋やうどん屋をやりたかったパン屋の設定はなくなり、死んだ妻を冷蔵庫に入れたパン屋だけになっていた。以前はうどん屋をやりたかったパン屋に焼きそばパンを買いに来る高校生は、警察官風にやってくるように変更。
これは見ているファンとしては大分アツくて…すごい良くなってる〜!と思ったのだった。石田のダメだしを福田なりに取り入れて、面白くなったと思った。購入するパンの数を変えりゃいいってもんじゃない…とは思いつつ、子供を登場させて個数を増やすという上手くはないけど苦悩は感じられたし…*3
なにより、伊藤の反論が大分自然になっていていて、前回のライブ中は「福田、全然わかってないんじゃないの…」と思ってしまったが、ちゃんと分かってたんだなーという風に関心したり*4。
部活のネタの際に哲夫が言っていた、テーマを一つに絞れ!というのが、まさにパン屋の改変では行われているじゃないか!だからパン屋の改変は面白かったんだなー!と思ったり。しかし、哲夫のダメ出しでは本質が見えてくる……
ダメ出し
- 何をしたいネタか分からない
「パン屋の練習」とは何をするのか分からない。これもまず何をしたいか最初に正解を示す必要があるだろう。「ヘンな設定だからヘンな客が来てもおかしくない」→「だからヘンな客に対応しよう」とか。
- そもそも奥さんを冷蔵庫に入れているパン屋を(ツッコミが)受け入れたら、もうその後何をしてもいいのでは?
「パン12個ください」に対してツッコミが「一人で12個も?!」って言うけど、冷蔵庫に奥さん入れてるんだから、もうパンが多いとかどうでもいいよね。ww
前回も石田に指摘された「一人で○○個も?!」である。そして、哲夫の“そもそも”が根本を揺るがす。
- 初速が遅すぎる
最初のボケまでが長すぎるだろう。自分としては最初の10秒でボケがないとダメだと思う。賞レースのお客さんはネタをたくさん見て見飽きているので、最初のボケまでに時間があると「ボケない人だ」と思って興味を失う。最初の1分間ボケずにいても大丈夫なのは超有名な人だけ。有名な人ならお客さんは信頼して待ってくれる。最初にギャグをやる人もいるが、それはもろ刃の剣である。ギャグがウケなかったら、その後、ネタが面白くても全くウケなくなる。最初の10秒で出すボケはたいしてしてウケなくてもネタ中のボケならよい。この人はボケる(面白い人だ)と思わせることができればよい。
- 伊藤のツッコミ
部活のネタの際にも言ったこと。「ちゃんとパン買いに来て!」というツッコミは、ボケとしては「じゃあ、(ボケずに)ちゃんとパン買いにいってもいいの?」と思っちゃう。
- 警察手帳のくだり
生徒手帳を警察手帳のように見せるくだりがあるが、本当ならその時点で生徒手帳だと分かるので、「高校生じゃねーか!」となるのでは?そこは警察手帳を見せるのではなく、演技でもって、端々に「ホシが…」などのセリフを入れることで警察を匂わすのがいいだろう。*5
- 伊藤のツッコミ2
「パン屋に学割ないわ!」というツッコミ。学割をやってるパン屋はなくもないだろう。また伊藤の思い込みツッコミである。
伊藤「(ツッコミは)人生でやってるんで」w
人生でツッコんでた!!
- このネタの何を面白いと思って作ったのか分からない
これを指摘された福田「そうなんです…自分でもわからなくなって…。そもそもドラマのワンシーンをやっただけのネタで。まだ手探り状態。“伊藤が死んだ奥さんを隠してる”のが面白いのか、“パン屋の客”が面白いのか、“異様(死んだ妻を冷蔵庫に隠してる伊藤)vs異様(死んだ妻を畑に埋めてる福田)”が面白いのか3つで悩んでいる。
哲夫はそれを聞いて「だろ??」と。やりたいことが見えてこない。やりたいことは最初に決めておかないといけない。M-1の3.5分の間でできるのは、多くて2コである。
そして、このネタを作ったときにやりたかったことを福田が思いだすのだった。
元々は「異様な設定でパン屋をやらせるが客がパンを買わない」というところが面白いと思った。「ヘンなパン屋に『おにぎりください』って」しかし全然ウケないので、そこを切ったのだと。それを聞いた哲夫は「そんなネタ捨てちまえ!」と。自分が面白いと思った部分をブラッシュアップすべきであって、そこがウケなくても残してウケるようにするべき。自分が面白いと思った部分を切ってしまったネタなんて捨てちまえ。15年もやっていて、面白いと思ったことは面白いはずなんだと。
「おにぎりください」についてのねじれ現象はまるまる1日LLRのときにも思ったが、ファンはあの部分好きだったんだよ!モリエールで初めてパン屋のネタを見たとき、“妻が死んだことを受け入れられなくて妻の死体を冷蔵庫に入れていたらなんだかパンが美味しいと評判になってしまったパン屋”とかめちゃくちゃ複雑なコントイン*6しておきながら、最初のボケ「おにぎりください」かよー!!!LLR最高だな!!と思ったよ。ウケないと判断したのはなんだったの?と問い詰めたい。
女子会
石田に言われた通り、伊藤が「女子になりたい」というフリはなし。このネタも大分改変されて、以前は福田が一人で女子会の再現していたが、それを二人でやる部分が増えていた。そして女子会を見ている37歳のおっさんは怖いというくだりを追加。伊藤との掛け合いを増やすためか伊藤が福田にかみつく場面が多くなり、女子会の再現中に話題を変えるときは「ウチのワンちゃんが…」と言うようになった。オチは石田案をそのまま採用。
ただ大幅な改変も、パン屋と違ってこのネタは面白くなっていなかった。以前より格段にウケなくなっており、なんということ!と思ったが、哲夫のダメ出しによって理由が見えてくる。
ダメ出し
- 何をやりたいのか
パン屋同様、このネタも何をやりたいのかテーマがはっきりしない。「女子会あるある」なのか「気持ち悪いヤツ」なのか、「(伊藤が)ボロッかす言う」部分なのか、どれが一番やりたいのか。
これは石田にも言われていたと思う。遡っては、まるまる1日LLRでM-1のネタを決めるライブにて、ポイズン吉田に言われていたことにも通ずる。*7ずっと言われているけど、変えない理由もなんとなくわかる。完全に女性を敵にするのはイヤなんだろうな…という。
- 「こわい」をテーマにしたらどうか。
「女子会こわい」で始まるから、最後にお前(福田)のほうがこわいとなって終わるようにする。
- 逆に伊藤の思い込みツッコミをつきつめる
二人で女子会をやったときに、伊藤のツッコミが思い込みであるならば、「どこでワンちゃんの話を入れるかが女子会だ」くらいの極端なことを言ってもいい。
そして「王貞治でワンちゃん違い…」などどんどんワンちゃんでネタを広げる哲夫。
ものすごい速さでツッコミの台詞を含めてボケを考え出していき、客席も舞台上のLLRもMCの竹内も圧倒されていた。竹内「もうみんな『すごい…』としか言えなくなっている」
さらに哲夫は「こわい」をテーマにしたら…?と言ってその方向でまた恐ろしいスピードでネタを作っていた。湯水のようにネタを生み出す哲夫。鉄人。しかし、この「こわい」という部分は今回の改変でできた部分なので、元々このネタで何が面白いと思ってこのネタを作ったか…という点は解決されず……
「石田さんが哲夫さんは『少ない材料でフルコースを出せる』*8って言っていたけど本当にそうですね」と伊藤が言っていたが本当に一瞬でフルコースができる状態を見せてくれた。
3つのネタのダメ出しを聞いてみて、前回石田のダメ出しを参考にして大改変した「パン屋」と「女子会」に哲夫から「このネタの何を面白いと思っているの?」という質問が出たことが、もう…すべてなのでは……。M-1用に改変したけれど、結局それは自分が面白いと思った部分じゃない、という……。
哲夫は、最後にLLRならテクニックである程度いくだろう。ただテクニックでウケても準決勝あたりまで。なんかしらのひっかかりがないといけない。だから、1つ推すところを作っていく。自分らの推すところを決めろ、と話していた。
8月から1回戦が始まるのにもう遅いと哲夫が指摘していたが、なんかもう…LLRがM-1どうなるか、という部分は割とどうでもよくなって、自分たちの漫才をネタに差し出て、レジェンド二人の話を聞ける機会を作ってくれたLLRに感謝するよ…という気持ち。とはいえM-1応援してるよ!!9月頃3回目をやる予定とのこと。楽しみで漏れそう。
LLRのM-1 LAST YEAR〜M-1に向けてチャンピオンにネタのダメ出しをしてもらおう!〜 2017.6.12
あまりにも面白かったので記録を残しておくことに。
このライブはタイトル通りM-1ラストイヤーのLLRがチャンピオンにネタを見てもらってダメ出しされよう!というありそうでなかった贅沢な企画。友人が吉本だからできる企画だよね〜と言っていて、たしかに!と思った。
今回のゲストはNONSTYLE石田。ここはやっぱり石田さんでしょう!とオファーしたと福田。一番期の近いチャンピオンでもある。石田曰く「ちょうど相方がいなくて一人だったので受けやすかった」とw
MCはおなじみ竹内健人。LLRと自分は同期で15年目。2002年からやっている。「ここ(客席)に20歳の子いると思うけど、その子が5歳のときからやってる。2002年に生まれた犬だったら大体死んでる」と言っていた。
LLRは楽屋で石田に「膝がガクガクいうくらいダメ出ししてやる」と言われたそう。M-1の本番だったら脅されないけど、今日は脅されているから本番より緊張するとおびえるLLR。
石田は「LLRのファン大丈夫?」と心配していたが、LLRのファンはLLRが苦しめられているところを見たがるので大丈夫だと福田が説明し、竹内も「本当にそうです。LLRのファンはLLRのライブでLLRをスベらせますから」と同意していた。だから大好物だろうと。
今までは誰の意見も聞いてこなかったが、ラストイヤーは他力本願でいこうと決めたと福田。
伊藤「一番ダサいですよね。最後までポリシーを貫き通すわけでもなく…」w
LLRは3本連続でネタを披露。石田は客席から鑑賞。漫才の台本を渡されている様子。わー!
ここからネタばれなど関係なしに石田からのダメ出しを詳細に書くので、「結婚式の二次会」「パン屋」「女子会」のネタを見たことがない人は読まないでほしいし、見ていないと全く意味が分からないと思います。書いてすみません…
結婚式の二次会
伊藤は「本番以上に緊張した」と*1。石田「1本目緊張してたなーw」
- ネタの入り
福田が「がんばっていこうと思ってますけど…」と言うが、あんな落としたトーンで言うなら言うな。ルーティーンで言っちゃうのかもしれないけど、聞き心地が悪い。お客さんは最初のトーンでその後も見るから、落ちたトーンのままネタを見てしまう。
前に浅草で同じようなことを巨人師匠にも言われていたのを見たことがある。そのとき福田は「ヒトラーの方式で最初は聞きづらく入って、人をひきつけるためです」と口答えしていたが、今回は「癖で最初になんかモゴモゴしちゃうんですよね」と素直に聞いていた。
- とにかくネタに入るまでが長い
「最近結婚できない人が増えている」→「結婚相手を探すのによい場所がある」→「結婚式の二次会です」というところは「結婚式の二次会で出会って結婚する人が増えてるんですよ」の一言で済むだろう。
- なにより「結婚したい」と言っている伊藤が結婚しているのはどうかと思う。
誰もそんなこと知らないよ、というのであれば、最悪指輪は外さないといけない。
-
- たとえばこれをM-1の予選でやったら
伊藤が結婚していることを知っているお客さんと知らないお客さんがいる。そうすると見ている人に温度差が生まれ、それがよくない。人によってウケ方が違って「客席でガタガタとノッキングがおきてまう」のは避けたほうがよい。
- たとえばこれをM-1の予選でやったら
この件は以前からファンの間でも言われていることだよねーと思いながら聞いていたが、石田の視線は当然ながらもっと奥まで届いていて、客席の温度差をも視野にいれているのだった。指輪を外すだけじゃすまされない。すごい。
- 昨今の傾向として、漫才は人間性を出さなければいけない。
だから伊藤が本当に思ってないのはダメ。現状は2人のぶつかり合いにならずに「2人で一緒に面白いネタを作ろう」になっている。
- 二次会のコントの入り福田扮する女が「どうも〜」と言う場面
とても好きだが削ろうと思えばできる。最初から「キレイね〜」でもよい。ただ面白い部分なので、他に入れたいボケがあって最終的に削らなければならない場合に最悪削れるよ、というくらいで。
- とにかくムダは省け
ムダのある5分ネタをやるなら、ムダなく3分で終わらせたほうがいい。
- 「ババアじゃねえか」について
めちゃくちゃ面白いが、M-1で「ババア」は評価されづらいだろう。審査の際にマイナスしやすい。「まず上沼恵美子は評価しない。カミナリみたいになる可能性がある」w
福田「決勝では評価されないってことですね?そこまではいけますか?」
石田とLLRの目線の違いを感じることに。
- 決勝で優勝する用のネタと準決勝で勝って決勝に出るまでのネタがある。
優勝する用のネタは準決勝から勝ち上がるのが難しい。決勝を見ていると優勝を見据えて作られたネタと決勝に行ければいいという目的で作られたネタがわかる。前回のM-1で優勝する用のネタを作ってきたのは決勝の決勝に残った3組と、それ以外だとあと1組だけだったと見る。
あと1組誰だ!?と会場の人全員が思ったはずw*3
- 「ババアじゃねーか」のツッコミは伊藤っぽくない。
これはLLRのファンからすると、伊藤ちゃんは言いそうだと思うけど、「ババアじゃん」くらいの感じか。
- 「ババア」の年齢が定かじゃない。
オレオレ詐欺のくだりで、「息子に300万円振り込まなくちゃ」というワードがあるが、孫の結婚式に出ているということは、息子はいくつなんだと感じてしまう。
これに対して、福田は「年齢設定はなかった。考えたこともなかった」と言っていたが、このネタが最初に作られた頃はこのオレオレ詐欺のくだりはなくて、結構なおばあさんの設定だったと思う。*4意識していなくても、なんとなくの無意識で年齢設定はあったのではないかな?無意識だから改良していくうちに年齢設定がなくなったのでは。そして、そういうの気になる系のファンも改変を一緒に見ちゃってるから年齢設定のおかしさに気づかないという。ファンが気づいたから変わるもんでもないけど。
- 「300万円振り込まなくちゃ」というワードの前にオレオレ詐欺だと気づかせたい。
例えば、電話がかかってきて「息子が交通事故に…」とか…
これに福田がすぐに「それいいっすね!すぐ使える!」と。竹内が「そうですか?どんな風に?」と訊ねると、「息子から電話が…」「交通事故ですって!」「すぐ300万円振り込ま……」あれ?となっていた。すぐできないじゃんw
- とにかく、福田には演技力があるから「言葉を使うな」
石田「福田は演技力があるから!福田は!」
伊藤「文脈で察しました。そういうことですね?」w
- 「オチが嫌い」
これは3本共通で言えること。「終わらせにいってるだけ」
-
- 福田「俺オチ考えるの苦手なんすよ。オチだけで2時間くらい悩む」
石田「それで全然良いオチ思いついてないやん」
- 福田「俺オチ考えるの苦手なんすよ。オチだけで2時間くらい悩む」
-
- 最後のオチで盛り上がって終わった方がいいに決まっている。石田の一番嫌いなオチは「お前なにができんねん」「漫才しかできん」というもの。
石田「大っきらい!!安易に考えやがって」w
- 最後のオチで盛り上がって終わった方がいいに決まっている。石田の一番嫌いなオチは「お前なにができんねん」「漫才しかできん」というもの。
- LLRには二人とも笑いが収まってから次にいくクセがある。
「おさまる前にケツをくっていけ!」収束しないうちに次にいくと盛り上がる。
そういう話に、福田が「気づかなかった。考えたこともなかった」と言うと、石田は「それは才能があるからだ。」と言うのだった。自分は才能がないからめちゃくちゃ漫才を研究したのだと。才能のある人はそういうのがなくてもなんとなく笑いが取れてしまうから研究しないのだと。「才能のある人ほど努力してほしい!」とのこと。
竹内(MC)「人を褒めて教えるのも上手いですね〜」
最終的に福田が、石田の意見をすべて採用すると、このネタは6行くらいになってしまう、と言っていた。
パン屋
- これも入りがおかしい
パン屋をやりたいと伊藤が言って、福田が「じゃあパン屋の練習をしよう」と言うと、伊藤が「パン屋の練習??」となる。「お前さっきパン屋やりたいって言っただろ!」。
-
- 会話としては正しいのかもしれないが、今は漫才のルールというのが知れ渡っているから「パン屋をやりたい」と言ったらパン屋のコントに入るものだとみんなが思っている。だから不要。
- 福田がヘンな設定をもってくるので「パン屋の練習?」となった伊藤の不安が的中する形になるのもおかしい。*5
- ヘンな設定をもってこられて、伊藤が「どういうこと?」と戸惑うものの嫌がらず否定しないのがおかしいだろう。伊藤がパン屋をやりたいはずなのにやりたい感じがない。二次会のネタに続き、伊藤の内面が出ていない。
- このネタをM-1決勝でやった場合、このヘンな設定で客席から「ヒェー」という声が上がる可能性がある。決勝のお客さんは準決勝のお客さんとは違う。ヘンな設定に「ヒェー」という声をあげる。お笑いファンはそこが面白いと思って笑うが、決勝は違う。最初でひかれる可能性があってリスキー。準決勝ならいいだろう。これを準決勝でやるなら決勝では別のネタを2本用意する必要がある。
- 「パン30個ください」というくだりについて
これは「1人でですか?」と聞かれるためだけにあるのでは?しかし30個はそもそも2人で食べるにも多いだろう。また「1人でですか?」なんて普通は聞かない。
パンの個数に関しては、物凄く思っていたので言ってくれてありがとー!!という気持ちになった。しかし石田の指摘は「1人でですか?なんて普通は聞かない」というところにまで。たしかに。
福田はこの指摘をされて、「じゃあ6個にします」と言っていたが、その場で食べるわけでもなし、パンを大量に買うことはおかしくないので、(イートインならわかるけど)「1人でですか?」と聞かないで、この客が多めのパンを買うことが不自然な設定を作らなきゃいけないということなのでは。
- 伊藤の死んだ妻「みさこ」と福田の死んだ妻「みさえ」の名前が紛らわしい。
福田「できればみさこを変えてほしい。前はよしこにしたこともあるが、『ね、みさえ』にはみさえが一番しっくりくるから」
竹内「じゃ、伊藤、変えられますか?」
伊藤「いや〜みさこは譲れないな〜」w
- ここがピークなのだから、一旦落ち着かせずに次にいったほうがよい
福田の妻が畑に埋められている部分から一旦落ち着かせて次にいくのはもったいない。
-
- 双子のくだりに入る際も伊藤の気持ちがない。
もう少し抵抗するなどしたほうがよいのでは。
- 双子のくだりに入る際も伊藤の気持ちがない。
- 焼きそばパンのところはもっと伊藤に熱量が欲しい。
コントの中の伊藤なのか、LLRの伊藤本人なのか、どちらかにしたほうがよい。どちらがよいかは舞台で試してみて決めたら。
伊藤も実際今はどっちつかずでやっていると言っていた。実際にやってみてと言っているのに、全面的に委ねようとする福田は「で、どっちがいいですか?」と。竹内が「やってみてって言ってるだろ!!」と叱っていた。しつこい福田に石田は「うーん…伊藤は言わなそうだから、コントかな?」と答えていた。
- やはりオチがダメ
尻すぼみ、伊藤の苦笑いで終わるw
女子会
ライブの時間があと5分となってしまい、女子会のネタについては大分駆け足になっていた。
- ネタの入り「理由が軽い」
「生まれ変わるなら女の子になりたいんだよね」→「なんで?」→「女子会とか楽しそうだから」というのは女子に生まれ変わりたい理由としては軽すぎる。このまま使うなら「女子会とか楽しそう」の後に福田が「それだけ?」と聞き返し、女子会はそんなに簡単なものじゃない、という風に話をもっていく方がいいだろう。
また、そこを含めた最初のおおよそ5行くらいについて、カットして全部で2ターンでいける、時間がないから楽屋で言う、と石田。
聞きたかった。
- 「伊藤が女の子に生まれたいと思ってない」「思っているように見えない」
これについても伊藤の人間性が出ていないという話。
- 今は福田の演説を聞くだけになっていて、伊藤はそれを促すだけの役割になってしまっている。「伊藤のサクラ感」。漫才なのだから二人が衝突しながら、伊藤が福田の言いにくいことを言って、それでも福田が上回ってほしい。
ここまで何度も会場から拍手が起きていたが、ここでは一番大きな拍手が。
- 言葉で説明しすぎる
「女の子は話を聞いているようでいてそれは次にする自分の話を考えている」という場面は、演技でもって話の準備をしているシーンを見せればよい。福田は演技力があるのだから、演技で説明しろ!見ている方も想像しやすくなる。
- 会話のラリーがすごいという説明の際の例えについて
「NBAくらい」と言うが、「ラリー」の説明としてバスケは一般的じゃない。どちらかというとラリーはネットを挟んで打ち合うイメージなのでは?そこで盛り上がるならいいが、大して盛り上がらないのだから、いらない。
- 「スターバックス」という名前がでてくるが、企業名やめたほうがいい。自分達のためにも。
- 「映像をご覧いただこう」はいい。やっていくべき。
これはまるまる一日LLRのときにも審査員たちが言ってたよね。
- 女子会再現の最後に福田が「このスタバを爆破してください」と言うところ
あれは見る人によっては“福田本人”だと認識するのに時間がかかるだろう。女子会の再現の続きのように見る人がいると思う。「自分が思っているよりハマらないなーと思ってるやろ?」
福田「なんでそう思ってるって、わかったんですか」w
-
- それが分かるように「女性の内面をたたいとく」そうすると福田の意見だということが分かるようになる。
「内面をたたく」というのが素人にはどういうことなのか分からなかったが、再現のときの女性の演技を磨いて、福田本人との違いを分かるようにしておくということかな?
- このネタはちょっと若い女性に寄りすぎてから、全方位にアピールするためにはどうするか考えないといけない。
- オチがダメ(3度目)
例えば…話を聞いているようで聞いてない演技で次のネタ考えてるとかね!
この3本だったらどのネタがいいかと石田にしつこく訊ねる福田。
石田は苦い顔で全部作り変える必要があるが「まあ…パン屋はダメかな…」と言っていた。正直全部ダメなんだろう…。3本の中なら女子会が一番福田らしさがあってよいかもしれないというニュアンスであった。
とにかく石田氏の凄さを目の当たりにした。ネタにおいて大切にすることの優先順位が明確にあるから話に説得力があるし、結果を出しているから持論に自信がある。言葉にして説明するのがとても上手くて、それだけで芸と言っていいのでは。
ライブの雰囲気と石田氏のダメ出しだけを書き留めておこうと思ったのに、大分自分の思いも漏れ出てしまったが、他にもめちゃくちゃ誰かと話したいことがあるのに、友達が軒並みこのライブに来られなくて、悲しくて泣きそう。
まるまる一日LLR〜幕張に吹き荒れる笑いの春一番〜 2017.4.22
LLRの春のネタ祭り*1
MCは竹内健人とスパイク松浦
「1年ぶりですね〜」と二人。松浦の衣装のテーマはシンデレラ。
松浦「昨日もやってましたし」
竹内「汚いシンデレラですねー」
今回は今年はLLRがM-1ラストイヤーということで、本気で決勝に行きたい。ネタを芸人に審査してもらい、どのネタをM-1にかけるか決めてもらおう、という企画。
企画内容を聞いて笑いの起きる客席に「今更?本気で?と青き炎*2たちは思うでしょう」とその気持ちを代弁する竹内。「本気なんですって」「今ネタを決めるんですって。早くね?って思いますよね?」「コンビによっては今頃から決めてる人もいないことはないですけど、お客さんも今から何のネタをするか知っているというのは前代未聞ですよ」
審査員は学生の頃から吉本だけでなくいろいろなネタを見てきたマヂカルラブリー村上、3度のM-1決勝経験者POISON GIRL BAND吉田、今や売れっ子作家元マキシマムパーパーサム長澤の3人。*3
披露されたネタと審査員3人の評
- 結婚式の二次会
ご存知結婚式の二次会である。ババアじゃねーかのツッコミにつながる後半のいくつかのボケが変わっていた。
吉田: 相手が誰だかわからないということなら「どっちも男じゃね―か」などもあってもよいのではないか。
村上: LLRさんはキレイ。サイズ感がよい。
長澤: 伊藤が黒い
- 部活
これも後半のボケがいくつか変わっていた。
長澤: 各部へのネタふりは福田が自分でふって自分でボケるより、伊藤からしたほうがよいのではないか。
村上: 『感情の爆発』と(メモに)書いてあります。伊藤さんの感情を爆発させた方がよいのでは?もっと変態性をだしたほうが…
吉田: 伊藤ちゃんのツッコミにバリエーションがほしい。同じ言葉でも言い方を変えるなど。ネタの入りはカンペキ。
- 好き嫌い
数回前の幕張ファクトリーでやっていたネタの後半を大幅に変えたもの。
長澤 : なんで伊藤はそんなに福田の好き嫌いが気になるのか、と思ってしまう。
村上: 裏付けがほしい。福田さんはアザラシの肉は食べないですし…
竹内「オチもひどいですし」
吉田: 後半の「食わねーのかよ」だけでもよいのでは?自分はあのオチ大好き。自分達でつくったものを自分達で台無しにする感じが
- 女子会
最初に披露した時から短くするためにカットはされているけれど、変えた部分はない気がする。
長澤: 「映像」というのがよい。「ちょっとやってみるから」ではなく「映像」だから惹きこまれる。伊藤も「映像」を見ている顔をしていた。
村上: このネタでいいと思う。ただ賞レースだとどう言われるか。ボケてはいないから「ボケてへんやん。漫才ちゃうやん」とかスベったこともない審査員に言われる可能性はある。
吉田: 面白いと思う。でも女の人からどう見られるか、共感させるのか、「あ、私言ってる!」と思わせるのか。どちらにするのかが問題。
- 整形
「目やれ〜」からの部分が昔に比べると少し長くなっただろうか。
長澤: 伊藤くんはこんなに口が悪かったっけ?福田を知らない人がどうか。
村上: 福田を知らないかどうかはネタの前に目が細いことをフっておけば大丈夫なのでは?ただ、福田さんの“ブシ”があるじゃないですか、飲んだときとかにベラベラベラしゃべるようなアレ。あの福田節をやって、それを伊藤さんに「目が細い」というだけでいとも簡単につぶされていくようなのが見たい、それだとおもしろいと思う。
吉田: 福田いじりになってる。やはり最初に「目が細くて悩んでるんですよ」など言った方がいいだろう。
長澤: 世紀末の詩の大江千里のやつと藤原竜也のやつが元ネタだということはわかった。パン屋をやるときの伊藤の声が小さい。テレてる。
村上: 自分の考えた完成図だとめちゃくちゃ面白い(くなる)。死体を隠して何気なくすごしている伊藤がめちゃくちゃ責められるような。そうしてほしい。
吉田: 死体を隠したパン屋だけでいくと思った。最後まで怖い感じでいくか、もっとブっとぶか
すべてのネタが終わって、審査員とLLRもMCの2人がいる舞台上へ集合。
村上「いやー、これくらいの尺だと(LLRは)漫才師だな、と思う。」
竹内「いつもは??」
村上「いつもは遊んでいる」w
村上「賞レースのえるえるさん大好きなんすよ。青いスーツ着て」
福田「あのスーツはルミネの大掃除で行方不明です」
えー
今回、この企画をやろうと思った理由を福田が述べていた。今までは人に意見を聞くなどということはなかったと。
福田「そういう女みたいなことは一切しなかった」
松浦「もう!なんなんですか?“女”っていうのやめてもらえます?」
しかし今年でM-1最後だし、もう自分でも15年もやってきたらどうしたらいいかわからないくなってきたし、他の芸人に決めてもらうのもいいんじゃないか、と思ったとのこと。
「M-1用以外のネタはライフワークみたいなものだし、べつに変えない」
今までは福田が予選の2日前くらいに決めて伊藤に告げていたとのこと。
竹内「伊藤はなんとなくわかったりはしたの?」
伊藤「まあ、これだろうな。みたいなのはあったよ」
今年は今から決まるのである。どうなるの!
それから福田が自分達はファントムなんだと言っていたが、なんでファントムなんだかは忘れた。伊藤も「LLRはファントム」と言っていたのは覚えている。「ファントム」とだけメモしてあった……なんだよ。
審査員の点数を集計して5位から結果発表。
この発表の際にネタについて福田がごちゃごちゃ言っていたので、それもメモ。
5位 好き嫌い
福田: 一昨日作った。いろいろな種類のネタから選んでもらいたかったから。今は本当のことをネタにするけど、ちょっと前はそうじゃなくて、コントみたいな。チュートさんとか。だから「ウソだろ」っていうのはわざとです。想定内です。
竹内「悔しいんですか?」「大丈夫ですよ。1位もあなたの作ったネタですから」w
一昨日作ったと言っていたが、数ケ月前の幕張ファクトリーで見ているので、改変したのが一昨日だったのだろう。福田がチュートリアルのネタを意識したことに注目したい。好きなのはわかる。
4位 結婚式の二次会
福田: まあ、コンテストには向いてないですね。ボケ数が少ない。
THE MANZAIのサーキットでやっておいてそれはないでしょー!と思った。
3位 部活
福田: 結婚式の二次会と順位が逆かと思った。想定外。
M-1の予選でやっておいてそれはないでしょー!?
2位パン屋
福田: 僕はあんまりおもしろいとは思わない。実はこれでも世間に寄せてて、一番好きなボケをカットしている。(「おにぎりください」の部分)
吉田「そういうボケを入れた方が余裕を感じるかもしれないけどね。お客さんもそれを感じて笑ってくれたり。」
福田「そういう風に見てる人いないですよ。吉田さんくらいしか」
ファンからもっとも人気のあったネタを「あんまりおもしろいと思わない」と言う福田w
しかもそのカットした部分を好きだと言うファンが多数いるというねじれ現象をおこしている。こじれた関係だ。
1位 女子会
福田: なぜこういうことを言って嫌なヤツにならないか。僕はそういう特殊能力を持っているんです。伊藤が言ったら嫌なヤツになるんです。なぜなら僕は女性をかわいいと思っているから。伊藤は性の対象としか思ってない。僕は妹もいるし。妹はどんなにいじめても嫌いにならないじゃないですか。それと同じで。男も女も同じように思っているから、イヤなヤツにならないんです!
竹内「でも皆さん妹じゃないですよ?妹だと思ってるんですか?」w
そこから松浦や村上が「まあ(福田は)見た目も中性的だし…わからなくもない」などと同意し、「でも伊藤ちゃんだって別に…」となったところで、伊藤が「僕は女性のことを完全に下に見ています!」と断言して、ひゃーっとなって、議論は終わった。
吉田が言う「共感なのか否定なのか(否定というか揶揄?)」というのは、どちらも面白くするには女性の気持ちを分かっていないとできないと思う。LLRにそれはどちらも無理な気がする。福田は自分に特殊能力があると言っているけれど、それは福田が思っている能力とは違っていて、確かにこのネタは中年女としてイヤな気持ちにはならないけれど、それは「その歳で男を捕まえられるわけねーだろ」ではなくて、「その歳まで一人だったなら一緒にいろよ」だからなのである。福田の女に偏見はあるけれど、なんとなく本質的に女に卑屈じゃない感じ。恨んではいない感じがほどよいので、どちらかに振れてしまったらダメな気がする……唯一吉田のネタ評で「えー?」と思ったことだったので…。でも何度も言ってたし、吉田が言うんだったら正しいのかなー
6位 整形
これについてはとくにコメントがなかったと思う。
これは他のネタに比べてもダントツに古いと思うのだけど、少し前から吉本以外のライブでもやったりしていて、どうしたんだろう?と思っていた。福田の心情としてこういう自分をいじるネタをやることで新境地に踏み出そうとしているのか、はたまたどこもカットしなくても短いし楽にできるネタだからなのか。たまに通常公演のようなものでチラっと見るのに良いネタですよね。 ネタ披露後に村上が言っていた福田が福田節でごちゃごちゃ言うけど伊藤に「目が細い」というだけで全部つぶされるネタちょう面白そうじゃないですか?ものすごく見たい。
今回ネタが決まったら、これからの舞台はそれしかしない。と福田が言っていた。「飽きるでしょ?」と竹内に言われても「飽きない。俺はすき家の牛丼を29日連続で食べた男だ!」と。
長澤「29日目に飽きたんでしょ」
福田「いや、健康面でやめただけです」
長澤「だったらもっと早くやめろよ」
吉田「でも伊藤ちゃんが飽きるでしょ」
福田「飽きたその先がありますから。男女でも3年くらいで倦怠期がきますよね。でも6年くらいでもっと仲良くなったりして。伊藤がそうなって更に上のステージにいきますから」
吉田「なんにでも向こう側があるっていうもんね。ネタの向こう側ね」
福田「そうです」
審査員の3人が戸惑うほどに、きっちり短くまとめて中身も改変して6本披露したLLRだったが、今年は絶対にありえない「部活」と「結婚式の二次会」を選択肢に入れるのはもったいないのではないかと思った。本気本気と言いつつ本気じゃないじゃーん!と思ってしまった。こう思うのはもしかすると、私に「最近よく見たネタじゃないものが見たかったから」という気持ちが入っていなくもないけれど、でもさー。「部活」と「結婚式の二次会」はすでに予選で落ちてるんだから…今年どんなに改変したって、ないんじゃないのか。
結果として「女子会」になったし、2位も「パン屋」なので、よいのだが。最後の最後にダメだった場合に人のせいにできる保険をかけているんじゃないか…と意地悪いことを考えた。と、わりとライブ直後は思っていたのだが、これを書いていたら、マジでいけるんじゃないの?という気持ちにもなってきて、実は本人達もそうだったりして!となった。まあどっちでもいいや。
3人の審査員たちの言うことがふざけているようで実に真摯で面白かった。吉田のは本当に実践的なアドバイスだと思うし、村上の自分ならこういう風に変える、というアイディアは本当に面白そうだった。今回のラインナップはもともと福田が賞レース向けに選んだものだった気がするが、福田は賞レースには向かないと思っているだろうけど、実は賞レースに向いているネタというのもあるのでは?と思える。もっと他のネタでもこの企画をしてほしいなーと思うのだった。あー楽しかった。なんだかんだでLLRのことなので、しれっと違うネタでM-1に挑む可能性はあると思います。
[東京ファクトリー]LLRの幕張ファクトリー春風SP
今回のゲストは竹内健人、アイデンティティ、ザ・ギース、脳みそ夫、ウエストランド
OPでは恒例の竹内は何回幕張ファクトリーに出ているか、という質問から。竹内「LLRと同じ回数です」「自分のファンじゃないところで毎月新ネタを…」
福田「昨日も吉本本社でパソコン開いて…。フリーのサラリーマンですよ」
竹内「ふつうでしょ」
福田「今日は細めのボーダーで」
竹内「はい」
福田「どうしてボーダーが好きになったんですか?」
尾関「一組一組そんなに時間かけるんですか???」
竹内「毎回出てるのにこれですから」
福田「聞いたことなかったなーと思って」
竹内「(ボーダーは)流行り廃りもないし、何にでも合うので…」(ちゃんと答える)
つづいてギース
つい2ヶ月前にも幕張ファクトリーのゲストに来たギース。竹内が「ちょっと頻度が高いのではないか」と文句を言っていたそう。
尾関「前回ボーダー着てきて怒られたから、水玉にしたのに!」
竹内「このままだとジグザグジギーみたいになっちゃいますよ。いいんですか?ジグザグジギーみたいになっても」
高佐「いいですよ」
アイデンティティ
初登場のアイデンティティ。
田島「初めまして」
福田(見浦に)「こんな服の芸人います?」
見浦「いますよ!全員衣装いじるんですか??」
福田「こっち(野沢雅子の扮装をしている田島)は、西ドイツ代表みたいな」
伊藤「なんでアウェーなんだよ」
福田「もしくは初期のヴェルディみたいな。ここ(胸)に“Coca-Cola”って書いてあれば」
福田「芸歴どのくらいなんすか?」
田島「12年ですね」
福田「あー。ギースさんの半分くらいですか?」
尾関「そんなわけない!」
そこから15年くらいの芸人は芸歴を詐称するという話がなされ、OPに間に合わなかったウエストランドと脳みそ夫ものちほど追及しようという話になっていた。なんなんだ。
ネタ
- LLR ウンチ
ネタ祭りでM-1用のネタをいくつも見て若干食傷気味になっていたのか、このネタを見て、そうだよね!LLRはこれよね!という謎の高揚感に包まれた。世間で話題のウンチドリルの話からお笑いのパターンへの言及がなされ、「ウンチの話に戻そう」というキラーフレーズが生まれていた。最高だ。
- 竹内健人 起きない彼女
竹内のネタに使われる女性の声はいつも同じだけれど、誰の声なのかな?今回は竹内がその声を聞きとって代弁するので、あの声がなくても大丈夫そう。すっかり世界に入り込んで見たので、朝の弱い私としては「うるさいなー竹内―」と思ったが、一緒に見た朝に強い友人は、起きない彼女にムカついたらしい。すごい。そして、鯉にはGPSが埋まっているに違いないと友人たちと話した。
後ほど、福田が「1人カラオケ来て、時間がないから最後の1曲入れよ!つって、サザエさんは入れないでしょ」と言っていて笑った。そう思う。
- ザ・ギース かあさんの歌
高佐の「お前が取り調べがんばれよ」というツッコミが秀逸だと思った。あと後半のひどい歌詞が最高だった。私も握手したかった。
そんなに何度も見たことはないけれど、ちびっこ石油王はいつも聖徳太子の扮装でされている気がする。
- ウエストランド 音楽の影響
いつもとちょっと違うテーマのネタで、序盤でフレーズをとばしたせいか、ふわふわしていた。良く考えたら、クスリつながりとか、歌詞をセリフに…とかLLRのネタでもあるな。関係ないけど。
いつもと違うから、お店にも入らないし、女子の文句も言わないけど、井口はモテなかった。おもしろかった。
- LLR 事故物件
福田が物件情報を言っていって、事故物件はどれでしょう?というネタ。ネタフリとして、福田が「事故物件が分かる」というようなことを言っているのに、伊藤に当てさせるというそもそもその設定が破たんしているし、よさそうな物件情報を言うけど実は最後にヘンなことを言うのは目に見えているのでどうかと思うけど、LLRがだらだらこういうことを言っているだけで笑ってしまうので、私はもうダメだ。1分間くらいまったく笑いのない時間が何度もある。結局西武線をクサして終わるしLLRを煮詰めたみたいなネタだった。
コーナーは福田チームvs伊藤チーム3番勝負!
3番勝負と言いつつ、時間がなくなって2番勝負で終わっていた。
スリーセブンゲーム対決と紙飛行機ゴルフボール対決
スリーセブンゲームはお題に対して、それに該当するものを7つホワイトボードに書く、というもの。
高佐が「英単語」というお題で「Apple」「Book」の次に「Because」と書いたのが可笑しかった。今書いていて気付いたがMacbookを使っているのかもしれない。
また「給食のメニュー」というお題が出たのも笑った。
尾関「地域によるでしょ」
竹内「料理名書いときゃ大体大丈夫だよ」
紙飛行機ゴルフボール対決は自作の紙飛行機を2階席から飛ばして、舞台上の台へ何回で乗せられるか、というゲーム。
尾関「たのしそー!」
井口「めちゃくちゃ楽しそう!LLRさんのライブ、たまにこういうのがあるんだよな〜♪」
かわいいな井口さん*4
結果は高佐が作った飛行力より若干落下力のある紙飛行機が惜しくもホールインワンを逃すほどで、伊藤チームが勝っていた。福田チームの尾関制作の紙飛行機は飛行力がありすぎて、台に乗せるのが難しそうだった。
福田「尾関さんの(紙飛行機)性能はめちゃくちゃいいんですけどね」
尾関「すイエんサーで見たから!」*5
楽しい回でした。
LLRのよしもと芸人vsよしもと辞めたヤツ
これに関しては省略で…
「バンザイ対決」で呼吸困難になり気管支を痛め、2日後も苦しんでいることだけ書いておきます。
LLR単独ライブ「シャローム〜もう単独ライブはやらないと言いましたが結婚をしたので一区切りつけなきゃいけないと思った訳で…。〜」 2016.8.12
LLR2年ぶりの単独ライブにいってきた。
前回、単独ライブはもうやらないと言っていたのだけれど、しれっとまたやってくれてありがたい。しかもルミネで
- OP映像 WAKATE TANDOKU LIVE
岡崎体育の「MUSIC VIDEO」を模して、若手単独あるあるを。
かつてLLRの単独ライブOP映像でこんなに面白いものがあったか!!LLRが二人で歌っていたが、そういうことも含めてLLRらしからぬ感じであった。らしくもあるが。
関係ないけど若手単独のOPVあるあるみたいなのを何かで見た覚えがあるが思い出せない…カリカ?
- 漫才「お笑い係」
最近の小学校にはお笑い係というのがあるらしい、というネタ。
福田が「おばさんに聞いたんだけど…」と言っていたのが可笑しかった。伊藤が「どこのおばさん?!」となるのだった。お笑い係になったらツライよ…と言って福田がお笑い係を再現して見せるのだが、それがちゃんと小学生の1日になっているのが幕張ファクトリーではなく単独ライブの漫才なのであった。ちゃんと作ってる。「鶴の恩返しはお笑い要素がある」という主張には目から鱗が落ちた。
- 映像 福田セレクトドラマ名シーン リッチマンプアウーマン
福田おすすめのドラマのワンシーンを見せます、ということでリッチマンプアウーマンの空港シーンを延々と見せられるのであった。LLR(というか福田)のライブに通っていたら何度も見たり聞いたりしている場面。石原さとみの演技おもしろいな〜と思っていると、“福田がやってみた”映像に切り替わるのであった。
小栗旬も石原さとみも福田。もともと面白い石原さとみの演技を顔も面白い福田が再現するのだから、死ぬほど面白いに決まってる……はあ〜面白かった!!
- 漫才「女子会したい」
伊藤が生まれ変わるなら女の子になって女子会がしたい、と言うのだった。伊藤、全然思ってなさそうである。以前、福田がツモルハナシか何かで、カフェで女子会を目撃した話をしていたのでそこからきたネタだと思う。ネタ中にも実際に目撃した女子会の話が出てくるし。「女子会がしたい」という伊藤に福田が「お前なんかに女子会は無理だ」というネタだが、テーマは福田の「女子への偏見」なのであった。それを言いたいがために思ってもいなそうな伊藤に「女子会したい」と言わせる力技なのであった。
女である自分がこのネタを見て嫌な気分にならないのは、福田が実際に見たという女子会へのツッコミが「今まで一人の時間あったのに、まだ欲しいのかよ!」というような思いもよらない方向だったからかな…多分…
- 映像 福田セレクトドラマ名シーン ビーチボーイズ
ビーチバレー後に竹野内豊が帰るシーンを再現。福田いわく「広末涼子の透明感が出せた」
- コント「金田一くん」
金田一少年の事件簿のはじめちゃんを福田。美雪を夫婦のじかん大貫。殺人犯を伊藤。殺された人を山西。
コントは他で見る機会はなさそうなので、内容を書いてしまうぞ!
バンガローに泊まったはじめと美雪が死体を発見。陸の孤島であるバンガローの宿泊者を美雪に集めるように指示するはじめだったが、宿泊者は1人しかいないのであった!
「犯人はこの中にいる!」でショックを受ける効果音が1回しか鳴らないなんておかしい、という指摘、これじゃ1時間番組がもたないという指摘……そういうネタだった。LLRのコントにしては面白いし、夫婦のじかんの2人が完璧な配役で面白かった。
- 映像RGツーリングクラブ
伊藤がRGツーリングクラブに西東京を案内。最初のおすすめスポットは小金井公園。NSC時代にLLRがネタ合わせをしてホームのない方に「うるさい!寝てる人もいるんだぞ!」と怒られた場所。麒麟田村の探偵魂により、今そこにいるホームのない方へのインタビューに成功していた。ホームレス中学生だけあって絶大な認知度。
- 漫才「徳川埋蔵金」
徳川埋蔵金とかいいよね、夢あるよね、という福田。そんな福田にコツコツ貯めるのが重要だ、普通であれ、と説く伊藤。芸人なんて!と福田が屁理屈をこねまくるネタだった。
LLRは最近この手のテーマがよくある。転職したいネタとか。最終的に伊藤の意見に福田がぐうの音も出なくなるのがとても良いのだった。福田が作ってる漫才なのに。アウトローぶっているけれど、福田が真人間なのが見える。
- 映像 RGツーリングクラブ
おすすめの中華屋「西遊」、高校、伊藤の実家。全員にあきれられてヘルメットで胸を押され「もうメシにも誘わない」と言われる伊藤。
- コント「決勝戦前日」
特殊能力を使ったじゃんけん大会決勝の前日、スローモーション能力を持つ伊藤が決勝に備えていると、対戦相手の福田が部屋に……こいつはどんな能力を持っているのか!というネタ。
伊藤の録音されたモノローグが多いコントで、これ何回録り直したのかな…?と思ってしまって申し訳ない気持ちになった。面白かった。しずるがやったら超面白そう。
- 映像 福田セレクトドラマ名シーン 踊る大捜査線
福田のトレンチコート着回しがよかった
- 漫才「サンタの練習がしたい」
今後子供が生まれたとしてクリスマスにサンタになってプレゼントを置く練習をしたいと言う伊藤。それは…と福田がいうネタ。
これは昔ながらのLLRのネタだー!という感じ。一番好きだった。メタっぽくもありつつ、福田の一人芝居もありつつ、思いもよらない展開になるのだった。最近こういうネタをあまり見ていなかったが、やっぱり作りこんだ単独でしかできないネタなのかなー
前説でガリバートンネル佐助、こりゃめでてーな広大が出てきたので、これは最終章であったはずの青春群像劇こと福田花月があるのか?!と思ってしまったが、そういうこともなく。サクっと90分で終わった。LLRも単独ライブを90分で終われるのだ。すごい!
相変わらずLLRの単独ライブはとても面白かった。
EDで、田中麗奈が結婚したことから、「LLRは改名します!今回はそのために開かれた会です」と福田が宣言。「聞いてないけど」と冷静に言う伊藤が可笑しかった。
ラブラブレナポンズからLaugh Liberty Revolutionになるそう。福田が「昨日考えた」と言っていた。
無理矢理悲壮感を漂わせた単独ライブの告知であったが、どうせ影響ない程度の改名とかでしょ…と思っていたら、その通りであった。それが前日に考えられたものであったり、伊藤が全然聞いていなかったりするほどとは思わなかった。なんて幸せな予想外だろうか。LLR大好きと言わざるをえない。次の単独ライブが楽しみ!
まるまる一日LLR 2016.4.23
LLRの春のネタ祭り
今回のネタ祭りは5本の新ネタとリクエストネタ1本。わーい!
MCは竹内健人とスパイク松浦。まるまる一日LLRの開催場所が幕張に移ってからは、女性MCは怪獣のまゆみちゃんだったので、松浦は久しぶりだった。まゆみちゃんはLLRをストレートにバカにして面白いが、松浦は慇懃無礼で面白のだった。
一つネタを披露するたびに、竹内と松浦がLLRにネタについてインタビューする形でライブが進められた。福田がアーティストぶってネタについて話し、伊藤はサングラスをかけて座っているがしゃべらせてもらえない。ふざけているのだけれど、内容はとても興味深く面白かった。
- ○○派か××派か
「犬派か猫派か」、「パン派かごはん派」というような質問をするよくある感じのネタの入りだった。「何派」か聞かれているのに「どっちでもない」と答えるのだけれども、伊藤の食いつくところがどんどん変化していって、主題が変わってゆくのだった。とっても面白かった!!
福田いわく、「感じ悪いな」というツッコミを言わせたかったと。聞かれている質問に答えないで別のことを言う人って感じ悪いな、と思ったことからできたネタ。そして「このペンおじさんにもらったのかな?」という謎の発言が……。いつもは紙に書かずにネタを作っているが、今回はちゃんと書いてみたのだそう。書いている最中にペンが勝手に書いているかのように、思いもよらない方向のネタがどんどん書けたことから、自分のペンではなく、別のおじさんにもらったペンのように感じたということらしい。「ネタが動きだしちゃった」
この頃はまだアーティスト福田の設定にのっかっていた竹内が「アーティストって結局伝わるね。最初なに言ってんのかな?と思っても、最終的には伝わる」と評していたのが可笑しかった。
でもまさに、書いている最中どんどん新しい発想がでてきたんだろうな、と思わせるネタだった。
夢日記をつけたら夢と現実の区別がつかなくなってしまった…というネタだった。福田が見たと言って語られる夢は、「ケーキの島でケーキを食べる」「パンダと遊ぶ」など、かわいこぶったものだった。
このネタは福田が「僕がキャメロン・ディアスになっちゃった夢見たらヘンだな」と思ったことから作ったそう。途中ネタ制作が止まってしまい、一旦他のネタに取り掛かり、寝て起きたらまた閃いて出来上がったと話していた。できなくなったら一旦やめて他のネタを作るということを説明するために、まず「オレ、受験勉強タイプだから」と前置きするところがアーティストぶっている。ちなみに福田が演技のお手本にしているのは瑛太とのこと。
それにしても、最初のネタに比べて苦しい感じがするなーと思ったら、途中で行き詰まったということなので、なるほど〜!と思った。伝わる。
- して父になる
映画「そして父になる」を見て、感銘を受けたと福田が語り出すネタだった。とても気持ちが分かる、自分も全く同じ経験をしている。傘の取り違えである。
後半が意外な展開!みたいなことはないのだけれど、今回のライブで一番好きだった。LLRお得意の置き換えるネタだけれど、恋愛ではなく「父」というところが今までにないし、年齢を感じる。
このネタを福田は「すっごい気に入ってる」と言っていた。自分は映画やドラマのセリフを言いたくなっちゃう人間で、「それでも5年間は家族だったんだよ」というセリフが言いたいがために作ったネタだと。
福田がこういうセリフを言いたがることも、LLRが置き換えるネタをよく作ることも知っていたが、このネタを作る動機が「セリフを言いたい」だということがとても興味深い!!
勝手にネタを分類していたけれど、見ている側の分類と作る側の分類は違うのかもしれない。というか、発想の段階での分類と実際に出来上がったときの分類がありそう。
- 初めての海外旅行
36歳にして海外旅行に行ったことがないから行ってみたい、というネタ。行きたい国やそこでやりたいことなどを語る福田に、伊藤が「それはおかしい。普通は違う」と諭すのだった。その伊藤の理論がとても面白かった。
このネタに関して福田は「漫才は生き物。漫才が現実に近づいていく」とまたキザなことを言っていた。ようするに、「彼女が欲しい」とかそういうネタを36歳の男がするのはもう不自然だから現実に即したネタを作った、ということらしい。
竹内と松浦がこのネタを見ていて、福田がコンゴ共和国に行きたい理由を聞いた伊藤が「生意気言うな!」とツッコんだところで、舞台袖では「おー」という声があがったと話していた。竹内が自分なら「すぐ行け!」とツッコむだろうと言うのだった。
芸人側はそういう風に見るんだな!おもしろい〜
- ギャンブル
ギャンブル依存の友達がギャンブルをやめるというので…というネタ。途中福田がお客さんのことを「チクリ顔」と言ったのが可笑しかった。
このネタについては「一見普通のネタだけど新しい」と福田。昔話のその後、白雪姫の続編みたいなことだ、と語っていた。普通そこで終わるはずが、その後の部分を漫才にした。普通なら「ギャンブルやめねーよ!」で終わるが、自分はその後をネタにしたと説明していた。
新ネタとしては最後のネタで、5本全部タイプの違うネタにしたんだな〜というくらいしか感想がなかったが、この説明を聞いて(説明自体はよくわからない)、こちらには伝わらない福田の工夫があったのだな、ということが伝わってきた。物語のその後をネタにすることが新しいとは思えないが、多分ニュアンスが違うんだろうな…みたいな…
- 結コンビ式
これはお客さんからのリクエスト。LLR二人とも内容を忘れてしまったようで、即興で意外とできるものが、というようなことを言っていた。結構有名なネタだけれど、覚えていないものなんだなーと思った。部分的には知っているボケもあって、まったく忘れてしまったわけではないだろうが…
とにかくここ最近の幕張ファクトリーで披露している新ネタとはちょっと趣が異なるネタを5本も見られてとても嬉しかった。しかも福田の解説つき!解説はふざけた調子だったし、竹内は「眠くなる」なんて言っていたが、客席はとても興奮していたと思う。少なくとも私はしていた。静まり返ってはいたが……
幕張ファクトリーSP 春風SP
LLRの新ネタだけ……
- ジブリでVSもの
昨今バットマンvsスーパーマンなどのVSものの映画が流行っているので、ジブリのキャラクターでもやったらいいのではないか、というネタだった。といっても、それで大喜利してゆくネタではないのだった。2択のネタを思わせるけれど、全然違った。私はLLRのこういう感じが好きなのに最近あまりなくて寂しかったので嬉しかった。これについても解説を聞きたいところ。
- テレビがんばれ
若者のテレビ離れが進んでいるが、テレビにがんばってほしい、と福田が言うのだった。伊藤のツッコミがLLRとしての自虐になっており、ついに自虐がネタに…と思った。テレビに出ていないヤツはテレビを語るな、という全国のテレビファンを敵にまわすネタでもあった。
企画の平野ノラクイズも面白かった。完
ジューシーズ2015ベストネタライブ 2015.12.27
ジューシーズ2015ベストネタライブにいってきた。
ベストネタライブというタイトルそのままに過去の名作を怒涛のように披露していた。2時間半
- 漫才
松橋「最後のライブにいきなり漫才っていうね」
児玉赤羽「うん」
松橋「僕達解散ライブ初めてだから、様子を伺いたいっていうか」
松橋「まあ最後なんですけど。なんでかって言うと…」
児玉「お前が掃除のことばっかり考えはじめたあたりから!」
松橋「そんなことないよ!ネタやってるときに掃除のことなんて全然考えない!じゅーそーずのことしか!」
児玉「重層ずって!」
松橋「クエン酸(健さん)のことも考えてます」
赤羽「クエン酸?!ってなに!」
松橋「カビ(ダマ)のことも考えてるよー」
児玉「カビって全然掛かってない!」
などという素晴らしい解散漫才が……そして…
児玉「気まずい瞬間てありますよね。今もそうですけど」
と言って、トイレで店長の悪口言ってたら店長に遭遇するネタに!上手い!(?)
「このネタは営業で1番やったネタで千回はやったかな?」なんて言いつつ、きっちり漫才を披露。
そして…
松橋「笑いの炎は消えてないってことを見せないと!ここでガツンと新ネタやろう」
児玉「え?新ネタ?最後なのに?」
松橋「そう!笑いの炎を!」
児玉「まあ、そうかもね」
という流れで、ネタを忘れちゃうネタに!上手い!(?)
解散をブリッジに手垢のついた漫才をするジューシーズは最高にかっこよかった。おもしろすぎる。
- あだ名
「おじ様コオロギ?地球防衛軍だ」のパンチ力。
こんなにこういう感じのネタなのに、何回見ても新鮮に面白いのって不思議だな、と毎回思う。今回も思った。
- V「 鼻歌は伝染するか」(2010.3.10ほくろ先祖のバブル145)
無限大ホールの楽屋で当時の無限大芸人達がわちゃわちゃしているのだった…青春の匂い…
- 牛丼屋
名作だなぁ!名作だぁ!と感動しながら見た。「これを聞いてもまだ生卵出しませんか?」と豪語して、「なんかぁ…卵が欲しいって言ってるのにぃ…」と下手すぎるスピーチをするというボケ、こんなのジューシーズしかできないでしょ。っていうか松橋しかできないでしょ!と思う。
- V「鼻歌は伝染するか」
出てくるのが森木に菊様である。香る青春。
- マチルダ先生
未来から来た2人にまどわされる児玉。この構図のジューシーズのコントで面白くないものなんかない。3人が走り回ればそこには笑いしかないし、児玉が踊ればそこには爆笑しかない。
- V「鼻歌は伝染するか」
無限大ホールにボンとデンペーが…青春…
ジューシーズよりも先に向井が歌い始めてジューシーズに伝染するっていうのは本当に素晴らしい映像だと思った。
- 新任教師
かわいいやつである。「ドーナッツやったぁ!」のやつ。
松橋が可愛くなる理由がマジで分からないけど、そんなのどうでもいいし、最後までわからなかった。かわいいのでよいですね。
- Vうまい棒はうますぎる棒(2008.1.31マジDEパック作戦)
このシリーズはあんまり好きじゃなく、やっぱり今日見ても好きじゃなかったが、児玉の精神力の強さはすごいと思う。*1
- 言い間違い
立てこもり犯(赤羽)のところに刑事2人(児玉松橋)が突入するも、全員色々言い間違えるネタ。
ジューシーズにしてはきっちり系のネタだけど、本当に言い間違えるハプニングもあって、ちゃんとグダるところがさすがだと思った。ここへきてちょっとスベり気味だったし
- Vうまい棒はうますぎる棒
いじられキャラの児玉がいじられている最中にいじっている二人(赤羽松橋)の関係がおかしくなるネタ。
このネタを初めて見たときの衝撃を今も忘れられないが、その衝撃を受けたオチ部分は変更されてしまっているのだった。寂しくもあるけれど、ルミネタ*2であの衝撃のサバイバルダンスで、手拍子が起こったのを目撃しているので、そりゃあ、ずっとあのオチではいけないよね、と納得するところではある。
これまた無限大の楽屋で青春の匂いが!
- ドラマのオープニングの雰囲気出すゲーム
これって松橋だよね。松橋のカラーの松橋ネタだよね…と。どのネタもそうだけど、でもこのネタは特に児玉赤羽がコンビになったときには無いだろうなーと思った。
- Vイタズラ大作戦
関町の変わらなさは、ちょっと異常なんじゃないかと思った。結婚して子をなしてる今と全く同じってどういうこと?
- 孫のユウタが仕事の邪魔
社長の祖父(赤羽)が部下(児玉)と仕事の話をしている間、孫のユウタ(松橋)がいたずらしまくるネタ。
先日、別のライブでこのネタを見て、松橋が赤羽と児玉で最後に遊びたいだけ遊んでるなーと思ってしんみりしたのだが、その時よりも今回の方がカラっとして見えるという……。私がそう見えただけだろうか…
- Vイタズラ大作戦
ターゲットはLLR伊藤のはずだったのに、松橋赤羽が児玉にイタズラするのだった。児玉がずっと「伊藤さんに!!」と言い続けているのをニヤニヤしながら眺めた伊藤が最終的に「ちゃんと掃除しろよ」と言って去っていく姿は、今より若いけど、太ももパンパンだった。
- 二次会カラオケ
グビダイン。
ジューシーズの単独を見ると児玉のプレーヤーとしての素晴らしさに目を見張るが、このネタはこんなにちゃんと芸人らしく芸人だっけ?と思う。踊りだけじゃなく、なんかちゃんと芸人なのがすごい。
ここで一旦3人が出てきて…
「3人とも芸人は続けるし、解散するのは対立したとかそういうことでは全然ない。今後確実に良くなるための解散で、必ずよくなります!」「簡単に言うと方向性の違い」と言う松橋。
松橋が「今より必ず良くなる。今より売れる」と言ったときに、そこまでうなずいていた児玉が「え?売れる?」と言っていたのが、なんとも言えず…。そういうことなのだなーと…思った。
そして、「ジューシーズといったらコレ!というネタをやります!」と豪語して、見たこともない、リンゴを次々にテーブルに出すコントを始めるジューシーズ。
オチでカリフラワー(?)を出したところで、竹内*3が「いや見たことないコント―!!」とツッコミつつ登場するのだった。
オチを失敗しちゃったから、もう一回やります!ってことで、「リンゴ見せ」のコントを再び始めるジューシーズ。
竹内の「いや、にょんぺり星人とか見せてよ!」「演技コントとかあるだろ!」などの的確なツッコミがありつつ、再びカリフラワー(?)を出して、失敗。
「これで終わりでーす」「今までありがとうございましたー!」ってな感じで本当に幕が下りて、客席から「えー!」という声があがって、ジューシーズは解散した……。
まさに「ジューシーズといったらコレ」な終わり方だった。
ゆるっゆるのネタなのに、芸人としての意地を感じさせる解散ライブだった。絶対に前向きな解散なんだと、しんみり終わるようなことは絶対にしないんだと、「残念」とか「寂しい」とか後悔は一言も口にしないぞ!という…意地をゆるさとスカしで表現するところがジューシーズだなあ、と思った。そんなジューシーズは最高で、美しい最後だった。
それなのに…私は寂しくて泣きながらこのブログを書いてごめんなさい、という気持ち。