格差社会 何が問題なのか
- 作者: 橘木俊詔
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それは、小泉首相は、経済効率が重要であり、そのために不平等が増えてもやむを得ない、という信念を持っているということです。したがって、国民の反応をどう予測したかはさておき、その信念を述べたと考えられるわけです。
格差はどこまで認めればよいのでしょうか。この質問に対して、二つの考え方があります。一つは、格差の上層と下層の差に注目する考え方です。(中略)もう一つは、下層が全員貧困でなくなるためにはどうすればいいか、という考え方です。
最低賃金を上げることを嫌がる経営側に対して、私は次のように問いたいです。「あなたの息子(あるいは娘、妻)が時給六百円、七百円で働いていることを知ったら、あなたはどう思いますか?」と。
ルポ 貧困大国アメリカ
- 作者: 堤未果
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そこに浮かび上がってくるのは、国境、人種、宗教、性別、年0などあらゆるカテゴリーを超えて世界を二極化している格差構造と、それをむしろ糧として回りつづけるマーケットの存在、私たちが今まで持っていた、国家単位の世界観を根底からひっくり返さなければ、いつの間にか一方的に飲み込まれていきかねないほどの恐ろしい暴走型市場原理システムだ。
アメリカ社会が僕から奪ったのは二十五条です。人間らしく生き延びるための生存権を失ったとき、九条の精神より目の前のパンに手が伸びるのは当たり前ですよ。
人権か 表現の自由か
- 作者: 田島泰彦
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富める貧者の国
- 作者: 佐和隆光,浅田彰
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さらにボードリヤールは次のように言う。「国が豊かであるためには、まず一人一人の個人が豊かにならなければならないという欧米的な理想主義とは違うモデルがあるのだろうか。個人が組織の細胞の一つのようになって自己を主張しないのだとすれば、それは社会のシステムの前近代性が土台にあるのではないか」と。
改革は必ず痛みを伴います。具体的に言えば失業とか倒産ですね。制度や規制には必ずそれを利用する何らかの既得権益が付随していますから、制度を変えようとすれば、必ず既得権益を有する企業や個人が損失を被ります。(中略)ただし、政府は何もしなくてもいいと言うわけではない。
視点をやや広げると、九十年代は「相対化の時代」だと見ることが出来るでしょう。まず、八十九年にベルリンの壁が崩壊したのをきっかけに社会主義が相対化されてしまった。また、九十七年十二月に京都会議があり、先進三十八カ国に対して二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減目標を義務付けた。これは正しく産業文明の相対化に他なりません。
フランスの社会党は、市場経済はイエス、市場社会はノーという言い方をしています。リストラで首切りを進めた挙句アノミーになってもいいかというと、そうではない、文化に根ざした社会的な安全網がなければいけない、と。
ただ、限られた仕事をシェアすることで、より一層の所得よりは、より一層の自由時間を望むという人が増えています。そうすると、全面的に会社に帰属するのではなく、同時に家族にも地域社会にもクラブにもコミットするという多重帰属社会になります。
ドイツでは、例えば風力発電による電気を買うと、普通の電気よりずっと高いけれど、それを買うことが自分なりのコミットメントだから、みんな進んで買うわけです。
今までは、国がくれる予算は無条件でもらってきた。でも、これからはいらないものはいらないと言えなければならない。
僕がこういう提案をすると、「知事がそんな細かいことを」と言われがちです。でも、今のような時代には、ディティールにしか真実は宿らない。ディティールにしか改革は宿らないんです。
幸福のつくりかた/橋爪大三郎
- 作者: 橋爪大三郎
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>>子供というのは、人間というのは、仲のいい友達には心を開き、嫌いな人間には心を閉ざし、たまには憎む、これは普通のあり方です。他人に対していつも心を開いていられない自分、この心は間違っている、と学校で教育したならば、自分の心のあり方の自然な流れを表現することが出来ず、嫌いな友達も好きだといい、実は裏では憎む。
冒険としての社会科学/橋爪大三郎
- 作者: 橋爪大三郎
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大学がつぶれてもかまわないと思った学生(全共闘)より、大学がつぶれたら困ると思った学生の方が多かったから、負けたのだ。たしかに。でも、そういう二者択一(倫理)の話にしてしまったのが、そもそも問題である。全共闘は正しいけれど、どこか決定的にまずいところがある。(後略)
押しつけたアメリカの思惑と、この憲法の出来栄えとは関係ない。この憲法はなかなかよく出来ているから、大事にするほうがいい。ひとの作ったものなんか嫌だという気持ちもわかるが、自分で作れなかったものは、仕方ないではないか。
この前の戦争が非常に愚かしいものなら、二度とそういう戦争(や、それに類する愚かな出来事)を起こさないように、そのためのシステムを工夫する。それが、戦争責任なのだ!
日本の経済規模も、影響力も、大きくなりすぎた。世界の動向をさしおいて、日本だけうまい目を見るなんて、もう考えられない。これまでたまたま幸運だったが、これからは、自分で行く手を切りひらかなければならない。その自覚が日本人に、なさすぎると思いませんか。
文化人類学[カレッジ版] 第2版
- 作者: 波平恵美子,青木恵理子
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健康であることの具体的な内容も、医療の発達によって、変化する。たとえば、人間ドックの検査結果が基準値よりもはずれていると「(健康と病気との)境界領域」とされたり、遺伝子診断が発達すると、当人はまったく症状を示していないとしても、高い可能性でその人の子どもは症状を持つことが予測されることによって「健康」とみなされないこともおこりうる。
おそらく、人間は、具体的な人物の死からは離れた抽象的な死の観念を育てており、それとみずからの死や自分にとってもっとも大切な人の死を結びつけて考える能力を持っているらしい。